時の番人〜現実と虚界を守りし者〜

胡蝶あやめ

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 教室の中で誰とも話さないで自分の席から窓の外を見ていたの。
 今、教室内では差出人不明のメールで話題が持ちきりだったの。それは誰もが持っている携帯電話に差出人不明のメールが飛び回っていた。そのメールは子供だけらしい。大人には何一つ届いてないみたいだ。子供だけの秘密のメールらしい。

 肝心のメールの内容は【今、叶えたい願いはありますか?】というメール。
 興味半分などで進んでいった人の話だとその後に『はい』か『いいえ』と進んでいくみたい。そして最後までいくと『このメールの差出人を探して下さい』という文で終わるみたい。

 私は興味がある訳でもないし、文章的に怪しいと思うから無視していたけど、クラスの男子はすぐに辞めたらしいけど、女子の何人かは差出人を探してみたい。

 「奈央」

 「か、甘奈さん。な……何か?」

 「……奈央は突然のメールに興味はあるの?」

 「いいえ……。か、甘奈……さんは?」

 「うちは最後まで進んでみたけど、別にって感じかな……」

 「そ……そうですか……」

 (甘奈は最後まで進んでみたんだ……)

 「はーい、おはよう! 授業をやるよーー」

 先生が来たので授業が始まる。甘奈とあんまり話しなかったけど、どこか不安を感じたの。それが何に対してなのか分からないけど。
 今は授業に集中しないと。










 
 
 放課後。私は甘奈さんと一緒に図書室にいたの。今日出された課題を一緒にやらないかと甘奈さんに誘われ、図書室でやる事を決めて、今ここにいる。

 「奈央、終わった?」

 「あと……もう……少し……」

 「早いわぁ~」

 「そ……そんな事……ないよ」

 私は本気俯うつむいて喋っていたの。甘奈さんはしばらく私のことを見て、周りに誰もいない事を確認してから『奈央、こっち向いてやぁ』と言われて、甘奈さんのことを見たら急に両肩を掴んだの。
 何事と思ったわ。思わず、ビクッとした。

 「奈央。うちと2人の時は敬語ではなさんといて。うちら友達やろう」

 「う、うん……」

 「だったら普通に話して。うちは、あの時の事は・・・・・・はもう忘れたんや。だから奈央もあの時の事は、忘れてや」

 「そんな……事、出来ないよ」

 「奈央?」

 甘奈の言葉に思わず、ボソッと私は呟いた。

 「……ご、ごめんなさい!」

 「奈央!」

 私は課題を持って図書室から出たいった。
 図書室からもう一度、私を呼ぶ声が廊下まで聞こえた。



 ***

 本当は奈央のことを今すぐに追いかけたかった。でも、それが今のうちに出来なかった。何でかは、分からない。
 早く追い掛けた方がいいのは分かっておるのに足が一歩も動かなかった。
 うちはただ、急に飛び出していってしまった奈央のこと……。

 「奈央……」

 「どうしたの、坂村さん?」

 うちは突然後ろから声を掛けられた。誰もいないと思っていた図書室に居たのは……。
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