32 / 109
第1部
第31話「ヌクイを尋問する顛末」
しおりを挟む
セーフハウスのラウンジ、背もたれのない合成皮革のソファーを並べて、四つん這いのエレナを突き、ユリアとレピタを両腕に抱いて、乳首を愛撫させる。ちゅるちゅる、ちゃぷちゃぷ、濡れた音と喘ぎ声が高い天井に反響する。ぼくたちの裸体を、頼りない保安灯と夜のネオンだけが照らし出す。
ラウンジは天井から下がる半透明のカーテンでスペースが区切られ、それぞれの区画で愛し合う声と音が響く。狭いセーフハウスの個室は怪我人のものだ。
ぼくたちから十歩離れた別のソファで、ボリスが新しい女とファックする声の方がぼくたちよりうるさい。ロビーに近い柱の影で、包帯を巻いた男のペニスを別の男が愛撫するのがカーテンの隙間からみえる。窓際で、痩せた男が太った男とつながって、喘ぎ声を漏らす。
他人のファックをみてもなにも感じなくなった。ここの自由民たちは、男が好きな男が多い。ストレートなのはハルトとボリスとぼくくらい。アキラやヴィクトールも男と過ごしている。異性愛の方がマイノリティーかもしれない。
「ヌクイって、イーライの手下だったの?」
ぼくの乳首に舌を這わせながら、ユリアが聞く。
「そうみたい。ハルトが戻ったら、尋問するって」
「イーライって、ゲリラ崩ればっかりだから、あたしたちみんな、殺されちまうね」
ユリアがエレナから陰茎を引き抜く。飲み込む。扁桃腺でぼくの陰茎を締め付け、唇を開いたままマッサージする。ラウンジに、ちゅるごっ、ちゅるごっ、という複雑な音が響く。
ぼくは腰を突き出してぶるぶる震え、ユリアの頭を股間に押し付ける。ユリアの前歯が恥骨にあたる。蠕動する喉の刺激に、堪えきれず射精する。ユリアの胃に直接噴射する。ユリアが頭を引く。じゅぽっと音を立てて抜ける。
「はぁ、はぁ、はぁ、ふーっ、きもちよかった?」
「ヴァギナと全然違う……、たまらない」
「アタシは息ができないんだけどね」
「ごめん」
「いいよ、リオがきもちよくなれば」
うつ伏せで尻を突き出したエレナが振り返って「はやくちんぽ挿れてぇ……」とおねだりする。ぼくはエレナに硬いままの巨根を突き立てて、つながったエレナを抱き起こす。今度はぼくが仰向けになる。
エレナが背を向けたまま、お尻を上下にスナップさせて、股間をぺちゃぺちゃ打ち鳴らす。ユリアとレピタがぼくの脇腹を舐める。胸の上に舌を滑らせる。乳首に到達して、舌先でぐりぐり抉る。寝ているだけなのに、快楽のピークが際限なく続く。
* * *
「しゅう……、襲撃のことは、知らないんです」
全裸でロビーの床にうつ伏せになったヌクイが、サチのブーツに踏まれて、聞かれたことをべらべら喋る。ぼくとボリスが見下ろし、闇医者のマオ・リーライがクーラーボックスに腰掛けて煙草を吸っている。
「じゃあなんでシュウジは逃げたんだよ」とハルト。
「それは、ぼくが警告したからで……」
「しってんじゃねーかよ」
ハルトがヌクイの脇腹を蹴飛ばす。ヌクイは身体をくの字に折って、文字通りゲロを吐く。
何を食ったかしらないけど、緑色のドロドロした吐瀉物を床にぶちまける。ひどい臭い。
「襲撃があるかもしれないと思っただけです」
「シュウジは最初からイーライの手下か?」
「違います、私が誘ったんです」
「仲間になれって? それで簡単にリオを殺しにきたの?」とサチ。
「シュウジは、リオくんを殺せと言われて、渋ったんです。シュウジは、リオのことが好みだったんだと思います……だから」
ハルトがヌクイの頭を踏みつける。
「俺たちを襲ったのはシマが欲しいだけだろ、シャドウマウントから西部ゲリラとの接触履歴がもりもり出てきたぜ。なんでリオを狙う?」
「それは……」
「透明人間が嫌いか」
「リオくんが、グループにとってまずい情報とつながっているからです。私はそれを調べるつもりでしたが、ダイバーネットに接続できないリオくんの頭の中身は、どうやってもわかりません。それで、イーライがシュウジに命じて殺害に踏み切ったんです。リオくんの殺害は、イーライに信用してもらうための、踏み絵なんです」
