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第6話「友達と大杉タウンに遊びに行き、唯に求められること」
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大杉住宅、あるいは大杉タウンと呼ばれる分譲集合住宅地が、ぼくのマンションのすぐ近くにある。変わった形の建物と居住空間が整備されているけれど、とても古い住宅で、今年の春から解体工事が始まっていた。
ぼくはクラスメートの蒼汰、野田亮二、袴田くん、それに唯と莉緒菜とぼくの六人で、この大杉タウンに遊びに来た。テラスハウス住居のほとんどが空き家で、遊具のある広場は誰もいないから、都内なのに広い空間を独占できる。
「氷鬼飽きちゃったよ、今日暑いからかくれんぼにしない?」
ブランコに乗った蒼汰が提案する。
「範囲は?」と亮二。
「大杉タウン全部」
「それ広すぎるだろ」
「じゃあ、この中央ブロックだけにするか?」
「いいよ」
「じゃあ鬼決め」
ぼくたちはいつものように足を出して、袴田くんがみんなの足を「鬼決め鬼決め……」と言いながら叩いていく。莉緒菜が鬼になる。ぼくたちは隠れる場所を探して四方に散る。
ろーく、しーち、はーち……。
莉緒菜のカウントが遠ざかり、聞こえなくなる。ぼくは自宅マンションに近いテラスハウスの間を歩いて隠れる場所を探す。日陰を探す。空き家の玄関の庇の下へ。その場にしゃがみ込む。
柵の向こうにみえる道路は夏の熱気に揺らめいて、蜃気楼が浮いている。ここから給水塔はみえない。広場から離れすぎたかもしれない。そうおもって庇から出ようとすると、パラパラパラと雨粒が散る。空を見上げると、晴れているのに、ぼくたちの真上にだけ分厚い雲がかかる。
ザアッと天気雨が降る。
ぼくは庇に戻って雨を避ける。雨脚が強くて、これではかくれんぼどころじゃない。風が吹き付けて、庇の下でも濡れる。
ぼくは両手を頭にかざして、雨の中を広場に向けて走り出す。敷石に雨粒が打ち付け、水が流れる。向かいから白いワンピース姿の唯が走ってくる。ぼくたちは十字路で出会い、近くの空き家の庇を指差す。一緒に駆け込んで雨宿り。風が強くなり、晴れていた空がどんどん暗くなる。
「ひゃー、すごいね、急に降ってきた」と唯が言う。
「ひどいにわか雨だね、スマホとか濡れなかった?」
「スマホ? 持ってないよ」
そうだ、ぼくは小学生に戻ったんだった。ぼくもスマホは持っていない。キッズ携帯を持たされているけど、今日は家に置いてきた。
「みんな大丈夫かな……」
「ね、かくれんぼどころじゃないね」
稲光が瞬き、雷鳴が轟く。唯が驚いてぼくの二の腕を掴む。ワンピースがびしょ濡れで冷たい。さっきまでひどい暑さだったのに、急激に気温が下がる。雨は止む気配がないどころか、ますます強く降る。
「やだ、ここじゃ濡れちゃう」
「どうしよう、あっちのビルまで走る?」
「えーやだ、裾が泥だらけになるよ」
ふとぼくは振り返って、空き家の玄関ドアを引いてみる。鍵がかかっていない。ドアを開けて中に入る。唯の手を引いて中に引き入れる。
埃っぽいけど、住人は引っ越した後で、なにもない。フローリングの玄関の前に斜めの階段、廊下の奥を覗き込むと、畳の居間が見える。その向こうはキッチンだ。もっとボロボロの内装を想像していたけれど、意外と綺麗で、伝統的モダニズムデザインになっている。
「誰もいないから、雨が止むまでここで休もうか」
「勝手に上がっていいの?」
「いいんじゃない、どうせここ壊されるだけだし」
ぼくたちは玄関で靴を脱ぐ。びしょ濡れの靴下も脱ぐ。裸足で廊下を歩いて、階段を上る。
二階は四畳半の和室が二部屋並んでいて、明るい窓に雨粒が打ち付ける。ぼくと唯は窓から外を覗き込む。大量の雨が流れて、テラスハウスの前の小道が川になっている。
「これ、なんか止みそうにないね」と唯が呟く。
「困ったね、晴れてたから傘持ってないや」
「ちょっと寒くなってきた」
唯が二の腕をこすって、ぼくの濡れたシャツをみる。
「乃蒼くんもびしょ濡れだね。服、乾かそうか」
「脱ぐの?」
「脱がなきゃ、風邪ひくよ」
唯がぼくのシャツの裾に手をかける。肌に張り付いたシャツを脱がす。ハーフパンツのホックを外してジッパーを下ろす。ぼくは腰を浮かして、唯が脱がす。ぼくはベージュのブリーフ一枚になる。唯がブリーフに指をかける。ぼくは唯の手首を掴む。
「乃蒼くん、パンツまで濡れてるじゃん」
「パンツは……いいよ」
「駄目だよ、濡れた服着てると身体が冷えて風邪ひくんだよ」
唯はぼくのブリーフを脱がす。長いおちんちんが顕になる。ぼくは同級生よりもおちんちんが大きい方だけど、あんまり指摘されない。それでもじかにみられるのは恥ずかしい。
「ねえ、あたしのも脱がして」
唯がそう言って、袈裟懸けにした黒いミニバッグを下ろす。バンザイする。ぼくは唯の白いワンピースに手をかけて脱がせる。おかっぱボブの濡れた髪が乱れて、額に前髪が張りつく。おでこを出すと、唯は年上にみえる。
