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4巻
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地方都市グルーデン。辺境の村ローデシナへ唯一繋がる街である。
そこに、誰もが恐れる有名なギャングがいた。
その名は【シルヴェスティー家】。グルーデンの商売や利権問題に不当に介入するなど、金になるならなんでもするような没落貴族からなる非道な組織である。
その長であるマスタング・シルヴェスティーは巨大な屋敷のリビングで豪奢な椅子に座り、高価なワインに舌鼓を打っていた。
「……ガキを売り捌いて飲むワインは、格段に美味い」
シルヴェスティー家の裏稼業は、ようやく波に乗ってきていた。
今までグルーデンの冒険者ギルド長であるラウネによって、彼らの企みは幾度も妨害されてきたのだ。しかし何故か最近ラウネの姿を見なくなった。
それを受けてシルヴェスティー家は、眼中の釘が抜けたとばかりに、中断を余儀なくされていた人身売買に本腰を入れた。
その努力がようやく実を結んできたのだ。
「へへへ、親父! また珍しいガキを攫ってきたぜ!」
ちょうどそこへマスタングの息子、ムスコングがロープでぐるぐる巻きにした子供を抱えてやってきた。
「ほう、見せてみろ」
「へへっ、流石の親父も驚くと思うぜ! なんたってキノコのガキだからな!」
ムスコングがそう言うと、彼の手下はどさりと抱えていた子供を地面に落とす。
「ほげ」と声を上げて地面に転がされたのは、頭部がキノコ状になっている子供――もとい、キノコの精霊であるノコだった。
たまには散歩でもするかとその辺をぶらぶらしていたところ、捕まってしまったのである。
ノコはうるうると目を潤ませながら、マスタングを見上げる。
筋骨隆々で、スキンヘッド。おまけに葉巻を咥えた怖いオジサン。
その姿を見て、ノコは思わず呟く。
「み、短いキノコ生でした……ガク」
ノコは失神した。
そんなノコを見て、マスタングは体を硬直させていた。
ある最悪の想像をしていたのだ。
「コイツをどこで攫いやがった?」
「へ? ローデシナとかいうド田舎の村だよ! 穴場なんだぜ」
(ローデシナに……キノコのガキ。やはり……やはりそうか)
マスタングは思わずぽろりと葉巻を落とした。
彼がもう片方の手に持っていたグラスも床に落ち、ガシャンという音を立てて割れる。
マスタングは声を絞り出すようにして言う。
「お、お前……あのドーマ一家に手を出したのか?」
「え、え? 何一家だって?」
ムスコングはマスタングが狼狽えるのを見て、動揺する。
マスタングは脚を震わせながらも椅子から腰を浮かせて――よろけた。
それでもなんとか柱に縋り付き、立ち上がる。
「しょ、召集しろ」
「え?」
「【五指の悪鬼】を召集しろ!!」
「お、おう!」
ムスコングは状況を理解していないものの、父親のあまりの剣幕に思わず頷く。
一時間後。
マスタング邸には、グルーデン最強の殺し屋五人組――五指の悪鬼と呼ばれる男たちが集まっていた。
ピリピリと尋常ではない殺気をまき散らす五人を前に、ムスコングは震える。
五人は一人一人が歴戦の暗殺者である。
だが『シルヴェスティー家滅亡の危機でなければ全員を召集できない』などと言われるほどに要求してくる対価が凄まじく高いのだ。
マスタングは、神妙な顔つきで告げた。
「……ウチの倅が、ドーマ一家に手を出しちまった」
「「「「「!?」」」」」
五指の悪鬼たちに動揺が広がる。
マスタングの一言で、彼らはその重大さを理解したのだ。
しかしムスコングだけは話についていけていない。
「お、親父! そのドーマ一家ってのはなんなんだ? 親父が恐れるほどのギャングなのか?」
ムスコングの言葉に、マスタングはため息を吐く。
そして五指の悪鬼たちに向かって謝罪する。
「すまねえ。教育が足りていなかったようだ」
だが、五指の悪鬼の一人『絶望のバルトロー』は首を横に振る。
「お前の息子が知らないのも無理はない。ドーマ一家は裏世界の人間ではないからな」
王宮魔術師の中でも首席として王都で働いていたドーマ。
上司に頭突きをかましたせいで左遷された彼が、左遷先であるローデシナで作り上げた一家の存在は、今や広く知られている。
ドーマは王国最高顧問である枢機卿を倒し、魔物が闊歩する前人未到の大森林さえも攻略してみせたことで『大森林の賢者』と呼ばれるようになった。
