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第26話「菱田梨衣菜が逮捕されること」
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土曜日、朝から雨が降っている。
ぼくの部屋に、露杏奈と唯、陽菜、莉緒菜、亜香里が集まっていた。いつものように菱田梨衣菜がセックスを撮影するためじゃない。もっと深刻な事態を話し合うためだった。
パソコンでニュースサイトを表示すると、ある事件の報道がいくつも並んでいる。一つをクリックすると、ニュース映像が流れる。
『通信販売などによって裸の女児の動画を販売したとして、警視庁などの合同捜査本部は二十四日、児童買春・ポルノ禁止法違反などの疑いで、自称アルバイト菱田梨衣菜容疑者を逮捕しました。合同捜査本部によると、菱田容疑者はSNSなどを通じて顧客を勧誘し、これまでに四千万円以上の売上があったとしています』
マンションから出てくる菱田梨衣菜の姿をカメラがとらえる。この画面でみると菱田梨衣菜はすごい美人にみえる。普段はもっと可愛い感じなのだけど。
ぼくが聞いた話では、菱田梨衣菜は動画を誰かに渡していると言っていたけれど、ニュースサイトの情報だとそういう事実はなく、菱田梨衣菜自身が動画を編集し、メディアに焼いて、直接顧客に販売していた。ネットでは、菱田梨衣菜の逮捕よりも、その動画の内容についての話題でもちきりだった。
巨根の少年がモデルの少女たちとめちゃくちゃ長時間乱交してる。
そんな言葉だけが独り歩きし、モデルが誰かという特定に躍起になる人たちが少なからずいた。掲示板でそういう話題に参加する人たちは、何らかの方法で動画を交換してるようだった。この時代、まだ単純所持はギリギリ違法ではないのだ。
伊東露杏奈と園部絵里衣の名前は既に確定で出ていて、モデルではない唯や陽菜、莉緒菜、妹の亜香里についてもモデルかアイドルか配信者だと疑って、様々な推測が飛び交っていた。これまで感じたことのない、途轍もない恐怖を覚える。
「これどうしよう……」
露杏奈が声を震わせる。莉緒菜は泣いている。
「絵里衣ちゃんは、連絡とれないの?」と唯が訊く。
「電話はつながらないよ。シグナルでメッセージは来たんだけど、知らぬ存ぜぬを突き通すって」
ぼくは答える。
「そんなの通るわけないじゃん」
「そうなんだけど……」
「あった」
陽菜が言う。陽菜は自分のノートパソコンを持ってきていて、何かを探していた。
「トレントで放流されてるよ。最悪、いままで撮影したの全部だよ……ほら」
陽菜が動画を再生する。夏休みの最後、例の貸し切り旅館で撮影した乱交が流れる。4Kの精細な映像で、ぼくのおちんちんが少女たちの割れ目ににゅるにゅる出し挿れされるダイジェスト映像が数分間流れて、露天風呂のシーンが始まる。
「えーっ、これも? あたしお気に入りなんだけど」と唯。
「タダ見されるの、ムカつくね」と露杏奈が言う。
ぼくは菱田梨衣菜の言葉を思い出す。ぼくを安心させようと、大丈夫を繰り返していた。
「もしバレたら、強制されたって言えばいいって、梨衣菜さんから言われたよ」
「もー、強制されてるわけないじゃん。みて、みんなこんなに悦んでるよ。あたしも自分から乃蒼くんのちんぽ自分に挿れてるし、陽菜なんか精液でうがいしてたよね」