「唯ちゃん、下着も濡れてるよ……」
「脱がして」
ぼくは唯のキャミを脱がす。ショーツを脱がす。全裸にする。脱いだ服を散らばしたまま、唯はぼくのおちんちんを、ぼくは唯の割れ目をみつめる。目があって照れ笑い。
「ねえ、抱き合って温め合おうか」
唯がぼくの太腿を跨いで、裸で抱きついて、体重を預ける。用意ができていなかったぼくは唯を抱いたまま後ろに転ぶ。仰向けになる。白い天井に丸形シーリング端子だけが残されている。
「服、乾かさなくていいの?」
「あたし、重くない?」
「うん、重くないよ」
「……ねえ、乃蒼くん。絵里衣ちゃんと、エッチしてるの?」
「えっ?」
「絵里衣ちゃんに、みせてもらったよ、動画」
絵里衣は唯の友達だと言っていた。唯のことはなにも言わなかったから、口からでまかせだと思って忘れていた。玲蘭がスマホでぼくの動画を撮っていた。ぼくのあられもない姿が唯に共有されたとしたら、言いふらされるかもしれない。
唯が股間をぼくの下腹部にこすりつける。ぼくは唯のお尻を掴む。おちんちんが充血して、ゆっくり起き上がり、唯のお尻に触れる。唯のキラキラした瞳がぼくを覗き込む。笑うと犬歯が抜けた隙間がみえる。お互い乳歯も生え変わっていないのに、裸で抱き合って触り合う。
「乃蒼くん、すごく、きもちよさそうにしてたよ」
「あれは、その……無理矢理で」
「だよね、絵里衣ちゃん、犯したって言ってたもん」
「うん、レイプされちゃった……」
「でも、きもちよかったんでしょ?」
「きもちよかったけど」
「しゃせーした?」
「ううん、してない」
「なんで?」
「出しちゃ駄目って言われて……絵里衣に」
「赤ちゃんできるからね」
「うん……」
唯がぼくの胸に指を滑らせる。腰を浮かす。勃起したおちんちんが反り返って、お腹にぱちりとあたる。唯は、ぼくのおちんちんに股間をおしつける。
「あたしなら、出してもいいよ」
「唯ちゃんに?」
「あたし、子供だから初潮きてないし……」
「でも……」
唯が身体を起こして、腰を前後に揺らす。割れ目でおちんちんを挟んで、ちゅるちゅるマッサージする。この間、絵里衣がしてくれたのとおなじこと。あまりに卑猥な音に唯がくすくす笑う。笑い声に艶があって、小学五年生とは思えない。唯はぼくの胸に手をついて、指先で乳首を弾く。ぼくは敏感に反応して、肩がびくりと跳ねる。
「あ、忘れてた」
唯がぼくに覆いかぶさってキスをする。絵里衣や玲蘭よりずっと幼い、前歯がぶつかりそうなたどたどしくて、熱いキス。唇を薄く開いて舌を差し出すと、唯はちゅるりと吸い込んで、じぶんの口の中で舌を絡め合う。唯ってこんなにエロい子だったっけ。
お互いの頬に手をあてて、ぬるぬると求め合う。唯は腰だけを前後にすくいあげて、おちんちんを刺激する。上と下で、くちゃくちゃ、ぴちゃぴちゃ、濡れた粘膜が音を立てる。
「唯ちゃん、こんなこと……だめだよ」
「どうして?」
「子供同士で、するなんて」
「絵里衣ちゃんと玲蘭ちゃんも子供だよ」
「あれは無理矢理で……」
「絵里衣ちゃんとはできるけど、あたしとは厭なの?」
「そういうわけじゃないけど」
「あたしじゃ稚すぎるかな? おっぱい無いもんね……厭だよね」
「そんなことないよ、だって、ほら」
唯の手を取って、ぼくの反り返ったおちんちんを触らせる。
「こんなに硬いでしょ」
「ウフフ……ほんとだ。舐めてあげよっか」
唯が身体を起こして、ぼくの頭を跨いで、お尻をむけて覆いかぶさる。ぼくのおちんちんの先端をぬるぬる舐める。にゅるるるっと呑まれて、亀頭が扁桃腺を通過する。
「くはぁぁ……」
おもわず溜息が漏れる。腰が勝手に持ち上がる。
「乃蒼くん、あたしのも舐めて」
唯が割れ目をぼくに近づける。ぼくは唯の小さなお尻を掴んで引き寄せ、つるつるの割れ目に舌を滑らせる。花びらのような小陰唇を舌で拡げて、陰核を吸い出して、口の中でちゅっかちゅっかと弄ぶ。唯もぼくの巨根を飲み込んで、喉の奥でじゅっこじゅっこと全力で愛撫する。
初めて味わう女の子の性器。なんだかほろ苦くて、すこししょっぱくて、雨上がりの竹林のような匂いがする。動物的な味と匂いに興奮する。膣口に舌を挿れて、くちゅくちゅ掻き回す。両手を伸ばして、唯の乳首に指先で触れる。
「んむ、はぁ、はぁ、あん……乃蒼くん、きもちいい……」
「唯ちゃんのおまんこ、こんな味がするんだね」
「やん、恥ずかしい」
唯が起き上がる。壁際に置いた黒いミニバッグを取る。中から小さなベビーオイルのボトルを取り出す。蓋を開いて、反り返ったぼくのおちんちんに垂らす。ふんだんに垂らす。ちゅるちゅるしごいてオイルを塗る。その刺激にたまらず声をもらす。壁に反響したじぶんの喘ぎ声が、しらない女の子の声にきこえて恥ずかしい。ぼくってこんな声なんだ。
