釣りはじめました

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エギング編

エギング編9

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 「え?」
 旦那さんは間の抜けた返事をする。
 「いや、自分は浮気しとらんと??」
 剛腕、島田社長が唸りを上げる。
 「浮気なんかしてませんよ?」
 「本当な?」
 剛腕はにじり寄る。
 「はい。浮気なんかしていません。」
 旦那さんは剛腕に怯まなかった。
 「なら、なんばしよっと?こげん遅くまで。仕事ね?なんね??」
 旦那さんは黙る。
 「重松は、かなり心配しとると分かっとる?痩せたと分かっとる?ちゃんと自分の奥さんの事見よるか?ここしばらく、仲も上手くいってないやろ?空ちゃんを構ってやっとるかい?」
 旦那さんは下を向いて黙っている。
 剛腕は最後の剛速球を旦那さんに投げ込んだ。
 「何か言うたらどがんか!!」
 それに旦那さんは動じなかった。そして、おもむろに口を開いた。
 「幸子には黙っていてもらえますか?」
 内容による。と島田社長は言う。
 僕達三人は固唾を飲んで見守る。
 「お恥ずかしい話。言われるとおり、夫婦仲がギクシャクしているのも、空に構ってあげられてないのも分かってはいます。でも、もう少し待って貰いたいのです。」
 「何でね?やましいことしてないなら、言えるやろ?」
 旦那さんは少し考えて、答えた。
 「会社で、勉強をしていました。資格を取る為に……。信じてもらえないかもしれませんが……。」
 一同、黙る。
 「自分が昇給、昇進する為に必要な資格なんです……。幸子や空に苦労を掛けているのも知ってます。だから少しでも、いい暮らしをさせてあげたいと……」
 「なんで、それば奥さんに言わん?」
 ごもっともな意見を島田社長は言う。
 「来週がその試験なんです。そして、合格発表が出るのが幸子の誕生日前なんです。」
 「……なんね?そりゃ、サプライズのつもりね?」
 「……はい。」
 旦那さんはそう言って沈黙した。
 「……分かった。俺は君ば信じる。でも、一つ聞いてよかね?」
 「……はい。」
 「奥やんや子供の事は愛しとるね?」
 「はい!」
 「……なら、よか!俺は何も言わん。頑張りなっせ。君が上手くいったかは重松ば見ればわかるやろ。よし!奈緒、旦那君にお酒ば注いでやらんね。」
 それがサプライズとして、いいのか僕には分からない。それでも、重松さんやソラちゃんの事を愛してる。と聞けて良かったと思った。人のかたちはそれぞれあるけど、こんなかたちも羨ましいと僕は思った。
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