唯に言われて陽菜は力なく笑う。莉緒菜は泣きながら笑う。露杏奈は諦め顔で亜香里をみる。
「あたしバレるのはいいんだけど、乃蒼くんとエッチできなくなるのが厭、みんなとエッチできなくなるのが厭」
「あたしも厭、露杏奈ちゃんと会えなくなるとか耐えられない」
亜香里が言って、露杏奈と抱き合う。キスをする。二人の絡み合う舌をみていると、こんな切羽詰まった状況なのに、みるみる勃起してしまう。ぼくはシャツの裾を掴んで引っ張る。陽菜がシャツの上からぼくのおちんちんを掴んで上下に撫でる。
「勃起しないでよ、ヤりたくなるじゃん」
「ご……ごめ、あっ……ちょっ、だめ」
陽菜がシャツを捲くりあげて、勃起したおちんちんをちゅるりと呑み込む。陰茎と唇のあいだに隙間をあけて、ちゅるごっ、ちゅるぼっ、ぶちゃぼっ、ぶちゅぼっ、とものすごい音を響かせて愛撫する。
唯がぼくを押し倒し、露杏奈と亜香里もぼくに群がる。いつものようにセックスが始まる。莉緒菜だけはまだ泣いていて、「こんなときに辞めようよ」と力なく抗議する。
「こんなときだからエッチするんだよ、明日はもうできないかもしれないんだよ」
露杏奈が言って、ぼくを跨ぐ。ショーツをずらして、濡れたおちんちんを濡れた割れ目にちゅるりと沈める。
* * *
仰向けの莉緒菜の胎内に射精する。露杏奈が莉緒菜のお腹に耳を当てて、精を注ぐ音を聞く。
「びじゅーっ、びじゅーっていってる」
「聞こえるの?」
「うん、すごいよ乃蒼くん。勢いがヤバい」
ぼくは陽菜と唯を両腕に抱いて、乳首を吸われながら、交互に舌を絡め合う。いつもより情熱的に愛撫されて、五人の少女と満遍なく繰り返しセックスを続ける。お昼は過ぎたけれど、外はまだ雨が降っていて、ぼくたちは雨音を聞きながら愛し合う。テレビはつけない。菱田梨衣菜のニュースが流れてくることが怖い。
おちんちんを引き抜くと、莉緒菜を愛撫していた亜香里と露杏奈が濡れた陰茎に群がる。じゅるじゅる啜り上げながら、交代で呑み込み、扁桃腺で愛撫する。莉緒菜のつるつるの割れ目から、泡を伴ってたっぷりの精液がドボリと溢れる。
ぼくはそのまま仰向けになる。息をつく暇もなく、唯がぼくに跨って、露杏奈と亜香里がおちんちんを唯の割れ目に押し付ける。ぬちゅるるるっと底まで沈み、子供の熱い肉に包まれて、きもちよくて鳥肌が波紋のようにひろがる。ぼくの顔を陽菜が跨ぎ、精液に濡れた割れ目をおしつける。亜香里と露杏奈がぼくの乳首を舌で抉る。
ぼくは陽菜の膣口に舌を挿れてぐるぐる掻き回し、両手を伸ばして陽菜の乳首を摘む。初めて陽菜とセックスしたときは痩せてぺたんこだった胸がほんのり膨らんできた。乳首を刺激すると、ぼくと同じくらい敏感に反応する。陽菜の愛液を味わいながら、露杏奈と亜香里に乳首を吸われて、唯の膣におちんちんをちゅるちゅるマッサージされる贅沢なひととき。
まいにちまいにち休み無くセックスを繰り返していると、少女たちの肉体の成長を直に感じる。声、乳房、お尻、肉づき、そして膣。子供どうしのセックスは、セックスだけで常に変化し続けるから、飽きることがない。ずっと楽しんでいたい、ずっとこうしていたい。こんな幸せは長続きしないとわかっていたけれど、こんな終わり方は厭だ。
「乃蒼くん、逆上がりしてみない?」
露杏奈が耳元で囁く。陽菜が腰を浮かす。
「もう……一度?」
「そう、駄目かもしれないけど、もしかしたら、半年前に戻れるかもしれない」
「もし……だめだったら?」
