時の番人〜現実と虚界を守りし者〜

胡蝶あやめ

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 奈央のクラスは今日、調理実習だった。3、4時間目にやるので作り終わった頃はちょうどお昼時間となる。

 今日の調理実習はカレーライスと生野菜サラダとなっていて四人グループで作るみないだ。

 「ねぇ~誰ですの。勝手にじゃがいもを切った人は? 小さすぎませんこと?」
 
 「俺じゃあ~ないけど」

 「僕も」

 「……ご……ごめんなさい。わ、私です」

 ないしん震えながら、そしてビックとしながら答えたの。そしたら鈴花すずかさんが私に近づいてくる。正直、怖い。

 「そうなの。いつの間に切ったのか分かりませんでしたわ。私がこのグループのリーダーですの。勝手にやらないで下さる」

 「ご、ごめんなさい」

 「あのさぁ~別に倉沢さんが謝る必要なくない?」

 「どういう事ですか?」

 「だってさぁ~。桜木自身が倉沢さんにじゃがいもの下処理をお願いついでに切って欲しいって頼んでいたはずだけど、なぁ、照斗あきと!」

 「うん。確かにそうだね。僕と勇輝ゆうきで玉ねぎ。桜木さんは人参とお肉をやるって宣言していたよ」

 「!」

 「そ、そうでしたわね。もう少し大きく切っても良かったと思っただけですわ」

 「聞けば良かった……で、ですね。す、すみま……せん」

 「……本屋ちゃんは洗い物をやってくださる? あとは私が見ます」

 「う……うん」

 私に話しかけてきたのは、同じグループの桜木鈴花すずかさん。桜木さんは腰まである長い髪が特徴でお嬢様ぽく見える。それと同時に話し方も特徴なの。性格が自分の事を自慢気に話すくせがあるし、私だけかも知れないけど態度、言葉遣いが酷いの。

 だからわたし、桜木さんのことは苦手なの。
 一応グループのリーダーだから言われた通りに洗い物でもやろう。
 やらないと何言われるか分からないし。

 
 「俺達も手伝うよ、倉沢さん」

 水道で洗い物をやっていたら隣から声をかけられた。

 「俺達も洗い物やるよ」

 「えっ……でも……」

 「僕達も同じグループなんだし、やることはみんな一緒だよ」

 「そうそう。調理実習はみんなでやるもんだし、なぁ~照斗」

 「そうだね」

 「俺がこれから使う皿とか洗うから。照斗と倉沢さんは使ったものを洗ってよ」

 「うん、分かった」

 「あ、ありがとう……照斗君。勇輝君」

 私に声をかけたのは、同じグループの高野照斗かたのあきと桐原勇輝きりはらゆうきの男子生徒。

 クラスの女子のほとんどは私の事をからかったり、最悪イジメたりするが、その反対、男子の行動は優しい。
 もし仮に男子からもイジメを受けていたら私……学校には来ていなかったと思う。

 「桜木さんが言ったこと気にしない方がいいよ」

 「そうそう」

 「……うん。ありがとう……照斗君、勇輝君」

 私は素直にお礼を言ったの。
 照斗君と勇輝君の二人は親友同士みたいで、照斗君は右側に少しハネた癖っ毛があって少し幼く見えるかな。あまり物事をハッキリ言わないタイプらしい。そこは私と同じだと思った。

 そして勇輝君は、照斗君よりも少し背が高くサッカーをやっている。髪を短めにカット、そして右の方の少し下に絆創膏が貼ってある。友達も多く、友情を大切にする生格みたい。

 二人に手伝ってもらいながら片付けやこれから使っ食器とかの準備後他の班より早く終わった。
 片付けが終わり、いよいよ試食になった。

 元々食べるのが遅い私は、ゆっくりと味わって食べていたの。カレーライスの味はあまりから過ぎなくって良かったと思っていたの。辛いのが苦手な私にとっては、ちょっとピリ辛だったらセーフなところ。生野菜サラダは別に問題なし。

 「奈央。どう、うまく作れた?」

 「あ……うん。美味しくでき「委員長~私達の班、あまり美味しく出来ませんでしたわ」

 「そうなの?」

 「えぇ。誰かさんのせいで私のイメージいていたのとは違いましたわ」

 桜木さんがギロッと私を睨んできた。まるで蛇に睨まれた蛙みたいに私はビックと震えた。

 「そうかなぁ~。美味しくできたと思うけど……なぁ、照斗?」

 「うん。普通に美味しいけど?」

 「だよね。奈央は料理が得意さかいに昔はよく、うちにお菓子を作ってくれたもんや、ねぇ、奈央」

 「あっ、う……うん」

 「わ、私だって『はいはい、そこのグループ。仲良く食べましょうね』

 「「はーい」」

 先生に注意され、私は何気なにげにチラッと桜木さんの方を見たの。桜木さんは不愉快そうな顔をしていた。もし、目でもあったら後で何を言われるか分からないからだ。
 
 先生に注意された事が相当嫌だったのか今日一日、学校に居るときの桜木さんは3、4時間目でやった調理実習のことが忘れず、ずっと不機嫌でいた。
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