日曜と水曜

あさかわゆめ

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定休日の関係

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ケンタは揚げ春巻を一つ俺のチキンライスの皿に乗せてから、いただきます、と汁なし麺に頭を下げた。
「え、くれるんだ」
「おお」
生返事で、丼の中身を混ぜる作業に入っている。俺は空腹で、チキンライスはもう半分以上なくなっていた。
「鶏肉、小さいのしかないけど、味見してみる?」
「ここよく来るから、俺はいいよ」
「ごめん、今日お昼食べられなくて腹減っててさあ」
ケンタは箸で麺を高く持ち上げては戻し、熱心にかき回しながら、俺をちらっと見た。
「仕事、忙しいんだ」
「たまたま打ち合わせと来客が重なって。ケンタさんは、どういう仕事なの?」
「まあ、接客業かな」
揚げ春巻を口に放り込んで、染み出す油を味わいながら、接客業について少し考える。ケンタはやっと食べ始めて、俺の視線に気づくと目元に笑いを浮かべた。
「揚げ春巻、素晴らしいっしょ」
「揚げ春巻、美味い」
彼が聞いてこないので、俺も仕事や住んでいる場所は質問しないようにしていた。しばらく黙って食べていた彼が箸を置き、水を飲んで、
「俺、店長やってる」
と言ったのは意外だった。
「へええ、店長さんなんだ。お店やってるんだ」
「そういうこと。水曜日が定休日」
「なるほどね」
「キヨは、土日休みだよなあ」
「そ、俺は会社員。基本は週末休み」
キョウと呼ぶのが、キヨに聞こえた。
「水曜日が休みって、不動産屋さんとか」
へーえ、と彼は愉快そうに声をあげた。
「鋭いじゃん」
「当たった?」
「どうかな」
ケンタも、俺の出方を見てあえて聞かないだけかもしれないという気がした。
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