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第一章 (仮)
第九十九話 臥房
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「あの、まだでしょうか」
エリッツは黒髪の客人だった男、リギルに何度目かの問いかけをする。
目の前にはやはり何杯目かわからない紅茶がすっかり冷えた状態で天井の金属の細工が施された照明のゆらめきを映しこんでいる。別の使用人がその照明に火を入れに来たのはもうだいぶ前のことだ。その使用人もロイの人間らしく黒髪で、いともたやすそうに炎式で火をいれた。顔を隠していないうえにリギルが小さく顔をしかめたところを見るとあまりよくない行為なのだろう。
それにしても居心地が悪い。
通された部屋は異国情緒がただよいつつも質素で上品だ。主はなかなか趣味がよいようにエリッツは思った。一度会ったきりのルーヴィック王子は寝ぐせでしわだらけの服を着ただらしない印象の青年だったので無駄がなく片付いた部屋が意外だった。
しかし壁際には数人のレジス兵らしき男たちがなぜかエリッツをにらみつけている。部屋の主の護衛かとも思うがそれにしても目つきが悪い。
「間もなく戻るかとは思いますが……」
リギルは常に困ったような顔をしている。
この国の第一王子ルーヴィックにいいつけられたらどうにもならないのだろう。エリッツはリギルが気の毒だという理由ではるばるサムティカから出てきてしまった。手間だが直接断って帰るのであれば誰も困らずに済むし、今後しつこく呼び出されることもないはずだ。しかし初めて会った際の会話を思い出すだにちゃんと話が通じる相手なのかは不安である。
そしてエリッツにはここが本当に王城の中の一室なのか分りかねていた。久々のレジス市街を見ようと馬車の窓をながめていたエリッツにリギルはやはり困った顔のまま「申し訳ありませんが、目隠しをさせていただきます」と、気弱そうな顔とは裏腹に半ば強引にエリッツの目を布で覆ってしまった。防犯上のことだろうが、夜伽に呼んでおいてこの扱いにはさすがに辟易する。
あわよくば知っている人に無事を知らせるくらいのことはできないかと思っていたが、とんでもなかった。そもそも馬車はレジスの大通りを通って王城に至っている様子がない。人々ののざわめきがほとんど聞こえなかった。裏から入れるところでもあるのか、そもそも王城ではないのか。すでに暗闇しかうつさない小さな窓からうかがい知ることもできない。
エリッツが小さくため息をつくと、リギルはそれを気にしたのかおずおずと口をひらく。
「もうお疲れでしょう。寝室でお休みください」
寝室にいくつもりはなかったが、ここは居心地が悪すぎる。リギルが口を開くたびに壁にいるレジス兵たちが内容を吟味するようにこちらに顔を向ける。これでは護衛というよりは見張りである。
「おれが今日ここに着くことは知ってるんですよね」
「――はい」
リギルは気の毒なくらいにうつむく。リギルを責めても仕方がない。余計なことをいってしまった。
「おそらく、その、戻れない理由が――」
壁際の兵たちが鋭くリギルをにらみつける。気のせいではなくこの兵たちは見張りだ。エリッツはおとなしく席を立つ。どこかで見ていたのだろう、使用人たちが粛々とついてくるが、その後ろからさらにレジス兵たちが数名ついてくるようだ。寝室まで見張るつもりなのか。
「湯あみをしてください」
先導して廊下を行くリギルがなぜかまた申し訳なさそうにエリッツをうかがう。何だか外堀を埋められている気がする。
木桶で湯を浴びるくらいの感覚で浴室に入ったが、目に飛び込んできた大きな浴槽に驚いた。使用人たちがついてこようとするのであわてて押しとどめる。見張られすぎて疲れてしまった。少しくらい一人にしてほしい。
湯をためて使用する浴槽は大理石のようで、すでに温かそうな湯気が立ちこめている。グーデンバルド家にも浴室と浴槽はあるが、訓練の汗を流す目的だけの武骨な浴室で、こことは雰囲気が違った。この部屋の主のためだけのものらしく広さはさほどでもないが、洗練された美しい造りだ。さりげなくほどこされた装飾は動物や草木がモチーフになっていて、壁面の蜜蝋の灯にざわめくように揺れていた。
エリッツは浴槽に身を沈めつつ息をつく。長旅のあと居心地の悪すぎる部屋で長時間座っていたため思っていた以上に疲労がたまっている。
しかしルーヴィック王子も大変みたいだ。エリッツは部屋にいたレジス兵たちの鋭い視線を思い出す。反逆者の身内となってしまったのだ。おそらく陛下の血を引く王子をどうこうするということにはならないとは思うが、風当たりは強くなるだろう。ラヴォート殿下にとっては追い風になるのか。何だか複雑である。
