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第7話「ジャケ写・禁煙・フェラチオ」

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 午後二時半、予定より早く撮影が終了した。
 その日、予定していた撮影は午前中で撮り終わって、午後は追加撮影をこなした。鈴音が何回も絶頂して、震えて自力で立てなくなり、撮影を中断した。流南は出血したものの、平気そうだった。撮影が終わると、ここではシャワーが使えないから、濡れタオルで身体を拭く。ぼくはまだ勃起が収まらない。スタッフさんが機材の片付けをする間に、レイチェルと梨衣菜さんが衝立の向こうから現れる。

「優亜くん、お腹すいてない?」と梨衣菜さんが訊く。
「すいてます」
「ごめんね、お昼抜きだもんね」
 そう言って、いつもの茶封筒を差し出す。中身を確認すると、一万円札が五枚入っている。たったこれだけで五万円もらえるなんて。
「ありがとうございます」

「優亜くんってさぁ、童貞じゃないよね?」
 レイチェルがストレートに訊く。
「なんでですか?」
「童貞があんなセックスできるわけないでしょ。てか、あんた精液ヤバくない? いつもこんな感じ?」
「ボク、もっと……出ます」
「すげー、超絶倫だしさぁ、ちんぽデカイしさぁ。あのね、いままで撮影に男子呼んで、カメラの前でセックスできたのあんたが初めてなんだよ。超逸材だよ」
「そうなんですか?」
「男の子イっちゃったら、回復までインターバルあるから、そのために夕方までここ借りてたんだけど、あんた連続でできるじゃん。もー、最初に言っといてよ」
 レイチェルが褒めちぎる。ぼくは照れて俯く。梨衣菜さんがぼくのタオルを受け取って、股間を拭いてくれる。
「優亜くん、お金出すから、もっといろんな子と撮影してみない?」
「ぼくなんかで、よければ」
「キミしかいないよ、こんな撮影できるの。まだガチガチじゃん、もっとしたかった?」
「はい……いえ、今日は我慢します」
「来週も出られる?」
「大丈夫です、お願いします」
 梨衣菜さんは立ち上がって、ぼくの頭を撫でる。撤収に戻る。

 ぼくは服を着る。もらったお金をお財布に入れる。まだ裸のまま肩からバスタオルをかけた流南と鈴音が長椅子に座っているのをみつけて駆け寄り、深々とお辞儀をする。
「ありがとうございました。お疲れさまです」
 二人は立ち上がる。
「優亜くん、ジャケ写あるよ」
「あっ」
「早く、ここで脱いで」
 ぼくは慌てて着たばかりの服を脱ぐ。脱いだ服を鈴音が受け取って畳んでくれる。自分の身体からセックスの匂いがするのに、鈴音はぼくの服に顔をうずめて匂いを嗅ぐ。まだ勃起しているぼくのおちんちんを流南が触る。
「すごいね、まだ勃ってる」
「これがウチらン中に入ってたんだよ、ヤバいね」
 鈴音もぼくを握る。

「梨衣菜さん、ここ禁煙ですよ」
 レイチェルの声に振り向く。梨衣菜さんが階段に座って煙草を吸っている。
「えー、なんで?」
「ここガス消火なんで、煙感知するとアタシたち全員窒息しますよ」
「うそ、マジで?」
 梨衣菜さんが慌てて煙草の火を消す。ブループリントの女性スタッフは喫煙者が多い。照明の美宇さんも、スタイリストの由真さんも電子タバコを吸っている。レイチェルは吸いそうだけど吸ってない。

 帆乃香さんがいつものデジタル一眼を抱えてぼくたちに手招きする。撮影でべとべとになったマットレスをひっくり返して、その上に並んで座る。写真を撮る。ぼくが寝そべって、流南と鈴音が勃起したおちんちんに舌を巻きつける。愛撫が始まり、シャッターが切られる。二人の扁桃腺が交互にぼくを刺激して、何枚も写真が取られる。今度は二人を両脇に抱いて、真上から撮影する。美宇さんがレフ板を持って駆け回る。二人がぼくの胸に舌を這わせる。きもちよくて、おちんちんの先端から透明の体液が滴る。
「はい、おっけーです」
 めちゃくちゃ中途半端なところで、帆乃香さんが終了を合図する。流南と鈴音は立ち上がって、スタッフさんに挨拶する。ぼくにも挨拶する。たった今までいい感じだったのに、普段と変わらない余所余所しい感じに戻って、その落差についていけない。勃起も興奮もおさまらない。
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