それだけではない。
ドーマと同じく左遷された王宮騎士のラウラに、帝国皇女のサーシャ。伝説の存在である白虎のイフに、家精霊のニコラ、キノコの精霊のノコ。そしてエルフの隠れ里出身の魔術師のフローラと、かなりバラエティーに富んだ面子であることも、ドーマ一家の名が広く知れ渡った一因である。
絶望のバルトローの隣に座る『絶叫のソング』も頷く。
「そうだな。ただ、彼の役職を聞けばピンとくるかもしれない。ムスコング、聞いたことがあるか? 『王宮特別魔術騎士団長』という名を」
「な……お、王宮特別魔術騎士団長だと!? あれはおとぎ話の中の存在だろ!?」
ムスコングは驚きのあまり叫んだ。
『絶交のダチ』はフッと笑った。
「そう思うのも無理はない。なんせ奴は精霊を従え、伝説の白虎をペットにし、王都ではかの『無限回廊』を攻略した。今や国王や聖女でさえ彼を恐れ、果てには帝国皇女さえも思いのままに動かせると言われている」
無限回廊は都市伝説として伝わっていた、王都の地下に広がる巨大迷宮のことである。
その実態は建国の英雄であるエリナーゼとエルシャが作った、強大な魔力を宿したダンジョンだった。
ナドア教会を従えている大司教が、王国を牛耳るべくその魔力を利用していたわけだが、ドーマはそれを阻止したのだ。
王宮特別魔術騎士団長という長ったらしい肩書は、国王がその功績を称え、ドーマに贈ったものである。
無限回廊の正体は秘匿され続けているものの、『ドーマが攻略に成功した』というニュースは表の世界・裏の世界の実力者たちの間で話題になっていた。
当然ムスコングは知らなかったわけだが。
『絶縁のボッチ』は震え出す。
「あああ、俺の組織も奴によって潰された。今でも思い出す。あの悪魔の顔を……クヒヒ、顔に付けられた傷が疼くぜ……」
ムスコングは尻もちをつく。
ようやく己が犯した罪の重さに気付いたのだ。
「い、今すぐキノコをリリースしてくる! まだ間に合うだろ!」
ムスコングは一縷の望みに縋るような気持ちでそう叫ぶ。
しかし『絶壁のマナイタ』は目を背けた。
「もう――手遅れだろう。ドーマ一家に手を出した者は、生き残れない」
ムスコングは父親を見る。
マスタングは苦々しい表情で目を瞑った。
「……足掻くしかない。死にたくなければな」
「親父……」
ムスコングは、父親の偉大さを知る。
どれほどの強敵相手でも決して逃げずに立ち向かう父親の偉大さを。
ムスコングは涙し――そして決意した。
なんとしてでも生き残り、ドーマ一家に一矢報いてやると。
「俺はやるぞ――って、え?」
その時、マスタング邸の窓の外が赤く輝いた。
ムスコングは慌てて窓に駆け寄る。
巨大な隕石が空からマスタング邸に向かって降り注いでいる――そんな現実離れした光景を、彼は見た。
「おわっ……た」
そう漏らして、ムスコングは立ち尽くすほかなかった。
逃げ場も勝機も、最初からなかった。
グルーデン全域が、ドーマの魔法の射程範囲なのだから。
その時、ノコが目を覚ました。
次いで、轟音がしてノコは悲鳴を上げる。
「ノ、ノーーーーーーーー!?」
隕石が、雨霰のように降り注ぎ、屋敷は数秒で更地になった。
そこにいるのは、気絶したノコ一人。
精霊はこの程度では死なないのだ。
焼きキノコになったノコはプスプスと香ばしい香りを漂わせながら、ラウラに回収されるのだった。
その事件はシルヴェスティー家を恐れていたグルーデンの住民たちの間にたちまち知れ渡り、王宮魔術騎士団長の名はさらに世に轟くことになる。
ちなみにそんなことを露も知らないドーマは、ラウラに回収されたノコにそのあと、全力で謝ることになるのだが、それはまた別のお話。
☆
ローデシナの朝は早い。
特に夏が終わる『秋月』は気温がちょうどよく、爽快な気分で朝を迎えられるのだ。
俺、ドーマはぱちりと目を覚まして、大きく伸びをする――
「うわああああああ!?」
思わず情けない悲鳴を上げてしまった。
……危ない危ない。
ベッドから落ちそうになってしまった。
その原因は、隣でうつ伏せ状態でスヤスヤと眠るラウラだ。
ほとんどシングルサイズの俺のベッドを八割がた占領するだけでは飽き足らず、図々しくも枕まで奪い取るだなんて……。
だが寝姿はまるで小動物のように愛くるしく、そしてはだけた白い背中は妙に艶がある。
「…………」
俺はそっとラウラに布団をかけ、部屋を出た。
「おはようございますなのです! ご主人様!」
「ああ、おはよう」
