キミを抱いて……

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はじめてのお給料

はじめてのお給料3

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 次の日の朝。
 ソーマとレイナは村長宅へ行く。
 既に、村長宅前に一人の女性とガウム村長が二人を待っていた。
 「「「「おはようございます。」」」」
 四人は一様に挨拶をし、ガウム村長は女性の紹介をする。
 「サポーターのリースじゃ。」
 「リース・レノワールです。よろしくお願い致します。」
 茶色いショートヘアに緑の瞳。それに眼鏡を掛けた知的美人と言って良いだろう。年齢もソーマ達より少し上くらいのようだ。彼女は軽く会釈をする。
 
『サポーターとは、文字通り誰かをサポートする職業の事である。旅人のサポートをするなら、旅の道案内はもちろん。不意に負った傷の応急措置。アイテムの管理。狩人のサポートをするなら、素材の剥ぎ取りはもちろん、死体の処理も出来る。戦闘以外、万能にこなせる優秀な存在』

 「彼女のサポーターとしての能力はわしが保証する。戦闘は出来ぬが、道案内、アイテムの管理、素材剥ぎ取りに関しては、かなりのものじゃ。」
 四人は次の村へ続く道。村の門までやってきた。
 「今回の仕事は、野獣の討伐。なぜ、こんなに野獣が増えたのかの調査。もし可能なら、原因の排除じゃ。サポーターのリースには道案内、野獣の素材剥ぎ取り。よろしいかの?」
 三人は「はい。」と言い頷いた。
 「それでは、頼んだぞ。」
 こうして、ソーマとレイナの初仕事は始まった。

 「リースさん。野獣はそんなに数がいるのですか?」
 レイナは横を歩くリースにたずねる。
 「はい。かなりの数です。最初は全滅させれる程の数でした。しかし、徐々に数が多くなり、今や手のつけようが無くなっている状態です。」
 「なんで、そんなに増えたんだろう?野獣は魔獣が野生化して繁殖した物や野生化した魔獣と獣の間で繁殖した物でしょう?普通なら、そんなに数が増えたりする物ではないはずですよ?」
 「そうなんです。普通なら有り得ないと言っていい状況なのです。元々、この村周辺自体に野獣もあまり居ませんでしたし……。あと、一つ、妙な事が起きるのです。」
 神妙な顔でリースは俯く。
 「その、妙な事とは?」
 「……野獣から、素材を剥ぎ取れないのです。」
 「え?」
 リースの言葉にレイナは固まる。
 「最初のうちは普通に剥ぎ取れていたのですが、ある日を境に全くと言っていい程、剥ぎ取れなくなったのです。……実際に野獣を斬る感覚はあるのですが……。」
 それは有り得ない状況だ。消えて無くならない限り、何か剥ぎ取れるはず。
 「その事を村長はご存知で?」
 「はい。もちろんです。ですから、私を付けたのでしょう。素材を欲しいと言うのは表向きで、調査をしたい、進めたいと言うのが本音だと思います。自分で言うのも何ですが、素材剥ぎ取りに関してはかなりの腕前だと自負しておりますから、どの個体かに何か手掛かりがあるかも知れないと、お思いなのでしょう。」
 「二人共、来たよ。」
 話し込んでいる二人に、ソーマは注意を促した。
 野獣の登場だ。
 
 
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