唯が再びぼくを跨ぐ。ベビーオイルのボトルを自分の割れ目に押し付けて、オイルを注入する。小五とはおもえない妖艶な表情でみおろし、ぼくのおちんちんを摘んでじぶんの濡れた割れ目におしつける。腰を沈めて、みちみちみち、と幼い割れ目を極限まで拡張し、ぼくのおちんちんが飲み込まれていく。
* * *
日曜日の午前十時半、ぼくと妹の亜香里は歩いてお母さんが入院している総合病院を目指す。
住宅地の路地を通り抜けて、郵便局の脇道から青梅街道に出る。南阿佐ヶ谷の丁字路にあるサブカル書店の立ち寄って、亜香里が漫画を買う。青梅街道を渡って、中杉通りの途中にあるパクパクモグモグという洋菓子店でノッチェというお菓子を買う。お父さんは来週末に帰ってくるから、お小遣いは少し使っても大丈夫。
中杉通りを歩いて阿佐ヶ谷駅を通過する。横断歩道は青信号だけど、サイレンを鳴らした救急車が入ってくる。このあたりに住んでいると、毎日パトカーや消防車、救急車のサイレンを聞くから、緊急車両ということを忘れそうになる。
病院の受付を通過して、エレベータでお母さんの病室を訪れる。引き戸をあけると、ベッドの上で起き上がったお母さんの傍に美咲叔母さんが座ってお喋りしていた。ぼくたちをみると上ずった声をあげる。
「あら、亜香里ちゃんと乃蒼くんじゃない、お見舞いにきたの?」と美咲叔母さんが訊く。
「はい、日曜日なので」とぼくが答える。
亜香里はベッド脇に飛び乗って、ノッチェの紙袋をお母さんの膝に載せる。
「おかーさん、お土産買ってきたよ。チョコレートのお菓子」
「これなに? ノッチェじゃない、ありがと。亜香里ちゃんは気が利くねぇ」とお母さんが言う。
「あたしじゃなくて、お兄が買っていこうって言ったの」
「そうなの?」
「あのね、このお菓子ってテレビでもCMやってるんだけど、ウチの学校の子が出てるんだよ。露杏奈ちゃんってハーフの子、めっちゃ可愛いの。ほらこれ、チラシに載ってる、この子。お兄ちゃんの隣の席なんだよ」
「どれ? この子?」
「違う、こっち」
「えーっ、すごい可愛い子じゃない、妖精みたい」
「でしょ? お兄ちゃんが友だちになって、家に連れてくればいいのに」
ぼくのお母さんと亜香里は血がつながっていないのに、一緒に暮らし始めた直後から仲良しだ。一緒にいるときは、お母さんが少し疲れてしまうくらいずっと話しかける。
お母さんの病室は二人部屋だけど、窓際のベッドは開いている。先月まで同室だったお婆さんは病状が悪化して、別の病院に転院した。
ぼくは美咲叔母さんと一緒にノッチェの包みを開けて、紙のお皿に取り分ける。紅茶を淹れる。お父さんが海外で買ってきたティーカップを使う。
「乃蒼くん、お父さんは次いつ帰ってこられるの?」
「来週末です、土曜日。月曜日に今度はアメリカ行っちゃうみたいですけど……」
「まあ、アメリカ。いまどこにいらっしゃるの?」
「いまはベトナムらしいです」
お父さんは小さな商社で働いていて、国内の機械部品を取り扱っている。細かい仕事の中身は知らない。亜香里はぼくのお母さんと打ち解けたけれど、ぼくは亜香里のお父さんと打ち解けられない。
ぼくは始めから片親で、小さい頃はお婆ちゃんの家で暮らしていたのだけど、お婆ちゃんが亡くなってすぐに、いまのお父さん――亜香里のお父さんとお母さんは結婚した。亜香里はほんとうのお母さんがいたのだけど、年長さんのときに死んでしまって、ずっと「お母さんに会いたい」と言って泣いていたらしい。だからぼくのお母さんにほんとうの娘のように甘えて、ワガママを言って、叱られて、泣いて、笑って、お母さん大好きと言って抱きつく。ぼくはあんなふうには振る舞えない。
ぼくたちはお母さんと叔母さんと一緒にお菓子を食べて、最近家で妹と寒天ゼリーを作ったり、動画をみながら二人でダンスしたり、工作したり、絵を描いたりして過ごしてることを話す。一緒にお風呂に入り、同じベッドで眠っていることは決して言わない。
ぼくはお母さんのために病院一階の売店に売ってるプリペイドカードを買いに行く。テレビをみたり、洗濯機を使うのに必要だ。三枚買って、じぶんのお金でジュースを買う。待合室のソファに座って飲む。
いまは元気だけど、夏休み前にお医者さんから余命半年を告げられて、緩和ケア病棟に移る。お父さんは要職だったから休職することにお母さんが反対し、美咲叔母さんが病院に通って看病するのだけど、秋に亡くなってしまう。母親の愛情に飢えていた亜香里は、二度もお母さんを失う。ぼくだって、お母さんの呼吸が止まるのを病室でただじっと待つ経験をもう一度繰り返さなければならないなんて、とても耐えられない。
みつめている病院の床が涙で滲む。鼻を啜る。涙が頬を伝って、ぽつりと落ちる。
「お兄ちゃん、どうしたの?」
いつの間にか亜香里が傍に立っていた。泣いているぼくを覗き込む。指で涙を拭って、なんでもない、と言う。亜香里がぼくの足元にしゃがんで見上げる。
「どうして泣いてるの?」
「お兄ちゃん、お金を落としちゃったんだ。だから、悲しくて泣いてるの」