「まずい情報ってなんだ?」
「闇医者です」
「その闇医者ってなんなんだよ?」
「そこから先は、私もしりません……本当です」
ハルトがぼくに振り返る。サチもぼくを見る。ボリスもぼくを見る。クーラーボックスに座って煙草を吸うマオ・リーライまでぼくを見上げる。ぼくは肩を竦める。
「ウェンディのことですか?」
「他に医者を知っているか?」
「マオ・リーライと……」とぼくはマオを指差す。
「いや、女医」
思い出す。ウェンディ以外に女医なんかしらない。いや、まて、そうだ、ぼくがこの異世界で目覚めたとき、水槽の中から女が見えた。
「ゲラルディーニ病院で目覚めたとき、女が……」
「どんな女だ」
「水槽の中からだったので、ちゃんとみえませんでした。ウェンディみたいなエロい服で、ぼくはナースだと思っていましたが、女医かもしれません」
「ログあるか?」
「裸だったので」
「あーそっか」とハルトは頭を抱える。
ロビーの壁のモニタにANP通信のニュース映像が流れる。さっきまでぼくとセックスしていたユリアたちが、裸にタイツだけでキッチンに立ち、カナッペをつまみ食いする。ラウンジから女同士で愛し合う声がきこえる。
「コイツ、どうする?」とボリスがヌクイを蹴飛ばす。
「チンポ切りとって、デンバーに捨ててこい」とハルト。
ボリスがヌクイの髪を掴んで引きずる。ヌクイは裸でジタバタしながら、哀れな泣き声をあげる。
「イーライたちヨブはゲリラ出身が多いから、フェオドラが追ってる女と同じやつかもな」とハルト。
「じゃあ、リオの見た女が、ソフィア・イズランデルって女医かもね」とサチが呟く。
「ウェンディに聞けば、何かわかるかもしれねーな」
マオ・リーライが肩を震わせて笑う。大笑いする。
「何わらってンの?」
ハルトが聞く。マオ・リーライが顎を擦る。
「確か、ソフィア・イズランデルは、ウェンディの本名だよ」
ラウンジは天井から下がる半透明のカーテンでスペースが区切られ、それぞれの区画で愛し合う声と音が響く。狭いセーフハウスの個室は怪我人のものだ。
ぼくたちから十歩離れた別のソファで、ボリスが新しい女とファックする声の方がぼくたちよりうるさい。ロビーに近い柱の影で、包帯を巻いた男のペニスを別の男が愛撫するのがカーテンの隙間からみえる。窓際で、痩せた男が太った男とつながって、喘ぎ声を漏らす。
他人のファックをみてもなにも感じなくなった。ここの自由民たちは、男が好きな男が多い。ストレートなのはハルトとボリスとぼくくらい。アキラやヴィクトールも男と過ごしている。異性愛の方がマイノリティーかもしれない。
「ヌクイって、イーライの手下だったの?」
ぼくの乳首に舌を這わせながら、ユリアが聞く。
「そうみたい。ハルトが戻ったら、尋問するって」
「イーライって、ゲリラ崩ればっかりだから、あたしたちみんな、殺されちまうね」
ユリアがエレナから陰茎を引き抜く。飲み込む。扁桃腺でぼくの陰茎を締め付け、唇を開いたままマッサージする。ラウンジに、ちゅるごっ、ちゅるごっ、という複雑な音が響く。
ぼくは腰を突き出してぶるぶる震え、ユリアの頭を股間に押し付ける。ユリアの前歯が恥骨にあたる。蠕動する喉の刺激に、堪えきれず射精する。ユリアの胃に直接噴射する。ユリアが頭を引く。じゅぽっと音を立てて抜ける。
「はぁ、はぁ、はぁ、ふーっ、きもちよかった?」
「ヴァギナと全然違う……、たまらない」
「アタシは息ができないんだけどね」
「ごめん」
「いいよ、リオがきもちよくなれば」
うつ伏せで尻を突き出したエレナが振り返って「はやくちんぽ挿れてぇ……」とおねだりする。ぼくはエレナに硬いままの巨根を突き立てて、つながったエレナを抱き起こす。今度はぼくが仰向けになる。
