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おいかけて、マグロ丼
おいかけて、マグロ丼編8
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「わ、分かりました。晩御飯ご馳走になります。で、でも、私から一つお願いしてもよろしいですか?」
「「お願い?」」
僕と姉さんは同時に口にした。
「晩御飯までご馳走になって、その上、マグロのお土産を頂く訳にはいきません。私のために、取り分けて下さってるとおっしゃってましたけど、出来れば、それも、みんなで食べたいです。」
「お安いご用よ~。うふふ。やった~。早苗ちゃんと晩御飯が一緒に食べれるわ。」
何も考えていないのか、姉さんは、嬉しそうに大森さんの手を取ってはしゃぐ。
僕としては、少々、頭の痛い問題だ。量が多すぎるのだ。明日に回してしまえば良いのだろうけど、大森さん用に取り分けてた分を明日に回したみたいになるのが…、ちょっと……ね?
メニューを考えるが、ちょっと混乱してきた。とりあえず、お風呂に入って頭をリフレッシュさせよう。
「お風呂、入るね。」
僕はそう言い、お風呂に入りに行く。
「早苗ちゃん。私のお部屋で、ヤマグチ選手について語りましょ~。」
姉さんは大森さんの手をそのまま握り部屋へ入って行った。
なるほど。仲良くなった原因はプロレスラーのヤマグチ選手か。納得だ。
ささっとお風呂を済ませて、厨房に立つ。
増えた分、中トロ、大トロ、そして赤身の刺身も追加だ。それに、マグロを入れたスープを作ろう。今日は大皿に盛る事にしよう。取り箸を置けば、大森さんも嫌がらないだろう。
そんな事を考えなが、大森さん分に切り分けていたものから、刺身とマグロのスープに入れるやつを切り分ける。
刺身は贅沢に少し厚めに切る。その量は凄い事になっていた。
先ほど切っていたカルパッチョ用のマグロは刺身より薄く切ってある。なので、カルパッチョ用のソースを作るだけだ。
醤油、オリーブデオリーブ、酢、砂糖、みじん切りにしたニンニクを混ぜる。そこに、ベビーリーフにスライスしたタマネギをのせ、上からソースをかけ、仕上げに粗挽きの黒こしょうを散りばめて完成。
次に、マグロステーキ。これも簡単。
フライパンにオリーブデオリーブをひき、塩と黒こしょうをしたマグロを投入。周りに焼き目のつくくらいに焼いたら取り出して、食べやすい大きさに切る。
そして、そのフライパンでそのまま、ソースを作る。醤油、お酒、みりん、砂糖を加え、少し煮詰まったら、弱火にして、わさびを投入。わさびが溶けたら、火を止めて、少し冷まし、さっき焼いたマグロにかけて、横にレモンを添えた。中はレア、でも刺身とは違ってかなり美味しい。
気がつけば、既に大皿三枚がテーブルに並んでいた。
そこに、焼いたマグロの良い香りに釣られてきたのか、姉さんと大森さんが部屋から出てくる。
「あら~。美味しそうな香り~。」
姉さんはマイペースにうっとりしているが、大森さんは慌てていた。
「すみません!お手伝いもせずに!!」
