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第七章 盛夏の逃げ水
第百四十八話 盛夏の逃げ水(13)
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エリッツがあれこれと思い悩んでいるさなか、ふと気づくとテントの外が騒がしくなっていた。大勢の人が近づいてくるような気配である。
「帰ってきたな」
ライラが腰を浮かす。
どうやらライラの所属する組織の仲間たちがどこかから戻って来たようだ。エリッツは考えごとを中断してテントの入口に目を向けた。
「隊長、戻りました」
テントの入口から顔を見せたのは若い黒髪の男性だ。きれいな発音のレジス語である。アルヴィンにライラはラインデルの出身ではないかとほのめかされてから、人の話し方が気になりはじめてしまった。
「あれ? その方々は……?」
男性は戸惑ったようにエリッツとアルヴィンを交互に見る。
「ほら、邪魔だ。早く入れ」
後ろから他の人たちに押されて男性はたたらを踏みながら、テントに入る。どうやらこのテントは応接兼リビングのような場所らしい。みんな入口の敷物の前にきちんと履物を脱いでにぎやかな声をあげながら入って来た。男性も女性もいる。そして武装している。各々がエリッツたちをもの珍しそうに見てからライラに問いかけるような視線を向けた。アルヴィンもエリッツも場所を詰めるために座ったまま後ろに下がる。
「レジスからの客人だ」
全員が思い思いの場所に腰をおろすと、ライラはさっそくエリッツたちを紹介してくれた。その声には少し得意げな色が混じっている。入って来た人々は互いに顔を見合わせながら、ざわめきだした。
「隊長、なぜレジス人がここに? レジスは国境での人の出入りを禁止していませんでしたか?」
聞き流していたが、まさか隊長ということはライラがここの集団の一番偉い人だったりするのだろうか。
「あのマグニ村のとろくさい商人から買ったんだよ。すごいだろ。――で、こいつら人を探しに来たらしい。あんたたち、最近レジスから来たロイの人間を知らないか?」
また全員がそれぞれ話をしはじめてテントいっぱいに人の声が満ちる。アルヴィンとエリッツを買ったという話題で騒ぐ者、最近見かけたロイらしき人のことを話題に出す者、例の商人の話で盛り上がる者ともう手に負えないほどの騒ぎだ。ライラをちらりと盗み見るがどうやらこれはいつものことらしく別段気にしている様子もない。
「レジスからは人も来ないからロイが来たなんて話は知らないな」
「いや、何か、ロイっぽいのがいるってマグニ村で言ってたヤツがいたが」
「それ、あいつだろ。あの芋商人。ほら、この人らを売ったっていう」
「いや、もうちょっと前の話だってば」
「あいつら黒ければ全員ロイだと思ってるからあてにならねぇよ」
「この間、逃げ出したヤツ、あれはロイじゃなかったか?」
「いつの話してんだよ。それ、最近じゃないだろ」
「ザイーグの町で見かける連中がそうじゃないの?」
「あれはルラク人だ。言葉が全然通じねえし、変な葉っぱ吸ってやがる。またすぐにどっか行くぜ」
エリッツは目が回りそうになりながら、飛び交う会話を追いかけていた。そもそも国が乱れてからはレジスから人が来ること自体が少ないということはわかった。
子供たちと同じようにこの人々も出身地は様々であるようだ。髪の色も目の色も皮膚の色も、言葉のイントネーションも微妙に違う。
「総長なら知ってるんじゃないか。あの人は正真正銘のロイだろう」
新しい人物が会話に登場した。「総長」といえば隊長よりも上っぽい。しかしロイに正真正銘もあるのだろうか。会話の感じからライラたちはもっと大きな組織の中にある隊のメンバーであるらしい。軍でいうところの小隊か中隊くらいの感覚だろうか。
「そうだな。近々あっちに合流するつもりだったし、あんたたちも情報が欲しければついて来なよ。総長のところには情報もたくさん集まる。何かしら手がかりくらいはあるんじゃないか。当然、道中は武装してもらうからな」
ライラが有無を言わさぬ口調でエリッツたちに言い放つ。
「こうなったら仕方ないよね」
