【R18】逆上がりの夏の空

藤原紫音

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第27話「すべてがリセットされること」

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 目の前に、の唯が立っていて、ぼくは鉄棒からすとんと着地する。

 周りに居た他の子たちがいない。ぼくはその場でぐるりと回って、周囲を見渡す。ぼくと唯だけ。これは、ぼくが時間を遡った時点に戻ってきたんだ。そう思って唯に目を留める。唯はぼくをみている。夕闇に表情がみえない。
「唯……」
 そうだ、時を遡る前、ぼくは唯とそんなに親しくなかった。同窓会が終わって、取り壊し寸前の校舎を見に来たんだ。すっかり忘れていた記憶が蘇る。妹と仲が悪くて、刑務所みたいな男子校の男子寮で生活していて、親しい友だちも恋人もいない鈍色にびいろに戻ってきた。いまさっきまでのことは、ただの夢か、幻覚か、ずいぶん遠い過去のように感じる。だけど、ぼくには想い出が残っている。果たして唯は。

「逆上がり、できるんだ」

 唯はそう言った。
 唯はなにも憶えていない。あるいは、ぼくの想い出の唯と、眼の前の唯は別人かもしれない。すると、陽菜も、莉緒菜も、露杏奈だって、きっとなにも憶えていないだろう。ぼく以外の記憶が消えてしまった。逆上がりでみた夏の空は幻だったのか。あの絶望的な状況から逃げ出せたのは、まるで悪い夢から醒めたみたいで、さっきまでの現実と、いまの現実がうまくつながらない。
 そうだ、露杏奈は言っていた。帰国して、なんとなく立ち寄った阿佐ヶ谷北の公園で逆上りしたんだと。もし、露杏奈も何も憶えていなかったら、そのまま立ち去ってしまう。もう、永遠に会えなくなってしまう。

「唯ちゃん、ぼく、急用があるんだ」
「どうしたの?」
「ごめん、また」

 ぼくは校庭から駆け出す。フェンスを飛び越えて、細い路地を真っ直ぐ走る。振り返らない。

 細い路地を青梅街道まで突っ走る。
 犬が吠える。学生たちの自転車の集団とすれ違う。消防車のサイレンが聞こえる。走りながらルートを考える。直線距離なら商店街を抜けるほうが近いけれど、人が多くて走れない。青梅街道に出ると、区役所に向けて全速力。阿佐ヶ谷の北にある公園で、鉄棒があるのは一箇所だけ。駅からは道順が複雑で遠い。

 に戻ってきてから、もうどれくらい経ったのだろう。露杏奈がほんとうになにも憶えていなかったら、もう立ち去ったかもしれない。もしそうだとしても、あの北の公園から駅までかなりの距離がある。露杏奈が駅に辿り着く前に、電車に乗って永遠に会えなくなってしまう前に、高校生になった露杏奈をみつけなければならない。

 信号が変わった交差点の横断歩道を斜めに走る。息が切れる。中杉通りを駆ける。汗が噴き出す。苦しくて、体中が痛くて、もう走れない。みるみる速度が落ちるけれど、前に進む。目線がアスファルトに落ちる。露杏奈に想いを伝えたのに、あんなに愛し合ったのに、もう会えなくなるのは厭だ。

 力を振り絞って顔を上げたとき、前から白い服を着た少女が駆けてくるのがみえた。真っ直ぐ、ぼくに向かってきて、飛びついた。

「露杏奈!」
「乃蒼くん!」

 中杉通りの薄暗い歩道で、ぼくと露杏奈は出会い、抱きしめ合う。

 * * *

「お父さん、入学したばかりだけど、大政高校を辞めたいんだ。中杉高校に行きたい。このまま寮生活するのは耐えられないし、亜香里に会いたい」

 外国にいるお父さんに、電話で退学の意思を伝える。
 怒られるかと思ったけれど、お父さんはぼくの意思を尊重してくれた。あとから辞めなければよかったと後悔しないように、よく考えたのならいいと言った。