「だめだったら、今のままでしょ。何も失わないよ」
唯が身体を波打たせ、顔を横に向けて背中を抱いた莉緒菜と舌を絡め合う。上からも下からもくちゃくちゃ音が響く。陽菜がぼくを見下ろして訊く。
「なんの話?」
* * *
ぼくと露杏奈は、みんなに逆上がりの話をした。
ぼくたちはもう高校生になっていて、同窓会の帰り道、唯と一緒に訪れた小学校の鉄棒で逆上がりしたとき、今年の六月三日にもどったこと。露杏奈も同じタイミングで逆上がりしたこと。
信じてもらえないとおもっていたけれど、陽菜も唯も亜香里もキラキラした純粋な眼差しでぼくたちの話を聞いていて、次々に質問を浴びせる。
時を遡る前、ぼくは女の子たちと結ばれることなく、目立たない小学生として過ごし、私立大政中学に進学したこと。そこから先は単調な日々を過ごしたこと。男子校の男子寮という禁欲の世界で出家信者のように生活していたこと。露杏奈に片思いだったこと。絵里衣と玲蘭に犯されるまでは童貞だったこと。ぼくは仰向けの露杏奈を突きおろしながら、事実を淡々と語る。
「じゃあ、もう一度逆上りすれば、また元通りになれるってこと?」
亜香里が訊く。
「それは、わからないよ。どんなふうにすれば、いつに戻るのか、なにもわからない。そのときは夕方で、ぼくは小学校の鉄棒で、露杏奈は公園の鉄棒で……逆上がりしたんだ」
「もし戻ったら、記憶は消えちゃう?」
「それもわからない。ぼくと露杏奈は、おっ、あーっ、憶えていたけど……」
「今のままだと、もう明日にでも、あたしたちのお母さんが学校に呼び出しされちゃうよ。ダメ元でいいから、逆上がりしてみようよ」と莉緒菜が言う。
「待って、するなら夕方でしょ。あたし、もっとエッチしたい」
唯が言う。陽菜と一緒に、ぼくの脇腹から乳首までをつるりと舐めて、舌先が乳輪をくるくる回る。ゾワッと肌が粟立つ。ぼくは二人の頭を抱いて、露杏奈をぶちゃぶちゃ滅多突きにする。女の子みたいな声で喘ぐ。きもちいい、きもちいいよ、からだが溶けてしまいそう。
ぼくは露杏奈の胎内に大量の精を放つ。唯と陽菜が露杏奈の下腹部をてのひらでぐっと押さえつけると、結合から精液がぶじゃっと勢いよく噴き出す。バスタオルがびしょびしょになる。
二人はおちんちんを引き抜いて、奪い合うように愛撫する。亜香里が露杏奈の割れ目に唇をつけて、じゅるるるっと精液を吸い出す。頬を膨らませて露杏奈に口移しする。唯が不安そうな表情の莉緒菜の腕を引き、ぼくを跨がせる。陽菜がおちんちんを支えて、莉緒菜がゆっくり腰を落とすと、ぼくの目の前で濡れた小学生の割れ目が極限まで拡がり、みちみちみちと音を立てて巨根を包み込む。
* * *
午後五時半、すっかり日が暮れて雨に冷やされた風が吹く。
ぼくたちはマンションを出て、小学校へ一直線に向かう。図書館の前を通る細い道を通れば、学校まで十分とかからない。
学校の正門は閉じていたけれど、校庭のある南側に回ると、夏の台風で倒れた街路樹に潰されたフェンスがそのままになっていて、ロープが結ばれている。ぼくたちは、ロープの隙間をくぐって、グラウンドの隅にある鉄棒に駆け寄る。唯と陽菜が一番にたどり着いて、そのまま逆上りする。くるりと回って着地する。露杏奈がケラケラ笑う。亜香里が莉緒菜の手を引いて連れてくる。
「ねえ、見つかっちゃうよ」と莉緒菜。
「大丈夫だよ、ほら、莉緒菜も逆上がりしなよ」
唯が言う。
