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第3部
第9話「ルシアが逆上する顛末」
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雲から差し込む気だるい鈍色の光が汚れた街を照らす。今日もどこかから建設ロボットの工事の音が響いてくる。
昼下がり、ぼくは叫び声と大きな音で飛び起きた。
ベッドで背を向けたエレナとつながったままだけど、ユリアとライラの姿が無い。隣の部屋から誰かが号泣する声が聞こえてくる。ぼくはエレナを抱き起こす。ベッドから降りて、半開きのドアから覗き込む。
床に座り込んで泣いているルシアの肩をユリアが抱き、その前で裸のライラが肩にバスタオルをかけて見下ろす。丸テーブルが倒れて、酒瓶と缶詰のサイボーグ食が転がる。
「どうしたの?」とぼく。
ライラが振り返って、壁のモニタを親指で指す。いつものANPじゃなく、NTVというアングラメディアの放送が流れる。
『本日未明、麻薬組織エゼキエルのリーダー、オリオンの名で知られるイスマイル・アザレアが、ツェムナヤ・ドリナ地区の飲食店で銃撃を受け、死亡しました。エゼキエルはセクター4東部の別の麻薬組織であるイスカリオテと激しい抗争を繰り返しており……』
映像が襲撃現場に切り替わる。この時代のメディアは人の無残な死体を平気で映す。
テーブル席の窓際で、血まみれで椅子に沈み込んだオリオンの姿と、周囲に何人もの手下の死体が転がる。おそらく店の外から撃たれたのだろう。ものすごい数の弾痕がみえる。
「ルシアがアタシの銃を持って飛び出していきそうだったから、止めたところだよ」
「リオの銃貸して」とルシアが言う。
「銃持ってどこ行くの?」とぼくが訊く。
「モナリザのところだよ。奴ら、クラスノイ・ペロに拠点があるんだ。あたし一人なら入り込める」
「逆に撃たれるだけだよ」
ルシアはユリアに肩を抱かれてソファに座る。ライラがバスタオルを髪に巻く。
ぼくは寝室に戻ってバイザーをかける。ジュリエに音声通信。ベッドの上のエレナが這い寄って、ぼくの陰茎をちゅるりと飲み込む。エレナの頭を撫でる。音声通信が開く。
「リオ、無事なの?」
「ぼくたちは大丈夫だよ」
「ルシアはそっちにいる?」
「うん、いまニュースみて気が立ってる。ジュリエは大丈夫?」
「場所は言えないけど、隠れてるよ。エゼキエルのメンバーは全員雲隠れさ」
「イスカリオテに襲われたの?」
「そうだよ。生き残った奴がモナリザから伝言を受け取ってて、リオを名指しで要求してるんだ」
「どうしてぼくを」
「わからない、リオを差し出せば手打ちにするって言うから、リオは潜伏してるエゼキエルからも狙われることになるよ」
「ライラは?」
「ライラは要求されてないなぁ」
「エゼキエルがいなくなったら、東部はイスカリオテが独占するんじゃない」
「もうそうなってるよ。ユタニの元構成員を取り込んで組織も大きくなってる。睡眠薬や電脳ドラッグは値がじりじり上がってるね。東部民は西部につてがないと移れないから大変だよ」
エレナが口を離して、ベッドの縁で仰向けになる。ぼくは床の絨毯に膝をついて、濡れた陰茎をエレナに挿入する。ゆっくり腰を前後させると、エレナがか細い声で喘ぐ。
「いつまで隠れていればいいのかな」
「簡単にはほとぼり冷めそうにないから、セクター5に逃げ込むしかないかもしれないね」
「ジュリエはこれからどうするの?」
「あたしはそもそもメンバーじゃないから」
「そっか……」
「下手に動かないほうがいいよ。ビビって動くとみつかっちゃう」
「外にでないようにするよ」