ぼくは亜香里に心配をかけまいと、適当なことを言う。亜香里はぼくをじっとみつめる。
「お母さん、よくなるよね?」
「うん、よくなるよ」
「死なないよね?」
「大丈夫だよ、元気になって帰ってくるよ」
ぼくが励ますほどに、亜香里の表情はみるみる曇る。
* * *
空き家の白い壁と天井に、ぼくと唯のセックスが響く。
畳の上に仰向けになったぼくに唯が覆いかぶさり、肌を密着させて、お尻だけを上下に動かす。くるくると舌を絡め合い、唇で唇を求め合う。男子寮で夜な夜なみていたエロ動画には、こういう密着度の高いのんびりしたセックスはみつからない。
「はぁーっ、きもちい……。乃蒼くん、ちんぽ、長いよね」
「痛い?」
「ううん、奥にあたって、めちゃくちゃきもちいいの」
「後悔しない?」
「なんで?」
「ぼくたち、小学生だよ……」
「小学生だから、赤ちゃんできないって、今のうちだよ」
「突然、初潮が来るかも」
「来るときは、だいたいわかるよ。おっぱい膨らむし」
唯が上体を起こしてぼくの両手をじぶんの胸にあてる。
「ぺたんこでしょ」
「唯ちゃん、肌すべすべだね」
「んふふ、あたし、乾燥肌だから、オイル持ち歩いてるの。手を洗っただけでガッサガサになることあるよ……あん」
唯の乳首を指先で弾くと、敏感に反応する。唯も手を伸ばして、ぼくの胸を撫でる。四本の指で乳首を弾いて刺激する。きもちよくてたまらない。唯もきもちよさそうに甘い鼻声で喘ぐ。ぼくたちの年齢では、女の子は快感すら感じないことが多いのに。
「唯ちゃんって、処女じゃないの?」
「男の子は初めてだよ」
「それ、絵里衣も言ってた」
「処女は、絵里衣ちゃんに奪われたの」
「女の子だよ」
「おちんちんの形したディルドーっていうの、そういうのを挿れて破かれたの。てか、絵里衣ちゃんそういう話はしなかった?」
「うん、初めてきいた」
唯がぼくの上で股間を鞭打つようにしならせる。ちゃっぷ、ちゃっぷ、ちゃっぷ、と溢れるオイルが音を響かせ、おちんちんの先端が唯のコリコリしたところにぶつかってきもちいい。
このしこりは子宮頸。子宮の入り口で、小さな穴があいている。絵里衣と玲蘭に犯された日、女の子の身体のことをネットで調べた。高校生なら知っておくべきことなのに、ぼくは女の子だけでなく、性的な知識に対しても奥手だった。
雨足が弱まり、さらさらした小雨に変わる。窓の外は未だに曇天だけど、ざわついていた葉桜のうねりは静かになり、風が止んでいた。
「唯……待って、雨、止みそうだよ」
「あっ、あっ、あっ、そ……そう……だね」
「そろそろ、服着て、戻らないと」
「もっと……あっ、あん、あっ、あっ、もっと……したいよ」
「唯ちゃん……」
「はーっ、きもちいい」
「唯……、だめっ、いっ、イク……」
「いって、出して、いっぱい」
腰を突き上げて、唯の胎内に、ぶじゅーっと激しく射精する。ぴったり密着して隙間も余裕もない幼い膣はぼくの量を受け止めきれず、結合から溢れた精液が股間に広がり、お尻を伝って畳に滴る。唯がくちゃくちゃ舌を絡めて、射精の痙攣のたびに、膣口がきゅっと絞まる。
「あーっ、エッチしてる!」
突然、ぼくたち以外の声が響く。
ぼくと唯は階段を振り返る。莉緒菜が階段の途中に立っていて、裸でつながったまま震えるぼくたちを覗き込む。唯に射精する瞬間を目撃している。ぼくたちと目が合うと、階段を駆け下りていく。
「やばい、アハハッ、あん」と唯が笑いながら喘ぐ。
「いまの莉緒菜?」
「みられたね……」
「追いかけなきゃ」
「なんで?」
「みられたよ」
「追いかけても、なかったことにはできないじゃん」
「そうだけど……」
「乃蒼くんに出されてる瞬間みられたね」
唯はお尻を上下させて、ぼくをぶちゃぶちゃピストンする。舌をぼくの唇に挿し込む。
「んむ、はぁ……あっ、唯、だめだよ……あん」
「乃蒼くん……まだ硬いよ、あーっ、すご……」
「くふ……きもちい……あ……」
「ねえ、今度は、乃蒼くんが上になって」
唯がぼくを抱き起こす。つながったまま仰向けになる。ぼくは唯に四つん這いで覆いかぶさり、ゆっくり腰を前後させる。唯はぼくとみつめあったまま、両手を伸ばしてぼくの乳首を摘む。きもちよくてたまらない。ぼくに衝かれて上下に揺れる唯の身体はセックスするには幼すぎて、子供を犯している悖徳が澱のように心に淀み、ぼくが片手で肋の浮いた痩せた胸に指を滑らせると、瑞々しい肌がぞわっと泡立つ。
「唯、莉緒菜が……蒼汰たち、呼んできちゃうよ」
「いいよ、みられても……」
「みんなに、知られちゃうよ」
「知られていいよ……いっそ、みんなに、知られたい」
ぼくは無我夢中で唯を突き下ろす。快楽が羞恥を超えて、ぼくの情動を突き動かす。硬さを失わないぼくを唯の潤んだ肉が呑み込んで、ちゃぷちゃぷ、ぬちゅぬちゅ、というその音までもきもちいい。
いつしか雨は止んで、窓から夏の光が差し込み、畳に脱ぎ散らかした唯の白いワンピースが輝く。部屋が徐々に蒸し暑くなって、鳶色の柱が、ぱき、と音を鳴らす。