ずっと黙って様子を見ていたアルヴィンは軽くため息をついた。
確かに仕方がない。エリッツはこの異国で他に情報を得るすべが思いつかないのだから。総長なる人物がロイだというのも正直興味深い。
その一方で心配事もある。道中でレジスの息がかかった人々と交戦する可能性はどれほどあるだろうか。話の感じだと、他にもライラたちのような組織が存在しているようだ。シェイルの邪魔にならないなら協力してもいいが、うまく立ち回れる自信はない。
「でも僕はあんまり役に立たないけどね」
アルヴィンが不貞腐れたような声をあげる。そういえば術脈がロックされていたのだった。ライラは気づいていないのだろう。不思議そうな顔をしてアルヴィンを見ている。
そんなライラにアルヴィンは左手を突き出した。
「これを知ってる?」
ライラ以外のメンバーがまるで知識を披露したいとでもいうように騒ぎだす。またテント内は声で満ちあふれた。
「レジスの術兵といえばそれだよね」
「ヒルトリングだ」
「レジス兵の持ってる純正品は初めて見たな」
「アルメシエのよりも幅がある」
まだよくわからないが、とりあえずこの隊のメンバーは仲がいいようだ。ヒルトリングを見せただけでわいわいと楽しそうにしている。
「まさか……」
一方ライラはしぶい顔だ。どうやらリングのロックに思いいたったようである。
「僕は高額商品だったのに、申し訳ないね」
あまり申し訳なさそうではない口調でアルヴィンが言う。すでに開き直っているようだ。
「うーん、やられたな。指揮官はレジスか。――ってかあんた脱走兵か? どうしたらそうなるんだ?」
「脱走兵か。なるほど。そういう解釈もあるね」
もはやどうでもよさそうである。
「僕のことはともかく、エリッツは将軍の代役を務めた経験もあるから、そっちに期待してよ」
ざわりとテントの中が揺れるようなざわめきが起こる。これまでの比ではない。声はむしろ小さいが、息苦しいほどの視線がエリッツに集まってきた。
「将軍?」
「将軍だと……?」
「レジス軍のか?」
ざわめきは中々おさまらず、ライラすら言葉を失ったようにエリッツを見ている。そしてエリッツ自身も呆然としている。
「ちょ、ちょ、ちょっとアルヴィン、何を言ってるの」
ようやく頭が動き出したが、抗議の言葉もうまく浮かばない。
「あんた、軍人じゃないって言ってたよね。もしかして騙した?」
ライラはまじまじとエリッツの顔を見る。
「騙してないよ。軍人じゃないって、おれは事務官」
「でも将軍の代役って……え? 事務代行?」
「なんかそれも違う……」
アルヴィンも嘘をついているわけではないが、かなり誤解を生む言い方だ。だがエリッツにはあれをどう説明していいのかわからない。
国境警備軍の将軍である兄の代わりである演技をしただけである。ポイントは代役そのものではなく代役の「演技」であるところだ。だがそれを説明するとものすごく長くなるし、その最中でうっかり余計なことまで口を滑らせてしまうに違いない。
「アルヴィン、説明してよ」
最終的にエリッツは大元であるアルヴィンに会話を投げ出した。
「説明も何も、そのままじゃないか。将軍の馬も甲冑も借り受けて代役をしたのを忘れたのかい? 僕はきみが帝国の王族と一騎打ちして打ち負かしたのを昨日のことのようにおぼえてるけどな」
何も悪いことを言ったという認識がないどころか、穴を広げている。
案の定、テント内の騒ぎはさらに大きくなった。
「帝国って……ラインデルの王族か」
「すげえ」
「見た目じゃわからないもんだな」
「とんでもないのが入ってきたぞ」
エリッツはこういうのが苦手である。もしかしてアルヴィンは自分の術脈がロックされているからといって、エリッツをいじって憂さを晴らしているのだろうか。非難がましくアルヴィンを見るが、何を考えているのかわからない。
「アルヴィン、どういうつもり?」
「何が?」
飄々としている。
「何がって。そんな前のことを今言わなくてもいいじゃないか」
「高く見積もられたがったり、低く見積もられたがったり、きみのわがままにも困ったものだな」
そんなことをうそぶいている。さらに文句をいおうとしたエリッツよりも先にアルヴィンは伏し目がちに口を開く。