ぺこり、ぺこりと大森さんは頭を下げる。やっぱり、いい子だ。
「いえいえ。大丈夫ですよ。姉さん。マグロステーキあたたかい内に先に食べ始めてて。」
「は~い。京ちゃん。お酒飲んでもいいかしら?」
姉さんは毎日飲まないが、お酒が大好きだ。このマグロの刺身なんかを見て、飲まずに居られる訳がない。
「もちろん。いいよ。」
僕がそう言うと、姉さんは嬉しそうに冷蔵庫からビールを二本取り出した。姉さんは、とりあえずビール派だった。
「ねぇねぇ。早苗ちゃん。早苗ちゃんも飲みましょうよ。明日もお休みなんでしょ?」
姉さんは二本手にしたビールの一本を大森さんに差し出す。
「え!?でも……。」
大森さんは戸惑う。
「私のお部屋に泊まって行けばいいじゃな~い?」
「でも…。」
大森さんは料理をしている僕の方をチラッと見る。
そりゃ、そうだろうな~。いきなり、飲んで泊まって行けだもんね。戸惑うよ。
僕の方は大丈夫なんだけど。大森さんにも予定と言うものがあるだろうし……。正直に言うと、僕はお酒が飲めないので、姉さんの相手をして貰えれば嬉しいかな……。という思いもある。
「僕は姉さんの相手をして頂けると嬉しいですけど、大森さんは明日のご予定とかおありですよね?」
僕は正直に伝える事にした。
「いえ。予定はないですけど……お酒までご馳走になって、しかも、泊めていただいてしまったら……。」
やはり、申し訳なさそうに大森さんはする。そこで、僕はひらめいた。
「なら、明日。大森さんが良いと思う時間で良いので、姉さんを『かもめ』まで送り届けて頂けませんか?」
そう。ウチは明日、仕事なのだ。モーニングの時間帯なら僕一人で十分に回せる。ランチの時間も少々なら遅れても大丈夫。まあ、これも、こちらの勝手なお願いだと分かっているけど、仮に泊まる事になったら、大森さんはきっと何かお礼をする。と言うだろう。姉さんを送り届けてくれる。それが立派なお礼にもなる。僕はそう考えていた。
「で、でも……。」
それでも、大森さんはやはり、遠慮しているようだ。そこに、姉さんがトドメの一撃を放つ。
「京ちゃんのお料理でお酒飲める事なんて、そうそうないと思わな~い?早苗ちゃん。お店に来る時は何時も一人だし、お店だとお酒は飲めないだろうし、滅多にない機会よ~。」
悪魔の囁きのように最後。「どう?」と大森さんの耳元で姉さんは囁いた。
大森さんは喉を鳴らす。
そして、おちた。
「……お酒、いただきます。」
姉さんは喜び、二人は乾杯して、食べ始めた。今夜は楽しい夜になりそうだ。
「「お願い?」」
僕と姉さんは同時に口にした。
「晩御飯までご馳走になって、その上、マグロのお土産を頂く訳にはいきません。私のために、取り分けて下さってるとおっしゃってましたけど、出来れば、それも、みんなで食べたいです。」
「お安いご用よ~。うふふ。やった~。早苗ちゃんと晩御飯が一緒に食べれるわ。」
何も考えていないのか、姉さんは、嬉しそうに大森さんの手を取ってはしゃぐ。
僕としては、少々、頭の痛い問題だ。量が多すぎるのだ。明日に回してしまえば良いのだろうけど、大森さん用に取り分けてた分を明日に回したみたいになるのが…、ちょっと……ね?