「そうね、リオはセックスしてて」
「うん、今も……してる」
「エレナだろ、声聞こえるよ。アタシもリオとファックしたいよ」
ジュリエが通信を切る。ぼくはバイザーをかけたままエレナを突く。エレナは両手を伸ばして、ぼくの乳首を摘む。
隣の部屋からユリアとルシアの話し声が聞こえる。ライラがタオルを巻いたまま冷蔵庫からアロマカクテルの瓶を取る。強い風が窓を揺らす。
* * *
仰向けのぼくをユリアが跨いで上下に揺れる。ぼくはライラとエレナを両脇に抱いて、乳首を舐めてもらう。
すっかり夜が更けて、部屋の明かりは保安灯だけにして、窓から差し込むネオンが天井に反射するのを眺める。ずっと泣いていたルシアは疲れてソファで眠ってしまった。快楽に溺れるぼくたちの吐息と、セックスと愛撫の濡れた音だけが寝室に響く。
「あぁ……あっ、リオ、乳首、触って……、あっ」
「ユリア、イキそ……」
「あたしも、あっあっあっあっいっ、いくっ、リオ、出してっ」
ユリアの絶頂に合わせて、思い切り射精する。結合から熱い体液がドバっと横溢し、股間にひろがる。それをエレナとライラがじゅるじゅる啜る。
生身の精液とおなじ、雨上がりの栗林の匂いに、ユリアの桃のような瑞々しい香りが混じる。ユリアが幸せそうな表情でぼくを見下ろし、卑猥に膨らんだ下腹部を撫でる。
「ああ……リオの子種がいっぱい……」とユリアが囁く。
「妊娠しないよね」
「しないよ」
「バイオユニットでも、子供は作れるよね?」
「結婚すれば、妊娠できるよ。でも、結婚って、市民の権利だからね」
「結婚しないと子供つくれないの?」
「知らなかった?」
「なんか、エレナにそんなことを教わった気がする」
「あたし、そんなこと教えてないよ」とエレナ。
「じゃあ、誰だろう……」
ユリアが腰を浮かして、長大な陰茎を引き抜く。
三人が濡れた股間に群がる。三人が交代でぼくを根元まで飲み込んで、扁桃腺と食道のヒダで散々愛撫する。射精で一度引きかけた快楽の波がまた打ち寄せる。
昼下がり、ぼくは叫び声と大きな音で飛び起きた。
ベッドで背を向けたエレナとつながったままだけど、ユリアとライラの姿が無い。隣の部屋から誰かが号泣する声が聞こえてくる。ぼくはエレナを抱き起こす。ベッドから降りて、半開きのドアから覗き込む。
床に座り込んで泣いているルシアの肩をユリアが抱き、その前で裸のライラが肩にバスタオルをかけて見下ろす。丸テーブルが倒れて、酒瓶と缶詰のサイボーグ食が転がる。
「どうしたの?」とぼく。
ライラが振り返って、壁のモニタを親指で指す。いつものANPじゃなく、NTVというアングラメディアの放送が流れる。
『本日未明、麻薬組織エゼキエルのリーダー、オリオンの名で知られるイスマイル・アザレアが、ツェムナヤ・ドリナ地区の飲食店で銃撃を受け、死亡しました。エゼキエルはセクター4東部の別の麻薬組織であるイスカリオテと激しい抗争を繰り返しており……』
映像が襲撃現場に切り替わる。この時代のメディアは人の無残な死体を平気で映す。
テーブル席の窓際で、血まみれで椅子に沈み込んだオリオンの姿と、周囲に何人もの手下の死体が転がる。おそらく店の外から撃たれたのだろう。ものすごい数の弾痕がみえる。
「ルシアがアタシの銃を持って飛び出していきそうだったから、止めたところだよ」
「リオの銃貸して」とルシアが言う。
「銃持ってどこ行くの?」とぼくが訊く。
「モナリザのところだよ。奴ら、クラスノイ・ペロに拠点があるんだ。あたし一人なら入り込める」
「逆に撃たれるだけだよ」
ルシアはユリアに肩を抱かれてソファに座る。ライラがバスタオルを髪に巻く。