「でも本当のことなんだけどな。僕は昨日のことのようにおぼえているよ。あんなにいい気分になったことはなかったからね。僕の自慢の友達だ」
振り上げた拳の行き場に困るとはこのことだ。まさかこれもわざとなのか。
「帰ってきたな」
ライラが腰を浮かす。
どうやらライラの所属する組織の仲間たちがどこかから戻って来たようだ。エリッツは考えごとを中断してテントの入口に目を向けた。
「隊長、戻りました」
テントの入口から顔を見せたのは若い黒髪の男性だ。きれいな発音のレジス語である。アルヴィンにライラはラインデルの出身ではないかとほのめかされてから、人の話し方が気になりはじめてしまった。
「あれ? その方々は……?」
男性は戸惑ったようにエリッツとアルヴィンを交互に見る。
「ほら、邪魔だ。早く入れ」
後ろから他の人たちに押されて男性はたたらを踏みながら、テントに入る。どうやらこのテントは応接兼リビングのような場所らしい。みんな入口の敷物の前にきちんと履物を脱いでにぎやかな声をあげながら入って来た。男性も女性もいる。そして武装している。各々がエリッツたちをもの珍しそうに見てからライラに問いかけるような視線を向けた。アルヴィンもエリッツも場所を詰めるために座ったまま後ろに下がる。
「レジスからの客人だ」
全員が思い思いの場所に腰をおろすと、ライラはさっそくエリッツたちを紹介してくれた。その声には少し得意げな色が混じっている。入って来た人々は互いに顔を見合わせながら、ざわめきだした。
「隊長、なぜレジス人がここに? レジスは国境での人の出入りを禁止していませんでしたか?」
聞き流していたが、まさか隊長ということはライラがここの集団の一番偉い人だったりするのだろうか。
「あのマグニ村のとろくさい商人から買ったんだよ。すごいだろ。――で、こいつら人を探しに来たらしい。あんたたち、最近レジスから来たロイの人間を知らないか?」
また全員がそれぞれ話をしはじめてテントいっぱいに人の声が満ちる。アルヴィンとエリッツを買ったという話題で騒ぐ者、最近見かけたロイらしき人のことを話題に出す者、例の商人の話で盛り上がる者ともう手に負えないほどの騒ぎだ。ライラをちらりと盗み見るがどうやらこれはいつものことらしく別段気にしている様子もない。
「レジスからは人も来ないからロイが来たなんて話は知らないな」
「いや、何か、ロイっぽいのがいるってマグニ村で言ってたヤツがいたが」
「それ、あいつだろ。あの芋商人。ほら、この人らを売ったっていう」
「いや、もうちょっと前の話だってば」
「あいつら黒ければ全員ロイだと思ってるからあてにならねぇよ」
「この間、逃げ出したヤツ、あれはロイじゃなかったか?」
「いつの話してんだよ。それ、最近じゃないだろ」
「ザイーグの町で見かける連中がそうじゃないの?」
「あれはルラク人だ。言葉が全然通じねえし、変な葉っぱ吸ってやがる。またすぐにどっか行くぜ」
エリッツは目が回りそうになりながら、飛び交う会話を追いかけていた。そもそも国が乱れてからはレジスから人が来ること自体が少ないということはわかった。
子供たちと同じようにこの人々も出身地は様々であるようだ。髪の色も目の色も皮膚の色も、言葉のイントネーションも微妙に違う。
「総長なら知ってるんじゃないか。あの人は正真正銘のロイだろう」
新しい人物が会話に登場した。「総長」といえば隊長よりも上っぽい。しかしロイに正真正銘もあるのだろうか。会話の感じからライラたちはもっと大きな組織の中にある隊のメンバーであるらしい。軍でいうところの小隊か中隊くらいの感覚だろうか。
「そうだな。近々あっちに合流するつもりだったし、あんたたちも情報が欲しければついて来なよ。総長のところには情報もたくさん集まる。何かしら手がかりくらいはあるんじゃないか。当然、道中は武装してもらうからな」
ライラが有無を言わさぬ口調でエリッツたちに言い放つ。
「こうなったら仕方ないよね」
ずっと黙って様子を見ていたアルヴィンは軽くため息をついた。
確かに仕方がない。エリッツはこの異国で他に情報を得るすべが思いつかないのだから。総長なる人物がロイだというのも正直興味深い。
