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第2部
第12話「イスカリオテを騙す顛末」
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廃工場の東棟は床が抜け落ち、壁中油まみれだった。
ぼくは東棟の監視小屋の床に這いつくばり、光学迷彩で姿を消して、二脚を立てたロバエフ狙撃銃を構える。吹きさらしの廃工場の寒さは堪える。ライラが壁にもたれかかって、潜望鏡のような観測鏡を覗き込む。ここからボーリング現場全体を見渡せる。
巨大な槌を鉄骨が支え、その穴の周囲は黒ずんだ広場になっている。冷たい風が砂塵を巻き上げる。
「来た、キャリアバンタイプの車で六人乗ってるね」とライラが言う。
「末端が来たの?」とぼく。
「取引に偉いやつは来ないんじゃないの」
「何も起きなければいいけど……。ボリスたちはまだ?」
「リオ、不安なの? 口数多いね」
「こういうの、慣れなくて」
イスカリオテのメンバー六人が、キャリアバンタイプの黒い車で乗り込んでくる。六角形のボディに大量の物品を搭載できる装甲車両だから、睡眠薬十ケースを大事に運んできたのだろう。約束の時間ぴったり。車から武装した男女が降りてくる。赤毛の女の姿がみえる。ライラが息を呑む。
「モナリザがいるよ」
「ボスじゃん」
「こんな場末の取引に来るんだ」
モナリザはイスカリオテの女ボスで、本名は知らないけれど、眉毛の無い能面のような顔立ちから、モナリザと称されている。アラカワ河川敷でエゼキエルの構成員を斬首する映像にも出ていた。
東部のクレイジーなカルテルの中でも、指折りの凶悪集団を掌握するセクター4ではフェオドラの次にヤバイ女だ。
バイザーが彼らの赤外線スキャンを検知する。ライラは壁に隠れているし、ぼくは熱光学迷彩で姿を消している。見つかりっこないのに、不安で身体が震える。
百二十秒遅れて、西側のバラックの影から偽装装甲車が現れる。アキラのピックアップを改造した車だ。
ぼくたちは反政府ゲリラの一派という設定だから、こういう世紀末車両が必要だ。ボリスの車を使えばいいと思ったけれど、あのトゲトゲの車はツーシーターだからケースを積めない。
偽装装甲車は西門から工場内に入り、モナリザたちの待つ広場にゆっくりと弧を描いて停まる。
バイザーにベツの視界が共有される。ボリスとサチ、それに運転席にはヴィクトールが座る。ケースを運ぶために、ルツの男たちが三人。うち一人はハルトがイーライから救った男娼の男だ。東部で顔が割れてるハルトは取引に参加できない。
凍てつくような寒さなのに、観測鏡を覗き込むライラは紐状のレオタード姿。サチだってビキニスーツだ。女達は寒さを感じないのか、それともボディユニットになにか秘密があるのか。
イスカリオテの男たちはASR25というゲリラ御用達の小銃を持っている。それに対してボリスたちはSR25という実弾銃だ。この距離で撃ち合いになると性能面で分が悪い。
赤毛のモナリザが前に出る。サンプルケースを持った男があとに続く。バイザーに表示される照準器でモナリザの姿を追う。ベツが前に出る。
「睡眠薬十ケース、アンプル単価七千二百クレジットだ」とモナリザが言う。
「アンタがモナリザかい?」とベツが訊く。
「そうだ」
「俺はリー・シェイウェイだ。イスカリオテのボスがこんな美人だとは知らなかったね」とベツは死んだ男の名を騙る。
「挨拶は良い、確認してくれ」
「初めての取引だ。サンプル以外のケースも見たい」
モナリザがケースを持った男に指示する。男はキャリアバンに戻り、大型の台車にケースを移す。二人がかりで慎重に運ぶ。ベツの前で台車を止める。
ベツはケースを開いて、アンプルを無作為に取り出し、分析器で検査する。
