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子宮蓄膿症とその後 ナナ編

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 何かお腹の辺りが重い。あまりお腹も空かないし……だるいわね。でも、喉は渇く。だから、お水は飲むから、オシッコは頻繁に出るわ。
 ワタシはトイレシートの上にオシッコをした。
 あれ?オシッコじゃないのも出ている?あの日なのかしら??それなら、お腹の辺りが重いのも仕方ないのかな?
 ご主人さまも一緒に暮らせるようになって、幸せなのに、小さい事は気にしても仕方ないわ。うん。気にしない、気にしない。
 ワタシは気にせず、何時も通りに暮らした。
 それから、数日。あの日は終わらない。年も取ったし、長くなったのかしら……。血の色も薄くなったのにな……。
 いやいや、気にしてもしょうがないわよね。綺麗にしなくちゃ。ワタシは舐めて綺麗にしようと舐めた。
 あれ?何か嫌な感じがする。血の味がしなくなって、臭い?それにドロッとする。これは、確実にあの日とは違う。なに?これ??今までに出た事のない何かが出てるわ。
 ど、どうしよう。ご主人さまに知らせなきゃいけないよね。で、でも……ご主人さまに心配をかけちゃうのじゃないかしら……。そ、そうよね。心配をかけちゃダメよね。うん!そうよ!!せっかくご主人さまと一緒に暮らせるようになったんだから、少しは我慢しないと……。また、ご主人さまと別々になっちゃうかもしれないし……。うん。我慢、我慢。
 我慢し始めてから数日後。体調は更に悪化した。あの日は終わったのに、やはり、ドロッとした物は頻繁に出てくる。体もだるくて重いけど、隠さなきゃ。直ぐに舐めなきゃ。
 ワタシは重たい体を必死に動かして、舐めていた。しかし、結局は、ご主人さまに見つかってしまったのだ。
 「ワタシ、どこも悪くないし、痛くないよ?ご主人さま。大丈夫だから。」
 そう言葉をかけても通じない。
 何時もの病院へ連れて行かれて、検査をした。そして、注射を打たれる。
 ああ。何時もと同じなんだ。何時もの予防接種か。そう思った。しかし、体の様子がおかしい。動かないし、意識が……。
 なにこれ?もしかして、ワタシ、死んじゃうの?怖いよ。ご主人さま……。まだ、ワタシ、死にたくないよ……。
 そう思いながら、意識は遠のいていった。
 どのくらいの時間が流れたのだろう。体は動かないけれど、目だけ、開いた。
 あっ、ご主人さま。
 まだぼんやりして、ご主人さまの表情は分からないけれど、ご主人さまは、先生と何か話している。そして、ワタシの頭を優しく撫でてくれた。
 ああ。良かった。ワタシ、死んでないんだ。そう思い、安心しながら、ワタシはもう一度まぶたを閉じた。

 数日後。無事退院出来たのだけれど、迎えに来てくれたご主人さまの姿を見たら、自然と涙が出てしまった。
 お家に帰っても涙が止まらない。
 ワタシ、弱くなったのかな?今まで、ご主人さまの前では泣いた事なかったのに……それに、無意識にご主人さま達に甘えてしまう。心なしか、ご主人さま達も何時も以上に優しいし。甘えていいのかな?そう思い始めると、たがが外れたように、今まで溜めていた欲求が爆発したように、甘えずにはいられなくなってしまった。
 そうすると不思議なもので、甘える事を覚えてからは、おねだりのハードルも下がってしまった。おねだりをしても怒られる事もなくなったし、何よりご主人さま達が食べているご飯は美味しかった。
 
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