あの違法だというヒルトリングはもしかしてルーヴィック王子がつくったものではないのか。
ふとエリッツはそんなことを思う。これまで聞いた話を総合するとどうやらルーヴィック王子はヒルトリングを開発した研究者であるらしい。ラヴォート殿下が秘密裏に違法なヒルトリングを入手しようとするなら兄であるルーヴィック王子に頼むのが手っ取り早い。ローズガーデンでの口調を思い返しても「バカ」と罵ってはいたが仲が悪いという印象はない。兄の希望をかなえるため――というか従者がやかましかったからか――エリッツをさし出そうと躍起になっていたくらいだ。ルーヴィック王子のこの境遇にラヴォート殿下も心を痛めているかもしれない。
とりとめもないことを考えていたらどうやら気づかないうちに眠りかけていたようで、口の中に湯が入り激しく咳きこむ。
「エリッツ様、どうかされましたか」
外からリギルの声がする。
もう出よう。
エリッツが浴室から出るとどこから見ていたのか使用人たちが群がってきて柔らかな布で体を拭ってくれる。くたびれ切ってしまってエリッツは抵抗することを放棄して呆けていた。体に香油まで塗りこまれているようだ。それがまたとてもいい香りで、このまま眠れたらどんなにしあわせだろうとエリッツは夢想する。
いやらしい服を着せられるのかと思ったらゆったりと着られる裾の長い薄衣である。
「なんだか異国風ですね」
エリッツが袖をつまみながらいうとリギルは不思議そうな顔をした。困った顔以外もできるのか。
「勝手に寝室に入ってもいいんでしょうか」
リギルにともなわれて寝室に向かうとやはり使用人とレジス兵たちがぞろぞろとついてくる。なんだか鬱陶しさを通りこしておかしみすらある。
「遅くなるようなら寝室で休んでもらうようにと主からは言いつかっています」
寝室に通されてエリッツはまた驚いた。いくつかの小さな窓には鉄格子がはまっており、小さく区切られた月明かりが床に散らばっている。寝室の中央にある天蓋つきの寝台はやはり上質で趣味のよいものだと思われたが、まるで希少な鳥を囲うための鳥かごのようにも見えた。
「どうぞ、お休みください」
エリッツが絶句しているのに気づいているのかいないのか、リギルは手燭で寝台の方を指し示す。
「いや、でも寝てちゃまずいですよね。来客用のベッドとかないんですか」
夜伽に呼ばれてしかも断るつもりで熟睡しているというのは笑い話にしかならない。
「ありますけど準備がされていません。ここで寝ていいと思いますよ」
めずらしくリギルが小さく笑った。笑うと目じりにぎゅっとしわができてやさしそうな表情になる。エリッツはもはや長々とやり取りをするほどの気力もないくらい睡魔にとらわれていた。
「すみません、じゃあ、少しだけ寝ます」
言うやふらふらと寝台に向かう。そのあたりで一度記憶は途切れていた。
再度よみがえった記憶の隙間に衣ずれの音がすべりこむ。この状況は以前もあった。声をひそめた人々話し声、衣ずれの音、小さく食器が触れあうような音。何となく安心するような音だ。
気が張っていたのだろう。普段なら一度眠ったら朝まで一切目覚めないエリッツは半醒半睡の状態でその物音を聞いていた。以前は死ぬんじゃないかというようなつらい状況だったが、今は驚くほど安らかな気分だ。
エリッツが眠る寝室にひそやかな衣ずれの音が近づいている。
そこでエリッツは自然にさとっていた。エリッツを呼び出したのはルーヴィック王子ではなかった。
北の王だ。
ほとんど物音を立てずその人物は寝室に入ってくる。しばらくは寝支度を整えるような気配がしていたが、やがて灯りを消してエリッツが眠る寝台にすべりこんでくる。そうなるともう眠るどころではない。聞こえてしまうのではないかというくらいに鼓動が高鳴ってしまう。
このまま寝たふりをしていた方がいいのか、あいさつをすべきなのか、そもそも予定通り断って帰るべきなのか。そういえば薬湯を飲ませてもらってお礼をしたかったはずだが、いや、それはまた別の機会に――。
パニックを起こすエリッツに追い打ちをかけるようにその人物はエリッツの体を背後から抱きしめる。
声をあげなかったのが奇跡だ。しかし本当の衝撃はその後だった。
『おやすみなさい』と、その人物はロイの言葉で言ったのだ。
エリッツはすでにロイの言葉を習得していた。話し相手がいないのでまだ実践には不十分だと自覚していたが、簡単なあいさつくらいは容易に理解ができる。
さっきまではここにいるのが北の王だと確信していた。だが、違った。いや、違ったのかそうなのか。しかしこの声は――。
その人はすぐエリッツの体を解放してくれる。やがて隣から静かな寝息が聞こえてくるが、もはやエリッツは眠ることなどできなくなっていた。
