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恵比寿学園の女子寮を訪れる

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 明日香の誘いは断ろうと身構えていたのに、一向に連絡が無い。
 お盆の最中は家族でどこかに出かけているのだと思っていたけれど、ここまで連絡がないと心配になる。もしかしてぼくに飽きてしまったのかもしれない。二学期が始まって、明日香たちが別の子と仲良くなって、ぼくと美咲が仲間はずれにされてしまったら、ぼくたちはクラスの中での立場が急激に危うくなる。

 水曜日まで明日香から連絡がなくて、ぼくは約束通り十時前に方南町駅の改札前に行く。美咲も誘ったのだけど「ネットで知り合った人と会っちゃいけないってお母さんが」と言い訳していた。美咲は人見知りする。一人で行くことをアリスに相談したら、こんなふうに回答された。
「恵比寿学園はアリスグリッド導入校のひとつです。生徒は私よりも高度な訓練と試験を通過した中等部向けチューニング済みアリスに生活を支援されており、雅巳くんに危害を与える可能性はありません」
 朝の駅改札はそれほど混雑していなくて、出る人よりも入る人の方が多い。大人ばかり。若い人はほとんどいない。


「雅巳くん」
 華やかな雰囲気の女の子二人組に声をかけられる。制服姿の草野くさの沙耶香さやかともう一人、高松屋で沙耶香と一緒にいた恵比寿の女子生徒。
「こんにちは」
 ぼくが挨拶すると、二人とも笑ってぼくの腕を抱く。
「可愛い。あたしは愛美、須原すはら愛美あみだよ。沙耶香と同じ寮生なの」
「寮生?」
「あたしたち女子寮なの。これから雅巳くんを連れて行ってあげる」
「女子寮に、ぼく入れるの?」
 沙耶香がぼくを覗き込んで微笑む。
「雅巳くん、どうみても女子にしか見えないから平気だよ」
「ああ、そうか」
「ね、今日は何時まで遊べる?」
「六時までに帰れば、怒られたりしないかな」
「それなら、たっぷり遊べるね」

 ふたりともぼくよりわずかに背が高い。髪が長くて、沙耶香は愛美よりお姉さんっぽい。恵比寿の制服はセーラー服だけど、スカートが短くてエロい。沙耶香は茶色のベストを着ている。

「じゃあ、行こっか」
 愛美がぼくの手を引く。
「どこまでですか?」
「西新宿駅。電車代ある?」
「あります」
 ぼくたちは一緒に改札を通る。ぼくが子供用ICカードで通過するとき、この改札はピヨピヨと音が鳴る。小学校を卒業したらひよこの声が聞こえなくなる。あまり電車には乗らないけれどちょっと淋しい。

 座席に二人に挟まれて座る。ふたりとも果物みたいな甘い匂いがする。愛美が自分たちのことを教えてくれる。
 二人の本名は草野沙耶香と須原愛美で、恵比寿学園の一年生。恵比寿は箭旻と同じように芸能人とかモデルとかの仕事をしている子が多く在籍する私立の中高一貫校で、沙耶香と愛美は事務所に所属して動画配信をやっていると言う。全寮制で校則が緩くて、制服規定が無いに等しいから、私服の子や、標準でない制服を着ている子もいる。
「雅巳くんって、箭旻の子だよね。なにかしてるの? モデルとか……」
 沙耶香が訊く。
「ボク? ううん、何も……。双子の妹が箭旻だったから、ボクも転校したんです」
「妹いるんだ。可愛い?」
 愛美が訊く。
「可愛いです。本当の妹じゃなくて、もともと親戚の子なんですけど、両親が亡くなったから今年の春に縁組して妹になったんです。二人とも五年生で……」
「えーっ、じゃあほとんど知らない子じゃないの?」
「そうですけど、もう慣れました」
 沙耶香がぼくの耳元で囁く。
「雅巳くん、妹とエッチしたくならない?」
 どう答えればいいか一瞬迷うけれど、この二人とは知り合ったばかりだし、学校も違うし、友達も共有していないのだから、きっと秘密を喋っても大丈夫。
「してます……毎晩」
「えーっ」
 沙耶香と愛美が声を揃えて驚く。

 ぼくは自分のこと、箭旻に転校してからのことを包み隠さず二人に告白する。ほんとうは好きな子と結ばれることを期待していたのに、周りのお嬢様たちまで群がって逆レイプされるようになったこと。夏休みは外に連れ出されて、見つかりそうな場所でセックスを強要されていると話す。
 高松屋の映画館で沙耶香と愛美に出会ったとき、明日香は「あたしたち雅巳の性奴隷なんです」と言っていたけれど、ほんとうは立場が逆であること。性欲もおさえられなくて、身近な双子の妹たちを毎晩犯すようになってしまったこと。
「雅巳くん、もしかして、勃ってる?」
 沙耶香が耳元で訊く。ショートパンツからはみ出たおちんちんがパーカーを突き上げる。
「勃ってないです……これが普通サイズなので。触ってみる?」
 ぼくは沙耶香と愛美の手を取って、パーカーのポケットに差し込む。ポケットの底は穴が空いていて、アマ勃ちしたおちんちんに直接触れる。二人の指先が陰茎に巻き付いて、優しく上下にマッサージする。
「やばい、おっきい……」
 愛美がつぶやく。
 向かいに座っている乗客はみんなスマホに目を落としてぼくたちに気づかない。二人の手がパーカーの下でおちんちんをマッサージして、ぼくはぐんぐん硬くなる。
 ふたりとも手を上下させながら、ぼくを質問責めにする。避妊してるのか、何人とセックスしたのか、何回したのか、何回膣に出したのか、生々しいことばかり聞きたがる。

 中野坂上で乗り換えて一駅。ほんの十分くらいで西新宿に到着する。
 駅を出て、残暑の日差しの中を路地に入る。しばらく歩くと、住宅街の真ん中に恵比寿学園の校舎が見えてくる。共学の箭旻と違って、恵比寿は全寮制の女子校だ。そんな私立学校の女子寮にぼくなんかが入れるのだろうか。

「あそこだよ」
 沙耶香が指差した先は、校舎に併設されている女子寮ではなく、敷地から出たところにある五階建ての小さなマンション。一階部分は駐車場になっていて、エントランスはオートロックだ。沙耶香がカードキーをかざすとドアの鍵が開く。中に入って、小さなエレベータに乗り込む。
「ここって、女子寮なの?」
「特待生用の寮だよ。女子寮と違って寮母はいなくて自由だけど、自分たちで家事やらないといけないから大変なの。散らかってるけど引かないでね」
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