ぼくたちは逆上がりして時を遡り、すべてをリセットするという目的でここを訪れていたのだけど、唯と陽菜はそんな目的は忘れてしまったかのようにはしゃいで、夜の闇の中でじゃれ合う。
ぼくも逆上がりで時空を飛び越えるなんてことを、実際に体験したにもかかわらず、信用できなくなっていた。この半年間、ここにいない絵里衣と玲蘭も含めて、七人の少女たちとたくさんセックスした濃密な想い出のせいで、大政中学へ進学した記憶はすっかり霞んで消えてしまいそうだった。露杏奈がいなければ、ぼくはあの逆上がりをなかったことにするところだ。
「ねえ、もし、時間を戻して、あたしの記憶が消えちゃったら、乃蒼くんどうする?」
露杏奈が訊く。ぼくは鉄棒を掴んで露杏奈をみる。亜香里をみる。莉緒菜と唯をみて、陽菜に目を留める。
「また友達になろうよ」
「それは、エッチしたいってこと?」
「うん……したい」
そう答えると、露杏奈はぼくにキスをする。舌を絡める。勃起のおさまらないおちんちんを服の上から撫でる。ぼくも露杏奈の腰に腕を回して引き寄せる。ワンピースの裾から手を差し込んで、ショーツの中に指を滑らせる。陰核を指で挟んで刺激する。
陽菜が鉄棒を掴んで言う。
「ウチらも乃蒼くんとセックスしたい、露杏奈ちゃんともしたい」
「またみんなでしようよ」と露杏奈。
「じゃあさ、もし記憶がなくなったら、憶えてるひとがあたしたちみんなを集めること。絵里衣ちゃんとこにいけば、梨衣菜さんのベビーローション貰えるから、忘れないでね」
「もし全員記憶がなくなったら?」
「そのときはそのとき。また普通の小学生に戻るだけでしょ」
陽菜が言って、鉄棒を掴んで身体を持ち上げる。真っ黒な空をみあげる。
校庭の脇道をバイクが通過する。校庭の土はまだ濡れていて、黴びた匂いがする。莉緒菜がぼくをみている。亜香里が露杏奈とヒソヒソ話をする。唯がぼくを背中から抱いて、シャツの上から乳首を爪弾く。この半年に起きたことを一斉に思い出す。
大杉タウンで唯と初めてエッチしたこと、仲直りした妹と結ばれたこと、女子寮で嫐られたこと、体育館で莉緒菜を犯しているところを露杏奈に目撃されたこと、菱田梨衣菜のカメラで撮られたこと、露杏奈が撮影に訪れて、一回だけの約束でセックスしたこと、そして夏休み中ずっとぼくのマンションに入り浸り、妹と一緒に朝起きてから寝るまで飽きもせず繰り返しなんどもなんども愛し合ったこと。
セックス、セックス、セックス、更にセックス、この半年はセックスのことしか思い浮かばない。こんな不確かな関係は長続きしないと覚悟していたけれど、こんなふうに終わりを迎えるとは思わなかった。
「はい、並んでー」
唯の声にみんな鉄棒を掴む。莉緒菜だけはぼくたちをみている。
「莉緒菜、逆上がりするよ」
「あたし、逆上がりできないから……みてるよ」
「じゃあ、ウチらだけでとりあえず回ろう」
陽菜が言って、ぼくたちをみる。身体を引き上げる。ぼくたちも鉄棒に乗る。足をぶらぶらさせる。
「いくよ、せーのっ」
世界がくるりと回って、夜闇に街頭の灯りが帯を引いて、また元通り。
「あははっ、変わらないじゃん」
露杏奈が笑う。ぼくも笑う。時間を遡るなんて、そんな子供だまし、ぼくたちは本気で信じていたわけじゃない。陽菜が鉄棒に飛び乗って言う。
「じゃあ前回り!」
ぼくたちは一緒に鉄棒で前回りする。
