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第四章 あなたと友達になれない
すべてが整う前に
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柊はしばらくぼんやりしていたが、見知った顔がこちらに向かって手をあげる。
「げ」
その人物は従兄の神木優だった。柊が嫌そうな顔をしても、へらへらと笑いながら隣に立った。
「この前は大変だったね」
「……そう言うなら、俺の友達を襲った理由をちゃんと調べてよ」
「調べてるよ。柊はこの後、見合いがあるんだよね。緊張しないの」
「どうして見合いがあるって知ってるんだよ。そもそも、このホテルに用事もないよね」
柊は神木が苦手だった。笑ってポンコツのふりをしながら、相手が気を緩めた瞬間に天然のふりをしてトドメを刺してくる。思考はどちらかといえば、犯罪者寄り。悪いことを思いついては、面白がって柊に聞かせてくる嫌な従兄だ。彼が警察になった時、柊は犯罪者の間違いではないかと耳を疑った。未だに懲戒処分を受けていないのが奇跡だ。そしてそんな神木は、どういうわけか青木の捜査を任されていた。
「さっき衛さんと会って、柊が暇をしてるだろうから話でもしてあげてって言われたんだよ」
「はぁ……で、捜査は進んだ?」
嘘くさいと思いつつ、柊はそれ以上の追求をやめた。何か企んでいるのかもしれないが、そんなことよりも小春のことの方が大事だ。
「うん、進んだのかな? 調べてみると余罪が出てきたから、そっちも調べないといけなくなったんだ」
「余罪って、他に何をしてたんだよ」
「押収したスマホやパソコンに盗撮写真がたくさん出てきたんだよね」
「は?」
「俺がしたわけでもないのに本気で睨まないでよ。早苗さんみたいで怖いから」
「それ、どういうこと。盗撮? 小春はこのことを知ってるの?」
「柊の友達が被害に遭ったかはまだ決まってない。後で心当たりがあるか聞……」
「最悪だ。小春が他にも被害に遭っていないか心配になってきた」
神木は落ち込む柊を見て、不思議そうに首をかしげた。
「柊ってさ、その友達が大事なんだね。意外だよ。それも女の子の友達だ」
「大事だよ」
「好きなの?」
「好き」
即答だった。照れる素振りすらない。
神木はすこしからかってみようと思ったのだが、そんな気も失せてしまう。
「それなのに、ここにいるんだ」
「……フラれたからね」
「まともな回答だ」
「それ以外に何があるんだよ」
「だってほら、何故か身内に頭のおかしい人が多いから……柊もあの手この手を使うかなって」
「言っておくけど、俺の目の前にいる人物も頭のおかしい人に入るから。それで、他に収穫はなかったの」
「ないんだよなぁ、これが。青木健次、四十六歳、独身で実家暮らし。一年くらい前から会社員をやめて無職。その間は好きな配信者に高額な投げ銭をしてる。過去にしたコメントを見たけど、熱心な信者だったみたいだね。投げ銭の合計金額はだいたい八百万だったかな。今はもう口座の金額もなくなって、両親から小遣いをもらってる。それでも足りない時は、親の財布からお金を抜き取ってたみたいでね。『もう面倒は見切れない。いい加減働け』って言われて、職を探す名目で出かけては常習的に盗撮を繰り返していた。柊の友達とは本当に接点がないんだよね。家も会社も近くない。因縁をつけられる要素がねぇ……その友達がやっているのはホワスタくらいで、顔も知らない人と交流していないみたいだし」
「ああ。小春はそれほどネットが得意な方じゃないし、ホワスタは俺がすすめたからやり始めただけだ。写真を投稿しているだけなんだよな」
「そうだね。一番可能性があったのは、配信動画のチャット欄で喧嘩になったとか思ったけど、柊の友達はそういうのも見ていなかったから違うようだ」
「一番可能性があったのが、配信動画?」
「青木が何百万も投げ銭をしている配信者は時々過激なことをしていたんだ。チャット欄で喧嘩することもあるし、ファン同士が口座残金の見せ合いなんかもしていたね。今月はこれくらい推しに投げ銭をしたぞ、みたいな。でも今はその意中の配信者がアカウント停止しているみたいだ。四月に入ってからだったかな? それで暇になってストーカーなんて始めたのかもしれないね」
「それは……」
柊は何かを言いかけようとしたが、どう言葉にすればいいのか迷った。神木が喋っている内容は小春と繋がっているようには思えない。
「……配信者の名前って誰」
「あ、言ってなかったか。名前はアカネって言うんだよ」