その一方で心配事もある。道中でレジスの息がかかった人々と交戦する可能性はどれほどあるだろうか。話の感じだと、他にもライラたちのような組織が存在しているようだ。シェイルの邪魔にならないなら協力してもいいが、うまく立ち回れる自信はない。
「でも僕はあんまり役に立たないけどね」
アルヴィンが不貞腐れたような声をあげる。そういえば術脈がロックされていたのだった。ライラは気づいていないのだろう。不思議そうな顔をしてアルヴィンを見ている。
そんなライラにアルヴィンは左手を突き出した。
「これを知ってる?」
ライラ以外のメンバーがまるで知識を披露したいとでもいうように騒ぎだす。またテント内は声で満ちあふれた。
「レジスの術兵といえばそれだよね」
「ヒルトリングだ」
「レジス兵の持ってる純正品は初めて見たな」
「アルメシエのよりも幅がある」
まだよくわからないが、とりあえずこの隊のメンバーは仲がいいようだ。ヒルトリングを見せただけでわいわいと楽しそうにしている。
「まさか……」
一方ライラはしぶい顔だ。どうやらリングのロックに思いいたったようである。
「僕は高額商品だったのに、申し訳ないね」
あまり申し訳なさそうではない口調でアルヴィンが言う。すでに開き直っているようだ。
「うーん、やられたな。指揮官はレジスか。――ってかあんた脱走兵か? どうしたらそうなるんだ?」
「脱走兵か。なるほど。そういう解釈もあるね」
もはやどうでもよさそうである。
「僕のことはともかく、エリッツは将軍の代役を務めた経験もあるから、そっちに期待してよ」
ざわりとテントの中が揺れるようなざわめきが起こる。これまでの比ではない。声はむしろ小さいが、息苦しいほどの視線がエリッツに集まってきた。
「将軍?」
「将軍だと……?」
「レジス軍のか?」
ざわめきは中々おさまらず、ライラすら言葉を失ったようにエリッツを見ている。そしてエリッツ自身も呆然としている。
「ちょ、ちょ、ちょっとアルヴィン、何を言ってるの」
ようやく頭が動き出したが、抗議の言葉もうまく浮かばない。
「あんた、軍人じゃないって言ってたよね。もしかして騙した?」
ライラはまじまじとエリッツの顔を見る。
「騙してないよ。軍人じゃないって、おれは事務官」
「でも将軍の代役って……え? 事務代行?」
「なんかそれも違う……」
アルヴィンも嘘をついているわけではないが、かなり誤解を生む言い方だ。だがエリッツにはあれをどう説明していいのかわからない。
国境警備軍の将軍である兄の代わりである演技をしただけである。ポイントは代役そのものではなく代役の「演技」であるところだ。だがそれを説明するとものすごく長くなるし、その最中でうっかり余計なことまで口を滑らせてしまうに違いない。
「アルヴィン、説明してよ」
最終的にエリッツは大元であるアルヴィンに会話を投げ出した。
「説明も何も、そのままじゃないか。将軍の馬も甲冑も借り受けて代役をしたのを忘れたのかい? 僕はきみが帝国の王族と一騎打ちして打ち負かしたのを昨日のことのようにおぼえてるけどな」
何も悪いことを言ったという認識がないどころか、穴を広げている。
案の定、テント内の騒ぎはさらに大きくなった。
「帝国って……ラインデルの王族か」
「すげえ」
「見た目じゃわからないもんだな」
「とんでもないのが入ってきたぞ」
エリッツはこういうのが苦手である。もしかしてアルヴィンは自分の術脈がロックされているからといって、エリッツをいじって憂さを晴らしているのだろうか。非難がましくアルヴィンを見るが、何を考えているのかわからない。
「アルヴィン、どういうつもり?」
「何が?」
飄々としている。
「何がって。そんな前のことを今言わなくてもいいじゃないか」
「高く見積もられたがったり、低く見積もられたがったり、きみのわがままにも困ったものだな」
そんなことをうそぶいている。さらに文句をいおうとしたエリッツよりも先にアルヴィンは伏し目がちに口を開く。
「でも本当のことなんだけどな。僕は昨日のことのようにおぼえているよ。あんなにいい気分になったことはなかったからね。僕の自慢の友達だ」
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