ちっちゃくなった俺の異世界攻略

鮨海

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第1章︙精霊編

お料理大作戦1

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俺、暫くここで暮らすことになりました。

いや、なんかクロスやアクア達が俺をどうしてもここにいさせたいようでね。

「ダイキはまだちっちゃいんだし、ここなら魔法の達人たちである私たちがいるんだから魔法の特訓にぴったりよ。それに、今から人間たちの街に行きたいなら海を渡らないといけないけど」

流石に海を渡るなんてそんなの無理だから暫くここに暮らすことに決めた。
クロス達いわく、海にはクラーケンとかいうヤバい魔物がいるらしい。船とか一瞬で沈められるんだとかなんとか。
しかし!!
クロスが、「主は僕の契約者なんだから、転移、使えちゃうよ?」って言っていたからここに住むことにしたのだ。
転移……マントを翻して姿をシュパッと消す俺……メチャ格好良いな!!

「あと、主はここで暮らすことにして……主は精霊じゃないから、色々準備が必要だね。クロウ、アクア、頼める?」

「わかった。代金は精霊王の金庫から適当に持ってくぞ。どうせ精霊が金なんて持ってても誰も使わないしな」

そう言って影に潜っていったクロウとアクアを尻目に、クロスが俺の方を振り返って何をしたいのかデレデレした顔で聞いてくる。

「主。何かやりたいことでもある?僕が全力で叶えてあげる」


何をしたいか………あ!

「おれ、おなかすいた、りょーりしたい。おーしいものたべたい」

昨日から果物しか食べてない。それもちょっとだけだ。確かに自然の味もいいけど、せっかく神様から調味料をもらったんだ。料理したい。
俺がそう伝えると、クロスは目をキラキラさせて、「わかったよ主!今すぐ食材を狩ってくるね!」と言い、ビューンと走り去っていった。

食材を買うのか。確かにここも街だもんな。……あれ?でも精霊さん魔力で生きてるから飲食はしないのでは……?

俺はそう思いながらもキッチンを探しに歩き回ると、なんとすごい大きなキッチンが見つかった。
繊細な模様が施されている壁には、様々な食器や料理道具が吊るされている。
大きな台に大きな竈、うん、道具は十分なほど揃っている。
しかし、おそらく誰も使っていなかったのだろう。埃がありえないほどに積もっていてとてもじゃないが料理できる場所ではなかった。


「どーしよ……」

俺は端により解決策を考えていたら、上から声をかけられた。

「なあ、お前、人間だよな。そんなに困った顔をしてどうしたんだ?」

俺は顔を上げると、十歳とちょっとの子供の姿をした精霊さんが俺の顔を興味深げに覗き込んでいる。

「んー。おれ、ここつかいたいのに、きちゃ……きたないからつかえないの。それでどーしよーって、おもってたの」

俺がそう伝えると、ふうんと頷いた少年精霊さんは、「ちょっと待ってて」と言いどこかに飛んでいった。


「ほら!連れてきたぞ!」

少し経ってからあの少年精霊さんの大きな声がしたので振り返ると、あの少年精霊さんを先頭に子供精霊さんがわらわらとついてきている。

「よし、お前ら!こいつがここ使いたいのに困ってるんだとよ!俺たち暇だしここを綺麗にするぞ!」

何故かやる気満々で拳を突き上げる子供精霊さん達を見て俺は困惑していた。

「い、いいのか!?めいわくじゃないのか?」

「迷惑?ああ、俺達毎日暇でやることがないんだよ。そんなときに突然現れた人間がいるんだ。そりゃあなにやるか知りたいだろ?」

子供精霊さん達は親精霊さんたちからここからはでちゃいけないと言われているんだって。
だから暇で暇で退屈してたとこに興味深いおもちゃが現れたと。
確かに、俺も初めて精霊さん見たときは興奮したもんな。


「じゃー、おねがいしましゅ……します!」


沢山の子供精霊さん達との大掃除が始まった。





「おみず!!」

水の子供精霊さんたちが一斉に水を放ち、キッチンを水浸しにしていく。

「かぜさん!!」
「かぜさんって、可愛いー!」
「そこちがーう!おれはかわいーじゃなくて、かっこいーだぞ!」

風の子供精霊さんたちがビュービューと風を巻き起こして急速に乾かしていく。
ちなみに火の子供精霊さんと協力して、ドライヤーのようなちょうどいい温風が流れている。

子供精霊さん達の連携と、俺の類稀なる指揮能力により、暫くするとピカピカなキッチンが姿を現した。


「ねーねー。これからなにやるの?」
「楽しいことやるの?」
「僕達もっと手伝ってあげる!」

ふふん。俺の凄さに憧れたらしい子供精霊さん達に大人気になってしまったようだな!


「よくききたまえ!おれは、これからりょーりするんだぞ!」

「料理?」
「人間たちがやるやつだってお母さんから聞いたよ!」
「それって楽しいのか?」

驚いた。どうやら料理というものが何かよくわかっていないらしい。
これは………ふむ。大人な俺が分かりやすく説明してあげるしかないようだな。


「りょーりはな、とってもたのしーけど、むずかしくて、でも、とってもおーしいんだ!」

腕を組んで堂々と説明して上げると、子供精霊さん達は、……?という顔をしていた。
……何故だ。俺は簡潔に分かりやすく説明したはずなのに。おかしい。


「なんかよく分かんないけど、やってみよ!」
「なんか凄そうだしね!」

なんか子供精霊さん達も料理をしたいようだな。ならば……ここは俺が指揮をとらねば!!


「ごほん!では、だいっかい、おりょーりだいさくせんをはじめます!」

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