彼氏に片想い。

麗央

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いつわりのはじまり。

#2 A君その1。

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人生初、マッチングアプリをインストールした。
女性がマッチしやすいというのは本当で、インストールした数分後にはもう100人近くからいいねが来ていた。

ああやっぱり遊び目的の人が多いんだなあ、と男性のプロフィールを見て思う。
「暇な人ー?」「遊べる人募集中」「恋愛求めてません」などなど。
もちろん中には「彼女欲しいです」とか書いている人もいた。
個人差があって見ていると面白い。自分の知らない世界だった。

しかし、しおんがアプリを始めたのは彼氏が欲しかったからだ。恋愛経験がないに等しいしおんにとって、やりもくはまだ敵だった。
「彼氏が欲しくて登録しました。やりもくはお断りです」
そんな当たり障りのないようなことをプロフィールに書いた。

数週間後、しおんはアプリで出会った何人かの男性とご飯に行った。最初は待ち合わせることすら緊張していたが徐々に慣れていった。もともと人と話すのが好きで、初対面の人ともすぐに仲良くなれる方だ。そんな中で、「この人いいかも」と思える人がいた。それがA君だ。

A君は同じ大学の先輩だった。
背はそこまで高くなかったけれどイケメンだった。そして細くてスタイルが良かった。

今になってA君のどこに惹かれたのかと聞かれると、きちんと答えられる自信がない。当時のわたしが好きだったKPOPアイドルにルックスが似ていたからだろうか。
こんなこと言いたくはないけれど、特別性格に惹かれたわけではないのは確かだ。

付き合ったのは出会ってから2回目のデート後だった。早すぎる気もしたけれど、デートは楽しかったし、リードしてくれるA君がかっこよく見えたから、この人にしようって。

でも、「好き…!」っていう胸が締め付けられるような感覚をA君に抱いたことはなかった。

今思い返すと、ただ「彼氏がいる」というステータスが欲しかっただけなのかもしれない。

とにかく、世のカップルがするようなことを経験してみたかった。優しくて彼女を大事にしてくれる人なら誰でもよかったのかもしれない。それがたまたまA君だっただけで。


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