ぼくたちは汗だくになりながら、上になったり下になったり、前から横から後ろから、様々な形でつながって、日が暮れるまでなんどもなんども愛し合う。
ぼくはクラスメートの蒼汰、野田亮二、袴田くん、それに唯と莉緒菜とぼくの六人で、この大杉タウンに遊びに来た。テラスハウス住居のほとんどが空き家で、遊具のある広場は誰もいないから、都内なのに広い空間を独占できる。
「氷鬼飽きちゃったよ、今日暑いからかくれんぼにしない?」
ブランコに乗った蒼汰が提案する。
「範囲は?」と亮二。
「大杉タウン全部」
「それ広すぎるだろ」
「じゃあ、この中央ブロックだけにするか?」
「いいよ」
「じゃあ鬼決め」
ぼくたちはいつものように足を出して、袴田くんがみんなの足を「鬼決め鬼決め……」と言いながら叩いていく。莉緒菜が鬼になる。ぼくたちは隠れる場所を探して四方に散る。
ろーく、しーち、はーち……。
莉緒菜のカウントが遠ざかり、聞こえなくなる。ぼくは自宅マンションに近いテラスハウスの間を歩いて隠れる場所を探す。日陰を探す。空き家の玄関の庇の下へ。その場にしゃがみ込む。
柵の向こうにみえる道路は夏の熱気に揺らめいて、蜃気楼が浮いている。ここから給水塔はみえない。広場から離れすぎたかもしれない。そうおもって庇から出ようとすると、パラパラパラと雨粒が散る。空を見上げると、晴れているのに、ぼくたちの真上にだけ分厚い雲がかかる。
ザアッと天気雨が降る。
ぼくは庇に戻って雨を避ける。雨脚が強くて、これではかくれんぼどころじゃない。風が吹き付けて、庇の下でも濡れる。
ぼくは両手を頭にかざして、雨の中を広場に向けて走り出す。敷石に雨粒が打ち付け、水が流れる。向かいから白いワンピース姿の唯が走ってくる。ぼくたちは十字路で出会い、近くの空き家の庇を指差す。一緒に駆け込んで雨宿り。風が強くなり、晴れていた空がどんどん暗くなる。
「ひゃー、すごいね、急に降ってきた」と唯が言う。
「ひどいにわか雨だね、スマホとか濡れなかった?」
「スマホ? 持ってないよ」
そうだ、ぼくは小学生に戻ったんだった。ぼくもスマホは持っていない。キッズ携帯を持たされているけど、今日は家に置いてきた。
「みんな大丈夫かな……」
「ね、かくれんぼどころじゃないね」
稲光が瞬き、雷鳴が轟く。唯が驚いてぼくの二の腕を掴む。ワンピースがびしょ濡れで冷たい。さっきまでひどい暑さだったのに、急激に気温が下がる。雨は止む気配がないどころか、ますます強く降る。
「やだ、ここじゃ濡れちゃう」
「どうしよう、あっちのビルまで走る?」
「えーやだ、裾が泥だらけになるよ」
ふとぼくは振り返って、空き家の玄関ドアを引いてみる。鍵がかかっていない。ドアを開けて中に入る。唯の手を引いて中に引き入れる。
埃っぽいけど、住人は引っ越した後で、なにもない。フローリングの玄関の前に斜めの階段、廊下の奥を覗き込むと、畳の居間が見える。その向こうはキッチンだ。もっとボロボロの内装を想像していたけれど、意外と綺麗で、伝統的モダニズムデザインになっている。
「誰もいないから、雨が止むまでここで休もうか」
「勝手に上がっていいの?」
「いいんじゃない、どうせここ壊されるだけだし」
ぼくたちは玄関で靴を脱ぐ。びしょ濡れの靴下も脱ぐ。裸足で廊下を歩いて、階段を上る。
二階は四畳半の和室が二部屋並んでいて、明るい窓に雨粒が打ち付ける。ぼくと唯は窓から外を覗き込む。大量の雨が流れて、テラスハウスの前の小道が川になっている。
「これ、なんか止みそうにないね」と唯が呟く。
「困ったね、晴れてたから傘持ってないや」
「ちょっと寒くなってきた」
唯が二の腕をこすって、ぼくの濡れたシャツをみる。
「乃蒼くんもびしょ濡れだね。服、乾かそうか」
「脱ぐの?」
「脱がなきゃ、風邪ひくよ」
唯がぼくのシャツの裾に手をかける。肌に張り付いたシャツを脱がす。ハーフパンツのホックを外してジッパーを下ろす。ぼくは腰を浮かして、唯が脱がす。ぼくはベージュのブリーフ一枚になる。唯がブリーフに指をかける。ぼくは唯の手首を掴む。
「乃蒼くん、パンツまで濡れてるじゃん」
「パンツは……いいよ」
「駄目だよ、濡れた服着てると身体が冷えて風邪ひくんだよ」
唯はぼくのブリーフを脱がす。長いおちんちんが顕になる。ぼくは同級生よりもおちんちんが大きい方だけど、あんまり指摘されない。それでもじかにみられるのは恥ずかしい。
「ねえ、あたしのも脱がして」
唯がそう言って、袈裟懸けにした黒いミニバッグを下ろす。バンザイする。ぼくは唯の白いワンピースに手をかけて脱がせる。おかっぱボブの濡れた髪が乱れて、額に前髪が張りつく。おでこを出すと、唯は年上にみえる。
「唯ちゃん、下着も濡れてるよ……」
「脱がして」
ぼくは唯のキャミを脱がす。ショーツを脱がす。全裸にする。脱いだ服を散らばしたまま、唯はぼくのおちんちんを、ぼくは唯の割れ目をみつめる。目があって照れ笑い。