真っ黒な空がぐるりと回転し、それは回りながら橙にグラデーションして、すとんと着地したとき、茜色に染まった校舎にはネットが張られていた。
また、何かが起きた。
ぼくの部屋に、露杏奈と唯、陽菜、莉緒菜、亜香里が集まっていた。いつものように菱田梨衣菜がセックスを撮影するためじゃない。もっと深刻な事態を話し合うためだった。
パソコンでニュースサイトを表示すると、ある事件の報道がいくつも並んでいる。一つをクリックすると、ニュース映像が流れる。
『通信販売などによって裸の女児の動画を販売したとして、警視庁などの合同捜査本部は二十四日、児童買春・ポルノ禁止法違反などの疑いで、自称アルバイト菱田梨衣菜容疑者を逮捕しました。合同捜査本部によると、菱田容疑者はSNSなどを通じて顧客を勧誘し、これまでに四千万円以上の売上があったとしています』
マンションから出てくる菱田梨衣菜の姿をカメラがとらえる。この画面でみると菱田梨衣菜はすごい美人にみえる。普段はもっと可愛い感じなのだけど。
ぼくが聞いた話では、菱田梨衣菜は動画を誰かに渡していると言っていたけれど、ニュースサイトの情報だとそういう事実はなく、菱田梨衣菜自身が動画を編集し、メディアに焼いて、直接顧客に販売していた。ネットでは、菱田梨衣菜の逮捕よりも、その動画の内容についての話題でもちきりだった。
巨根の少年がモデルの少女たちとめちゃくちゃ長時間乱交してる。
そんな言葉だけが独り歩きし、モデルが誰かという特定に躍起になる人たちが少なからずいた。掲示板でそういう話題に参加する人たちは、何らかの方法で動画を交換してるようだった。この時代、まだ単純所持はギリギリ違法ではないのだ。
伊東露杏奈と園部絵里衣の名前は既に確定で出ていて、モデルではない唯や陽菜、莉緒菜、妹の亜香里についてもモデルかアイドルか配信者だと疑って、様々な推測が飛び交っていた。これまで感じたことのない、途轍もない恐怖を覚える。
「これどうしよう……」
露杏奈が声を震わせる。莉緒菜は泣いている。
「絵里衣ちゃんは、連絡とれないの?」と唯が訊く。
「電話はつながらないよ。シグナルでメッセージは来たんだけど、知らぬ存ぜぬを突き通すって」
ぼくは答える。
「そんなの通るわけないじゃん」
「そうなんだけど……」
「あった」
陽菜が言う。陽菜は自分のノートパソコンを持ってきていて、何かを探していた。
「トレントで放流されてるよ。最悪、いままで撮影したの全部だよ……ほら」
陽菜が動画を再生する。夏休みの最後、例の貸し切り旅館で撮影した乱交が流れる。4Kの精細な映像で、ぼくのおちんちんが少女たちの割れ目ににゅるにゅる出し挿れされるダイジェスト映像が数分間流れて、露天風呂のシーンが始まる。
「えーっ、これも? あたしお気に入りなんだけど」と唯。
「タダ見されるの、ムカつくね」と露杏奈が言う。
ぼくは菱田梨衣菜の言葉を思い出す。ぼくを安心させようと、大丈夫を繰り返していた。
「もしバレたら、強制されたって言えばいいって、梨衣菜さんから言われたよ」
「もー、強制されてるわけないじゃん。みて、みんなこんなに悦んでるよ。あたしも自分から乃蒼くんのちんぽ自分に挿れてるし、陽菜なんか精液でうがいしてたよね」
唯に言われて陽菜は力なく笑う。莉緒菜は泣きながら笑う。露杏奈は諦め顔で亜香里をみる。
「あたしバレるのはいいんだけど、乃蒼くんとエッチできなくなるのが厭、みんなとエッチできなくなるのが厭」