「西部ゲリラが大規模蜂起すると噂が立っている」とモナリザが呟く。
「俺達は下っ端だから、何も聞いてないな」
「なぜ東部の我々と取引する」
「西部は少々値上がりしてるもんでね」
ベツがアンプルを一本持って、厚い雲に遮られた頼りない陽の光にかざす。
「ほーん、こりゃどうしたもんかな」
「なんだ」
「良品だが、このアンプルは一度病院に卸されてるな」
「問題あるか? 中身は本物の精製品だ」
「シリアルを控えられてると面倒だ」
「嫌なら取引は無しだ、東部ゲリラに流す」
「六千八百」
「値切る気か?」
「こっちも手間が増えるんだ、東部は大暴落でこの値段では無理だろ」
「七千、西部の昔の相場だ」
「おーけー、なら七千で」
ベツが有線ケーブルをモナリザに渡す。二人がつながる。バイザーに取引情報が表示される。七百万クレジットが一瞬で決済される。
普段の決済となにも変わらない。だけど、ぼくたちルツの人間はだれもそんな大金は持っていない。
ぼくはバイザーに表示される照準をモナリザの胸に合わせる。安全装置を解除すると、バイザー内の表示が赤に変わり、射撃表示が現れる。
「これで取引完了、運んでいいか?」
「どうぞ」
予想に反して、取引は平和裏に終わる。ルツの男たちが台車の睡眠薬ケースを運ぶ。偽装装甲車に積み込む。ぼくはモナリザから照準を外さない。モナリザたちもその場から動かない。緊張して息が苦しい。
「リオ、もっとリラックスしなよ」とライラが声をかける。
「無理だよ……」
「口でしてやろうか?」
「……あとで、して」
ベツの視界がイスカリオテのメンバーを捉える。支那系の男と女、レダの店でみたクラウディアはいない。ボリスは咥え煙草でケースを運ぶ。男娼の男は他の男と二人がかりで慎重に運ぶ。誰も喋らない。
こういう異様な静けさは、映画なら撃ち合いが始まる前触れだ。
「リオはイ式だろ。SKFには参加しなかったのかい?」
唐突にライラが訊く。
「イ式とかSKFって、なんのことか知らないんだ」
「SKFは海洋資源採掘船を強襲する特殊部隊だよ、そのためにアタシらバンダースナッチが作られたって、ベツかボリスが教えてくれただろ?」
「初めて聞いた」
「マジで? セックスは最高なのに、そんなことも知らないなんて……」
「イ式って?」
「バイダースナッチはイロハの三兵種があんの。リオはイ、アタシはロ、ベツやボリスはハ、だね。イ式は高級ボディで光学迷彩を埋め込んだやつで、ハ式は脳殻が独立してるから死なないパワー系、きっと電脳も金属でできてるわ」
「ライラは?」
「ロ式は電脳鍵無しでブレインハックできる電脳戦部隊だよ」
「ブレインハックって、引き金が引けなくなるやつだ。イーライたちがヴィクトールにやられた」
「それは電脳鍵を使ったやり方だね。あたしは鍵無しで人の身体を奪える」
「なんでもできるじゃん」
「そう簡単な話じゃないんだけどさ……」
ヴィクトールからグループ回線が開く。
「奴ら怪しんでるぜ」とヴィクトールの声。
「怪しませとけ」とベツが答える。
「別暗号での照会を行って……、待て、台車の男が銀行窓口に音声通信を試行してる。IVRで回線混雑案内してるが、持って数分だ。急げ」
「わかってる、急かすな」
ケースを積み終わり、偽装装甲車が広場から出ていく。工場の敷地を出て、スラム街に消えると安堵する。
「リオ、奴ら、何してる?」ベツが訊く。
「車に戻ったよ。モナリザだけ外に立ってる」
「まだ怪しんでるか?」
「銀行につないで照会中」とヴィクトール。
「リオ、そこはもういいから合流ポイントに移動しろ」
ぼくはゆっくり起き上がり、ライラと共に監視棟の梯子を降りる。工場のフェンスを通り抜けて、淀んだ溜池のある林を通過する。廃屋の影に駐めた車に乗り込む。
