95 / 236
第一章 (仮)
第九十五話 情
しおりを挟む
何だかすごい作戦だった。
エリッツは今シェイルから聞いた作戦の内容を頭の中で整理する。このまま帝国軍を坑道の入口の方向へと押し続け、外にいるリデロたちが直感で坑道内に攻め入りはさみ討ちにし、兵力を弱めたところで最終的に坑道から追い出す、らしい。
直感で?
エリッツは聞き間違えたのかと思ったが、レジスの術兵たちは別段疑問を感じていないらしく肩をまわしたり、首を鳴らしたりとやる気満々である。
アルヴィンは少し変な顔をして周りの様子をうかがっていたので、エリッツと目が合った。目だけで会話をするように二人で軽く首をかしげる。
「エリッツ、ちょっと」
見るとシェイルが少し離れたところでエリッツに手招きしていた。いつもなら尾をふらんばかりに飛んでいくところだが、今はちょっと気が乗らない。
「なんでしょう」
すぐにでもマリルたちと一緒に戦わなければならない状況の中で一体何をいわれるのかこわごわと近づく。出来の悪い弟子で思い当たることがありすぎる。シェイルはすぐにエリッツの耳に口元を寄せた。こんなことだけで勝手に体がよろこんでしまう。
「落ち着いたらわたしの婚約者の話をするので、勝手に実家に帰らないでください。いろいろと困るんですよ」
アルヴィンがエリッツの泣いていた理由を言ってしまったのだ。そういえばアルヴィンがヒルトリングを渡しに行ったとき、なんだかこっちを見ていると思っていたのだ。余計なことをいわないでほしい。
それに婚約者の話は聞きたくない。エリッツは兄にフィアーナを紹介された日のことを思い出していた。あの日からずっと思いつめ最終的には家出までして一人でレジスの街に来るところまで追いつめられたのだ。また同じ気持ちを味わうのは嫌だ。一刻も早く実家に帰りたい。可能であればこのまま消えたい。
エリッツが黙っていると、シェイルは困ったように眉根を寄せた。
「エリッツ、返事は?」
つらい過去の記憶がよみがえってしまったエリッツはひとり放心していた。シェイルはエリッツの頰をぺたぺたと触る。正気かどうか確認しているようだ。
「黙って帰らないでください」
再度そう言ってからさっと周りを見渡し、エリッツの肩をつかむと触れるか触れないかというくらいに唇をかさねる。
「あと急に走り出したりしないでくださいね。こっちはひやひやするんです」
最終的に指導が入ったがそれでも何ごともなかったかのように行ってしまう。だからエリッツも気のせいだったかと虚空を見つめた。ちょっとうっかり唇がぶつかってしまっただけに違いない。そう自身にいいきかせてもやはり勝手に浮き立ってしまう。
「なんだ。脈ありじゃない」
またいつの間にかマリルが隣にいる。本当に突然あらわれる。
「うわ、何、見たの?」
マリルはこくこくとうなずく。
「今のは――たぶん気のせいだよ」
エリッツはなぜか焦って早口になる。マリルは少し考えこむような表情で「いや、どうかなぁ」と思わせぶりな口調でにやにやする。
「あの人、いつも冷静な合理主義者ぶってるけど、情が深いんだよね。いいのか悪いのか知らないけどさ」
もってまわったような言い方をしたあと急に真面目な顔をする。
「私がどんなに無茶苦茶なことをしても味方になってくれるの。私がかわいそうだからよ。だから私もあの人が心を痛めることがないようにどんどん先回りして殺しちゃうわけ」
恐ろしいことを平然と言う。そのとび色の目に一瞬狂気の光がひるがえり、エリッツはぞっとした。諜報と暗殺、それがマリルの仕事だと知ったばかりだ。街の見回り役も制服に着られている感じを含めて全部演技だったのだろうか。
それからまたくるりとマリルらしい明るい表情に変わる。
「あそこまでしたんだから勝手にいなくならないであげてよね」と、エリッツの肩を軽くたたいて、なぜかスキップをしながら戻っていった。
指揮官がスキップしながら戦場に向かっていくというのもまた無茶苦茶だなと、エリッツはその背中をぼんやりと見送る。そもそもいまだにマリルが指揮官というのがしっくりこない。
ただマリルのいうことは確かに腑に落ちる部分があった。シェイルは口では論理的なことをいうが、結局人を切り捨てるような行動はしない。情が深いと言われれば納得する。エリッツのこともいろいろな局面で許してくれていたように思うし、ほとんどの要求を受け入れてくれていた。なでてくれるし指もなめさせてくれる。すっかり慣れてしまったがよく考えたら普通ではない。
こうなるとこの先に待っているのは沼だ。
シェイルは婚約者のこともエリッツのことも、ラヴォート殿下も、マリルも、アルヴィンも誰のことも切り捨てない。等しく大事にするし、できるだけ望まれたものを与えようとする。
そういえば婚約者がいながらラヴォート殿下のあの折檻を許し続けるというのがそもそもおかしいのではないか。
考え始めるとじわじわと絶望が押し寄せてくる。もし本当にアルヴィンがシェイルの弟子になるなら、きっとエリッツと同じように大事にする。エリッツはいつまでもシェイルの「特別」にはなれないのだ。
やはりぼろぼろに傷ついて再起不能になる前に消えた方がいい。
「エリッツ、何やってるの」
アルヴィンが呼んでいる。ちょっと意味がわからない作戦だったがとにかく今はシェイルとマリルたちを信じて坑道内の帝国軍をただ押し続ければいい。人数的に厳しいがやるべきことは単純明快だ。しばらくは何も考えずにすむ。
エリッツは長剣と短刀の両方を手にした。
それからどれほどの時間が経ったのかわからない。結論からいうと本当にリデロたちが来たのだった。
エリッツたちはかなりの時間をかけて帝国軍を坑道の入口に向かい押し続けていた。経路は入り組んでいるし、優秀な兵たちが多いとはいえとにかく人数が少ない。坑道が狭いため大きく陣形を崩されずなんとかなったがそうでなければ無理だっただろう。
全員が泥のように疲弊していた。底なしの体力を持つように見えたアルヴィンも中盤からほとんど動けなくなり後ろにまわされている。朝ごはんを食べていないからだろう。
そんな中でも持ちこたえられたのはシェイルがいたからに違いない。
やはり術士としてもすごい人だった。使う術は正規の術兵たちとも諜報の術兵たちとも違う。
おそらく坑道内で派手に火気や粉塵を起こすことを嫌ってのことだと思うが、みな穿孔風式かそれに似た発動範囲の狭い術の応酬となっていた。
それに穿孔風式によく似ているが、少し具合の違う術もあった。よくわからなかったがあれは水かもしくは氷ではないだろうか。水式という術なのかもしれない。
それに加えてシェイルは先ほどの敵兵を地面に縛りつける術やそれを応用したような術を多用していた。
この人数で押し切れた要因がこの敵兵には抑えられないシェイルの術にあったと思う。他の術兵たちと並んでいるとその差は歴然としていた。シェイルはとにかく速いのだ。術のスピードも物理的な攻撃も桁違いだ。
エリッツは知らなかったが術というのは複合術式だけではなく連続して放つという合わせ方もある。シェイルが敵兵の足元を一瞬だけ止めて、左腕でその胸を押すと敵兵は痙攣して倒れてしまう。まだ序盤の余裕があった頃、背後にいた術兵が「あれはたぶん雷式だ。あんな使い方はじめて見るよ」とひとりごとのようにつぶやいていた。
「雷式?」と、エリッツが手を止めずに聞き返すと、術師の方も手を止めずに教えてくれる。
「心の臓に直接雷式を打ち込んでるんだろう。あのスピードじゃ防御のしようがない。ほんと恐ろしい人だ」
シェイルの術が洗練されているのは素人のエリッツでもよくわかる。エリッツは見とれてしまいそうになるのを耐えて戦い続けた。