メニューを考えるが、ちょっと混乱してきた。とりあえず、お風呂に入って頭をリフレッシュさせよう。
「お風呂、入るね。」
僕はそう言い、お風呂に入りに行く。
「早苗ちゃん。私のお部屋で、ヤマグチ選手について語りましょ~。」
姉さんは大森さんの手をそのまま握り部屋へ入って行った。
なるほど。仲良くなった原因はプロレスラーのヤマグチ選手か。納得だ。
ささっとお風呂を済ませて、厨房に立つ。
増えた分、中トロ、大トロ、そして赤身の刺身も追加だ。それに、マグロを入れたスープを作ろう。今日は大皿に盛る事にしよう。取り箸を置けば、大森さんも嫌がらないだろう。
そんな事を考えなが、大森さん分に切り分けていたものから、刺身とマグロのスープに入れるやつを切り分ける。
刺身は贅沢に少し厚めに切る。その量は凄い事になっていた。
先ほど切っていたカルパッチョ用のマグロは刺身より薄く切ってある。なので、カルパッチョ用のソースを作るだけだ。
醤油、オリーブデオリーブ、酢、砂糖、みじん切りにしたニンニクを混ぜる。そこに、ベビーリーフにスライスしたタマネギをのせ、上からソースをかけ、仕上げに粗挽きの黒こしょうを散りばめて完成。
次に、マグロステーキ。これも簡単。
フライパンにオリーブデオリーブをひき、塩と黒こしょうをしたマグロを投入。周りに焼き目のつくくらいに焼いたら取り出して、食べやすい大きさに切る。
そして、そのフライパンでそのまま、ソースを作る。醤油、お酒、みりん、砂糖を加え、少し煮詰まったら、弱火にして、わさびを投入。わさびが溶けたら、火を止めて、少し冷まし、さっき焼いたマグロにかけて、横にレモンを添えた。中はレア、でも刺身とは違ってかなり美味しい。
気がつけば、既に大皿三枚がテーブルに並んでいた。
そこに、焼いたマグロの良い香りに釣られてきたのか、姉さんと大森さんが部屋から出てくる。
「あら~。美味しそうな香り~。」
姉さんはマイペースにうっとりしているが、大森さんは慌てていた。
「すみません!お手伝いもせずに!!」
ぺこり、ぺこりと大森さんは頭を下げる。やっぱり、いい子だ。
「いえいえ。大丈夫ですよ。姉さん。マグロステーキあたたかい内に先に食べ始めてて。」
「は~い。京ちゃん。お酒飲んでもいいかしら?」
姉さんは毎日飲まないが、お酒が大好きだ。このマグロの刺身なんかを見て、飲まずに居られる訳がない。
「もちろん。いいよ。」
僕がそう言うと、姉さんは嬉しそうに冷蔵庫からビールを二本取り出した。姉さんは、とりあえずビール派だった。
「ねぇねぇ。早苗ちゃん。早苗ちゃんも飲みましょうよ。明日もお休みなんでしょ?」
姉さんは二本手にしたビールの一本を大森さんに差し出す。
「え!?でも……。」
大森さんは戸惑う。
「私のお部屋に泊まって行けばいいじゃな~い?」
「でも…。」
大森さんは料理をしている僕の方をチラッと見る。
そりゃ、そうだろうな~。いきなり、飲んで泊まって行けだもんね。戸惑うよ。
僕の方は大丈夫なんだけど。大森さんにも予定と言うものがあるだろうし……。正直に言うと、僕はお酒が飲めないので、姉さんの相手をして貰えれば嬉しいかな……。という思いもある。
「僕は姉さんの相手をして頂けると嬉しいですけど、大森さんは明日のご予定とかおありですよね?」
僕は正直に伝える事にした。
「いえ。予定はないですけど……お酒までご馳走になって、しかも、泊めていただいてしまったら……。」
やはり、申し訳なさそうに大森さんはする。そこで、僕はひらめいた。
「なら、明日。大森さんが良いと思う時間で良いので、姉さんを『かもめ』まで送り届けて頂けませんか?」
そう。ウチは明日、仕事なのだ。モーニングの時間帯なら僕一人で十分に回せる。ランチの時間も少々なら遅れても大丈夫。まあ、これも、こちらの勝手なお願いだと分かっているけど、仮に泊まる事になったら、大森さんはきっと何かお礼をする。と言うだろう。姉さんを送り届けてくれる。それが立派なお礼にもなる。僕はそう考えていた。
「で、でも……。」
それでも、大森さんはやはり、遠慮しているようだ。そこに、姉さんがトドメの一撃を放つ。
「京ちゃんのお料理でお酒飲める事なんて、そうそうないと思わな~い?早苗ちゃん。お店に来る時は何時も一人だし、お店だとお酒は飲めないだろうし、滅多にない機会よ~。」
悪魔の囁きのように最後。「どう?」と大森さんの耳元で姉さんは囁いた。
大森さんは喉を鳴らす。
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「……お酒、いただきます。」
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