「どこかで聞いたことがあるような名前だな」
「そりゃあね。奇抜な名前でもないし……」
「そうじゃなくて。ええと、その配信者のことも調べた?」
「いくら何でも関わりのない人間は調べられないよ。犯罪を行った人間のことを調べる時、わざわざその人物が好きだった芸能人を調べてどうするのさ」
「それはそうだけど……ええと、どれだ」
スーツのポケットにしまったスマホを取り出し、柊は『アカネ』を検索する。
「アカネ炎上で調べた方がすぐに出ると思うよ」
「炎上してるのかよ」
「そこまででないよ、ボヤみたいなものだ」
「ふーん」
検索結果はすぐに出た。ASMRの配信をしていたらしい。まとめに出ている配信用のサムネを見る限り、アカウントを停止させられるほど過激な配信には見えなかった。
次に『アカネ 配信者』と検索をかければ、配信用のアカウントは停止されているが他のSNSは通常通り稼働していることが分かる。
ひとまず、検索結果に出てきたホワスタのアカウントをタップする。
配信動画では素顔を出していないようだったが、ホワスタでは本人の顔写真が載っていた。
最新の投稿は一時間前。
『今日は大学が一緒だった子と初めてのランチ』
手前にアカネらしき人物がカメラ目線でピースサインをしている。黒髪で肌の白い女だった。化粧でほとんど隠れているが、目の下には隈がある。服装はカジュアルなファッションで、ゼブラ柄のシャツに黒色のベレー帽を合わせていた。
画面に映るテーブルには二人分のカフェご飯が並んでいる。
写真の隅には同席している女性が、カメラに向かって不慣れそうにポーズを取っていた。両手にピースを作ろうとしたが、恥ずかしかったのだろう。その手は中途半端にポーズを作ろうとしたせいで、ただ両手をあげただけの降参ポーズになっている。表情も戸惑っているのが伝わってきた。そして左手には見たことのあるブレスレット。
柊は目の前が真っ暗になりそうだった。ホテルの床が波打っているかのような感覚が押し寄せ、ぐらりと体が崩れそうになる。
「どうしたの、柊」
柊は柱に手を置いて、息をつく。
「……何でいるんだ?」
声に出して、いや、そうでもないはずだと柊は自分に言い聞かせる。ただの写真だ。
「え?」
けれど柊は口を開くと、舌がピリピリと痺れた。頭はまだ理解が追いついていないのに、すさまじい動悸に襲われる。
柊は見ていたスマホの画面を、神木に見えるように掲げた。
「小春が今、そのアカネと一緒にいるんだ」
「げ」
その人物は従兄の神木優だった。柊が嫌そうな顔をしても、へらへらと笑いながら隣に立った。
「この前は大変だったね」
「……そう言うなら、俺の友達を襲った理由をちゃんと調べてよ」
「調べてるよ。柊はこの後、見合いがあるんだよね。緊張しないの」
「どうして見合いがあるって知ってるんだよ。そもそも、このホテルに用事もないよね」
柊は神木が苦手だった。笑ってポンコツのふりをしながら、相手が気を緩めた瞬間に天然のふりをしてトドメを刺してくる。思考はどちらかといえば、犯罪者寄り。悪いことを思いついては、面白がって柊に聞かせてくる嫌な従兄だ。彼が警察になった時、柊は犯罪者の間違いではないかと耳を疑った。未だに懲戒処分を受けていないのが奇跡だ。そしてそんな神木は、どういうわけか青木の捜査を任されていた。
「さっき衛さんと会って、柊が暇をしてるだろうから話でもしてあげてって言われたんだよ」
「はぁ……で、捜査は進んだ?」
嘘くさいと思いつつ、柊はそれ以上の追求をやめた。何か企んでいるのかもしれないが、そんなことよりも小春のことの方が大事だ。
「うん、進んだのかな? 調べてみると余罪が出てきたから、そっちも調べないといけなくなったんだ」
「余罪って、他に何をしてたんだよ」
「押収したスマホやパソコンに盗撮写真がたくさん出てきたんだよね」
「は?」
「俺がしたわけでもないのに本気で睨まないでよ。早苗さんみたいで怖いから」
「それ、どういうこと。盗撮? 小春はこのことを知ってるの?」
「柊の友達が被害に遭ったかはまだ決まってない。後で心当たりがあるか聞……」
「最悪だ。小春が他にも被害に遭っていないか心配になってきた」
神木は落ち込む柊を見て、不思議そうに首をかしげた。
「柊ってさ、その友達が大事なんだね。意外だよ。それも女の子の友達だ」
「大事だよ」
「好きなの?」
「好き」
即答だった。照れる素振りすらない。
神木はすこしからかってみようと思ったのだが、そんな気も失せてしまう。
「それなのに、ここにいるんだ」
「……フラれたからね」
「まともな回答だ」
「それ以外に何があるんだよ」
「だってほら、何故か身内に頭のおかしい人が多いから……柊もあの手この手を使うかなって」
「言っておくけど、俺の目の前にいる人物も頭のおかしい人に入るから。それで、他に収穫はなかったの」
「ないんだよなぁ、これが。青木健次、四十六歳、独身で実家暮らし。一年くらい前から会社員をやめて無職。その間は好きな配信者に高額な投げ銭をしてる。過去にしたコメントを見たけど、熱心な信者だったみたいだね。投げ銭の合計金額はだいたい八百万だったかな。今はもう口座の金額もなくなって、両親から小遣いをもらってる。それでも足りない時は、親の財布からお金を抜き取ってたみたいでね。『もう面倒は見切れない。いい加減働け』って言われて、職を探す名目で出かけては常習的に盗撮を繰り返していた。柊の友達とは本当に接点がないんだよね。家も会社も近くない。因縁をつけられる要素がねぇ……その友達がやっているのはホワスタくらいで、顔も知らない人と交流していないみたいだし」
「ああ。小春はそれほどネットが得意な方じゃないし、ホワスタは俺がすすめたからやり始めただけだ。写真を投稿しているだけなんだよな」
「そうだね。一番可能性があったのは、配信動画のチャット欄で喧嘩になったとか思ったけど、柊の友達はそういうのも見ていなかったから違うようだ」
「一番可能性があったのが、配信動画?」
「青木が何百万も投げ銭をしている配信者は時々過激なことをしていたんだ。チャット欄で喧嘩することもあるし、ファン同士が口座残金の見せ合いなんかもしていたね。今月はこれくらい推しに投げ銭をしたぞ、みたいな。でも今はその意中の配信者がアカウント停止しているみたいだ。四月に入ってからだったかな? それで暇になってストーカーなんて始めたのかもしれないね」
「それは……」
柊は何かを言いかけようとしたが、どう言葉にすればいいのか迷った。神木が喋っている内容は小春と繋がっているようには思えない。
「……配信者の名前って誰」
「あ、言ってなかったか。名前はアカネって言うんだよ」
「どこかで聞いたことがあるような名前だな」
「そりゃあね。奇抜な名前でもないし……」
「そうじゃなくて。ええと、その配信者のことも調べた?」
「いくら何でも関わりのない人間は調べられないよ。犯罪を行った人間のことを調べる時、わざわざその人物が好きだった芸能人を調べてどうするのさ」
「それはそうだけど……ええと、どれだ」
スーツのポケットにしまったスマホを取り出し、柊は『アカネ』を検索する。
「アカネ炎上で調べた方がすぐに出ると思うよ」
「炎上してるのかよ」
「そこまででないよ、ボヤみたいなものだ」
「ふーん」
検索結果はすぐに出た。ASMRの配信をしていたらしい。まとめに出ている配信用のサムネを見る限り、アカウントを停止させられるほど過激な配信には見えなかった。
次に『アカネ 配信者』と検索をかければ、配信用のアカウントは停止されているが他のSNSは通常通り稼働していることが分かる。
ひとまず、検索結果に出てきたホワスタのアカウントをタップする。
配信動画では素顔を出していないようだったが、ホワスタでは本人の顔写真が載っていた。
最新の投稿は一時間前。
『今日は大学が一緒だった子と初めてのランチ』
手前にアカネらしき人物がカメラ目線でピースサインをしている。黒髪で肌の白い女だった。化粧でほとんど隠れているが、目の下には隈がある。服装はカジュアルなファッションで、ゼブラ柄のシャツに黒色のベレー帽を合わせていた。
画面に映るテーブルには二人分のカフェご飯が並んでいる。
写真の隅には同席している女性が、カメラに向かって不慣れそうにポーズを取っていた。両手にピースを作ろうとしたが、恥ずかしかったのだろう。その手は中途半端にポーズを作ろうとしたせいで、ただ両手をあげただけの降参ポーズになっている。表情も戸惑っているのが伝わってきた。そして左手には見たことのあるブレスレット。
柊は目の前が真っ暗になりそうだった。ホテルの床が波打っているかのような感覚が押し寄せ、ぐらりと体が崩れそうになる。
「どうしたの、柊」
柊は柱に手を置いて、息をつく。
「……何でいるんだ?」
声に出して、いや、そうでもないはずだと柊は自分に言い聞かせる。ただの写真だ。
「え?」
けれど柊は口を開くと、舌がピリピリと痺れた。頭はまだ理解が追いついていないのに、すさまじい動悸に襲われる。
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