【R18】ハロー!ジャンキーズ

藤原紫音

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第1部

第34話「ぼくが異世界に転生した理由をみつける顛末」

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 セーフハウスのバルコニーには透明のひさしがあって、降り注ぐ雨をしのげる。

 ぼくたちはバルコニーにマットレスを何枚も敷いて、その上でセックスする。
 仰向けのユリアにエレナが覆いかぶさり、ぼくは二人を交互にピストンする。ペニスの生体パーツをつけたレピタがぼくの背中を抱く。ぼくの乳首を指先でつまみながら、人造ペニスをぼくのお尻に挿れて、前立腺と精嚢せいのうを突き上げる。
 ユリアとエレナを突くたびに、前も後ろもきもちいい。三人は有線ケーブルでリンクしていて、ぼくを犯しながらぼくに犯される。

「リオはお尻まで最高だね、あたしのちんぽ、きもちいい?」とエレナが聞く。
「すごい……よ、きが、くるいそう……」

 ぼくたちのすぐ脇で、円卓にコンソールをのせたサチが、今夜は紫に光る液体を煙管キセルに充填して吸っている。ミントのようなクールな芳香が漂う。
 コンソールには繁華街にあるパーツショップの店内が表示される。ハルトの視界。汚れたチェックシャツにニット帽をかぶった老人が、透明の分析機に記憶媒体を入れて解析中。ウェンディに貰った四角い板の正体がぼくたちにはわからなかった。

『これ、古いシリコンドライブだね。部品が劣化してるから、バラして直に走査しないとだめだなあ』

 コンソールに映る老人が言う。老人が座る作業台には所狭しと謎のガジェットが置かれ、後ろの壁には眼球や心臓、歯、耳、男性器、小腸、膵臓すいぞう、肝臓、膣と子宮、胃、神経組織の入った瓶が天井まで陳列される。パーツショップにはそういうバイオユニットが安価で売られていて、それを買って闇医者に移植を依頼すると費用が抑えられる。

『ここで走査できるか?』とハルトの声。
『できるよ、すこし時間かかるけど』
『頼む』

 モニタの向こうで老人が記憶媒体を分解し始める。
 ぼくはうつ伏せのエレナを突き上げる。ユリアより小ぶりの子宮頸が先端にぶつかるたび、上下左右いろいろな方向にゴリゴリ滑って、耐え難い快感。エレナを責めれば責めるほど、レピタの人造ペニスがぼくの前立腺を深く抉る。雨音に喘ぎ声が溶ける。
 サチが煙管の煙をぼくに吹きかける。

「さあ、なにが出るかな」
「読み取れそう……ですか?」とぼくは聞く。
「多分ね」
「ぼくも、行けばよかったですね」
「これはアタシたちの仕事。アンタは気兼ねなくセックスを楽しみな」
「はい……あっ、あん、あっ、いっ」
「リオの恥ずかしいデータが出てきたら、パブリックにしてセクター中にばらまくわ」
「やめてください……あっ、あっ、あーっ」

 レピタがぼくを積極的に突き上げる。いままでぼくがレピタを犯した分、仕返しするようにぼくを滅多突きにする。
 ぼくは後ろから突かれて前後に揺さぶられながら、陰茎をエレナから引き抜いて、ユリアに挿れる。根元まで優しく包み込まれ、ぼくは深呼吸して震えを抑える。ユリアを突き下ろす。降り注ぐ雨の匂いが芳しい。

「リオ、アタシたちのセックス、いま、ネットで配信してるよ」とユリアが言う。
「視覚?」
「五感全部よ……。すごいよ、いま、二千人が同期してる」
「そんなに……」
「いま、リオは、二千人の女とファックしてるのよ。アタシたちをイかせたら、一晩で二千人を抱いたことになるね。リオ、いいのよ、あたしの膣に出して、生のせーしで満たして」

 ぼくは夢中でユリアを突き下ろす。ぼく以上にレピタがぼくをめちゃくちゃに犯す。レピタが突く衝撃をそのままユリアの子宮に伝える。
 お腹の底にずーんと響くような快感が拡がって、背筋を伝ってぼくの脳を吹っ飛ばす。最大級の絶頂感にぼくはびっくりして、悲鳴を上げながら、ごめんなさい、と連呼する。
 ごめんなさい、ごめんなさい、こんなにきもちよくてごめんなさい。びじゅうううっと派手に噴射した精液が、結合から噴き出す。その衝撃にユリアが絶頂し、エレナも絶頂し、レピタがぼくのお尻に人工の精液をドバっと放つ。絶頂と快感が誘爆してぼくのお尻に戻ってくる。

 透明の庇に雨が流れ、エゴタウンの電波塔のネオンが滲む。上空を通過する広告船に子供服のコマーシャルが流れ、駅前交差点のオープンスペースでエロい格好のアイドルがライブを始める。
 サチが大きく背伸びして、鎖樋くさりどいを流れる雨音が響き、ネット越しに二千人の女を絶頂させて、ぼくは力尽きて意識が薄れる。

 * * *

『出たぞ、古いデータだ。画像がいくつかと、古いベクタファイル……』

 稲光がセックスに濡れたぼくたちを照らし、落雷の轟音とノイズの乗った老人の声に、現実に引き戻される。サチがぼくのバイザーを差し出す。

「見るかい?」

 ぼくはバイザーをかける。お尻からレピタの陰茎を引き抜かれて、ぶるっと身震いをひとつ、そのままマットレスの上に仰向けに倒れ込み、三人の舌と唇が股間に群がる。
 視界の中央にハルトのライブ映像が開く。パーツショップの老人がモニタをこちらに向ける。

 お父さんとお母さんと、真ん中にぼくが立ち、高校の校門で撮った入学式のときの写真。

 驚きはなかった。

 薄々感づいてはいた。
 ベツに貰ったこのバイザーを初めてかけたとき、内側にISO8601規格の西暦の日時が表示されることに気づいた。今は二〇七四年七月になっている。もう二ヶ月あまりが過ぎていた。
 その間に眼にしたものすべてが、この異世界がぼくの世界と地続きだということを示唆していた。そう、ここは異世界なんかじゃない。

「リオ、あんた異世界に来たんじゃなくて、タイムリープしたんだよ」とサチが笑う。
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