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第1部
第33話「ウェンディが秘密を語る顛末」
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ウェンディはソフィア・イズランデルという電脳科の女医で、エンライ・エヴゲニーが所有するゲラルディーニ・カキザキ記念病院に正式に所属していた。
だけどああいう性格だから、電脳メンテ中の若い男たちを犯していることが露見し失職。東部の麻薬カルテルの女になって自由民となり、身を持ち崩した。いろいろな男のもとを転々としていたが満たされることはなく、ウェンディという闇医者として生活する道を選んだ。
ここまでは、セクター4にはどこにでも転がっている話なのだけど、ウェンディは闇医者としても珍しい電脳医だったから、正規の病院から違法な施術のために呼ばれることがあった。
古巣のゲラルディーニ病院で、湿潤槽に入ったぼくと出会った。それまでも湿潤槽の少年少女を大勢見てきたが、ぼくになにか感じるところがあったらしい。
そこで、ウェンディはぼくに対してのみ、手心を加えた。そのせいでぼくは予定より早く目覚めてしまい、ウェンディとあの義眼の担当医は口論になって、ウェンディは培養室を出ていった。入れ替わりにゲリラが襲撃してきた。偶然が重なり、九死に一生を得たのだ。
ぼくの髪や肌、瞳から色素が抜けたのは培養の結果だ。もともとは黒髪だったらしい。初めてユリアたちと結ばれてから、日を追うごとに精液が増え、快楽にズブズブ溺れていった。
そういう身体を、ウェンディにデザインされたのだ。ウェンディは、ぼくにとっては、二人目の母親なのかもしれない。
* * *
深夜零時過ぎ、ぼくは裸のまま、待合室のソファに座る。ユリアとエレナが寄り添って、勃起した陰茎を交代で飲み込む。
斜向いのソファで、ハルトとサチがファストフードの中華を食べながら、ウェンディのシャワーを待つ。精液を撒き散らした診察台を、アンドロイドナースが掃除する。
雨は降り止まず、向かいのディルドーショップも営業中。バーも開いている。こんな雨のなか、行き交う人通りが途切れない。
全裸でタオルを肩にかけたウェンディがシャワーボックスから出てくる。椅子にかかった白衣のポケットから四角形の板を取り出し、ハルトに差し出す。
「これ、リオの所持品ケースに入ってた。多分記録媒体だけど、なんだかわからない。もうデータも消えてるかも」
ハルトは受け取って、ヒラヒラとぼくにみせる。ぼくは首を横にふる。ぼくにもなんだかわからない。
「リオがイーライにとって脅威になる理由は?」とハルトが聞く。
「あたしとセフレだからよ」
「もったいぶるなよ」
「セフレのあたしがゲリラどもの電脳鍵のコピーを持ってるの。電脳管理局への受け渡しを、院長のモーリスが一度だけあたしに委任しちゃったのね。リオの電脳に埋め込んで病院から持ち出したわ」
ハルトがぎょっとした表情で、笑い出す。
「まじか、それってイーライたちのも……」
「多分あるわ、いる?」
「あー……、高いのか?」
「またリオとファックさせてくれるなら、サービス」
「いいぜ、三人置いてくか?」
「今夜は、いいわ。マジでイキすぎて、卵巣がちょっと痛いもの。ワンオフは刺激が強いわね」
そう言って左右の脇腹を指差す。
ぼくたちは立ち上がり、ふらつきながらシャワーボックスを借りる。温かいお湯が全身のセックスを洗い流す。ぼくはユリアをガラスに押し付けて、後ろから挿入する。エレナに指を挿れる。
ガラス張りのボックスの向こうで、ハルトとサチと、裸のウェンディが談笑する。ウェンディの背中に、エレナの下腹部と同じ、穴の空いた黒いハートのタトゥーがみえる。サチが手を叩いて大笑いしている。
だけどああいう性格だから、電脳メンテ中の若い男たちを犯していることが露見し失職。東部の麻薬カルテルの女になって自由民となり、身を持ち崩した。いろいろな男のもとを転々としていたが満たされることはなく、ウェンディという闇医者として生活する道を選んだ。
ここまでは、セクター4にはどこにでも転がっている話なのだけど、ウェンディは闇医者としても珍しい電脳医だったから、正規の病院から違法な施術のために呼ばれることがあった。
古巣のゲラルディーニ病院で、湿潤槽に入ったぼくと出会った。それまでも湿潤槽の少年少女を大勢見てきたが、ぼくになにか感じるところがあったらしい。
そこで、ウェンディはぼくに対してのみ、手心を加えた。そのせいでぼくは予定より早く目覚めてしまい、ウェンディとあの義眼の担当医は口論になって、ウェンディは培養室を出ていった。入れ替わりにゲリラが襲撃してきた。偶然が重なり、九死に一生を得たのだ。
ぼくの髪や肌、瞳から色素が抜けたのは培養の結果だ。もともとは黒髪だったらしい。初めてユリアたちと結ばれてから、日を追うごとに精液が増え、快楽にズブズブ溺れていった。
そういう身体を、ウェンディにデザインされたのだ。ウェンディは、ぼくにとっては、二人目の母親なのかもしれない。
* * *
深夜零時過ぎ、ぼくは裸のまま、待合室のソファに座る。ユリアとエレナが寄り添って、勃起した陰茎を交代で飲み込む。
斜向いのソファで、ハルトとサチがファストフードの中華を食べながら、ウェンディのシャワーを待つ。精液を撒き散らした診察台を、アンドロイドナースが掃除する。
雨は降り止まず、向かいのディルドーショップも営業中。バーも開いている。こんな雨のなか、行き交う人通りが途切れない。
全裸でタオルを肩にかけたウェンディがシャワーボックスから出てくる。椅子にかかった白衣のポケットから四角形の板を取り出し、ハルトに差し出す。
「これ、リオの所持品ケースに入ってた。多分記録媒体だけど、なんだかわからない。もうデータも消えてるかも」
ハルトは受け取って、ヒラヒラとぼくにみせる。ぼくは首を横にふる。ぼくにもなんだかわからない。
「リオがイーライにとって脅威になる理由は?」とハルトが聞く。
「あたしとセフレだからよ」
「もったいぶるなよ」
「セフレのあたしがゲリラどもの電脳鍵のコピーを持ってるの。電脳管理局への受け渡しを、院長のモーリスが一度だけあたしに委任しちゃったのね。リオの電脳に埋め込んで病院から持ち出したわ」
ハルトがぎょっとした表情で、笑い出す。
「まじか、それってイーライたちのも……」
「多分あるわ、いる?」
「あー……、高いのか?」
「またリオとファックさせてくれるなら、サービス」
「いいぜ、三人置いてくか?」
「今夜は、いいわ。マジでイキすぎて、卵巣がちょっと痛いもの。ワンオフは刺激が強いわね」
そう言って左右の脇腹を指差す。
ぼくたちは立ち上がり、ふらつきながらシャワーボックスを借りる。温かいお湯が全身のセックスを洗い流す。ぼくはユリアをガラスに押し付けて、後ろから挿入する。エレナに指を挿れる。
ガラス張りのボックスの向こうで、ハルトとサチと、裸のウェンディが談笑する。ウェンディの背中に、エレナの下腹部と同じ、穴の空いた黒いハートのタトゥーがみえる。サチが手を叩いて大笑いしている。
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