時の番人〜現実と虚界を守りし者〜

胡蝶あやめ

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 私は、朝早きら学校の図書室にいたの。
 今、図書室にある一番奥の本棚のところにいる。ここの図書室はとても広く奥にある本棚には、本がほとんど、いや、全くと行ってもいいほど本がないの。
 広い、図書室に沢山の本があるかと思いえば、まだ、空白の本棚が多い。これから沢山の本が入る予定らしい。
 そんな何もない本棚だけの場所に私がいるかというと、時の番人としてのお仕事、いわば義務がある。

 沢山ある本棚の中には時の番人しか見えない本棚がある。それは他人から見てもただの何もない、ただの空間と言えるの。
 そこには、時の番人用の本棚があり、そこで虚界で起こった事を本にまとめているの。私の他にもいる番人を始め、歴代の番人だった人の記録もちゃんと本棚に保管してあるの。もちろん、普通のは人には見えない特別な場所と言ってもいいくらい。

 『奈央ーーーっ、そこにおるぅーーー?』

 「 ! 」

 急いで声がした方に。一番奥の本棚に居ることは、一応私的に気にして時の番人以外の人には来てほしくないし、ここに自分がいたなんて見られたくないと思っているの。
 だから奥の本棚から出て図書室のドアのところに移動するといつもより、早く学校に来ていた甘奈さんがいたの。

 「お、おはよう甘奈さん」

 「おはよう奈央。ここにおって良かったわ~」

 「どうしたんです……いつもより……早いですよね?」

 「うちら2人の時は普通に話してほしい、奈央」

 「う、うん」

 私の返事を見て甘奈さんが私を探していた理由を話し始めたの。

 「実はうち宿題を学校に忘れて昨日やっていなくって、さっきノートをみたら問題が中途半端。だから奈央に問題を見せて貰おうと思って奈央の家に行ったらいなくって、教室に行ってもおらんし、もしかしてこっちにおるかな~と思って来たんだけど、正解だったみたいでほっとしたわ」

 「ご、ごめんなさい!」

 「ち、違う! うちは奈央を責めておるんじゃあない!」

 「ち、違うの。実は……私もまだ、やっていなくって……」

 「じゃあ一緒にやりましょうや、奈央」

 「う、うん」

 「ほなぁ、教室に向かうで~」

 「う…うん。でも…誰かいたら……」

 「大丈夫。誰もおらんかったし。行くで~」

 「うん」

 甘奈さんは私の右手を掴むと教室へ連れて行く。時間がまだ早いせいか教室には誰もいなかった。

 「まだ、誰もおらん。早くやってしまうで奈央」

 「う……うん」

 私と甘奈さんで一緒に宿題をやり始めた。お互いに真剣にやっている。

 うちはやり始めてふっと奈央の事を見た。うちはしばらく奈央の事を見ているが奈央は全く気付いていない。

 ずっと見られている感じがしてチラリと私は甘奈さんを見たの。甘奈さんの表情がどこか悲しそうに見えたの。だけど、私は何ま言わないでそのまま過ごした。





 5時間目。私のクラスで抜き打ちテストがあったの。科目は国語で漢字テスト。問題数は少なくって黒板に今、先生が答えを書いている。それを見ながら答え合わせをしていく。
 
 自分で黒板を見ながら答え合わせをして採点をしていく。採点が終わると後ろの席の子が解答用紙を集めていく。
 先生が一人ずつチェックしては、何かメモを取っている。
 漢字は得意だから不安はないけど……。

 「それではテストを返していく。名前を呼ばれたら取りに来るように」

 先生が先程のテストを返していく。クラス全員のを返し終わると先程の取っていたメモを見ていた。

 「今から名前を呼ぶものは再テストはなしと課題をやらなくっていい」

 「先生、課題ってなんですか?」

 「漢字練習。今回の抜き打ちテストと言ってもかなり点数が酷い。そのため、もう一回、テストを明後日の放課後にやる。そのための漢字練習が課題だ」

 「「「えーーーーっ」」」

 「えーーじゃあない!」

 教室がざわめく。「静かにしろ」と先生が注意し、静かになっていく。そしてもう一度、メモを見る。

 「えーと、倉沢、高野、桐原の3名は課題なしだ。あとは、課題ありだ、いいなー」

 「「「「「「 はーい 」」」」」」

 「あと残り時間は授業をやるぞ。教科書、開け」

 テストが終わり、残り時間は授業となった。
 私はふっと外を見たの。いつの間にか外では雨が降っていたの。室内では、先生の声と外で激しく降る雨の音しか聞こえなかった。
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