エンジンをかけて、目的地をバイザーのマップで選んでいるとき、助手席のライラがぼくのシャツから陰茎を引きずり出して、ちゅるりと飲み込んでしまう。
ぼくは東棟の監視小屋の床に這いつくばり、光学迷彩で姿を消して、二脚を立てたロバエフ狙撃銃を構える。吹きさらしの廃工場の寒さは堪える。ライラが壁にもたれかかって、潜望鏡のような観測鏡を覗き込む。ここからボーリング現場全体を見渡せる。
巨大な槌を鉄骨が支え、その穴の周囲は黒ずんだ広場になっている。冷たい風が砂塵を巻き上げる。
「来た、キャリアバンタイプの車で六人乗ってるね」とライラが言う。
「末端が来たの?」とぼく。
「取引に偉いやつは来ないんじゃないの」
「何も起きなければいいけど……。ボリスたちはまだ?」
「リオ、不安なの? 口数多いね」
「こういうの、慣れなくて」
イスカリオテのメンバー六人が、キャリアバンタイプの黒い車で乗り込んでくる。六角形のボディに大量の物品を搭載できる装甲車両だから、睡眠薬十ケースを大事に運んできたのだろう。約束の時間ぴったり。車から武装した男女が降りてくる。赤毛の女の姿がみえる。ライラが息を呑む。
「モナリザがいるよ」
「ボスじゃん」
「こんな場末の取引に来るんだ」
モナリザはイスカリオテの女ボスで、本名は知らないけれど、眉毛の無い能面のような顔立ちから、モナリザと称されている。アラカワ河川敷でエゼキエルの構成員を斬首する映像にも出ていた。
東部のクレイジーなカルテルの中でも、指折りの凶悪集団を掌握するセクター4ではフェオドラの次にヤバイ女だ。
バイザーが彼らの赤外線スキャンを検知する。ライラは壁に隠れているし、ぼくは熱光学迷彩で姿を消している。見つかりっこないのに、不安で身体が震える。
百二十秒遅れて、西側のバラックの影から偽装装甲車が現れる。アキラのピックアップを改造した車だ。
ぼくたちは反政府ゲリラの一派という設定だから、こういう世紀末車両が必要だ。ボリスの車を使えばいいと思ったけれど、あのトゲトゲの車はツーシーターだからケースを積めない。
偽装装甲車は西門から工場内に入り、モナリザたちの待つ広場にゆっくりと弧を描いて停まる。
バイザーにベツの視界が共有される。ボリスとサチ、それに運転席にはヴィクトールが座る。ケースを運ぶために、ルツの男たちが三人。うち一人はハルトがイーライから救った男娼の男だ。東部で顔が割れてるハルトは取引に参加できない。
凍てつくような寒さなのに、観測鏡を覗き込むライラは紐状のレオタード姿。サチだってビキニスーツだ。女達は寒さを感じないのか、それともボディユニットになにか秘密があるのか。
イスカリオテの男たちはASR25というゲリラ御用達の小銃を持っている。それに対してボリスたちはSR25という実弾銃だ。この距離で撃ち合いになると性能面で分が悪い。
赤毛のモナリザが前に出る。サンプルケースを持った男があとに続く。バイザーに表示される照準器でモナリザの姿を追う。ベツが前に出る。
「睡眠薬十ケース、アンプル単価七千二百クレジットだ」とモナリザが言う。
「アンタがモナリザかい?」とベツが訊く。
「そうだ」
「俺はリー・シェイウェイだ。イスカリオテのボスがこんな美人だとは知らなかったね」とベツは死んだ男の名を騙る。
「挨拶は良い、確認してくれ」
「初めての取引だ。サンプル以外のケースも見たい」
モナリザがケースを持った男に指示する。男はキャリアバンに戻り、大型の台車にケースを移す。二人がかりで慎重に運ぶ。ベツの前で台車を止める。
ベツはケースを開いて、アンプルを無作為に取り出し、分析器で検査する。
「西部ゲリラが大規模蜂起すると噂が立っている」とモナリザが呟く。
「俺達は下っ端だから、何も聞いてないな」
「なぜ東部の我々と取引する」
「西部は少々値上がりしてるもんでね」
ベツがアンプルを一本持って、厚い雲に遮られた頼りない陽の光にかざす。
「ほーん、こりゃどうしたもんかな」
「なんだ」
「良品だが、このアンプルは一度病院に卸されてるな」
「問題あるか? 中身は本物の精製品だ」
「シリアルを控えられてると面倒だ」
「嫌なら取引は無しだ、東部ゲリラに流す」
「六千八百」
「値切る気か?」
「こっちも手間が増えるんだ、東部は大暴落でこの値段では無理だろ」
「七千、西部の昔の相場だ」
「おーけー、なら七千で」
ベツが有線ケーブルをモナリザに渡す。二人がつながる。バイザーに取引情報が表示される。七百万クレジットが一瞬で決済される。
普段の決済となにも変わらない。だけど、ぼくたちルツの人間はだれもそんな大金は持っていない。
ぼくはバイザーに表示される照準をモナリザの胸に合わせる。安全装置を解除すると、バイザー内の表示が赤に変わり、射撃表示が現れる。
「これで取引完了、運んでいいか?」
「どうぞ」
予想に反して、取引は平和裏に終わる。ルツの男たちが台車の睡眠薬ケースを運ぶ。偽装装甲車に積み込む。ぼくはモナリザから照準を外さない。モナリザたちもその場から動かない。緊張して息が苦しい。
「リオ、もっとリラックスしなよ」とライラが声をかける。
「無理だよ……」
「口でしてやろうか?」
「……あとで、して」
ベツの視界がイスカリオテのメンバーを捉える。支那系の男と女、レダの店でみたクラウディアはいない。ボリスは咥え煙草でケースを運ぶ。男娼の男は他の男と二人がかりで慎重に運ぶ。誰も喋らない。
こういう異様な静けさは、映画なら撃ち合いが始まる前触れだ。
「リオはイ式だろ。SKFには参加しなかったのかい?」
唐突にライラが訊く。
「イ式とかSKFって、なんのことか知らないんだ」
「SKFは海洋資源採掘船を強襲する特殊部隊だよ、そのためにアタシらバンダースナッチが作られたって、ベツかボリスが教えてくれただろ?」
「初めて聞いた」
「マジで? セックスは最高なのに、そんなことも知らないなんて……」
「イ式って?」
「バイダースナッチはイロハの三兵種があんの。リオはイ、アタシはロ、ベツやボリスはハ、だね。イ式は高級ボディで光学迷彩を埋め込んだやつで、ハ式は脳殻が独立してるから死なないパワー系、きっと電脳も金属でできてるわ」
「ライラは?」
「ロ式は電脳鍵無しでブレインハックできる電脳戦部隊だよ」
「ブレインハックって、引き金が引けなくなるやつだ。イーライたちがヴィクトールにやられた」
「それは電脳鍵を使ったやり方だね。あたしは鍵無しで人の身体を奪える」
「なんでもできるじゃん」
「そう簡単な話じゃないんだけどさ……」
ヴィクトールからグループ回線が開く。
「奴ら怪しんでるぜ」とヴィクトールの声。
「怪しませとけ」とベツが答える。
「別暗号での照会を行って……、待て、台車の男が銀行窓口に音声通信を試行してる。IVRで回線混雑案内してるが、持って数分だ。急げ」
「わかってる、急かすな」
ケースを積み終わり、偽装装甲車が広場から出ていく。工場の敷地を出て、スラム街に消えると安堵する。
「リオ、奴ら、何してる?」ベツが訊く。
「車に戻ったよ。モナリザだけ外に立ってる」
「まだ怪しんでるか?」
「銀行につないで照会中」とヴィクトール。
「リオ、そこはもういいから合流ポイントに移動しろ」
ぼくはゆっくり起き上がり、ライラと共に監視棟の梯子を降りる。工場のフェンスを通り抜けて、淀んだ溜池のある林を通過する。廃屋の影に駐めた車に乗り込む。
エンジンをかけて、目的地をバイザーのマップで選んでいるとき、助手席のライラがぼくのシャツから陰茎を引きずり出して、ちゅるりと飲み込んでしまう。
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