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第2章︙モスタニア連合国編
私の秘密
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扉を開けて中に入ると、内部は大きなホールのような場所だった。
そして天井には、恐ろしいほど大きな蜂の巣が鎮座している。
「クイーンビーですね。」
毎回ボスの魔物は変わるので、普通はどの魔物になるのかダンジョンの周期を把握しなければならないが、今回は急だったため把握することはできなかった。
クイーンビーは、本体にはそれほど戦闘能力はないけれど、周りのキラービーの数がとにかく尋常じゃないほど多い。
クイーンビーを討伐する方法は主に2つ。
広範囲殲滅魔法を発動しての討伐と、キラービーの目をすり抜けのクイーンビーの討伐である。
私にキラービーの目をすり抜けられるほどの魔法技術や身体能力があるわけがないので、今回は広範囲殲滅魔法でかたをつけようと思っている。
しかしこの戦法にも欠陥はあって、失敗したときに魔力残量の問題で負けてしまうことだ。
私の場合、魔力量は多くても、広範囲殲滅魔法を連発して大丈夫なわけが無いので、魔力量的に四回の魔法で必ず仕留めないといけないのだ。
「いくよ。」
魔法陣の構築、魔力放出をはじめ、素早く水属性の広範囲殲滅魔法を完成させる。
天井に向け、魔法陣に魔力を流し込んでいく。
「アイスフィールド」
一回目。
私が魔法を発動させると、天井一面が凍りついた。
しかしただ凍らせただけでは意味がないので、突破される前に次の魔法を構築していく。
「ウインドカッター」
二回目。
中級魔法であるウインドカッターを独自に改良して作った広範囲型ウインドカッター。
私が発動させた改良型ウインドカッターは、氷漬けにされていたキラービー達を容赦なく切り裂き、葬っていく。
そして生き残ったクイーンビーと数匹のキラービーに、私は最後の魔法を叩き込む。
「フレイムランス」
3回目。
火の槍が降り注ぎ、氷漬けから脱したクイーンビー達を容赦なく貫いていった。
十分後。私は倒れたクイーンビーの前に立ち、サリアスさんの方へ振り返った。
「……終わりました。」
「えぇ、疲れたでしょう。少し休みましょうか。」
私達はボス部屋の隅に座り、暫く黙って休んでいた。サリアスさんが魔法で火を起こし体を温めてくれる。
「よくここまで頑張ったわね。私も随分と厳しく貴方には教えてきたけれど、本当によくついてこれたわ。」
「……そうですよね。とても厳しかったです。」
「本当にね。………私はね、初めて貴方を視たときは驚いたわ。こんなに気配が強い人なんて数えるほどしか見てこなかったから。そして………とても寂しそうだった。」
「……………。」
「貴女はおそらく私達にまだ言えないこと、言ってないことがあるのでしょうけど、それが貴女を悲しませているのかなって思っていたわ。
………でも、そんなことも貴女がここに来てからは心配しなくなっていったわ。」
ここではないどこかを見つめているような表情で話しているサリアスさんは、静かに口を開く。
「もう大丈夫かなって思っていたけど……最近ダンジョンに潜るようになって、貴女がまた寂しそうな表情を見せるようになった。それがとても心配なの。……まるで何処かに行ってしまいそうで………」
そうポツポツと呟くサリアスさんは、心の底から私を心配していることが伺えた。
「………私、実はある婚約者がいたんです。小さい頃から仲が良くて……とても素敵な人でした。私が困ったり辛いときには一緒にいてくれて、とても心強かったです。………そして、愛しています。
でも、あの人が向けた今までの愛は、私のものに向けた愛じゃなかったんだって思うと、今でも悲しくなります。結局あの人は、私よりも別の人を選んだのですから。」
「………それで?」
優しく促してくれるサリアスさんに、私は段々と言葉が溢れ出ていった。
「だから……だからもう、嫌になったんです。結局耐えられなくて逃げました。私が今まで見てきたものは偽りだったのかと耐えられなくて……それで、このモスタニア連合国にきたんです。今では、これが良かったのかもしれませんね。」
私が声に出さずに微笑むと、サリアスさんが私の手を握って呟いた。
「凄いわね。一人で立ち上がることができたなんて。」
「え?」
「………いや、なんでもないわ。貴女が私達と出会ったのもあなたの選択よ。そしてそれも貴女の運命。私はあなたに出会えたことを嬉しく思うし、感謝しているわ。だから……これだけは忘れないでね。貴女のことを大切に思っている人もいるということを。」
私はハッとしたように顔を上げた。
どうして今まで気づかなかったんだろう、見てこなかったんだろう。
私の周りには仲間がいる。大切な人達がいる。
…もう、あのときの弱い私じゃないんだ。
「ありがとうございます。サリアスさん……いえ、サリアス副団長。そして、これからもよろしくお願いします。」
私は改めてサリアス副団長に頭を下げると、サリアス副団長は私の頭をなでた。
「いいのよ全然。こちらこそこれからもよろしくね。」
