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第一章 (仮)
第五十七話 しおり
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「本当だと、おれは聞いてるけど」
エリッツは遠慮がちに答える。その話題のどこからどこまでがタブーなのかエリッツによくわからない。
「王子の側近がそういっているのか」
「王子もいってます」
どうやらあまり好ましく思っていないシェイルたちからの情報を仕入れることに抵抗があるらしい。先ほどから様子がおかしかったのはそのせいか。変なところでいじっぱりだ。
「それなら本当なんだろうな。道理であちこちさわがしいわけだ。帝国が絡んでくる理由も納得だ。いや、帝国が絡んできてそうなったのか」
ダグラスはひとりうなずき、「それで――」と切り出した。
「あのリークという少年は何者だ」
さもエリッツなら知っているだろうという口調だが。
「おれもわからないよ。あまり関わらない方がいいっていわれてるんだけど」
ダグラスは天井を仰ぐようにソファの背に深くもたれかかる。
「なんだ。王子の側近の手の者ではないのか」
エリッツは返答に困る。そもそもシェイルに状況のすべてを聞いたわけではない。ゼインの反応をみるとリークは陛下やラヴォート殿下側の人間ではなさそうだが何か心当たりがある、という印象だった。エリッツは悩んだすえにやはり首をふるしかない。
「不審な動きをしている連中がいるようだからあの少年もそうなのかと思ったんだが本当にただの護衛か」
「え、そうなの」
エリッツはまったく気づかなかった。本当にデルゴヴァ兄弟はマークされているのか。何度も話には聞いてはいたが、実際にそれを感じたことはなかった。
「気づかなかったのか」
ダグラスは困ったような顔で軽くほほえむ。出来の悪い弟をいとおしむような表情にエリッツはいたたまれなくなる。
「こっちにおいで」
ダグラスはそんなエリッツをみて手招きをする。エリッツは誘われるままにいそいそと隣に移動してしまう。すぐさまダグラスの指がエリッツの髪をすいた。心地よさに息をもらすとダグラスが応えるように深く髪に指をうずめる。
しかしエリッツは自身の体がかなり汚れていることを思い出し、あわてて立ち上がった。
「おれ、汚いんだけど」
「知ってるよ。今日はどこで何をしていたんだ。泥とほこりと煙のにおいがする」
ダグラスは立ったままのエリッツの腰のあたりに顔を押しつけている。泥とほこりは街や森を動きまわったせいだろう。煙はたぶんゼインが肉を焼いたときについたものだ。そしてダグラスはいわなかったが相当汗くさいのではないだろうか。
あわててふりほどこうとするエリッツの反応を面白がるようにダグラスは強引に腕を引く。エリッツはなんなくソファに尻もちをついてしまった。
「そんなに気になるならきれいにしてあげるよ」
ダグラスはエリッツの腕をさらに引いてその首すじに舌をはわせた。
「ちょっと、だめだってば」
だめといいつつそれを拒む力は出ない。それどころか息がみだれてしまうのを我慢できなかった。
「なんなら体中きれいにしてあげる」
ダグラスはエリッツの体をソファに押さえつけ服に手をかける。
そんなまったくいいわけのきかない状況で突然、扉があけ放たれる音が響いた。
「フィアーナ、ノックくらいしてよ」
ダグラスはとくに動揺を見せない声でいうが、エリッツの方は頭が真っ白になってしまう。あわててダグラスを押しのけて立ちあがった。
「す、すみません。ごめんなさい」
謝るのも変だとどこかで冷静に思いつつ恐々とフィアーナの顔色をうかがう。
相変わらず人形のような無表情で何を考えているのかわからない。
「あの……」
何かいってもらわないとエリッツとしても動けない。そんな状況でまたダグラスがエリッツの腕を引っぱってソファに戻してしまう。
「兄さん、ちょっと、やめてよ」
ばたばたともがくエリッツの反応をあきらかにおもしろがっている。
