時の番人〜現実と虚界を守りし者〜

胡蝶あやめ

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5ー①

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 「始めるか、フィナ」

 「そうね」

 私とラインは女の子の前後に移動し、意識を集中する。そして

 「「時の鍵よ。我の前に真の姿を表せ!」」

 私とラインの2つの腕輪が強い輝きを放って腕輪から鍵へと変換していく。
 私のは三日月の形をした鍵でラインのは、太陽の形をしたもの。

 「時の本よ。フィナ・クーラーの名のもとここに!」

 私の呪文で左腕輪は光、一冊の本が現れた。

 「時の本よ。我の問の答えよ。この者の名を」

 本がパラバラとめくっていく。そしてピタッとめくられていくページが止まった。止まったページを読んでいく。

 「えーと、虚界の名はカーレス・アイ。そして現実の名は桜木鈴花」

 「げぇ、桜木かぁ~。別にそのままでいいんじゃあねぇ~」

 「ちょ、ちょっとライン!」
 
 ラインの一言に私は思わず慌てたの。確かに時間が来たら元に戻るけど……。

 「だってこいつ、フィナの事……いつもいじめているし……」

 「ライン。なにか言った?」

 「別に」

 ラインが何か呟いたみたいだけど、私には何を呟いたのか聞こえなかったの。
 ラインの顔を見ると少し赤いぐらい。

 「さて……助けに入りますか」

 「俺個人としては助けなくってもいいかな~」

 「ライン……けど……」

 「分かってる。桜木を助けてやるのが俺達の使命だしな」

 「うん、助けてあげないとね……」

 「仕方がないかぁ~」

 ラインの考えが少し、私には分かってしまったの。現実では私はよく、桜木さん達にいじめられている。そのことをクラスの男子はよく知っている。逆に女子は見て知らんぷりか、一緒に行動するかのどちらか。何人かは気にかけてくれる子もいるけど。
 その事を知っているラインは複雑な気持ちだったのかも知れないと私は思った。

 「始めましょう」

 「分かった」

 「「時の欠片よ。我ら時の番人の前に表れよ」」

 二人同時で呪文を唱えたの。
 呪文を唱え終わると鈴花の座っている場所から強い光が表れた。光の大きさは大人が2、3人ぐらい入れる大きさ。そう、鈴花のところに表れたのは魔法陣。魔法陣が表れると光が収まった。

 魔法陣が表れると鈴花は自然と瞳を閉じてしまい、私とラインが持っている鍵を鈴花の頭の上で一度、ガチャと音を鳴らすと魔法陣が再び光、それを確認した私とラインは、交差されていた鍵をとく。
そうすると鈴花から2つの小さいかけらが現れた。

 欠片の形は小さいたまで赤と青色のものだ。私とラインは桜木さんから2つの欠片が現れたのを確認した。
 確認後にまた二人で鍵をお互いにガチンと音を鳴らした後に私は祈るような声で呪文を唱えた。

 「現実と虚界の2つの記憶を持つ時の欠片よ。今、ここは虚界。現実の欠片よ、今は主のもとに静かにお休みを……」

 呪文で青色の欠片は桜木さんの身体の中に消えていき、残った赤い欠片は一度、強く輝くと桜木さんを包み込んで桜木さんを虚界での住人の姿へと変えていった。服装、髪の色など全てを。
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