私達は立ち上がり進み始めた。
そして、ギルド戦で私は過去と向き合うことになる。
そして天井には、恐ろしいほど大きな蜂の巣が鎮座している。
「クイーンビーですね。」
毎回ボスの魔物は変わるので、普通はどの魔物になるのかダンジョンの周期を把握しなければならないが、今回は急だったため把握することはできなかった。
クイーンビーは、本体にはそれほど戦闘能力はないけれど、周りのキラービーの数がとにかく尋常じゃないほど多い。
クイーンビーを討伐する方法は主に2つ。
広範囲殲滅魔法を発動しての討伐と、キラービーの目をすり抜けのクイーンビーの討伐である。
私にキラービーの目をすり抜けられるほどの魔法技術や身体能力があるわけがないので、今回は広範囲殲滅魔法でかたをつけようと思っている。
しかしこの戦法にも欠陥はあって、失敗したときに魔力残量の問題で負けてしまうことだ。
私の場合、魔力量は多くても、広範囲殲滅魔法を連発して大丈夫なわけが無いので、魔力量的に四回の魔法で必ず仕留めないといけないのだ。
「いくよ。」
魔法陣の構築、魔力放出をはじめ、素早く水属性の広範囲殲滅魔法を完成させる。
天井に向け、魔法陣に魔力を流し込んでいく。
「アイスフィールド」
一回目。
私が魔法を発動させると、天井一面が凍りついた。
しかしただ凍らせただけでは意味がないので、突破される前に次の魔法を構築していく。
「ウインドカッター」
二回目。
中級魔法であるウインドカッターを独自に改良して作った広範囲型ウインドカッター。
私が発動させた改良型ウインドカッターは、氷漬けにされていたキラービー達を容赦なく切り裂き、葬っていく。
そして生き残ったクイーンビーと数匹のキラービーに、私は最後の魔法を叩き込む。
「フレイムランス」
3回目。
火の槍が降り注ぎ、氷漬けから脱したクイーンビー達を容赦なく貫いていった。
十分後。私は倒れたクイーンビーの前に立ち、サリアスさんの方へ振り返った。
「……終わりました。」
「えぇ、疲れたでしょう。少し休みましょうか。」
私達はボス部屋の隅に座り、暫く黙って休んでいた。サリアスさんが魔法で火を起こし体を温めてくれる。
「よくここまで頑張ったわね。私も随分と厳しく貴方には教えてきたけれど、本当によくついてこれたわ。」
「……そうですよね。とても厳しかったです。」
「本当にね。………私はね、初めて貴方を視たときは驚いたわ。こんなに気配が強い人なんて数えるほどしか見てこなかったから。そして………とても寂しそうだった。」
「……………。」
「貴女はおそらく私達にまだ言えないこと、言ってないことがあるのでしょうけど、それが貴女を悲しませているのかなって思っていたわ。
………でも、そんなことも貴女がここに来てからは心配しなくなっていったわ。」
ここではないどこかを見つめているような表情で話しているサリアスさんは、静かに口を開く。
「もう大丈夫かなって思っていたけど……最近ダンジョンに潜るようになって、貴女がまた寂しそうな表情を見せるようになった。それがとても心配なの。……まるで何処かに行ってしまいそうで………」
そうポツポツと呟くサリアスさんは、心の底から私を心配していることが伺えた。
「………私、実はある婚約者がいたんです。小さい頃から仲が良くて……とても素敵な人でした。私が困ったり辛いときには一緒にいてくれて、とても心強かったです。………そして、愛しています。
でも、あの人が向けた今までの愛は、私のものに向けた愛じゃなかったんだって思うと、今でも悲しくなります。結局あの人は、私よりも別の人を選んだのですから。」
「………それで?」
優しく促してくれるサリアスさんに、私は段々と言葉が溢れ出ていった。
「だから……だからもう、嫌になったんです。結局耐えられなくて逃げました。私が今まで見てきたものは偽りだったのかと耐えられなくて……それで、このモスタニア連合国にきたんです。今では、これが良かったのかもしれませんね。」
私が声に出さずに微笑むと、サリアスさんが私の手を握って呟いた。
「凄いわね。一人で立ち上がることができたなんて。」
「え?」
「………いや、なんでもないわ。貴女が私達と出会ったのもあなたの選択よ。そしてそれも貴女の運命。私はあなたに出会えたことを嬉しく思うし、感謝しているわ。だから……これだけは忘れないでね。貴女のことを大切に思っている人もいるということを。」
私はハッとしたように顔を上げた。
どうして今まで気づかなかったんだろう、見てこなかったんだろう。
私の周りには仲間がいる。大切な人達がいる。
…もう、あのときの弱い私じゃないんだ。
「ありがとうございます。サリアスさん……いえ、サリアス副団長。そして、これからもよろしくお願いします。」
私は改めてサリアス副団長に頭を下げると、サリアス副団長は私の頭をなでた。
「いいのよ全然。こちらこそこれからもよろしくね。」
私達は立ち上がり進み始めた。
そして、ギルド戦で私は過去と向き合うことになる。
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