フィアーナは淡いレモンイエローの裾の長いドレスを着て、深夜にも関わらず髪もきれいに結っていた。貴婦人として完璧な出で立ちに迫力を感じてエリッツはそのままかたまってしまう。
そんなエリッツにフィアーナがつかつかと歩みより何かを差しだした。ぶたれるのかとエリッツは身を固くしたが、差しだされたのは見覚えのある本だった。この家にある書庫のエリッツが読みかけだったものだ。南方の砂漠地帯を調査していた男の記した旅行記で植物や動物、衣服など資料的な価値の高い挿絵が多く入っている。興味深い一冊だったが、書庫に入りにくくなったため続きはあきらめていた。本の間からはきちんとエリッツのしおりがはさまったままになっている。
この状況でどういうことかわからないが、フィアーナはわざわざそれを持ってきてくれたようだ。エリッツは恐る恐る本に手を伸ばす。それと同時にフィアーナも本を持っている手とは逆の手をエリッツの方にのばす。やはりぶたれるのかとエリッツが身を縮めるとなぜか頭をなでられた。
「どうだ、マルクと違ってかわいいだろう」
ダグラスは妻になぞの自慢をはじめる。驚いたことにフィアーナは静かにうなずき、いつまでもエリッツの頭をなでている。表情からは相変わらず何も読み取れず不気味だ。
「兄さん、なんなの」
これでは犬か猫ではないか。受け取った本をしっかりと抱き、エリッツは憮然と兄を見あげた。
「まぁまぁ」
ダグラスはとりなすように笑う。
「ディケロもマルクも本を読むような連中じゃないから話が合わないんだそうだ。エリッツのことをずっと気にしていたんだよな」
話が合うも合わないも話自体をしないじゃないかとエリッツは心の中で反論するがもちろん口には出さない。
「これ」
フィアーナがエリッツのかかえている本を指さすので渡すと、ぱらぱらとめくりとある挿絵を見せてきた。砂漠に生息しているという爬虫類で、毒々しいまだら模様が気持ち悪い。できればあまり出会いたくない生き物だった。
「フィアーナはこういうのが好きなんだよな」
それはエリッツとも話が合いそうにない。どちらかというとうさぎとか毛の生えた動物や鳥の方が好きだ。
そんなエリッツの心情にはまったく気づくことなくフィアーナはしばらく爬虫類の挿絵ばかりエリッツに見せていた。やがて爬虫類の絵がなくなったのか唐突に立ちあがると「ダグラス」と兄の名を呼ぶ。
「ああ、そうだった。エリッツ、ちょっと頼まれて欲しいことがあるんだ」
結局何か頼まれるのだ。どういうわけか兄は妻の目の前でもエリッツの肩を抱いて引き寄せることに躊躇しない。
「フィアーナがリークという少年が気になるっていうんだ。王子の側近の手の者ではないならもしかしてアイザック氏の指示で何かよからぬことをやっているのかもしれない。この屋敷に来てからもちょこちょこと動き回っているのをフィアーナが見ている」
ダグラスの言葉にフィアーナが無表情のままこくりとうなずいた。弟の体を抱く夫の姿を見ても眉ひとつ動かさない。変な夫婦だ。
「別に目的を問いただせってわけじゃないだ。歳が近い者同士で話をしてみてその印象を教えてくれるだけでもいい。なにかクリフの助けになるヒントが見つかるかもしれない」
エリッツは弱りはててついため息をもらしてしまう。ゼインにはリークに近づくなと忠告を受けたばかりだ。
「アルヴィンがいればよかったんだけど」
思わずどうにもならないことをいってしまう。アルヴィンならそういうこともうまくやるし、そもそもリークについて何か知っていたかもしれない。
「ああ、あのもう一人の護衛の少年か。あの子は今、カウラニー家にいるらしいな」
エリッツははじかれたように兄を見る。カウラニー家といえばシェイルの実家だ。なぜそんなところに。
「経緯はわからないが、部下の一人が見かけたといっていた。カウラニー家は近所だからな。あそこの御大は身寄りのない子供を拾う癖があるらしい」
暗にシェイルのことを揶揄しているようにも聞こえるが、そんなことよりもアルヴィンは何の目的でどうやってそんなところにもぐりこんだのだ。