「ねえ、抱き合って温め合おうか」
唯がぼくの太腿を跨いで、裸で抱きついて、体重を預ける。用意ができていなかったぼくは唯を抱いたまま後ろに転ぶ。仰向けになる。白い天井に丸形シーリング端子だけが残されている。
「服、乾かさなくていいの?」
「あたし、重くない?」
「うん、重くないよ」
「……ねえ、乃蒼くん。絵里衣ちゃんと、エッチしてるの?」
「えっ?」
「絵里衣ちゃんに、みせてもらったよ、動画」
絵里衣は唯の友達だと言っていた。唯のことはなにも言わなかったから、口からでまかせだと思って忘れていた。玲蘭がスマホでぼくの動画を撮っていた。ぼくのあられもない姿が唯に共有されたとしたら、言いふらされるかもしれない。
唯が股間をぼくの下腹部にこすりつける。ぼくは唯のお尻を掴む。おちんちんが充血して、ゆっくり起き上がり、唯のお尻に触れる。唯のキラキラした瞳がぼくを覗き込む。笑うと犬歯が抜けた隙間がみえる。お互い乳歯も生え変わっていないのに、裸で抱き合って触り合う。
「乃蒼くん、すごく、きもちよさそうにしてたよ」
「あれは、その……無理矢理で」
「だよね、絵里衣ちゃん、犯したって言ってたもん」
「うん、レイプされちゃった……」
「でも、きもちよかったんでしょ?」
「きもちよかったけど」
「しゃせーした?」
「ううん、してない」
「なんで?」
「出しちゃ駄目って言われて……絵里衣に」
「赤ちゃんできるからね」
「うん……」
唯がぼくの胸に指を滑らせる。腰を浮かす。勃起したおちんちんが反り返って、お腹にぱちりとあたる。唯は、ぼくのおちんちんに股間をおしつける。
「あたしなら、出してもいいよ」
「唯ちゃんに?」
「あたし、子供だから初潮きてないし……」
「でも……」
唯が身体を起こして、腰を前後に揺らす。割れ目でおちんちんを挟んで、ちゅるちゅるマッサージする。この間、絵里衣がしてくれたのとおなじこと。あまりに卑猥な音に唯がくすくす笑う。笑い声に艶があって、小学五年生とは思えない。唯はぼくの胸に手をついて、指先で乳首を弾く。ぼくは敏感に反応して、肩がびくりと跳ねる。
「あ、忘れてた」
唯がぼくに覆いかぶさってキスをする。絵里衣や玲蘭よりずっと幼い、前歯がぶつかりそうなたどたどしくて、熱いキス。唇を薄く開いて舌を差し出すと、唯はちゅるりと吸い込んで、じぶんの口の中で舌を絡め合う。唯ってこんなにエロい子だったっけ。
お互いの頬に手をあてて、ぬるぬると求め合う。唯は腰だけを前後にすくいあげて、おちんちんを刺激する。上と下で、くちゃくちゃ、ぴちゃぴちゃ、濡れた粘膜が音を立てる。
「唯ちゃん、こんなこと……だめだよ」
「どうして?」
「子供同士で、するなんて」
「絵里衣ちゃんと玲蘭ちゃんも子供だよ」
「あれは無理矢理で……」
「絵里衣ちゃんとはできるけど、あたしとは厭なの?」
「そういうわけじゃないけど」
「あたしじゃ稚すぎるかな? おっぱい無いもんね……厭だよね」
「そんなことないよ、だって、ほら」
唯の手を取って、ぼくの反り返ったおちんちんを触らせる。
「こんなに硬いでしょ」
「ウフフ……ほんとだ。舐めてあげよっか」
唯が身体を起こして、ぼくの頭を跨いで、お尻をむけて覆いかぶさる。ぼくのおちんちんの先端をぬるぬる舐める。にゅるるるっと呑まれて、亀頭が扁桃腺を通過する。
「くはぁぁ……」
おもわず溜息が漏れる。腰が勝手に持ち上がる。
「乃蒼くん、あたしのも舐めて」
唯が割れ目をぼくに近づける。ぼくは唯の小さなお尻を掴んで引き寄せ、つるつるの割れ目に舌を滑らせる。花びらのような小陰唇を舌で拡げて、陰核を吸い出して、口の中でちゅっかちゅっかと弄ぶ。唯もぼくの巨根を飲み込んで、喉の奥でじゅっこじゅっこと全力で愛撫する。
初めて味わう女の子の性器。なんだかほろ苦くて、すこししょっぱくて、雨上がりの竹林のような匂いがする。動物的な味と匂いに興奮する。膣口に舌を挿れて、くちゅくちゅ掻き回す。両手を伸ばして、唯の乳首に指先で触れる。
「んむ、はぁ、はぁ、あん……乃蒼くん、きもちいい……」
「唯ちゃんのおまんこ、こんな味がするんだね」
「やん、恥ずかしい」
唯が起き上がる。壁際に置いた黒いミニバッグを取る。中から小さなベビーオイルのボトルを取り出す。蓋を開いて、反り返ったぼくのおちんちんに垂らす。ふんだんに垂らす。ちゅるちゅるしごいてオイルを塗る。その刺激にたまらず声をもらす。壁に反響したじぶんの喘ぎ声が、しらない女の子の声にきこえて恥ずかしい。ぼくってこんな声なんだ。
唯が再びぼくを跨ぐ。ベビーオイルのボトルを自分の割れ目に押し付けて、オイルを注入する。小五とはおもえない妖艶な表情でみおろし、ぼくのおちんちんを摘んでじぶんの濡れた割れ目におしつける。腰を沈めて、みちみちみち、と幼い割れ目を極限まで拡張し、ぼくのおちんちんが飲み込まれていく。
* * *
日曜日の午前十時半、ぼくと妹の亜香里は歩いてお母さんが入院している総合病院を目指す。
住宅地の路地を通り抜けて、郵便局の脇道から青梅街道に出る。南阿佐ヶ谷の丁字路にあるサブカル書店の立ち寄って、亜香里が漫画を買う。青梅街道を渡って、中杉通りの途中にあるパクパクモグモグという洋菓子店でノッチェというお菓子を買う。お父さんは来週末に帰ってくるから、お小遣いは少し使っても大丈夫。
中杉通りを歩いて阿佐ヶ谷駅を通過する。横断歩道は青信号だけど、サイレンを鳴らした救急車が入ってくる。このあたりに住んでいると、毎日パトカーや消防車、救急車のサイレンを聞くから、緊急車両ということを忘れそうになる。
病院の受付を通過して、エレベータでお母さんの病室を訪れる。引き戸をあけると、ベッドの上で起き上がったお母さんの傍に美咲叔母さんが座ってお喋りしていた。ぼくたちをみると上ずった声をあげる。
「あら、亜香里ちゃんと乃蒼くんじゃない、お見舞いにきたの?」と美咲叔母さんが訊く。
「はい、日曜日なので」とぼくが答える。
亜香里はベッド脇に飛び乗って、ノッチェの紙袋をお母さんの膝に載せる。
「おかーさん、お土産買ってきたよ。チョコレートのお菓子」
「これなに? ノッチェじゃない、ありがと。亜香里ちゃんは気が利くねぇ」とお母さんが言う。
「あたしじゃなくて、お兄が買っていこうって言ったの」
「そうなの?」
「あのね、このお菓子ってテレビでもCMやってるんだけど、ウチの学校の子が出てるんだよ。露杏奈ちゃんってハーフの子、めっちゃ可愛いの。ほらこれ、チラシに載ってる、この子。お兄ちゃんの隣の席なんだよ」
「どれ? この子?」
「違う、こっち」
「えーっ、すごい可愛い子じゃない、妖精みたい」
「でしょ? お兄ちゃんが友だちになって、家に連れてくればいいのに」
ぼくのお母さんと亜香里は血がつながっていないのに、一緒に暮らし始めた直後から仲良しだ。一緒にいるときは、お母さんが少し疲れてしまうくらいずっと話しかける。
お母さんの病室は二人部屋だけど、窓際のベッドは開いている。先月まで同室だったお婆さんは病状が悪化して、別の病院に転院した。
ぼくは美咲叔母さんと一緒にノッチェの包みを開けて、紙のお皿に取り分ける。紅茶を淹れる。お父さんが海外で買ってきたティーカップを使う。
「乃蒼くん、お父さんは次いつ帰ってこられるの?」
「来週末です、土曜日。月曜日に今度はアメリカ行っちゃうみたいですけど……」
「まあ、アメリカ。いまどこにいらっしゃるの?」
「いまはベトナムらしいです」
お父さんは小さな商社で働いていて、国内の機械部品を取り扱っている。細かい仕事の中身は知らない。亜香里はぼくのお母さんと打ち解けたけれど、ぼくは亜香里のお父さんと打ち解けられない。
ぼくは始めから片親で、小さい頃はお婆ちゃんの家で暮らしていたのだけど、お婆ちゃんが亡くなってすぐに、いまのお父さん――亜香里のお父さんとお母さんは結婚した。亜香里はほんとうのお母さんがいたのだけど、年長さんのときに死んでしまって、ずっと「お母さんに会いたい」と言って泣いていたらしい。だからぼくのお母さんにほんとうの娘のように甘えて、ワガママを言って、叱られて、泣いて、笑って、お母さん大好きと言って抱きつく。ぼくはあんなふうには振る舞えない。
ぼくたちはお母さんと叔母さんと一緒にお菓子を食べて、最近家で妹と寒天ゼリーを作ったり、動画をみながら二人でダンスしたり、工作したり、絵を描いたりして過ごしてることを話す。一緒にお風呂に入り、同じベッドで眠っていることは決して言わない。
ぼくはお母さんのために病院一階の売店に売ってるプリペイドカードを買いに行く。テレビをみたり、洗濯機を使うのに必要だ。三枚買って、じぶんのお金でジュースを買う。待合室のソファに座って飲む。
いまは元気だけど、夏休み前にお医者さんから余命半年を告げられて、緩和ケア病棟に移る。お父さんは要職だったから休職することにお母さんが反対し、美咲叔母さんが病院に通って看病するのだけど、秋に亡くなってしまう。母親の愛情に飢えていた亜香里は、二度もお母さんを失う。ぼくだって、お母さんの呼吸が止まるのを病室でただじっと待つ経験をもう一度繰り返さなければならないなんて、とても耐えられない。
みつめている病院の床が涙で滲む。鼻を啜る。涙が頬を伝って、ぽつりと落ちる。
「お兄ちゃん、どうしたの?」
いつの間にか亜香里が傍に立っていた。泣いているぼくを覗き込む。指で涙を拭って、なんでもない、と言う。亜香里がぼくの足元にしゃがんで見上げる。
「どうして泣いてるの?」
「お兄ちゃん、お金を落としちゃったんだ。だから、悲しくて泣いてるの」
ぼくは亜香里に心配をかけまいと、適当なことを言う。亜香里はぼくをじっとみつめる。
「お母さん、よくなるよね?」
「うん、よくなるよ」
「死なないよね?」
「大丈夫だよ、元気になって帰ってくるよ」
ぼくが励ますほどに、亜香里の表情はみるみる曇る。
* * *
空き家の白い壁と天井に、ぼくと唯のセックスが響く。