 ぼくは既に高校には退学の意思を表明していて、日曜日の今日は露杏奈と一緒に、自動精算のラブホにいた。
 お父さんと電話したあと、今度は自宅マンションの亜香里に電話する。露杏奈はぼくの両脚の間にうつ伏せになって、ぼくのおちんちんを喉の奥まで呑み込んで、くちゃごっ、くちゃごっ、と陰惨な音をひびかせる。
「高校、辞めちゃうの?」
 亜香里が言う。
「うん。男子寮で生活なんか……もうできないし、亜香里はずっと一人ぼっちでしょ」
「美咲叔母さんが週一で来てくれてるけど……」
 露杏奈が口を離して、備え付けのゴムをつける。ぼくを跨ぐ。濡れた割れ目に巨根を沈める。みちゅるるるっと深く包まれ、コリコリした子宮頸を突き上げると、露杏奈が甘い声を漏らす。
「誰かいるの?」
 露杏奈を見上げる。豊満に成長した乳房を上下に揺さぶりながら、ぼくに手を差し伸べる。スマホを渡す。
「もしもし、亜香里ちゃん。露杏奈です。伊東露杏奈、知ってる? 話したことはないよね。あたしね、お兄さんの彼女になったの。うん……ウフフ、それでね、今度遊びに行ってもいい? そういうんじゃないよ、亜香里ちゃんと……んっ、お話し……したいの」
 ぼくは露杏奈の乳首を指先で弄りながら、露杏奈を突き上げる。露杏奈は首を横にふる。
「じゃあ、あっ……お兄さんが、戻ったら、あっ、遊びに……行くね。じゃあね」

 露杏奈は勝手に通話を切ってしまう。引っ越しの日程を伝えていないのに。
「あーっ、いくっ、まっ……また、いくっ、乃蒼くん」
「露杏奈、ぼくも、出ちゃう、はっ、あっ、あっ、あっ、出るっ」
「出して、いっぱい、なかでイって」

 びじゅううううっ、びゅくっ、びじゅるるるっ、びじゅーっ、予想に反して、卑猥な音を響かせて結合から精液が溢れる。えっ、嘘っ、と露杏奈が驚いて腰を浮かす。抜けたおちんちんが大量の精液を撒き散らす。ゴムが破けて、残骸が陰茎に巻き付く。
「あっ、まただ、どうしよう……、ぐっ」
 ぼくが上半身を起こすと、お腹が圧迫されて更に精液が噴水のように噴き上がる。露杏奈が両手でおちんちんを握る。
「あははっ、やっぱ乃蒼くん量が多すぎるんだよ、これじゃ破けちゃうって。んむ、じゅるるるっ」
 露杏奈が溢れる精液を啜る。ゴムの残骸を取って、ゴミ箱に捨てる。ベッドの周囲に脱ぎ散らかしたぼくたちの服。壁掛けの大画面テレビにエロ動画が流れて、入り口に置かれた水槽で熱帯魚が泳ぐ。露杏奈はぼくを抱き起こして、両脚を開いて仰向けになる。

「もう出しちゃったからいいよ、そのまましよう」

 そう言って、両脚をぼくの腰に巻き付ける。ぼくはいきつおちんちんを上からおさえつけて、露杏奈のすべすべの割れ目におしつける。露杏奈は毛を処理しているけれど、ぼくはもともと生えていない。
 露杏奈が両手を伸ばして、ぼくのすべすべのおちんちんに指を巻きつける。体重をかけると、にゅるるるっと滑らかな粘膜を掻き分けて滑り込む。肌色の割れ目に咥えこまれたおちんちんを観察する。

「唯や、陽菜たちもそうだけど、亜香里も何も憶えていないみたい」とぼくが言う。
「そうみたいだね」
「ウチに遊びにきちゃうと、エッチできないよ」
「どうして?」
「亜香里がいるから」
「亜香里ちゃんと一緒にすればいいでしょ」
「亜香里はなにも憶えていないよ」
「あたしが誘うよ。だって、あたしを熱心に誘って、乃蒼くんのところに連れてきたのは亜香里ちゃんなんだし」
「露杏奈は、それでいいの?」
「あたし、亜香里ちゃんのことも好き……。ねえ、焦らさないで」
 露杏奈が両脚でぼくを引き寄せる。両手でぼくの乳首を弾く。ぼくは露杏奈に覆いかぶさって、身体を波打たせて露杏奈を突き下ろす。

 * * *

 に戻ってから一週間が経っていた。

 ぼくと露杏奈は中杉通りで再会し、お互いのこと、過去に戻って半年もの間、数え切れないくらい何度も愛し合ったことを忘れていなかった。だけど、唯や陽菜、莉緒菜たちは何も憶えていなくて、絵里衣と玲蘭に至っては連絡先もわからずじまいだった。

