釣りはじめました

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アジング編

アジング編9

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 テーブルの物陰に隠れた黒い毛の生き物はまだ青みがかった瞳でこちらを見ている。そして、お尻を浮かし振りながら狙いを定めて突進する。しかし、目の前で獲物はひらりと突進をかわし、横に着地し誘いをかける。それを黒い毛の生き物は必死に追う。黒いメスの子猫。スルメである。
 我が家に新たに加わった家族。スルメは目の前で猫じゃらし型のおもちゃで遊んでいる。
 二回目の病院で健康状態をチェックされ、ワクチンも打った。何も無かったら1ヶ月後にまたワクチンを摂取しないといけないらしい。
 そして、名前を付けた後に病院で聞いてびっくりした事。猫にスルメは、あげてはいけないという事。
 しかも、猫にはあげてはいけない食べ物がかなり多いという事にもびっくりした。あの、アジやサバなどの青魚でさえもやり過ぎは後々、身体に影響を及ぼすらしい。生卵はダメだけど、ゆで卵やスクランブルエッグなどにしてあげると良いとか……なかなか注意が必要な事が分かった。まあ、基本的に何でもやり過ぎはよくないみたいだ。太ったりもするし。
 それと、避妊手術。これはもう少し大きくなって受ける事にした。
 そして、今日は十二月二十九日。スルメと遊んでいると、突然、島田社長からSNSでメッセージが届いた。
 『お疲れ様。釣り納めに行くばい。』
 おぉ~。なんか良い響きだ。
 『お疲れ様です。分かりました。何を釣るんですか?』
 メッセージを送り返すと直ぐに返信がきた。
 『まあ、この時期なら、アジやメバルが無難やないかな?あと、アオリイカも釣れるかもしれんね。アジングタックルはヨシが貸してくれるて言いよるけん、エギングタックルば持ってきなっせ。』
 『ありがとうございます。何時に出発ですか?』
 そう返信をすると、直ぐにまた返信がきた。
 『今からたい。用意出来たら、直ぐに会社に来なっせ。』
 壁に掛けてある時計に目をやる。午後二時を回った辺りだった。
 『分かりました。急いで用意します。』
 そう返信して、急いで用意をし、母にスルメの事を頼んで会社へ向かった。
 会社に着くと、二人は準備をしていた。
 「お疲れ様です。」
 そう挨拶をすると「「お疲れ様~」」と返してくれた。
 「今日は風もあるけん、西海岸は厳しいと思うとたいね。だけん、また何時もの所に行こうかね。」
 島田社長はそう言うと何時もの後部座席に乗り込んで、早く行こうと急かす。
 いざ、釣り納めに出発である。
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