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朝の光が眩しく、キラキラと輝いていた。
小鳥達が大空へと鳴きながら飛んでいく光景が見える中、道端を本を読みながら歩いている人がいる。それは私だ。非常に危ない、危険と言ってもいい行為だと分かっている。
私の周りには、私と同じ制服を着た学生がいる。周りは、同じ学生同士、楽しく会話をしながら登校しているけど、私は違う。私だけ本を読み続け会話にも参加しない。いや、参加したくない。
危ない行為だとしても誰も注意しない。
それもそうだ。始めから私という人物が存在しない、そして本を読んでいる私と目線を合わせない。私自身、一人でいたいという気持ちがわかるように振る舞っている光景だから。
「本を読みながら歩いておると転ぶで~」
「! ……あっ、甘奈さん。おはようございます」
「おはよう。また、読みながら歩いておるぅ~。だから『本屋ちゃん』って呼ばれてしまうで~」
「べ……別に気にしていないし、目立つの嫌いだから……いいの」
「……奈央。奈央はもっと気をしっかりもたんと!」
「甘奈さん、みたいに?」
「そう、うちみたいに!」
「が、頑張ってみるよ……」
同じクラスメイトに挨拶をして私が先に校門に向かって歩き出した。歩き出した私を甘奈さんが寂しそうに私の背中を見ているのは何となく分かっているけど……私はあえて立ち止まらずに歩いている。
「昔は、明るかったのに……。まだ、昔の事……気にしておるの奈央?うちは……もう……」
「……甘奈さん。遅れちゃうよ?」
「あっ……今、行く」
私は立ち止まって甘奈さんを呼んだ。わざとらしいと思った。普通に呼べばいいのにと思っている私がいる。
けど、それを素直に出来ないのも私自身だ。
きっと甘奈さんは私の姿を見て独り言を言っているかもしれない。何でも口に出してしまう甘奈さんだから。
それでも、私はあえて聞こえていないふりをしている。例え、独り言が聞こえていても。
もうすぐ学校だ。門を通って校舎の中に入ってしまえば、後戻りは出来ない。
私が通っている星蘭学園は私立校で、歴史が古い学園として有名な所。何でも初めて男女共学校を作り上げた学園という場所らしい。
星蘭学園以外にも学校はあるけど、共学は星蘭学園しかないという。時代が流れても。そのせいかは知らないけど、毎年星蘭学園を受験する人は多いとか。他にも色々、理由があるみたいだけど……。
あぁ、教室に着いてしまった。これでもう逃げられない。嫌な、一日が始まってしまう。
教室に入る前に深呼吸してから中にはいる。
「おはようーーー!」
「……おはようございます……」
『おはよう、甘奈』『おはよう委員長!』
女子数名が甘奈さんに挨拶をしては、甘奈さんのところに集まる。いつもの光景。
目立つのが嫌な私はそれを交わして自分の席にさっさと移動しては椅子に座る。
「あっ、おはよう本屋ちゃん」
「……おはよう……」
「いつの間に来たの。全然、気付かなかったよ」
「本当だよ。全然、委員長に比べたら目立だないし、影薄いし」
「……」
さっきから本屋ちゃんと呼ばれているのは、倉沢奈央。私のことだ。高校一年で目が悪いわけではないけど、目立つのが嫌だから伊達メガネをかけては髪をポニーテイルにしているの。長さは方より少ししたかな。
自分の性格も暗いし、目立つのが嫌な私は普通に明るい格好をしていればまるで別人みたいだけど今はこのカッコでいい……。嫌な事を思い出したくないから。
私が伊達メガネをかけるまでに何があったかというと『いじめ』だ。自分から悪い事はやったことさえない。ただ、人と話すのが苦手だからつい、大人しく過ごしている。だから高校生になってもそれは変わらず、人の輪に入りこむことが出来ない私は、自分の机で本を読んでいるばかり。