「あたしも厭、露杏奈ちゃんと会えなくなるとか耐えられない」
亜香里が言って、露杏奈と抱き合う。キスをする。二人の絡み合う舌をみていると、こんな切羽詰まった状況なのに、みるみる勃起してしまう。ぼくはシャツの裾を掴んで引っ張る。陽菜がシャツの上からぼくのおちんちんを掴んで上下に撫でる。
「勃起しないでよ、ヤりたくなるじゃん」
「ご……ごめ、あっ……ちょっ、だめ」
陽菜がシャツを捲くりあげて、勃起したおちんちんをちゅるりと呑み込む。陰茎と唇のあいだに隙間をあけて、ちゅるごっ、ちゅるぼっ、ぶちゃぼっ、ぶちゅぼっ、とものすごい音を響かせて愛撫する。
唯がぼくを押し倒し、露杏奈と亜香里もぼくに群がる。いつものようにセックスが始まる。莉緒菜だけはまだ泣いていて、「こんなときに辞めようよ」と力なく抗議する。
「こんなときだからエッチするんだよ、明日はもうできないかもしれないんだよ」
露杏奈が言って、ぼくを跨ぐ。ショーツをずらして、濡れたおちんちんを濡れた割れ目にちゅるりと沈める。
* * *
仰向けの莉緒菜の胎内に射精する。露杏奈が莉緒菜のお腹に耳を当てて、精を注ぐ音を聞く。
「びじゅーっ、びじゅーっていってる」
「聞こえるの?」
「うん、すごいよ乃蒼くん。勢いがヤバい」
ぼくは陽菜と唯を両腕に抱いて、乳首を吸われながら、交互に舌を絡め合う。いつもより情熱的に愛撫されて、五人の少女と満遍なく繰り返しセックスを続ける。お昼は過ぎたけれど、外はまだ雨が降っていて、ぼくたちは雨音を聞きながら愛し合う。テレビはつけない。菱田梨衣菜のニュースが流れてくることが怖い。
おちんちんを引き抜くと、莉緒菜を愛撫していた亜香里と露杏奈が濡れた陰茎に群がる。じゅるじゅる啜り上げながら、交代で呑み込み、扁桃腺で愛撫する。莉緒菜のつるつるの割れ目から、泡を伴ってたっぷりの精液がドボリと溢れる。
ぼくはそのまま仰向けになる。息をつく暇もなく、唯がぼくに跨って、露杏奈と亜香里がおちんちんを唯の割れ目に押し付ける。ぬちゅるるるっと底まで沈み、子供の熱い肉に包まれて、きもちよくて鳥肌が波紋のようにひろがる。ぼくの顔を陽菜が跨ぎ、精液に濡れた割れ目をおしつける。亜香里と露杏奈がぼくの乳首を舌で抉る。
ぼくは陽菜の膣口に舌を挿れてぐるぐる掻き回し、両手を伸ばして陽菜の乳首を摘む。初めて陽菜とセックスしたときは痩せてぺたんこだった胸がほんのり膨らんできた。乳首を刺激すると、ぼくと同じくらい敏感に反応する。陽菜の愛液を味わいながら、露杏奈と亜香里に乳首を吸われて、唯の膣におちんちんをちゅるちゅるマッサージされる贅沢なひととき。
まいにちまいにち休み無くセックスを繰り返していると、少女たちの肉体の成長を直に感じる。声、乳房、お尻、肉づき、そして膣。子供どうしのセックスは、セックスだけで常に変化し続けるから、飽きることがない。ずっと楽しんでいたい、ずっとこうしていたい。こんな幸せは長続きしないとわかっていたけれど、こんな終わり方は厭だ。
「乃蒼くん、逆上がりしてみない?」
露杏奈が耳元で囁く。陽菜が腰を浮かす。
「もう……一度?」
「そう、駄目かもしれないけど、もしかしたら、半年前に戻れるかもしれない」
「もし……だめだったら?」
「だめだったら、今のままでしょ。何も失わないよ」
唯が身体を波打たせ、顔を横に向けて背中を抱いた莉緒菜と舌を絡め合う。上からも下からもくちゃくちゃ音が響く。陽菜がぼくを見下ろして訊く。