 ぼくたちが乱交を撮影して販売していた事実は無くなって、露杏奈も処女だった。ぼくは寮に外出許可の延長を申請して、先週の日曜日、このホテルでお互い二度目の初エッチをした。
 初めてなのにお互いの身体を熟知していて、高校生に成長した身体はとても新鮮だった。あの頃と違って、露杏奈はもう高校生だから、ぼくはゴムを買って避妊したのだけど、おちんちんが大きいせいか、精液が多いせいか、毎回膣内で破けてしまう。

 露杏奈は中杉高校に編入が決まっていて、ぼくも同じ高校を志望するつもりだ。
 お互い連絡先を交換して、毎晩スマホで長時間通話した。露杏奈はお父さんと一緒に帰国したのではなく、露杏奈自身が母親と一緒に暮らすことを希望したのだった。父親とは随分揉めたみたいだけど、父方の祖父が露杏奈の味方をしてくれて、帰国を手助けした。国籍をベルギーのままにして、時々帰国することを条件に父親が折れたと言う。

 露杏奈の自宅は小学校の頃と変わっていなくて、ぼくの住んでいるマンションから十五分くらいの青梅街道沿いにあって、ぼくは土曜日に招待された。露杏奈がするお母さんの話はネグレクトに近い内容のものばかりだったから、失礼な話だけど、ひどく散らかって汚れたキッチンに酒瓶が転がり、昼間でパジャマ姿のだらしない母親を勝手に想像していたのだけれど、露杏奈の自宅マンションは想像以上に綺麗に片付いていた。
 ウェッジウッドのティーカップにカモミールティーを淹れてくれた露杏奈のお母さんは若くて美人で「つっけんどんな娘だけどよろしくね」と挨拶した。その笑顔が露杏奈にそっくりだった。

 露杏奈の自室をみせてもらっているときに「全然ちゃんとしたお母さんじゃん」と言うと、
「ロアちゃん、明日お母さんのお友達来るから……どっか遊びに行っててね」
 と露杏奈のお母さんが部屋の外から声をかけて、どこかへ出かけていった。
 その後、ぼくは露杏奈の部屋でセックスしたのだけど、いつ露杏奈のお母さんが帰ってくるかわからないまま愛し合い、射精を我慢するので精一杯だった。

 * * *

「ふーっ、あっあっあっいっ、きもちい……乃蒼……あーっ」
「露杏奈、ぼくも……あっ、きもちいい、露杏奈、愛してる……愛してるよ」

 ぼくはシーツを掴んで、露杏奈を滅多突きにする。ぶちゃぶちゃ、ぬちゃぬちゃ、天使のような露杏奈の股間から行儀の悪い音が響き、露杏奈が精液で濡れた指先でぼくの乳首をぬるぬる刺激する。
「あたしもっ、乃蒼くん、あーっ、いくっ、いっ、ふうっ」
 露杏奈の子宮頸がわかりやすくぎゅっと痙攣する。ぼくは子宮をぐっと突き上げて、同時にぶしゃーっと派手に射精する。露杏奈を抱きすくめて、舌を絡め合う。今日、七回目の射精だけど、休憩無しで四時間が過ぎていた。射精しながら露杏奈を突くと、結合からぶじゃっ、びじゃっと精液が噴き出す。

「乃蒼くん、赤ちゃんできたら、責任取ってね」
「できなくても責任取っていい?」
「アハハ、いいの? ウチらまだ高校生だよ」
「露杏奈のお母さんが許してくれるなら」
「お母さんは、乃蒼くんのこと気に入ってるみたい」
「お父さんはどんなひと? やっぱイケメンなの?」
「怖いよ、すごく厳しいし」
「えーっ、そうなの?」
「ね、今度あたしが上になる」
「そろそろお昼食べなくていい?」
「あと一回してから」

 ぼくは露杏奈を抱き起こして、つながったまま仰向けになる。結合から精液がどばーっと溢れて、ぼくのお腹の上を流れ落ちる。露杏奈はお構いなくぼくの上で腰を振る。指で精液を拭って舐める。
 唯たちと乱交していたときも薄々感じていたけれど、露杏奈は麗しい容姿と裏腹にめちゃくちゃエロくて、セックスが好き。体力が尽きるまで何回でもしたがる。
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