普通にしていれば、大丈夫なんて思っていた私の考えは甘かった。どこにでもいると思っていた人を小ばかにする人。運悪く、私はターゲットにされた。話し掛けてもあまり会話が続かない、本ばかりを読んでいる私はいいカモみたい。
酷いいじめまでは行かないがはっきり言ってシンドイ。本ばかりを読んでいる私にいつの間にか『本屋ちゃん』と変なニックネームをつけられる。
そんなニックネームなんて嫌だとはっきり言えたらいいのに、今でも言えない始末。
そのうち、あきれることを信じて我慢するしかなかった。
「そこのお二人さん。あんまり奈央の事、イジメんといて~」
「いじめてはいませんよ、委員長」
「ホンマに~?」
委員長と呼ばれているのが坂村甘奈。髪をショートカットで性格は真面目で気が強く、友達思い。クラスの中でまとめ買いがあるところをクラス全員より、クラス委員長に選ばれた人。
しかも、私と甘奈は割と家が近いご近所さん。この事はクラスの女子は知らない。もちろん、男子も知らないけどクラスの中には本人の許可もなくファンクラブなんてものが密かにかるらしく、自分と甘奈の関係を知られたらあとが怖い。
甘奈さんが小学……3年生の時かな、ここ、明け星市に引っ越ししてきたの。当日、私は引っ越ししてきた甘奈さんの家の近くで遊んでいたの。その時に甘奈さんと知り合ったの。
話し方が私と違うけど不思議と甘奈さんとはすぐに仲良くなれたの。
まぁ、当時の私も今みたく暗くはなかったし、普通に笑顔があふれるどこでもいる子供だったわ。
話がそれだけど、中が良くなってから高校生までずっと一緒だったの。
だから本当は、友達以上の親友関係なの。
「いいよ、ありがとう……甘奈さん」
「奈央……」
「あっ、先生が来ますよ、委員長さん。席に座りましょう」
「あっ、うん」
甘奈達がそれぞれ自分の席につくのを見てふぅ~と小さいため息をした。いや、自然とため息が出ていた。
小鳥達が大空へと鳴きながら飛んでいく光景が見える中、道端を本を読みながら歩いている人がいる。それは私だ。非常に危ない、危険と言ってもいい行為だと分かっている。
私の周りには、私と同じ制服を着た学生がいる。周りは、同じ学生同士、楽しく会話をしながら登校しているけど、私は違う。私だけ本を読み続け会話にも参加しない。いや、参加したくない。
危ない行為だとしても誰も注意しない。
それもそうだ。始めから私という人物が存在しない、そして本を読んでいる私と目線を合わせない。私自身、一人でいたいという気持ちがわかるように振る舞っている光景だから。
「本を読みながら歩いておると転ぶで~」
「! ……あっ、甘奈さん。おはようございます」
「おはよう。また、読みながら歩いておるぅ~。だから『本屋ちゃん』って呼ばれてしまうで~」
「べ……別に気にしていないし、目立つの嫌いだから……いいの」
「……奈央。奈央はもっと気をしっかりもたんと!」
「甘奈さん、みたいに?」
「そう、うちみたいに!」
「が、頑張ってみるよ……」
同じクラスメイトに挨拶をして私が先に校門に向かって歩き出した。歩き出した私を甘奈さんが寂しそうに私の背中を見ているのは何となく分かっているけど……私はあえて立ち止まらずに歩いている。
「昔は、明るかったのに……。まだ、昔の事……気にしておるの奈央?うちは……もう……」
「……甘奈さん。遅れちゃうよ?」
「あっ……今、行く」
私は立ち止まって甘奈さんを呼んだ。わざとらしいと思った。普通に呼べばいいのにと思っている私がいる。
けど、それを素直に出来ないのも私自身だ。
きっと甘奈さんは私の姿を見て独り言を言っているかもしれない。何でも口に出してしまう甘奈さんだから。
それでも、私はあえて聞こえていないふりをしている。例え、独り言が聞こえていても。