どうしてこんなところにシェイルがいるのだ。
エリッツは黒髪の客人だった男、リギルに何度目かの問いかけをする。
目の前にはやはり何杯目かわからない紅茶がすっかり冷えた状態で天井の金属の細工が施された照明のゆらめきを映しこんでいる。別の使用人がその照明に火を入れに来たのはもうだいぶ前のことだ。その使用人もロイの人間らしく黒髪で、いともたやすそうに炎式で火をいれた。顔を隠していないうえにリギルが小さく顔をしかめたところを見るとあまりよくない行為なのだろう。
それにしても居心地が悪い。
通された部屋は異国情緒がただよいつつも質素で上品だ。主はなかなか趣味がよいようにエリッツは思った。一度会ったきりのルーヴィック王子は寝ぐせでしわだらけの服を着ただらしない印象の青年だったので無駄がなく片付いた部屋が意外だった。
しかし壁際には数人のレジス兵らしき男たちがなぜかエリッツをにらみつけている。部屋の主の護衛かとも思うがそれにしても目つきが悪い。
「間もなく戻るかとは思いますが……」
リギルは常に困ったような顔をしている。
この国の第一王子ルーヴィックにいいつけられたらどうにもならないのだろう。エリッツはリギルが気の毒だという理由ではるばるサムティカから出てきてしまった。手間だが直接断って帰るのであれば誰も困らずに済むし、今後しつこく呼び出されることもないはずだ。しかし初めて会った際の会話を思い出すだにちゃんと話が通じる相手なのかは不安である。
そしてエリッツにはここが本当に王城の中の一室なのか分りかねていた。久々のレジス市街を見ようと馬車の窓をながめていたエリッツにリギルはやはり困った顔のまま「申し訳ありませんが、目隠しをさせていただきます」と、気弱そうな顔とは裏腹に半ば強引にエリッツの目を布で覆ってしまった。防犯上のことだろうが、夜伽に呼んでおいてこの扱いにはさすがに辟易する。
あわよくば知っている人に無事を知らせるくらいのことはできないかと思っていたが、とんでもなかった。そもそも馬車はレジスの大通りを通って王城に至っている様子がない。人々ののざわめきがほとんど聞こえなかった。裏から入れるところでもあるのか、そもそも王城ではないのか。すでに暗闇しかうつさない小さな窓からうかがい知ることもできない。
エリッツが小さくため息をつくと、リギルはそれを気にしたのかおずおずと口をひらく。
「もうお疲れでしょう。寝室でお休みください」
寝室にいくつもりはなかったが、ここは居心地が悪すぎる。リギルが口を開くたびに壁にいるレジス兵たちが内容を吟味するようにこちらに顔を向ける。これでは護衛というよりは見張りである。
「おれが今日ここに着くことは知ってるんですよね」
「――はい」
リギルは気の毒なくらいにうつむく。リギルを責めても仕方がない。余計なことをいってしまった。
「おそらく、その、戻れない理由が――」
壁際の兵たちが鋭くリギルをにらみつける。気のせいではなくこの兵たちは見張りだ。エリッツはおとなしく席を立つ。どこかで見ていたのだろう、使用人たちが粛々とついてくるが、その後ろからさらにレジス兵たちが数名ついてくるようだ。寝室まで見張るつもりなのか。
「湯あみをしてください」
先導して廊下を行くリギルがなぜかまた申し訳なさそうにエリッツをうかがう。何だか外堀を埋められている気がする。
木桶で湯を浴びるくらいの感覚で浴室に入ったが、目に飛び込んできた大きな浴槽に驚いた。使用人たちがついてこようとするのであわてて押しとどめる。見張られすぎて疲れてしまった。少しくらい一人にしてほしい。
湯をためて使用する浴槽は大理石のようで、すでに温かそうな湯気が立ちこめている。グーデンバルド家にも浴室と浴槽はあるが、訓練の汗を流す目的だけの武骨な浴室で、こことは雰囲気が違った。この部屋の主のためだけのものらしく広さはさほどでもないが、洗練された美しい造りだ。さりげなくほどこされた装飾は動物や草木がモチーフになっていて、壁面の蜜蝋の灯にざわめくように揺れていた。
エリッツは浴槽に身を沈めつつ息をつく。長旅のあと居心地の悪すぎる部屋で長時間座っていたため思っていた以上に疲労がたまっている。
しかしルーヴィック王子も大変みたいだ。エリッツは部屋にいたレジス兵たちの鋭い視線を思い出す。反逆者の身内となってしまったのだ。おそらく陛下の血を引く王子をどうこうするということにはならないとは思うが、風当たりは強くなるだろう。ラヴォート殿下にとっては追い風になるのか。何だか複雑である。
あの違法だというヒルトリングはもしかしてルーヴィック王子がつくったものではないのか。