「頼んだよ、エリッツ」
もやもやと考えこんでしまったエリッツの肩をダグラスはやさしく叩く。そして再度抱き寄せると耳元で「さっきの続きはまた今度」といい添えることを忘れなかった。
エリッツは遠慮がちに答える。その話題のどこからどこまでがタブーなのかエリッツによくわからない。
「王子の側近がそういっているのか」
「王子もいってます」
どうやらあまり好ましく思っていないシェイルたちからの情報を仕入れることに抵抗があるらしい。先ほどから様子がおかしかったのはそのせいか。変なところでいじっぱりだ。
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ダグラスはひとりうなずき、「それで――」と切り出した。
「あのリークという少年は何者だ」
さもエリッツなら知っているだろうという口調だが。
「おれもわからないよ。あまり関わらない方がいいっていわれてるんだけど」
ダグラスは天井を仰ぐようにソファの背に深くもたれかかる。
「なんだ。王子の側近の手の者ではないのか」
エリッツは返答に困る。そもそもシェイルに状況のすべてを聞いたわけではない。ゼインの反応をみるとリークは陛下やラヴォート殿下側の人間ではなさそうだが何か心当たりがある、という印象だった。エリッツは悩んだすえにやはり首をふるしかない。
「不審な動きをしている連中がいるようだからあの少年もそうなのかと思ったんだが本当にただの護衛か」
「え、そうなの」
エリッツはまったく気づかなかった。本当にデルゴヴァ兄弟はマークされているのか。何度も話には聞いてはいたが、実際にそれを感じたことはなかった。
「気づかなかったのか」
ダグラスは困ったような顔で軽くほほえむ。出来の悪い弟をいとおしむような表情にエリッツはいたたまれなくなる。
「こっちにおいで」
ダグラスはそんなエリッツをみて手招きをする。エリッツは誘われるままにいそいそと隣に移動してしまう。すぐさまダグラスの指がエリッツの髪をすいた。心地よさに息をもらすとダグラスが応えるように深く髪に指をうずめる。
しかしエリッツは自身の体がかなり汚れていることを思い出し、あわてて立ち上がった。
「おれ、汚いんだけど」
「知ってるよ。今日はどこで何をしていたんだ。泥とほこりと煙のにおいがする」
ダグラスは立ったままのエリッツの腰のあたりに顔を押しつけている。泥とほこりは街や森を動きまわったせいだろう。煙はたぶんゼインが肉を焼いたときについたものだ。そしてダグラスはいわなかったが相当汗くさいのではないだろうか。
あわててふりほどこうとするエリッツの反応を面白がるようにダグラスは強引に腕を引く。エリッツはなんなくソファに尻もちをついてしまった。
「そんなに気になるならきれいにしてあげるよ」
ダグラスはエリッツの腕をさらに引いてその首すじに舌をはわせた。
「ちょっと、だめだってば」
だめといいつつそれを拒む力は出ない。それどころか息がみだれてしまうのを我慢できなかった。
「なんなら体中きれいにしてあげる」
ダグラスはエリッツの体をソファに押さえつけ服に手をかける。
そんなまったくいいわけのきかない状況で突然、扉があけ放たれる音が響いた。
「フィアーナ、ノックくらいしてよ」
ダグラスはとくに動揺を見せない声でいうが、エリッツの方は頭が真っ白になってしまう。あわててダグラスを押しのけて立ちあがった。
「す、すみません。ごめんなさい」
謝るのも変だとどこかで冷静に思いつつ恐々とフィアーナの顔色をうかがう。
相変わらず人形のような無表情で何を考えているのかわからない。
「あの……」
何かいってもらわないとエリッツとしても動けない。そんな状況でまたダグラスがエリッツの腕を引っぱってソファに戻してしまう。
「兄さん、ちょっと、やめてよ」
ばたばたともがくエリッツの反応をあきらかにおもしろがっている。
フィアーナは淡いレモンイエローの裾の長いドレスを着て、深夜にも関わらず髪もきれいに結っていた。貴婦人として完璧な出で立ちに迫力を感じてエリッツはそのままかたまってしまう。