「なんの話?」
* * *
ぼくと露杏奈は、みんなに逆上がりの話をした。
ぼくたちはもう高校生になっていて、同窓会の帰り道、唯と一緒に訪れた小学校の鉄棒で逆上がりしたとき、今年の六月三日にもどったこと。露杏奈も同じタイミングで逆上がりしたこと。
信じてもらえないとおもっていたけれど、陽菜も唯も亜香里もキラキラした純粋な眼差しでぼくたちの話を聞いていて、次々に質問を浴びせる。
時を遡る前、ぼくは女の子たちと結ばれることなく、目立たない小学生として過ごし、私立大政中学に進学したこと。そこから先は単調な日々を過ごしたこと。男子校の男子寮という禁欲の世界で出家信者のように生活していたこと。露杏奈に片思いだったこと。絵里衣と玲蘭に犯されるまでは童貞だったこと。ぼくは仰向けの露杏奈を突きおろしながら、事実を淡々と語る。
「じゃあ、もう一度逆上りすれば、また元通りになれるってこと?」
亜香里が訊く。
「それは、わからないよ。どんなふうにすれば、いつに戻るのか、なにもわからない。そのときは夕方で、ぼくは小学校の鉄棒で、露杏奈は公園の鉄棒で……逆上がりしたんだ」
「もし戻ったら、記憶は消えちゃう?」
「それもわからない。ぼくと露杏奈は、おっ、あーっ、憶えていたけど……」
「今のままだと、もう明日にでも、あたしたちのお母さんが学校に呼び出しされちゃうよ。ダメ元でいいから、逆上がりしてみようよ」と莉緒菜が言う。
「待って、するなら夕方でしょ。あたし、もっとエッチしたい」
唯が言う。陽菜と一緒に、ぼくの脇腹から乳首までをつるりと舐めて、舌先が乳輪をくるくる回る。ゾワッと肌が粟立つ。ぼくは二人の頭を抱いて、露杏奈をぶちゃぶちゃ滅多突きにする。女の子みたいな声で喘ぐ。きもちいい、きもちいいよ、からだが溶けてしまいそう。
ぼくは露杏奈の胎内に大量の精を放つ。唯と陽菜が露杏奈の下腹部をてのひらでぐっと押さえつけると、結合から精液がぶじゃっと勢いよく噴き出す。バスタオルがびしょびしょになる。
二人はおちんちんを引き抜いて、奪い合うように愛撫する。亜香里が露杏奈の割れ目に唇をつけて、じゅるるるっと精液を吸い出す。頬を膨らませて露杏奈に口移しする。唯が不安そうな表情の莉緒菜の腕を引き、ぼくを跨がせる。陽菜がおちんちんを支えて、莉緒菜がゆっくり腰を落とすと、ぼくの目の前で濡れた小学生の割れ目が極限まで拡がり、みちみちみちと音を立てて巨根を包み込む。
* * *
午後五時半、すっかり日が暮れて雨に冷やされた風が吹く。
ぼくたちはマンションを出て、小学校へ一直線に向かう。図書館の前を通る細い道を通れば、学校まで十分とかからない。
学校の正門は閉じていたけれど、校庭のある南側に回ると、夏の台風で倒れた街路樹に潰されたフェンスがそのままになっていて、ロープが結ばれている。ぼくたちは、ロープの隙間をくぐって、グラウンドの隅にある鉄棒に駆け寄る。唯と陽菜が一番にたどり着いて、そのまま逆上りする。くるりと回って着地する。露杏奈がケラケラ笑う。亜香里が莉緒菜の手を引いて連れてくる。
「ねえ、見つかっちゃうよ」と莉緒菜。
「大丈夫だよ、ほら、莉緒菜も逆上がりしなよ」
唯が言う。
ぼくたちは逆上がりして時を遡り、すべてをリセットするという目的でここを訪れていたのだけど、唯と陽菜はそんな目的は忘れてしまったかのようにはしゃいで、夜の闇の中でじゃれ合う。