ダイニングへ向かうと、ちょうど朝食の準備を終えたニコラが元気な笑顔を向けてきた。
彼女はこの屋敷に元々住んでいた、ボガート。
かつてエリナーゼに仕えていたニコラは、主人を看取ったあと、ずっと一人でここを守り続けていた。だが今は俺を主人と認め、この家の住民たちの世話を甲斐甲斐しく焼いてくれている。
俺は、食卓に着く。
今日の朝食は焼き立てクロワッサンにハムとチーズ、そして搾りたての牛乳。
『こういうので良いんだよ朝食』である。
ちなみにうちでは野菜や家畜を自前で育てており、ハムやチーズも手作りだからめちゃ美味い。
「ふわあ、良い匂いね」
「今日も良い朝じゃのう」
そう言いつつ、帝国皇女のサーシャとエルフのフローラも席に着く。
ここの住民はニコラの朝食の準備の音、あるいはその匂いで起きてくる。
昼過ぎまで爆睡のノコを除いて。
この間、ギャングごとノコを焼いてしまったので、最近はあまり強く注意できなくなってしまっているわけだが……。
「あら、ラウラはお休み? 今日は訓練しないのね」
サーシャがふとそんなことを言う。
普段は庭からブンブンと剣を素振りする音が聞こえるわけだが、今ラウラは俺のベッドにいる。
俺は反射的に答えた。
「ああ、まだベッドで寝てたぞ」
「ふうん。仲がよろしいのね」
テーブルの下でげしげしと蹴られる俺の脚。どうやら俺は学習能力が低いらしい。
王都から帰ってくる時にも似たようなやらかしをしたもんな。
朝食を終え、身支度を整えてから家を出た。
日課の散歩のついでに、冒険者ギルドへ向かう。
すると、勤勉なギルド職員のバストンが朝から冒険者ギルドの清掃に勤しんでいた。
「ふむ、おはようドーマ。また少し痩せたか?」
「鍛えているはずなんですけどね」
朝から暇な俺たちは、それからも雑談という高尚な遊戯を続けた。
少しして、わらわら冒険者たちがやってくる。
「ちーっす! ドーマさん、今日もお疲れ様です!」
若いB級冒険者はそんなふうに元気に挨拶してから、依頼を受注しにいく。
「わ! 本当に大森林の賢者さまがいる……!」
「ね、言ったでしょ? 凄いよねー。ね、あの人ってさ……」
今度は二人組の女子冒険者がこちらの様子を窺いながら、ひそひそしゃべっている。
盗み聞きは好きではないが、内緒話をされるのはそれ以上に嫌いだ。
ここは……ヌンッ!
俺は耳に魔力を込め、聴力を一時的に数倍にまで引き上げる。
「で、どうなの? 憧れのドーマさんに会えて!」
「うーん。思ったより普通かも? あれって本人なんだよね?」
聞くんじゃなかった……。
俺はうなだれつつ、忙しそうなバストンの邪魔をしにいく。
「なんていうか……最近、ローデシナが観光地化してません?」
ここ最近は移住者だけでなく、商人や冒険者、そして観光客も多く訪れるようになってきた。
おかげで寂れていた冒険者ギルドのローデシナ支部は、そこそこ盛況なようだ。
「ふむ。喜ばしいことだ。ドーマは暇そうだな。では今日の依頼は……これだ」
バストンは俺に紙切れを渡してきた。
【どぶさらい】
……え?
「ふむ。流石ドーマ、頼りになる」
「何が?」
バストンは結構、俺を利用してくる。
だがまあ、仕方ない。
他ならぬバストンの頼みだもんな。
俺は仕事へ向かうことにした。
どぶをあらかたさらい切ったところで、午前が終了した。
村中の側溝がピカピカだ。
ふう。こういう仕事こそ大切にしないとな。
サーシャとフローラがやってきた。
辺りには、雨上がりの大地のたくましさを感じさせる、どぶの芳醇な香りが漂っている。
だがサーシャもフローラも、これしきでは怯まない。
「臭いわ」
「う……昼ご飯はここに置いておくから、じゃあの」
二人はそそくさと去っていった。
ポンと俺の肩に誰かの手が置かれる。
振り返ると、満面の笑みで親指を立てるおじさん。
どうやら俺を励ましてくれているようだが……本当に誰なんだ。
仕方がないので一人水浴びをして、昼飯をかき込む。ぐすん。
基本的に午後の時間は自由に過ごしている。
冒険者業に励むこともあれば、魔術の研究に時間を使うこともある。最近は村の子供たちに魔術を教えることも多い。
そのうち『魔術師のお兄さん』として人気者になるだろう。
「あ、魔術師のおじさんだ!」
ほら、早速子供が話しかけてきた。
俺はにっこり笑いながらも、言う。
「こらこら、『お兄さん』と呼びなさい?」
「ママがねー、怪しいおじさんとしゃべっちゃダメだって言ってたよー」
保護者からの評判は、よろしくないらしい。
日が暮れると、村の様子は少し寂しくなる。
王都をはじめとした都市部とは違い、村に外灯などはない。
俺が供給してもよいのだが、村の将来を考えるなら、なんでもかんでも与えればいいってわけでもないしな。
村の発展が待たれる、といった感じだ。
そんなことを考えながらローデシナの中心部から家のあるゴーストヒルまで歩いていると、ラウラが道の真ん中で待っていた。
俺を見つけると笑顔を見せ、ふらりとそばにやってくる。
「おそい。もうごはんの時間」
「ごめんごめん、ずっと待ってたのか?」
ラウラは素直に頷く。
そして俺の手を取ると、家まで歩き出した。
王都でそういう仲になってからこうして僅かな時間、二人で歩くことが日課になっている。
静かな夕方の森の中を歩くだけで、心が癒される。
俺はなんとなく一度手を放し、指を絡める形で手を繋ぎ直した。
ゆっくりとラウラがこちらを見上げる。
相変わらず表情は薄いが、少し楽しそうに見えた。
彼女の優しく、まっすぐな瞳が俺を見つめる。
そしてラウラは目を閉じた。
ほんのり上気した顔に、目が吸い寄せられていく。
ラウラって、意外とまつ毛が長いんだよな――
「あ、甘酸っぱーーーーーーーーーーーーーーーい!!」
突如、そばの木陰から叫び声が聞こえた。
ハッとして見ると、木に半身を隠したサーシャがいた。
その背後には、呆れた表情で主人の痴態を見つめる、彼女の側付きメイドであるナターリャの姿もある。
「な、何してるんだ? まさかずっと見てたんじゃないだろうな」
俺の質問に、サーシャは目を逸らした。
「ぐ、偶然よ! たまたまこの木陰に用があったんだから!」
「ナターリャ、そうなのか?」
「いえ。二時間前から尾行していました」
「ちょっと!?」
淡々と主人を裏切ったナターリャを、サーシャが小突く。
に、二時間前って……。
皇女のくせに暇すぎるぞ。
俺、ラウラ、そしてナターリャの目線に耐えかねたのか、サーシャは誤魔化すように髪をかき上げ、ラウラの横に並んだ。
そして俺とラウラを交互に見てニヤリと笑う。
「ふふふ、今日は二人の話をたんまり聞かせてもらうわよ?」
「え……」
「だって私もラウラでキュンキュンしたいもの!」
こいつ……ダメだ。
2
「きゅ、急に寒いな……」
俺は思わずそう呟く。
夏が終わり、秋が通り過ぎ、いよいよ冬の気配がし始めた。
窓を全開にして気持ちよく寝る日々は終わり、換気の度に死を覚悟する季節が始まるのだ。
もぞもぞと布団を脱出しようとすると、手首を掴まれる。
「うわあ、手首が折れる!」
ラウラである。
非常にデジャブだ。
そしてパワーの加減ができない寝起きのラウラは、死神みたいなもの。
結局俺の手首の骨は粉々になった。
だがそんなラウラは俺が粉砕骨折したことなど気にもせず、瞼をゆっくり開ける。
そして布団の中に潜ったかと思えば――
「もうすこし……いっしょにあったまろ?」
重たい布団を上に押し上げ、ラウラはそんな甘言を囁く。
薄く汗ばんだ彼女の柔らかそうな素肌が、俺を誘う。
「…………」
俺はどうにか理性を働かせ、ラウラから視線を逸らした。
そ、それにしてもだ!
この子、最近毎晩俺の部屋に来ていないか?
なんて現実逃避気味に考えていると、突如としてズバーンと部屋の扉が開いた。
「いつまで寝ておるのじゃ! 今日は祭りじゃ……ぞ……」
意気揚々と入ってきたフローラの言葉尻が、徐々に萎んでいく。
次いで、耳が赤く染まっていった。
「も、もう祭りに励んでおったとは……」
「やかましいわ!」
そうだ、今日は祭りの日だ。
祭りといってもローデシナの祭りではない。
俺らが参加するのは、エルフの里――通称エルリンクで三年に一度行われるという『大祭』である。
秋の終わり、冬の始まりはローデシナでは『宴の月』と言う。
そしてそれは、エルフにとっても同じことのようだ。
俺とラウラは身支度をしてから、外に出る。
本来大祭はエルフしか参加できないらしいが、今回に限り、何故か俺とラウラの参加が認められたって話だったからな。
「わふっ」
「おおっ、イフもすっかり冬仕様だな」
もこもこになった愛犬(愛虎だが)のイフの背中に、ラウラとともに跨った。
イフはローデシナからエルリンクまで駆けていく。
ちなみにフローラは、魔術で空を飛んで移動している。
イフの肉球が落ち葉を砕く、しゃりしゃりとした音が耳を心地よく刺激する。
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