39 / 47
初めての別れ ナナ編
3
しおりを挟む
はぐらかす事もない。まさに直球だった。
ワタシがマロンさんに対して、怒っていること、まさにその事である。出会ったその日から、馴れ馴れしく、媚びの大安売り。わざとワタシに見せびらかすように、ご主人さまと仲が良いのだとアピールしているようだった。
「な、何よ!今更!!」
そう。まさに、今更なのだ。
マロンさんとケンカする事で、ご主人さまに怒られるのは、ワタシ。マロンさんはかばわれ、被害者。ワタシは加害者。ワタシに言わせれば、こちらが被害者だ。もちろん、怒りに任せて噛んだりした事は、ワタシが悪い事だとは分かっているけれど、雌ならば嫉妬しない訳がない。
「それでも、ごめんなさい。許してもらえるとは、思っていないわ。でも、どうしても……最後にアナタに謝りたかったの。成仏する前に。」
な、何が、ごめんなさい。だ!!だいたい、何で死んでから謝る?死んでから謝るくらいなら、最初からワタシのご主人さまに手なんて出すんじゃないわよ!!
「死んで、謝りに来るくらいなら、最初からご主人さまにちょっかいなんて出すんじゃないわよ!ワタシがどれだけ辛かったか分かる?!」
約2年。ワタシがどれだけ辛かったか……。当たり前だった毎日。ご主人さまの居る毎日。幸せだった。怒られる事もあったけど、毎日、毎日、ご主人さまはワタシを気にかけてくれて、優しく撫でてくれた。そんな幸せだった毎日を奪ったんだ。この糞雌犬は!!
「……分かっているわ。だから、許してもらおうなんて思ってもない。でも、私にも譲れないものがあったの。」
「はぁ?何よ譲れないものって?ワタシの幸せを壊してまで、手に入れたいものだったの?!」
そんなの、許せない。
「そうよ。手に入れたかった。それに、アナタの幸せは壊れていないもの。私はアナタより先に逝くって分かってたし、アナタのご主人さまならずっとアナタの事を気にかけてくれる人だって分かってたから、少しの時間だけ借りたの。言い方は悪いけど借りたのよ。」
借りた?奪ったの間違いでしょ?
「……借りたってどういう事よ?奪ったでしょ?!」
そう。ご主人さまは、ワタシの毎日から姿を消した。奪われたんだ。
「奪ったと言われれば否定は出来ないけれど
、返ってくるわよ。アナタのご主人さま。私も居なくなったし、まだ少し時間は掛かるだろうけど、アナタのご主人さまはアナタの元へ戻っててくるわ。これは断言出来る。」
え?ご主人さまが……戻ってくる?なんでそんな事が分かるの?
「そ、そんなの、何でアンタが分かるのよ?!ずっと、そのまま奈々ご主人さまと暮らすかも知れし、新しい仲間を二人で飼うかもしれないじゃない?ワタシの事なんて、ほっといて。」
「ハア………。アナタ、自分のご主人さまの事、よく見てる?アナタ、自分の事ばかりじゃない?」
マロンさんは、呆れたようにため息を一つついて言う。
え?ワタシが自分の事ばかり……??
ワタシがマロンさんに対して、怒っていること、まさにその事である。出会ったその日から、馴れ馴れしく、媚びの大安売り。わざとワタシに見せびらかすように、ご主人さまと仲が良いのだとアピールしているようだった。
「な、何よ!今更!!」
そう。まさに、今更なのだ。
マロンさんとケンカする事で、ご主人さまに怒られるのは、ワタシ。マロンさんはかばわれ、被害者。ワタシは加害者。ワタシに言わせれば、こちらが被害者だ。もちろん、怒りに任せて噛んだりした事は、ワタシが悪い事だとは分かっているけれど、雌ならば嫉妬しない訳がない。
「それでも、ごめんなさい。許してもらえるとは、思っていないわ。でも、どうしても……最後にアナタに謝りたかったの。成仏する前に。」
な、何が、ごめんなさい。だ!!だいたい、何で死んでから謝る?死んでから謝るくらいなら、最初からワタシのご主人さまに手なんて出すんじゃないわよ!!
「死んで、謝りに来るくらいなら、最初からご主人さまにちょっかいなんて出すんじゃないわよ!ワタシがどれだけ辛かったか分かる?!」
約2年。ワタシがどれだけ辛かったか……。当たり前だった毎日。ご主人さまの居る毎日。幸せだった。怒られる事もあったけど、毎日、毎日、ご主人さまはワタシを気にかけてくれて、優しく撫でてくれた。そんな幸せだった毎日を奪ったんだ。この糞雌犬は!!
「……分かっているわ。だから、許してもらおうなんて思ってもない。でも、私にも譲れないものがあったの。」
「はぁ?何よ譲れないものって?ワタシの幸せを壊してまで、手に入れたいものだったの?!」
そんなの、許せない。
「そうよ。手に入れたかった。それに、アナタの幸せは壊れていないもの。私はアナタより先に逝くって分かってたし、アナタのご主人さまならずっとアナタの事を気にかけてくれる人だって分かってたから、少しの時間だけ借りたの。言い方は悪いけど借りたのよ。」
借りた?奪ったの間違いでしょ?
「……借りたってどういう事よ?奪ったでしょ?!」
そう。ご主人さまは、ワタシの毎日から姿を消した。奪われたんだ。
「奪ったと言われれば否定は出来ないけれど
、返ってくるわよ。アナタのご主人さま。私も居なくなったし、まだ少し時間は掛かるだろうけど、アナタのご主人さまはアナタの元へ戻っててくるわ。これは断言出来る。」
え?ご主人さまが……戻ってくる?なんでそんな事が分かるの?
「そ、そんなの、何でアンタが分かるのよ?!ずっと、そのまま奈々ご主人さまと暮らすかも知れし、新しい仲間を二人で飼うかもしれないじゃない?ワタシの事なんて、ほっといて。」
「ハア………。アナタ、自分のご主人さまの事、よく見てる?アナタ、自分の事ばかりじゃない?」
マロンさんは、呆れたようにため息を一つついて言う。
え?ワタシが自分の事ばかり……??
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
[恥辱]りみの強制おむつ生活
rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。
保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる