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出会い
出会い 3
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ジメッとした梅雨時期の空気と僕の感情は同調していた。重く重なる雲もどんよりと沈む僕の気分も同様に。
何の進展も無いまま、時間だけが本当に日めくりカレンダーを苛々と思いに任せて破くように、足早に過ぎていく。
そして、今日は7月7日。そう。七夕である。
一年に一度、織り姫と彦星が会える日。ロマンチックなのかもしれないけど、結局のところ、今の僕にはロマンチックにも思えなかった。
織り姫と彦星の話は……たいして覚えてはいない。
確か、親によって引き離されたのだったか?
……まあ、遠距離恋愛みたいなものだろ?
一年に一度会って愛を確かめるのだろうか?
どうせ、織り姫さんも彦星さんもお互いに違う相手とよろしくやってるよ。それに七夕だからと言って天気が良い訳ではない。どちらかと言うと、梅雨なんだから雨が多いし。それに今日は雨で星も出ないから会えないんじゃない?と、そんな腐った感情しか湧いてこなかった。
…………。
………。
……。
はぁ。情けない。僕は何て事を考えているんだろう。
自宅のリビングから外の景色も僕の心も、まさに曇天模様。
今日は土曜日なのに珍しくバイトも休みだし、何の予定も入っていない。これ幸いと寝ていたのだけれど……。今、いったい何時だ?
時間を確認するためにリビングの時計に目をやる。
只今、時刻は正午あたり。
この家の静けさから言うと、両親は何処かへ出掛け、妹も居ないはず。そして、冷蔵庫にはラップを掛けられた昼食が……。
僕には、それがなぜか寂しく見えた。
何でだろう?不思議とそれを食べる気もせず、僕は母の車を借りて、新しく出来たばかりの大型ショッピングモールへドライブがてら出掛ける事にした。
映画館などが併設してあり、フードコーナーも充実している。ファッションショップにゲームセンターなども有り、雨の日にはうってつけだろう。ショッピングモールは大盛況だった。
行き交う人の波。色々な人が居るにも関わらず、そこで目に付くのはカップルばかり……。
ああ!もう!!
沸々と感情は沸き立つ。嫉妬と言うか苛々とする。もうずっと、こんな感情ばかりが心を支配している。
こんな気持ちになるためにショッピングモールにやってきたのではない。早くご飯を食べて気持ちを落ち着けよう。
僕はフードコーナーへと足を向ける。
それにしても広いな。ここに来れば暮らしていくのに要りそうな物。そのほとんどが手には入るだろう。敷地内には別に電気店まであるし。ご飯を食べて覗いてみるのもいいだろう。プレゼントを買う予定だったお金も貯めてあるし、いっそのこと新しいオーディオ機器でも買ってやろうか?いや、大画面のテレビでもいいか……。
そんな事を考えながら歩く。しかし、フードコーナーは、僕が入った入り口からは思いの外に遠かった。
これなら、近くのコンビニでも良かったか?そう思い始めた頃、僕の目の前に少しの人集りが見えた。
小さい子供からお年寄り、カップルまで……老若男女。所々から、一様に「可愛い。」と、声が聞こえる。
なんだろう?
美少女コンテストか何かのコンテストでもあっているのだろうか?
僕はそれが何故か気になって、その人集りに入って行った。
そして、僕の目にはある光景が飛び込んできた。
……な、なんだ!!この可愛い集団は!!
そこには、大きなガラス張りのショーウィンドウがあり、何個かに区切られたスペースには小さなモフモフの生き物。子犬に子猫が数匹、ガラス越しに人々とじゃれついていた。
そう、この人集りはペットショップだったのだ。
何の進展も無いまま、時間だけが本当に日めくりカレンダーを苛々と思いに任せて破くように、足早に過ぎていく。
そして、今日は7月7日。そう。七夕である。
一年に一度、織り姫と彦星が会える日。ロマンチックなのかもしれないけど、結局のところ、今の僕にはロマンチックにも思えなかった。
織り姫と彦星の話は……たいして覚えてはいない。
確か、親によって引き離されたのだったか?
……まあ、遠距離恋愛みたいなものだろ?
一年に一度会って愛を確かめるのだろうか?
どうせ、織り姫さんも彦星さんもお互いに違う相手とよろしくやってるよ。それに七夕だからと言って天気が良い訳ではない。どちらかと言うと、梅雨なんだから雨が多いし。それに今日は雨で星も出ないから会えないんじゃない?と、そんな腐った感情しか湧いてこなかった。
…………。
………。
……。
はぁ。情けない。僕は何て事を考えているんだろう。
自宅のリビングから外の景色も僕の心も、まさに曇天模様。
今日は土曜日なのに珍しくバイトも休みだし、何の予定も入っていない。これ幸いと寝ていたのだけれど……。今、いったい何時だ?
時間を確認するためにリビングの時計に目をやる。
只今、時刻は正午あたり。
この家の静けさから言うと、両親は何処かへ出掛け、妹も居ないはず。そして、冷蔵庫にはラップを掛けられた昼食が……。
僕には、それがなぜか寂しく見えた。
何でだろう?不思議とそれを食べる気もせず、僕は母の車を借りて、新しく出来たばかりの大型ショッピングモールへドライブがてら出掛ける事にした。
映画館などが併設してあり、フードコーナーも充実している。ファッションショップにゲームセンターなども有り、雨の日にはうってつけだろう。ショッピングモールは大盛況だった。
行き交う人の波。色々な人が居るにも関わらず、そこで目に付くのはカップルばかり……。
ああ!もう!!
沸々と感情は沸き立つ。嫉妬と言うか苛々とする。もうずっと、こんな感情ばかりが心を支配している。
こんな気持ちになるためにショッピングモールにやってきたのではない。早くご飯を食べて気持ちを落ち着けよう。
僕はフードコーナーへと足を向ける。
それにしても広いな。ここに来れば暮らしていくのに要りそうな物。そのほとんどが手には入るだろう。敷地内には別に電気店まであるし。ご飯を食べて覗いてみるのもいいだろう。プレゼントを買う予定だったお金も貯めてあるし、いっそのこと新しいオーディオ機器でも買ってやろうか?いや、大画面のテレビでもいいか……。
そんな事を考えながら歩く。しかし、フードコーナーは、僕が入った入り口からは思いの外に遠かった。
これなら、近くのコンビニでも良かったか?そう思い始めた頃、僕の目の前に少しの人集りが見えた。
小さい子供からお年寄り、カップルまで……老若男女。所々から、一様に「可愛い。」と、声が聞こえる。
なんだろう?
美少女コンテストか何かのコンテストでもあっているのだろうか?
僕はそれが何故か気になって、その人集りに入って行った。
そして、僕の目にはある光景が飛び込んできた。
……な、なんだ!!この可愛い集団は!!
そこには、大きなガラス張りのショーウィンドウがあり、何個かに区切られたスペースには小さなモフモフの生き物。子犬に子猫が数匹、ガラス越しに人々とじゃれついていた。
そう、この人集りはペットショップだったのだ。
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