ふとエリッツはそんなことを思う。これまで聞いた話を総合するとどうやらルーヴィック王子はヒルトリングを開発した研究者であるらしい。ラヴォート殿下が秘密裏に違法なヒルトリングを入手しようとするなら兄であるルーヴィック王子に頼むのが手っ取り早い。ローズガーデンでの口調を思い返しても「バカ」と罵ってはいたが仲が悪いという印象はない。兄の希望をかなえるため――というか従者がやかましかったからか――エリッツをさし出そうと躍起になっていたくらいだ。ルーヴィック王子のこの境遇にラヴォート殿下も心を痛めているかもしれない。
とりとめもないことを考えていたらどうやら気づかないうちに眠りかけていたようで、口の中に湯が入り激しく咳きこむ。
「エリッツ様、どうかされましたか」
外からリギルの声がする。
もう出よう。
エリッツが浴室から出るとどこから見ていたのか使用人たちが群がってきて柔らかな布で体を拭ってくれる。くたびれ切ってしまってエリッツは抵抗することを放棄して呆けていた。体に香油まで塗りこまれているようだ。それがまたとてもいい香りで、このまま眠れたらどんなにしあわせだろうとエリッツは夢想する。
いやらしい服を着せられるのかと思ったらゆったりと着られる裾の長い薄衣である。
「なんだか異国風ですね」
エリッツが袖をつまみながらいうとリギルは不思議そうな顔をした。困った顔以外もできるのか。
「勝手に寝室に入ってもいいんでしょうか」
リギルにともなわれて寝室に向かうとやはり使用人とレジス兵たちがぞろぞろとついてくる。なんだか鬱陶しさを通りこしておかしみすらある。
「遅くなるようなら寝室で休んでもらうようにと主からは言いつかっています」
寝室に通されてエリッツはまた驚いた。いくつかの小さな窓には鉄格子がはまっており、小さく区切られた月明かりが床に散らばっている。寝室の中央にある天蓋つきの寝台はやはり上質で趣味のよいものだと思われたが、まるで希少な鳥を囲うための鳥かごのようにも見えた。
「どうぞ、お休みください」
エリッツが絶句しているのに気づいているのかいないのか、リギルは手燭で寝台の方を指し示す。
「いや、でも寝てちゃまずいですよね。来客用のベッドとかないんですか」
夜伽に呼ばれてしかも断るつもりで熟睡しているというのは笑い話にしかならない。
「ありますけど準備がされていません。ここで寝ていいと思いますよ」
めずらしくリギルが小さく笑った。笑うと目じりにぎゅっとしわができてやさしそうな表情になる。エリッツはもはや長々とやり取りをするほどの気力もないくらい睡魔にとらわれていた。
「すみません、じゃあ、少しだけ寝ます」
言うやふらふらと寝台に向かう。そのあたりで一度記憶は途切れていた。
再度よみがえった記憶の隙間に衣ずれの音がすべりこむ。この状況は以前もあった。声をひそめた人々話し声、衣ずれの音、小さく食器が触れあうような音。何となく安心するような音だ。
気が張っていたのだろう。普段なら一度眠ったら朝まで一切目覚めないエリッツは半醒半睡の状態でその物音を聞いていた。以前は死ぬんじゃないかというようなつらい状況だったが、今は驚くほど安らかな気分だ。
エリッツが眠る寝室にひそやかな衣ずれの音が近づいている。
そこでエリッツは自然にさとっていた。エリッツを呼び出したのはルーヴィック王子ではなかった。
北の王だ。
ほとんど物音を立てずその人物は寝室に入ってくる。しばらくは寝支度を整えるような気配がしていたが、やがて灯りを消してエリッツが眠る寝台にすべりこんでくる。そうなるともう眠るどころではない。聞こえてしまうのではないかというくらいに鼓動が高鳴ってしまう。
このまま寝たふりをしていた方がいいのか、あいさつをすべきなのか、そもそも予定通り断って帰るべきなのか。そういえば薬湯を飲ませてもらってお礼をしたかったはずだが、いや、それはまた別の機会に――。
パニックを起こすエリッツに追い打ちをかけるようにその人物はエリッツの体を背後から抱きしめる。
声をあげなかったのが奇跡だ。しかし本当の衝撃はその後だった。
『おやすみなさい』と、その人物はロイの言葉で言ったのだ。
エリッツはすでにロイの言葉を習得していた。話し相手がいないのでまだ実践には不十分だと自覚していたが、簡単なあいさつくらいは容易に理解ができる。
さっきまではここにいるのが北の王だと確信していた。だが、違った。いや、違ったのかそうなのか。しかしこの声は――。
その人はすぐエリッツの体を解放してくれる。やがて隣から静かな寝息が聞こえてくるが、もはやエリッツは眠ることなどできなくなっていた。
どうしてこんなところにシェイルがいるのだ。
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