ぼくも逆上がりで時空を飛び越えるなんてことを、実際に体験したにもかかわらず、信用できなくなっていた。この半年間、ここにいない絵里衣と玲蘭も含めて、七人の少女たちとたくさんセックスした濃密な想い出のせいで、大政中学へ進学した記憶はすっかり霞んで消えてしまいそうだった。露杏奈がいなければ、ぼくはあの逆上がりをなかったことにするところだ。
「ねえ、もし、時間を戻して、あたしの記憶が消えちゃったら、乃蒼くんどうする?」
露杏奈が訊く。ぼくは鉄棒を掴んで露杏奈をみる。亜香里をみる。莉緒菜と唯をみて、陽菜に目を留める。
「また友達になろうよ」
「それは、エッチしたいってこと?」
「うん……したい」
そう答えると、露杏奈はぼくにキスをする。舌を絡める。勃起のおさまらないおちんちんを服の上から撫でる。ぼくも露杏奈の腰に腕を回して引き寄せる。ワンピースの裾から手を差し込んで、ショーツの中に指を滑らせる。陰核を指で挟んで刺激する。
陽菜が鉄棒を掴んで言う。
「ウチらも乃蒼くんとセックスしたい、露杏奈ちゃんともしたい」
「またみんなでしようよ」と露杏奈。
「じゃあさ、もし記憶がなくなったら、憶えてるひとがあたしたちみんなを集めること。絵里衣ちゃんとこにいけば、梨衣菜さんのベビーローション貰えるから、忘れないでね」
「もし全員記憶がなくなったら?」
「そのときはそのとき。また普通の小学生に戻るだけでしょ」
陽菜が言って、鉄棒を掴んで身体を持ち上げる。真っ黒な空をみあげる。
校庭の脇道をバイクが通過する。校庭の土はまだ濡れていて、黴びた匂いがする。莉緒菜がぼくをみている。亜香里が露杏奈とヒソヒソ話をする。唯がぼくを背中から抱いて、シャツの上から乳首を爪弾く。この半年に起きたことを一斉に思い出す。
大杉タウンで唯と初めてエッチしたこと、仲直りした妹と結ばれたこと、女子寮で嫐られたこと、体育館で莉緒菜を犯しているところを露杏奈に目撃されたこと、菱田梨衣菜のカメラで撮られたこと、露杏奈が撮影に訪れて、一回だけの約束でセックスしたこと、そして夏休み中ずっとぼくのマンションに入り浸り、妹と一緒に朝起きてから寝るまで飽きもせず繰り返しなんどもなんども愛し合ったこと。
セックス、セックス、セックス、更にセックス、この半年はセックスのことしか思い浮かばない。こんな不確かな関係は長続きしないと覚悟していたけれど、こんなふうに終わりを迎えるとは思わなかった。
「はい、並んでー」
唯の声にみんな鉄棒を掴む。莉緒菜だけはぼくたちをみている。
「莉緒菜、逆上がりするよ」
「あたし、逆上がりできないから……みてるよ」
「じゃあ、ウチらだけでとりあえず回ろう」
陽菜が言って、ぼくたちをみる。身体を引き上げる。ぼくたちも鉄棒に乗る。足をぶらぶらさせる。
「いくよ、せーのっ」
世界がくるりと回って、夜闇に街頭の灯りが帯を引いて、また元通り。
「あははっ、変わらないじゃん」
露杏奈が笑う。ぼくも笑う。時間を遡るなんて、そんな子供だまし、ぼくたちは本気で信じていたわけじゃない。陽菜が鉄棒に飛び乗って言う。
「じゃあ前回り!」
ぼくたちは一緒に鉄棒で前回りする。
真っ黒な空がぐるりと回転し、それは回りながら橙にグラデーションして、すとんと着地したとき、茜色に染まった校舎にはネットが張られていた。
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