もうすぐ学校だ。門を通って校舎の中に入ってしまえば、後戻りは出来ない。
私が通っている星蘭学園は私立校で、歴史が古い学園として有名な所。何でも初めて男女共学校を作り上げた学園という場所らしい。
星蘭学園以外にも学校はあるけど、共学は星蘭学園しかないという。時代が流れても。そのせいかは知らないけど、毎年星蘭学園を受験する人は多いとか。他にも色々、理由があるみたいだけど……。
あぁ、教室に着いてしまった。これでもう逃げられない。嫌な、一日が始まってしまう。
教室に入る前に深呼吸してから中にはいる。
「おはようーーー!」
「……おはようございます……」
『おはよう、甘奈』『おはよう委員長!』
女子数名が甘奈さんに挨拶をしては、甘奈さんのところに集まる。いつもの光景。
目立つのが嫌な私はそれを交わして自分の席にさっさと移動しては椅子に座る。
「あっ、おはよう本屋ちゃん」
「……おはよう……」
「いつの間に来たの。全然、気付かなかったよ」
「本当だよ。全然、委員長に比べたら目立だないし、影薄いし」
「……」
さっきから本屋ちゃんと呼ばれているのは、倉沢奈央。私のことだ。高校一年で目が悪いわけではないけど、目立つのが嫌だから伊達メガネをかけては髪をポニーテイルにしているの。長さは方より少ししたかな。
自分の性格も暗いし、目立つのが嫌な私は普通に明るい格好をしていればまるで別人みたいだけど今はこのカッコでいい……。嫌な事を思い出したくないから。
私が伊達メガネをかけるまでに何があったかというと『いじめ』だ。自分から悪い事はやったことさえない。ただ、人と話すのが苦手だからつい、大人しく過ごしている。だから高校生になってもそれは変わらず、人の輪に入りこむことが出来ない私は、自分の机で本を読んでいるばかり。
普通にしていれば、大丈夫なんて思っていた私の考えは甘かった。どこにでもいると思っていた人を小ばかにする人。運悪く、私はターゲットにされた。話し掛けてもあまり会話が続かない、本ばかりを読んでいる私はいいカモみたい。
酷いいじめまでは行かないがはっきり言ってシンドイ。本ばかりを読んでいる私にいつの間にか『本屋ちゃん』と変なニックネームをつけられる。
そんなニックネームなんて嫌だとはっきり言えたらいいのに、今でも言えない始末。
そのうち、あきれることを信じて我慢するしかなかった。
「そこのお二人さん。あんまり奈央の事、イジメんといて~」
「いじめてはいませんよ、委員長」
「ホンマに~?」
委員長と呼ばれているのが坂村甘奈。髪をショートカットで性格は真面目で気が強く、友達思い。クラスの中でまとめ買いがあるところをクラス全員より、クラス委員長に選ばれた人。
しかも、私と甘奈は割と家が近いご近所さん。この事はクラスの女子は知らない。もちろん、男子も知らないけどクラスの中には本人の許可もなくファンクラブなんてものが密かにかるらしく、自分と甘奈の関係を知られたらあとが怖い。
甘奈さんが小学……3年生の時かな、ここ、明け星市に引っ越ししてきたの。当日、私は引っ越ししてきた甘奈さんの家の近くで遊んでいたの。その時に甘奈さんと知り合ったの。
話し方が私と違うけど不思議と甘奈さんとはすぐに仲良くなれたの。
まぁ、当時の私も今みたく暗くはなかったし、普通に笑顔があふれるどこでもいる子供だったわ。
話がそれだけど、中が良くなってから高校生までずっと一緒だったの。
だから本当は、友達以上の親友関係なの。
「いいよ、ありがとう……甘奈さん」
「奈央……」
「あっ、先生が来ますよ、委員長さん。席に座りましょう」
「あっ、うん」
甘奈達がそれぞれ自分の席につくのを見てふぅ~と小さいため息をした。いや、自然とため息が出ていた。
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