畳の上に仰向けになったぼくに唯が覆いかぶさり、肌を密着させて、お尻だけを上下に動かす。くるくると舌を絡め合い、唇で唇を求め合う。男子寮で夜な夜なみていたエロ動画には、こういう密着度の高いのんびりしたセックスはみつからない。
「はぁーっ、きもちい……。乃蒼くん、ちんぽ、長いよね」
「痛い?」
「ううん、奥にあたって、めちゃくちゃきもちいいの」
「後悔しない?」
「なんで?」
「ぼくたち、小学生だよ……」
「小学生だから、赤ちゃんできないって、今のうちだよ」
「突然、初潮が来るかも」
「来るときは、だいたいわかるよ。おっぱい膨らむし」
唯が上体を起こしてぼくの両手をじぶんの胸にあてる。
「ぺたんこでしょ」
「唯ちゃん、肌すべすべだね」
「んふふ、あたし、乾燥肌だから、オイル持ち歩いてるの。手を洗っただけでガッサガサになることあるよ……あん」
唯の乳首を指先で弾くと、敏感に反応する。唯も手を伸ばして、ぼくの胸を撫でる。四本の指で乳首を弾いて刺激する。きもちよくてたまらない。唯もきもちよさそうに甘い鼻声で喘ぐ。ぼくたちの年齢では、女の子は快感すら感じないことが多いのに。
「唯ちゃんって、処女じゃないの?」
「男の子は初めてだよ」
「それ、絵里衣も言ってた」
「処女は、絵里衣ちゃんに奪われたの」
「女の子だよ」
「おちんちんの形したディルドーっていうの、そういうのを挿れて破かれたの。てか、絵里衣ちゃんそういう話はしなかった?」
「うん、初めてきいた」
唯がぼくの上で股間を鞭打つようにしならせる。ちゃっぷ、ちゃっぷ、ちゃっぷ、と溢れるオイルが音を響かせ、おちんちんの先端が唯のコリコリしたところにぶつかってきもちいい。
このしこりは子宮頸。子宮の入り口で、小さな穴があいている。絵里衣と玲蘭に犯された日、女の子の身体のことをネットで調べた。高校生なら知っておくべきことなのに、ぼくは女の子だけでなく、性的な知識に対しても奥手だった。
雨足が弱まり、さらさらした小雨に変わる。窓の外は未だに曇天だけど、ざわついていた葉桜のうねりは静かになり、風が止んでいた。
「唯……待って、雨、止みそうだよ」
「あっ、あっ、あっ、そ……そう……だね」
「そろそろ、服着て、戻らないと」
「もっと……あっ、あん、あっ、あっ、もっと……したいよ」
「唯ちゃん……」
「はーっ、きもちいい」
「唯……、だめっ、いっ、イク……」
「いって、出して、いっぱい」
腰を突き上げて、唯の胎内に、ぶじゅーっと激しく射精する。ぴったり密着して隙間も余裕もない幼い膣はぼくの量を受け止めきれず、結合から溢れた精液が股間に広がり、お尻を伝って畳に滴る。唯がくちゃくちゃ舌を絡めて、射精の痙攣のたびに、膣口がきゅっと絞まる。
「あーっ、エッチしてる!」
突然、ぼくたち以外の声が響く。
ぼくと唯は階段を振り返る。莉緒菜が階段の途中に立っていて、裸でつながったまま震えるぼくたちを覗き込む。唯に射精する瞬間を目撃している。ぼくたちと目が合うと、階段を駆け下りていく。
「やばい、アハハッ、あん」と唯が笑いながら喘ぐ。
「いまの莉緒菜?」
「みられたね……」
「追いかけなきゃ」
「なんで?」
「みられたよ」
「追いかけても、なかったことにはできないじゃん」
「そうだけど……」
「乃蒼くんに出されてる瞬間みられたね」
唯はお尻を上下させて、ぼくをぶちゃぶちゃピストンする。舌をぼくの唇に挿し込む。
「んむ、はぁ……あっ、唯、だめだよ……あん」
「乃蒼くん……まだ硬いよ、あーっ、すご……」
「くふ……きもちい……あ……」
「ねえ、今度は、乃蒼くんが上になって」
唯がぼくを抱き起こす。つながったまま仰向けになる。ぼくは唯に四つん這いで覆いかぶさり、ゆっくり腰を前後させる。唯はぼくとみつめあったまま、両手を伸ばしてぼくの乳首を摘む。きもちよくてたまらない。ぼくに衝かれて上下に揺れる唯の身体はセックスするには幼すぎて、子供を犯している悖徳が澱のように心に淀み、ぼくが片手で肋の浮いた痩せた胸に指を滑らせると、瑞々しい肌がぞわっと泡立つ。
「唯、莉緒菜が……蒼汰たち、呼んできちゃうよ」
「いいよ、みられても……」
「みんなに、知られちゃうよ」
「知られていいよ……いっそ、みんなに、知られたい」
ぼくは無我夢中で唯を突き下ろす。快楽が羞恥を超えて、ぼくの情動を突き動かす。硬さを失わないぼくを唯の潤んだ肉が呑み込んで、ちゃぷちゃぷ、ぬちゅぬちゅ、というその音までもきもちいい。
いつしか雨は止んで、窓から夏の光が差し込み、畳に脱ぎ散らかした唯の白いワンピースが輝く。部屋が徐々に蒸し暑くなって、鳶色の柱が、ぱき、と音を鳴らす。
ぼくたちは汗だくになりながら、上になったり下になったり、前から横から後ろから、様々な形でつながって、日が暮れるまでなんどもなんども愛し合う。
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