そんなエリッツにフィアーナがつかつかと歩みより何かを差しだした。ぶたれるのかとエリッツは身を固くしたが、差しだされたのは見覚えのある本だった。この家にある書庫のエリッツが読みかけだったものだ。南方の砂漠地帯を調査していた男の記した旅行記で植物や動物、衣服など資料的な価値の高い挿絵が多く入っている。興味深い一冊だったが、書庫に入りにくくなったため続きはあきらめていた。本の間からはきちんとエリッツのしおりがはさまったままになっている。
この状況でどういうことかわからないが、フィアーナはわざわざそれを持ってきてくれたようだ。エリッツは恐る恐る本に手を伸ばす。それと同時にフィアーナも本を持っている手とは逆の手をエリッツの方にのばす。やはりぶたれるのかとエリッツが身を縮めるとなぜか頭をなでられた。
「どうだ、マルクと違ってかわいいだろう」
ダグラスは妻になぞの自慢をはじめる。驚いたことにフィアーナは静かにうなずき、いつまでもエリッツの頭をなでている。表情からは相変わらず何も読み取れず不気味だ。
「兄さん、なんなの」
これでは犬か猫ではないか。受け取った本をしっかりと抱き、エリッツは憮然と兄を見あげた。
「まぁまぁ」
ダグラスはとりなすように笑う。
「ディケロもマルクも本を読むような連中じゃないから話が合わないんだそうだ。エリッツのことをずっと気にしていたんだよな」
話が合うも合わないも話自体をしないじゃないかとエリッツは心の中で反論するがもちろん口には出さない。
「これ」
フィアーナがエリッツのかかえている本を指さすので渡すと、ぱらぱらとめくりとある挿絵を見せてきた。砂漠に生息しているという爬虫類で、毒々しいまだら模様が気持ち悪い。できればあまり出会いたくない生き物だった。
「フィアーナはこういうのが好きなんだよな」
それはエリッツとも話が合いそうにない。どちらかというとうさぎとか毛の生えた動物や鳥の方が好きだ。
そんなエリッツの心情にはまったく気づくことなくフィアーナはしばらく爬虫類の挿絵ばかりエリッツに見せていた。やがて爬虫類の絵がなくなったのか唐突に立ちあがると「ダグラス」と兄の名を呼ぶ。
「ああ、そうだった。エリッツ、ちょっと頼まれて欲しいことがあるんだ」
結局何か頼まれるのだ。どういうわけか兄は妻の目の前でもエリッツの肩を抱いて引き寄せることに躊躇しない。
「フィアーナがリークという少年が気になるっていうんだ。王子の側近の手の者ではないならもしかしてアイザック氏の指示で何かよからぬことをやっているのかもしれない。この屋敷に来てからもちょこちょこと動き回っているのをフィアーナが見ている」
ダグラスの言葉にフィアーナが無表情のままこくりとうなずいた。弟の体を抱く夫の姿を見ても眉ひとつ動かさない。変な夫婦だ。
「別に目的を問いただせってわけじゃないだ。歳が近い者同士で話をしてみてその印象を教えてくれるだけでもいい。なにかクリフの助けになるヒントが見つかるかもしれない」
エリッツは弱りはててついため息をもらしてしまう。ゼインにはリークに近づくなと忠告を受けたばかりだ。
「アルヴィンがいればよかったんだけど」
思わずどうにもならないことをいってしまう。アルヴィンならそういうこともうまくやるし、そもそもリークについて何か知っていたかもしれない。
「ああ、あのもう一人の護衛の少年か。あの子は今、カウラニー家にいるらしいな」
エリッツははじかれたように兄を見る。カウラニー家といえばシェイルの実家だ。なぜそんなところに。
「経緯はわからないが、部下の一人が見かけたといっていた。カウラニー家は近所だからな。あそこの御大は身寄りのない子供を拾う癖があるらしい」
暗にシェイルのことを揶揄しているようにも聞こえるが、そんなことよりもアルヴィンは何の目的でどうやってそんなところにもぐりこんだのだ。
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