ぼくは寝室に戻ってバイザーをかける。ジュリエに音声通信。ベッドの上のエレナが這い寄って、ぼくの陰茎をちゅるりと飲み込む。エレナの頭を撫でる。音声通信が開く。
「リオ、無事なの?」
「ぼくたちは大丈夫だよ」
「ルシアはそっちにいる?」
「うん、いまニュースみて気が立ってる。ジュリエは大丈夫?」
「場所は言えないけど、隠れてるよ。エゼキエルのメンバーは全員雲隠れさ」
「イスカリオテに襲われたの?」
「そうだよ。生き残った奴がモナリザから伝言を受け取ってて、リオを名指しで要求してるんだ」
「どうしてぼくを」
「わからない、リオを差し出せば手打ちにするって言うから、リオは潜伏してるエゼキエルからも狙われることになるよ」
「ライラは?」
「ライラは要求されてないなぁ」
「エゼキエルがいなくなったら、東部はイスカリオテが独占するんじゃない」
「もうそうなってるよ。ユタニの元構成員を取り込んで組織も大きくなってる。睡眠薬や電脳ドラッグは値がじりじり上がってるね。東部民は西部につてがないと移れないから大変だよ」
エレナが口を離して、ベッドの縁で仰向けになる。ぼくは床の絨毯に膝をついて、濡れた陰茎をエレナに挿入する。ゆっくり腰を前後させると、エレナがか細い声で喘ぐ。
「いつまで隠れていればいいのかな」
「簡単にはほとぼり冷めそうにないから、セクター5に逃げ込むしかないかもしれないね」
「ジュリエはこれからどうするの?」
「あたしはそもそもメンバーじゃないから」
「そっか……」
「下手に動かないほうがいいよ。ビビって動くとみつかっちゃう」
「外にでないようにするよ」
「そうね、リオはセックスしてて」
「うん、今も……してる」
「エレナだろ、声聞こえるよ。アタシもリオとファックしたいよ」
ジュリエが通信を切る。ぼくはバイザーをかけたままエレナを突く。エレナは両手を伸ばして、ぼくの乳首を摘む。
隣の部屋からユリアとルシアの話し声が聞こえる。ライラがタオルを巻いたまま冷蔵庫からアロマカクテルの瓶を取る。強い風が窓を揺らす。
* * *
仰向けのぼくをユリアが跨いで上下に揺れる。ぼくはライラとエレナを両脇に抱いて、乳首を舐めてもらう。
すっかり夜が更けて、部屋の明かりは保安灯だけにして、窓から差し込むネオンが天井に反射するのを眺める。ずっと泣いていたルシアは疲れてソファで眠ってしまった。快楽に溺れるぼくたちの吐息と、セックスと愛撫の濡れた音だけが寝室に響く。
「あぁ……あっ、リオ、乳首、触って……、あっ」
「ユリア、イキそ……」
「あたしも、あっあっあっあっいっ、いくっ、リオ、出してっ」
ユリアの絶頂に合わせて、思い切り射精する。結合から熱い体液がドバっと横溢し、股間にひろがる。それをエレナとライラがじゅるじゅる啜る。
生身の精液とおなじ、雨上がりの栗林の匂いに、ユリアの桃のような瑞々しい香りが混じる。ユリアが幸せそうな表情でぼくを見下ろし、卑猥に膨らんだ下腹部を撫でる。
「ああ……リオの子種がいっぱい……」とユリアが囁く。
「妊娠しないよね」
「しないよ」
「バイオユニットでも、子供は作れるよね?」
「結婚すれば、妊娠できるよ。でも、結婚って、市民の権利だからね」
「結婚しないと子供つくれないの?」
「知らなかった?」
「なんか、エレナにそんなことを教わった気がする」
「あたし、そんなこと教えてないよ」とエレナ。
「じゃあ、誰だろう……」
ユリアが腰を浮かして、長大な陰茎を引き抜く。
三人が濡れた股間に群がる。三人が交代でぼくを根元まで飲み込んで、扁桃腺と食道のヒダで散々愛撫する。射精で一度引きかけた快楽の波がまた打ち寄せる。
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