【R18】ハロー!ジャンキーズ

藤原紫音

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第3部

第31話「レダの店に戻る顛末」

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 夏の夜、外は豪雨にも関わらず、レダの店『キャッシー』は大勢の客で混雑していた。

 西部解放軍を名乗るゲリラがクーデターを成功させてから、街の治安は地に落ちたけれど、金は集まるところに集まってくる。その欲望の流れが規制されなくなって、高級風俗店にはバブルが訪れていた。

 ぼくは二階のアクリル張りのショーブースに置かれた円形の防水クッションの上で、常連のロアンヌが連れてきたアリスとイザベラの二人の割れ目に交互に挿入し、ダークインダストリアルの工業的ノイズビートに合わせて、自動化された製造工程の機械のように腰を波打たせる。
 ぼくの両脇にミサとハルカが寄り添って乳首を愛撫し、ぼくは二人のお尻を撫でて割れ目に指を出し入れする。快楽に蠢くぼくたちの姿を、セイラを抱いて割れ目に指を出し挿れしながらロアンヌが鑑賞する。女たちは壁に埋め込まれたハブに有線し、お互いの快楽を漏らさず共有する。

「すっ………ごっ、いっ、あっ、あっ、あっ、あっ、あーっ、はぁ、はぁ、きもちい……リオ、まじで、体力エグい……、はっ、あっ、うっ、うっ、あっ、あっ、あっ」
「イザベラ、中に……出していい?」
「出してっ、あっ、出して……いいよ、リオのざーめん」

 仰向けのイザベラがぼくの精を求める。自由民憲章が布告されてぼくたちが生殖鍵を取り戻してから、セックスのときに中に出すことを意識するようになった。
 だけど、これは儀礼的なもので、お互い鍵を開けないと妊娠はしない。ぼくは仕事柄、鍵をかけたままだ。

 レダの店に戻ってから半月、ぼくはお休みしていたころの埋め合わせをする勢いで、昼から店に出て、深夜まで十二時間くらい働く。毎日、二十人、多いときだと三十人くらいの女性客を取る。
 生身だったらきっと泡をふいて倒れてるだろうけど、フェラーレの身体はセックスしているときがいちばん調子がいい。

 ぼくはイザベラの子宮口に陰茎の先端を押し付けて、ドバッと大量の精液を噴射する。結合から溢れる。
 ハルカが陰茎を引き抜いて、アリスの膣に挿入する。イザベラに覆いかぶさったアリスは小さな悲鳴を上げて、ぼくはアリスを射精しながらピストンする。

 二つ結びにした髪に花飾りをつけ、ハイソックスを履いたアリスは十八歳の生身の少女。イザベラも同い年の気の強そうなアッシュグレーの髪の子で、ふたりとも学習施設の女の子だ。ロアンヌが金を払って遊びに連れてきた。
 以前のように、学習施設の子供たちが、外出を厳しく制限されることはなくなった。

「この子たち、来年卒業なんだけど、ここの店で使ってもらえないかな?」とロアンヌが訊く。
「ここで働きたいの?」とぼく。
「身体使って稼ぎたいんだって。だいたい、こんな状況で仕事なんて簡単にはみつからないし」
「あとで、レダに会ってみる?」
「紹介して貰えるかい?」
「勿論、いつも人手が足りないし、これだけ可愛くて生身だったら、大丈夫だよ」
 イザベラがアリスの肩越しにぼくをみあげる。
「バイオ……ユニットじゃなくても、いいの?」
「生身が好きってお客さんも多いから」

 アリスが悲鳴をあげて、絶頂する。その恍惚の波が六人の女たちの身体の隅々に充ちていく。ぼくはゆっくり陰茎を引き抜く。
 ミサとハルカが濡れた陰茎に群がって、ちゅるちゅる舌を巻きつける。ぼくが仰向けになると、ロアンヌがセイラと共にぼくを跨ぐ。ぼくの目の前でセイラの割れ目に指を出し入れしながら、ぼくの陰茎を根元まで腹におさめて、艶かしく上下にスナップする。

 となりのショーブースでは、エレナとライラが巨乳の客と絡み合い、中央ステージに設けられた筒状の透明な籠の中で、メアが真っ赤なフラメンコスカートを翻してダンスする。
 歌も踊りも上手い美少女のメアのことは常連の間で噂になっているけれど、メアはギャラリーには出ない。一階のポールダンサーと同じで、客は取らない。

「そういえば、ファリンは?」
 ぼくの上で上下するロアンヌに訊く。以前、連れていたパートナーの子はファリンという可愛らしい子だった。
「ファリンは治安維持軍の空爆で死んだよ」
「そうなの……?」
「アンタに会いたがってたよ。もっと早く連れてくればよかった」

 ユリアのことを思い出す。最後に彼女を抱いたとき、ユリアはぼくの子供が欲しいと言っていた。紗英とおなじくらい長いあいだ愛し合った女を目の前で殺されて、ぼくの心に残っていた僅かな情や善意が潰えた。
 セクター4は狼の都市だ。弱い羊は生き残れない。

 ロアンヌがセイラを抱いたまま、ぼくの上で絶頂する。ぼくはロアンヌの胎内に精をぶっ放す。情欲の滾りがまた女たちの身体にこだまする。

 * * *

 零時を過ぎるとオフタイム。レイヴイベントの時を除いて、店は準備中になる。人間の清掃係が大量のセックスの痕跡を掃除する。

 単純労働にアンドロイドを使うと、ロボット人権派が騒ぎ、失業者が路地でアンドロイド狩りを始めるから、店の清掃員はみんな人間で、レピタは入出金なんかのもっと重要でミスの許されない仕事を担う。レピタはレダの電脳をコピーされて、なんだか口うるさくなった。

 ぼくたちは店の上層階の部屋で休む。
 ぼくはロフトでライラに仰向けに抱かれたセイラとセックスする。ミサとハルカはイったばかりで、抱き合って惚けている。
 下の部屋ではエレナが店の女と一緒に衣装を選ぶ。メアがロフトの梯子のてっぺんに腰掛けて、バルコニーで煙管を吹かす女たちと、雨の夜の滲んだネオンを眺める。

「ねえ……アタシって、リオくんの、何?」
 唐突にメアが訊く。ぼくはメアに真実を伝えていない。
「メアは、ぼくと血がつながっているんだ」
「じゃあ、お兄ちゃん?」
「そんな感じ」
「それじゃ、セックスできないね」
「そうだね」

 メアは少し淋しげに微笑んでから、梯子を降りる。純白のフラメンコスカートを履き、ぴったりしたチューブトップを着たエレナに、メアがダンスを教える。
 メアはギリアンの店にいたサーシャという娼婦にダンスを教わったらしい。ギリアンは撃たれて入院していたけど、片腕を機械化しただけで命は助かったと聞いた。彼には恨みも恩義もないからどうでもいい話。

「リオくん……、あっ、いっ、いく……」
「いって、いいよ」
「出してぇ……リオくんの、あっ、ぐっ」

 セイラが背を丸めて引き攣る。ぼくは幼い膣をかき混ぜるように突く。セイラを抱いたライラが手を伸ばして、ぼくの乳首を摘む。びじゅーっと精液を噴射する。
 隙間のないセイラの膣が受け止めきれずに、結合からじょばーっと派手に溢れて、マイクロファイバーの毛布をびしょびしょに濡らす。ぼくはセイラに精液を注ぎながら、身を乗り出してライラと舌を絡め合う。

「リオ、メアにほんとうのこと、教えなくてもいいの?」とライラが訊く。
「もう少し大きくなったら、教えるよ」
「あの子、母親のことも知らないんだよね。ちょっと可愛そうだね」

 天井近くの壁の巨大なプロジェクションモニタがNTVのニュースを流す。逮捕されたモーリス・ゲラルディーニ局長が起訴され、バンダースナッチ計画の部分的な情報を伝えている。
 イ式兵となった女性たちが、三十年前の大戦中に病院に逃げ込んでハイバネートした歴史が明るみになり、様々な陰謀論が囁かれている。この事件の全容は簡単には把握できないだろう。

 ぼくはセイラから陰茎を引き抜き、そのままライラに挿入する。リラの薫りがする深い膣がぼくを根元まで飲み込み、先端が子宮口にちゅるりと滑り込む。
 セイラが身体を起こして、ぼくの胸に舌を這わせる。ライラを突く。先端が子宮にちゅぼちゅぼ出入りして、セイラが乳首に吸いついて、ぼくは瞬く間に上り詰め、ライラの子宮に精を放つ。びゅくびゅくと脈打つ。ぼくはもう一度身を乗り出して、ライラとキスをする。

 ロフトの真下にベネチアンマスクをつけた黒服のレダの姿がみえる。手拍子を打って、メアとエレナが同じ振り付けでステップを踏む。バルコニーの女たちが振り返って鑑賞する。
 ミサとハルカが起き上がって、ぼくの胸を舐める。陰茎を引き抜いて、セイラに突き挿す。優しくピストンする。ミサが引き抜いて、ライラに捩じ込む。突く。ハルカが引き抜いてセイラに挿れる。交互に突く。一晩中こうやって楽しむ。

 * * *

 明け方、雨が止んで、東の空がほんのり明るくなる頃、女たちはみんな眠ってしまう。
 ぼくはロフトから降りてシャワーを浴び、レピタが作ったジアルジアを飲む。バルコニーに出て、デッキチェアに寝そべって、ネカトリックスを装填した煙管を吸う。

 リビングのソファで、メアと裸で抱き合って眠っていたエレナが身体を起こす。バルコニーに出て、デッキチェアに寝そべるぼくを跨ぐ。つるつるの割れ目に勃起したままの陰茎をちゅるりと収める。艶かしく腰をスナップさせる。

「ねえ、リオ……海をみたことある?」とエレナが訊く。
「あるよ、どうして?」
「ネムが海を見たいって言ってたから」

 エレナがぼくに覆いかぶさる。キスをする。腰だけをゆっくり上下させる。ぼくはエレナの背中を抱く。
 霧の向こうに、エアリアルサイネージの広告動画が蠢く。厚く積層した雲に、黄金色の朝日が差す。五十年後の東京という異世界で、ぼくは初めて朝日の光を浴びる。
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