エレナが背を向けたまま、お尻を上下にスナップさせて、股間をぺちゃぺちゃ打ち鳴らす。ユリアとレピタがぼくの脇腹を舐める。胸の上に舌を滑らせる。乳首に到達して、舌先でぐりぐり抉る。寝ているだけなのに、快楽のピークが際限なく続く。
* * *
「しゅう……、襲撃のことは、知らないんです」
全裸でロビーの床にうつ伏せになったヌクイが、サチのブーツに踏まれて、聞かれたことをべらべら喋る。ぼくとボリスが見下ろし、闇医者のマオ・リーライがクーラーボックスに腰掛けて煙草を吸っている。
「じゃあなんでシュウジは逃げたんだよ」とハルト。
「それは、ぼくが警告したからで……」
「しってんじゃねーかよ」
ハルトがヌクイの脇腹を蹴飛ばす。ヌクイは身体をくの字に折って、文字通りゲロを吐く。
何を食ったかしらないけど、緑色のドロドロした吐瀉物を床にぶちまける。ひどい臭い。
「襲撃があるかもしれないと思っただけです」
「シュウジは最初からイーライの手下か?」
「違います、私が誘ったんです」
「仲間になれって? それで簡単にリオを殺しにきたの?」とサチ。
「シュウジは、リオくんを殺せと言われて、渋ったんです。シュウジは、リオのことが好みだったんだと思います……だから」
ハルトがヌクイの頭を踏みつける。
「俺たちを襲ったのはシマが欲しいだけだろ、シャドウマウントから西部ゲリラとの接触履歴がもりもり出てきたぜ。なんでリオを狙う?」
「それは……」
「透明人間が嫌いか」
「リオくんが、グループにとってまずい情報とつながっているからです。私はそれを調べるつもりでしたが、ダイバーネットに接続できないリオくんの頭の中身は、どうやってもわかりません。それで、イーライがシュウジに命じて殺害に踏み切ったんです。リオくんの殺害は、イーライに信用してもらうための、踏み絵なんです」
「まずい情報ってなんだ?」
「闇医者です」
「その闇医者ってなんなんだよ?」
「そこから先は、私もしりません……本当です」
ハルトがぼくに振り返る。サチもぼくを見る。ボリスもぼくを見る。クーラーボックスに座って煙草を吸うマオ・リーライまでぼくを見上げる。ぼくは肩を竦める。
「ウェンディのことですか?」
「他に医者を知っているか?」
「マオ・リーライと……」とぼくはマオを指差す。
「いや、女医」
思い出す。ウェンディ以外に女医なんかしらない。いや、まて、そうだ、ぼくがこの異世界で目覚めたとき、水槽の中から女が見えた。
「ゲラルディーニ病院で目覚めたとき、女が……」
「どんな女だ」
「水槽の中からだったので、ちゃんとみえませんでした。ウェンディみたいなエロい服で、ぼくはナースだと思っていましたが、女医かもしれません」
「ログあるか?」
「裸だったので」
「あーそっか」とハルトは頭を抱える。
ロビーの壁のモニタにANP通信のニュース映像が流れる。さっきまでぼくとセックスしていたユリアたちが、裸にタイツだけでキッチンに立ち、カナッペをつまみ食いする。ラウンジから女同士で愛し合う声がきこえる。
「コイツ、どうする?」とボリスがヌクイを蹴飛ばす。
「チンポ切りとって、デンバーに捨ててこい」とハルト。
ボリスがヌクイの髪を掴んで引きずる。ヌクイは裸でジタバタしながら、哀れな泣き声をあげる。
「イーライたちヨブはゲリラ出身が多いから、フェオドラが追ってる女と同じやつかもな」とハルト。
「じゃあ、リオの見た女が、ソフィア・イズランデルって女医かもね」とサチが呟く。
「ウェンディに聞けば、何かわかるかもしれねーな」
マオ・リーライが肩を震わせて笑う。大笑いする。
「何わらってンの?」
ハルトが聞く。マオ・リーライが顎を擦る。
「確か、ソフィア・イズランデルは、ウェンディの本名だよ」
1
お気に入りに追加
63
あなたにおすすめの小説

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます
沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる