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プロローグ︙異世界転移

プロローグ

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前作の投稿にある程度片が付いたので公開していきたいと思います。
気に入ってくれると嬉しいです!

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目が覚めると一面真っ白な場所に僕はいた。


「あれ……?おれ、こんなばしょしらないぞ?」

おかしい。なんか俺の声も高くなってる。まるで声変わりする前のような………。

「すまないね。君には異世界へ行ってもらうよ。」

………?なんか声がする。

「ああ、まだ姿を形成していないね。…………ほら、これで見えるかな?」

突然僕の目の前に美丈夫があらわれた。その人は透き通るような透明に近い目をしていて手には不思議な懐中時計を持っていた。

「………なんかおかしなひと、あらわれたな。」

俺はポカーンとしながらそう言うと、目の前の人はショックを受けた顔をした。

「え………。私はこの姿を結構気に入っていたんだけど………そんなにおかしく見えるかな。」

「うん。すごいみえるね。おれ、いままでそんなめのひとみたことないもん。それに………いまどきかいちゅうどけいなんてもってないよ。」

俺の目の前にいる人にそう言うと、何故か少し笑いながら俺の頭を撫でた。
…………ん?撫でた?

「私がそんな率直な物言いをされたことなんて何年ぶりかな?ますます気になるね………うん、それにこれほどまでに秘められた素質ね。やっぱり君には異世界へ渡って欲しいな。」

…………異世界?さっきからこの不思議な人は異世界って言ってるけどどういうことなんだ?

「まあ、そう思うよね。君には異世界へ渡ってもらって世界を豊かにしてほしいんだよ。」

ん?………は!?もしかして心が読めるのか!?

「私は一応神様だよ。人の心も読めないんじゃそれはもはや神の名を騙った詐欺師だよ。」

…………まじか。神が実在するなんて信じられないや。今も半分信じてないけど。
てゆうかお祖母ちゃんが怪しい人には近づくなって言ってたし。

俺はそろそろと距離を取っていくと目の前の神様?は慌てたように喋り始めた。

「あ!ほら、異世界に行くならバランスが崩れない程度のアイテムとかあげられるし、それに、えーっと………本!今なら原初の魔導書グリモアもあげちゃう大サービスだよ!どう?剣と魔法の異世界に行きたくなった?」

「うーん………グリモアみたいなものにはきょうみがある………けどいやですな。」

俺は流行りの異世界になんて行きたくない。確かに冒険とか心躍るものがあるけど現実は絶対に違う筈。まず剣と魔法の世界は文明が遅れてるはず。文明利器に慣れてる俺が自力で生活できるとは思えないな。
何より飯。男子高校生の俺はどれだけ食べても少しすれば腹がすくのだ。そんななかでラーメンとかポテチがないと死んでしまう。

俺はそんな事をつらつら頭の中で考えていると、それを読み取ったのか神様はウムウム頷きながらニコニコ顔で提案してきた。

「なら君には地球の調味料一式をプレゼントするよ。流石に食べ物ごとは神々の協定ルールに違反しちゃうからね。君はお祖母さんと二人暮らしだったから確か料理は出来るよね。」

俺は小さい頃に両親が飛行機の交通事故で死んでしまった。
俺自身は両親の記憶なんてないから凄く悲しいことはなかったけど、お祖母ちゃんは俺が物心ついてからも暫く落ち込んでたっけ。
だからお祖母ちゃんの影響で和食一式は調理できるし、洋食もそれなりに作ることが出来る。


「それから君は異世界に行ったらなんの職に就きたいのかな?」

「それはもう、ぼうけんしゃ。」

「それなら私から冒険者セットをあげようじゃないか。一応私があげる物だから性能はトップクラスの筈だよ。どうかな?異世界にいかない?」

ここまで来たら少し迷っちゃうな………俺自身元の世界の未練はお祖母ちゃんだけだけどお祖母ちゃんも去年死んじゃったし。

「うん!じゃあ今回は拉致みたいな形になっちゃったし大サービスでお祖母さんと一回だけ話せるようにしてあげる。違反ギリギリのラインだけど君の心にも整理がつくと思うからね。」

お祖母ちゃんとまた会えるのか?


………一回だけでいいから会えるなら会いたいよ。



「かみさま。おれをおばあちゃんにあわせてください。いせかいにいくかはおばあちゃんときめます。」

「……うん。分かったよ。それじゃあ君のお祖母さんを召喚するよ。制限時間は五分。そしてお祖母さんには接触することは出来ないよ。」

幽霊だから触れないのは分かる。更に制限時間が短いから何を言うか決めないと。




「………これかな。………ほら、君のお祖母さんの魂だよ。」

神様が渡してきた輝く何かは凄い懐かしい気配がした。


………お祖母ちゃんだ。



少し厳しくも愛情を込めて育ててくれたお祖母ちゃんの気配に俺は泣きそうになった。

「久しぶりだね大輝。私がいなくても元気にしてたかい?しっかりご飯は食べた?学校の勉強はサボってないでしょうね。」

………やっぱりお祖母ちゃんだ。死後の奇跡のような出会いで最初に言うことが小言なんてお祖母ちゃんしかいない。
お陰で今にも溢れそうな涙がすっかり引っ込んでしまった。

「っ………うん!おばあちゃんがいなくてもおれ、しっかりやってたよ!」

「そうかい。それは安心したよ。まだ高校生のお前を一人にして大丈夫か心配だったんだ。元気にやっているなら嬉しい限りだ。何故今お前と話せるのか分からないけど神様に感謝しなくちゃね。」

生前と全く変わらない様子でのんびりと喋っているお祖母ちゃんに俺は言った。

「……それなんだけどおばあちゃん。おれ、いせかいにいこうかっていわれて。……どうしたいいのか、わからなくて、おばあちゃんを、よんでもらったんだよ。」

俺はお祖母ちゃんに今までの出来事を伝えて助けを求めたけど、お祖母ちゃんの反応は意外なものだった。

「なに、そんなくだらないことでうじうじ考えてたのかい。」

「そんなことって………」

「そんなことだよ。お前は行こうか迷っている時点で行きたいという心が自分の中にあるじゃないか。ただ地球から別の場所にお引っ越しするようなもんだろう?
……それにね。もうお前は大きいんだし自分で決められる筈だ。何よりこれはお前の人生なんだからね。……まあ、今はちっちゃくなっているようだけど。可愛い」


………そうだ。俺が心配してたのは自分が迷って決められないからじゃなくて、お祖母ちゃんと今まで積み上げてきた物がなくなってしまうことが怖かったんだ。
これまでの勉強やお祖母ちゃんが応援してくれて資格を取ろうとしたとき。全てが白紙になってしまうことが俺を躊躇させていたんだ。

それにおばあちゃん最後ぼそっとなんか言ってたけど……きっと俺が心配で仕方がないんだろう。

「……ありがとうおばあちゃん。おれ、きめた。おれ……」







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