しかしエリッツの疲労もいよいよ限界に近づく。背後の術兵たちに助けられる頻度があがっていった。術兵たちの方もかなり疲労しているはずだ。もっと気を張っていないと大怪我をしてしまう。そうやってたまに気を引き締めていたが、それでも限界まで来ていたのだろう。リデロたちが現れたことにエリッツはしばらく気がつかなかった。
帝国兵たちの陣形が乱れてきていることはおぼろげながら感じていたがそのときすでにリデロたちが反対側から攻め入っていたようだった。
気がつくと冷たい夜気が頰にあたっている。
坑道の入口が間近であった。
エリッツは今シェイルから聞いた作戦の内容を頭の中で整理する。このまま帝国軍を坑道の入口の方向へと押し続け、外にいるリデロたちが直感で坑道内に攻め入りはさみ討ちにし、兵力を弱めたところで最終的に坑道から追い出す、らしい。
直感で?
エリッツは聞き間違えたのかと思ったが、レジスの術兵たちは別段疑問を感じていないらしく肩をまわしたり、首を鳴らしたりとやる気満々である。
アルヴィンは少し変な顔をして周りの様子をうかがっていたので、エリッツと目が合った。目だけで会話をするように二人で軽く首をかしげる。
「エリッツ、ちょっと」
見るとシェイルが少し離れたところでエリッツに手招きしていた。いつもなら尾をふらんばかりに飛んでいくところだが、今はちょっと気が乗らない。
「なんでしょう」
すぐにでもマリルたちと一緒に戦わなければならない状況の中で一体何をいわれるのかこわごわと近づく。出来の悪い弟子で思い当たることがありすぎる。シェイルはすぐにエリッツの耳に口元を寄せた。こんなことだけで勝手に体がよろこんでしまう。
「落ち着いたらわたしの婚約者の話をするので、勝手に実家に帰らないでください。いろいろと困るんですよ」
アルヴィンがエリッツの泣いていた理由を言ってしまったのだ。そういえばアルヴィンがヒルトリングを渡しに行ったとき、なんだかこっちを見ていると思っていたのだ。余計なことをいわないでほしい。
それに婚約者の話は聞きたくない。エリッツは兄にフィアーナを紹介された日のことを思い出していた。あの日からずっと思いつめ最終的には家出までして一人でレジスの街に来るところまで追いつめられたのだ。また同じ気持ちを味わうのは嫌だ。一刻も早く実家に帰りたい。可能であればこのまま消えたい。
エリッツが黙っていると、シェイルは困ったように眉根を寄せた。
「エリッツ、返事は?」
つらい過去の記憶がよみがえってしまったエリッツはひとり放心していた。シェイルはエリッツの頰をぺたぺたと触る。正気かどうか確認しているようだ。
「黙って帰らないでください」
再度そう言ってからさっと周りを見渡し、エリッツの肩をつかむと触れるか触れないかというくらいに唇をかさねる。
「あと急に走り出したりしないでくださいね。こっちはひやひやするんです」
最終的に指導が入ったがそれでも何ごともなかったかのように行ってしまう。だからエリッツも気のせいだったかと虚空を見つめた。ちょっとうっかり唇がぶつかってしまっただけに違いない。そう自身にいいきかせてもやはり勝手に浮き立ってしまう。
「なんだ。脈ありじゃない」
またいつの間にかマリルが隣にいる。本当に突然あらわれる。
「うわ、何、見たの?」
マリルはこくこくとうなずく。
「今のは――たぶん気のせいだよ」
エリッツはなぜか焦って早口になる。マリルは少し考えこむような表情で「いや、どうかなぁ」と思わせぶりな口調でにやにやする。
「あの人、いつも冷静な合理主義者ぶってるけど、情が深いんだよね。いいのか悪いのか知らないけどさ」
もってまわったような言い方をしたあと急に真面目な顔をする。
「私がどんなに無茶苦茶なことをしても味方になってくれるの。私がかわいそうだからよ。だから私もあの人が心を痛めることがないようにどんどん先回りして殺しちゃうわけ」
恐ろしいことを平然と言う。そのとび色の目に一瞬狂気の光がひるがえり、エリッツはぞっとした。諜報と暗殺、それがマリルの仕事だと知ったばかりだ。街の見回り役も制服に着られている感じを含めて全部演技だったのだろうか。
それからまたくるりとマリルらしい明るい表情に変わる。
「あそこまでしたんだから勝手にいなくならないであげてよね」と、エリッツの肩を軽くたたいて、なぜかスキップをしながら戻っていった。
指揮官がスキップしながら戦場に向かっていくというのもまた無茶苦茶だなと、エリッツはその背中をぼんやりと見送る。そもそもいまだにマリルが指揮官というのがしっくりこない。
ただマリルのいうことは確かに腑に落ちる部分があった。シェイルは口では論理的なことをいうが、結局人を切り捨てるような行動はしない。情が深いと言われれば納得する。エリッツのこともいろいろな局面で許してくれていたように思うし、ほとんどの要求を受け入れてくれていた。なでてくれるし指もなめさせてくれる。すっかり慣れてしまったがよく考えたら普通ではない。
こうなるとこの先に待っているのは沼だ。
シェイルは婚約者のこともエリッツのことも、ラヴォート殿下も、マリルも、アルヴィンも誰のことも切り捨てない。等しく大事にするし、できるだけ望まれたものを与えようとする。
そういえば婚約者がいながらラヴォート殿下のあの折檻を許し続けるというのがそもそもおかしいのではないか。
考え始めるとじわじわと絶望が押し寄せてくる。もし本当にアルヴィンがシェイルの弟子になるなら、きっとエリッツと同じように大事にする。エリッツはいつまでもシェイルの「特別」にはなれないのだ。
やはりぼろぼろに傷ついて再起不能になる前に消えた方がいい。
「エリッツ、何やってるの」
アルヴィンが呼んでいる。ちょっと意味がわからない作戦だったがとにかく今はシェイルとマリルたちを信じて坑道内の帝国軍をただ押し続ければいい。人数的に厳しいがやるべきことは単純明快だ。しばらくは何も考えずにすむ。
エリッツは長剣と短刀の両方を手にした。
それからどれほどの時間が経ったのかわからない。結論からいうと本当にリデロたちが来たのだった。
エリッツたちはかなりの時間をかけて帝国軍を坑道の入口に向かい押し続けていた。経路は入り組んでいるし、優秀な兵たちが多いとはいえとにかく人数が少ない。坑道が狭いため大きく陣形を崩されずなんとかなったがそうでなければ無理だっただろう。
全員が泥のように疲弊していた。底なしの体力を持つように見えたアルヴィンも中盤からほとんど動けなくなり後ろにまわされている。朝ごはんを食べていないからだろう。
そんな中でも持ちこたえられたのはシェイルがいたからに違いない。
やはり術士としてもすごい人だった。使う術は正規の術兵たちとも諜報の術兵たちとも違う。
おそらく坑道内で派手に火気や粉塵を起こすことを嫌ってのことだと思うが、みな穿孔風式かそれに似た発動範囲の狭い術の応酬となっていた。
それに穿孔風式によく似ているが、少し具合の違う術もあった。よくわからなかったがあれは水かもしくは氷ではないだろうか。水式という術なのかもしれない。
それに加えてシェイルは先ほどの敵兵を地面に縛りつける術やそれを応用したような術を多用していた。
この人数で押し切れた要因がこの敵兵には抑えられないシェイルの術にあったと思う。他の術兵たちと並んでいるとその差は歴然としていた。シェイルはとにかく速いのだ。術のスピードも物理的な攻撃も桁違いだ。
エリッツは知らなかったが術というのは複合術式だけではなく連続して放つという合わせ方もある。シェイルが敵兵の足元を一瞬だけ止めて、左腕でその胸を押すと敵兵は痙攣して倒れてしまう。まだ序盤の余裕があった頃、背後にいた術兵が「あれはたぶん雷式だ。あんな使い方はじめて見るよ」とひとりごとのようにつぶやいていた。
「雷式?」と、エリッツが手を止めずに聞き返すと、術師の方も手を止めずに教えてくれる。
「心の臓に直接雷式を打ち込んでるんだろう。あのスピードじゃ防御のしようがない。ほんと恐ろしい人だ」
シェイルの術が洗練されているのは素人のエリッツでもよくわかる。エリッツは見とれてしまいそうになるのを耐えて戦い続けた。
しかしエリッツの疲労もいよいよ限界に近づく。背後の術兵たちに助けられる頻度があがっていった。術兵たちの方もかなり疲労しているはずだ。もっと気を張っていないと大怪我をしてしまう。そうやってたまに気を引き締めていたが、それでも限界まで来ていたのだろう。リデロたちが現れたことにエリッツはしばらく気がつかなかった。
帝国兵たちの陣形が乱れてきていることはおぼろげながら感じていたがそのときすでにリデロたちが反対側から攻め入っていたようだった。
気がつくと冷たい夜気が頰にあたっている。
坑道の入口が間近であった。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

(完結)貴方から解放してくださいー私はもう疲れました(全4話)
青空一夏
恋愛
私はローワン伯爵家の一人娘クララ。私には大好きな男性がいるの。それはイーサン・ドミニク。侯爵家の子息である彼と私は相思相愛だと信じていた。
だって、私のお誕生日には私の瞳色のジャボ(今のネクタイのようなもの)をして参加してくれて、別れ際にキスまでしてくれたから。
けれど、翌日「僕の手紙を君の親友ダーシィに渡してくれないか?」と、唐突に言われた。意味がわからない。愛されていると信じていたからだ。
「なぜですか?」
「うん、実のところ私が本当に愛しているのはダーシィなんだ」
イーサン様は私の心をかき乱す。なぜ、私はこれほどにふりまわすの?
これは大好きな男性に心をかき乱された女性が悩んで・・・・・・結果、幸せになったお話しです。(元さやではない)
因果応報的ざまぁ。主人公がなにかを仕掛けるわけではありません。中世ヨーロッパ風世界で、現代的表現や機器がでてくるかもしれない異世界のお話しです。ご都合主義です。タグ修正、追加の可能性あり。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
【書籍化進行中、完結】私だけが知らない
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
書籍化進行中です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
髪の色は愛の証 〜白髪少年愛される〜
あめ
ファンタジー
髪の色がとてもカラフルな世界。
そんな世界に唯一現れた白髪の少年。
その少年とは神様に転生させられた日本人だった。
その少年が“髪の色=愛の証”とされる世界で愛を知らぬ者として、可愛がられ愛される話。
⚠第1章の主人公は、2歳なのでめっちゃ拙い発音です。滑舌死んでます。
⚠愛されるだけではなく、ちょっと可哀想なお話もあります。
魔拳のデイドリーマー
osho
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生した少年・ミナト。ちょっと物騒な大自然の中で、優しくて美人でエキセントリックなお母さんに育てられた彼が、我流の魔法と鍛えた肉体を武器に、常識とか色々ぶっちぎりつつもあくまで気ままに過ごしていくお話。
主人公最強系の転生ファンタジーになります。未熟者の書いた、自己満足が執筆方針の拙い文ですが、お暇な方、よろしければどうぞ見ていってください。感想などいただけると嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる