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スプリンティア
スプリンティア4
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抽選会の翌日。
俺とアリシアはギルドに居た。そして、俺の目の前には四人の男性エルフと一人の女性エルフが立っている。彼らは順番に俺に自己紹介する。
「はじめまして。ヤマトさん。僕の名前は、クエンカ。そして、妻のサレンサです。本日はよろしくお願いします。」
「妻のサレンサです。ヤマトさん。よろしくお願いします。」
「俺はキール。そして、こいつはナプタ。それに、レニンだ。ヤマトさん。今日はよろしくな!」
それに続いて、紹介された二人は俺に挨拶をする。
そう。彼らはアリシアが紹介してくれた、冒険者達。まあ、言わなくても分かる通り、みんな美男美女だ。
イリア達が帰って来れない以上、これが最善の手段だろう。一人ではダンジョンには行けないし、アリシアと二人でも量はまかなえない。なので、アリシアの言うとおり、冒険者を雇う事にしたのである。
「はじめまして、皆さん。ヤマトです。今日から2日間よろしくお願いします。」
祭り当日まで、あと3日。前日は仕込みをしないと間に合わない。この2日間で狩れるだけ狩るしかない。
「クエンカ夫妻は、私がダンジョンに行く時に何時もお世話になってたの。そして、キール君達は、最近力を付けてきた期待のパーティーなのよ。」
アリシアは改めて彼らを俺に紹介した。
そう。今回、狩りに行くダンジョン『ケイドスの洞窟』のレベルはそんなに高くない。地下三階までしか潜らないのだから、熟練の冒険者は必要がないそうだ。実際、ファーラビットや雷イタチは、スライムやミノタウロスよりもかなりランクの下がるモンスターなのだと言う。
あれだ。スライムにミノタウロスはそこそこ強いモンスターらしい。実際、雷イタチも雷攻撃を気を付けていたら、そんなに怖いモンスターでも無かったし、雷攻撃をした後は隙だらけだった。しかも、魔法を使えるエルフにしたら、俺より楽に倒せるだろう。
「それじゃあ、打ち合わせをして、ダンジョンへ向かいましょう。まずは、今回の報酬の確認とそれぞれのジョブの確認ね。」
やはり、アリシアはこういう時に凄くありがたい。仕切ってくれるし。
「まずは、私ね。私はオールマイティーの魔法戦士。回復も攻撃魔法も使えるわ。」
「僕、クエンカは剣士です。エンチャント魔法も使えます。」
「私、サレンサはヒーラーでございます。回復魔法が得意です。」
「俺は、重戦士。前衛の盾役をやることが多い。エンチャント魔法も少しだが使える。」
「自分は、クエンカさんと同じ剣士です。同じくエンチャント魔法に攻撃魔法も少し使えます。」
「我は魔術師。回復魔法も攻撃魔法も使える。しかし、エンチャント魔法は不得意だ。」
キール、ナプタ、レニンが次々に自分のジャブを言う。
「じゃ、最後にヤマト君だね。」
「俺は探求者だ。知っているか分からないけど、俺は魔法が使えない。スキルもたいして持ってない。」
それを聞いて、少しザワザワとざわつく。
まあ、分かってたけどね。俺、エルフじゃないし。
「初めて聞きましたね。探求者と言うジョブ。魔法が使えないというのは、もう有名な話なので知ってはいましたが。」
「そうですわね。どんなスキルがあるのでしょうか?」
クエンカ夫妻が興味津々にたずねてくる。
第六感とかは、分かりづらいだろうか?それなら、やはり。
「『石ツブテ』」
俺はそう唱える。そして、片手にはこぶし大の石が握られる。
「え?!石!!」
「ああ……ただの石だ!!」
「なんと……無様な。」
石ツブテを見て、キール達は各々言葉を発し、盛大に笑い、クエンカ夫妻は控え目に笑い、アリシアは笑うパーティーメンバーを見て、冷ややかな目をしながら失笑をする。
まあ、こんな反応になるよな。初見だと。アリシアは、己の体で石ツブテの凄さを知っているから、馬鹿に出来ないと分かっているだけだ。
「それじゃ、次に報酬ね。今回は、一人あたりの日当10000エルウォン。食材は私とヤマト君に。ギルド報酬、ドロップアイテムと魔石は私とヤマト君を除いた人数で割ってくれていいわ。それでいい??」
「ああ……それでいい。」
キールは笑いをこらえ言い。他の者も笑いをこらえながら頷いていた。
「よし。それじゃ、最後に……もしもの事があった時の指揮官を決めておきましょう。ファーラビットや雷イタチを狩るだけじゃ必要ないけど、備えは必要だと思うから。」
アリシアはそう進言する。
「そうですね。それは必要かもしれません。では……どなたが?」
「それなら、依頼主のヤマトさんがよろしいのではないでしょうか?」
クエンカさんの後にサレンサさんが続き。
「ああ。そうだな。それがいい。あんなスキルしか使えない奴が、もしもの時、前線に出るのは足手まといだからな。」
キールは俺をバカにしたように言う。そして、その仲間の二人も頷く。
チッ。こいつら、今に見てやがれよ。石ツブテの恐ろしさ見せてやる。
「それなら、指揮官はヤマト君にお願いするということでいいわね?まず、初日はファーラビットを狩りましょう。」
アリシアは不気味に微笑み、話を進め、その微笑みに、俺は何故かゾッと背筋が凍る感じがした。
俺とアリシアはギルドに居た。そして、俺の目の前には四人の男性エルフと一人の女性エルフが立っている。彼らは順番に俺に自己紹介する。
「はじめまして。ヤマトさん。僕の名前は、クエンカ。そして、妻のサレンサです。本日はよろしくお願いします。」
「妻のサレンサです。ヤマトさん。よろしくお願いします。」
「俺はキール。そして、こいつはナプタ。それに、レニンだ。ヤマトさん。今日はよろしくな!」
それに続いて、紹介された二人は俺に挨拶をする。
そう。彼らはアリシアが紹介してくれた、冒険者達。まあ、言わなくても分かる通り、みんな美男美女だ。
イリア達が帰って来れない以上、これが最善の手段だろう。一人ではダンジョンには行けないし、アリシアと二人でも量はまかなえない。なので、アリシアの言うとおり、冒険者を雇う事にしたのである。
「はじめまして、皆さん。ヤマトです。今日から2日間よろしくお願いします。」
祭り当日まで、あと3日。前日は仕込みをしないと間に合わない。この2日間で狩れるだけ狩るしかない。
「クエンカ夫妻は、私がダンジョンに行く時に何時もお世話になってたの。そして、キール君達は、最近力を付けてきた期待のパーティーなのよ。」
アリシアは改めて彼らを俺に紹介した。
そう。今回、狩りに行くダンジョン『ケイドスの洞窟』のレベルはそんなに高くない。地下三階までしか潜らないのだから、熟練の冒険者は必要がないそうだ。実際、ファーラビットや雷イタチは、スライムやミノタウロスよりもかなりランクの下がるモンスターなのだと言う。
あれだ。スライムにミノタウロスはそこそこ強いモンスターらしい。実際、雷イタチも雷攻撃を気を付けていたら、そんなに怖いモンスターでも無かったし、雷攻撃をした後は隙だらけだった。しかも、魔法を使えるエルフにしたら、俺より楽に倒せるだろう。
「それじゃあ、打ち合わせをして、ダンジョンへ向かいましょう。まずは、今回の報酬の確認とそれぞれのジョブの確認ね。」
やはり、アリシアはこういう時に凄くありがたい。仕切ってくれるし。
「まずは、私ね。私はオールマイティーの魔法戦士。回復も攻撃魔法も使えるわ。」
「僕、クエンカは剣士です。エンチャント魔法も使えます。」
「私、サレンサはヒーラーでございます。回復魔法が得意です。」
「俺は、重戦士。前衛の盾役をやることが多い。エンチャント魔法も少しだが使える。」
「自分は、クエンカさんと同じ剣士です。同じくエンチャント魔法に攻撃魔法も少し使えます。」
「我は魔術師。回復魔法も攻撃魔法も使える。しかし、エンチャント魔法は不得意だ。」
キール、ナプタ、レニンが次々に自分のジャブを言う。
「じゃ、最後にヤマト君だね。」
「俺は探求者だ。知っているか分からないけど、俺は魔法が使えない。スキルもたいして持ってない。」
それを聞いて、少しザワザワとざわつく。
まあ、分かってたけどね。俺、エルフじゃないし。
「初めて聞きましたね。探求者と言うジョブ。魔法が使えないというのは、もう有名な話なので知ってはいましたが。」
「そうですわね。どんなスキルがあるのでしょうか?」
クエンカ夫妻が興味津々にたずねてくる。
第六感とかは、分かりづらいだろうか?それなら、やはり。
「『石ツブテ』」
俺はそう唱える。そして、片手にはこぶし大の石が握られる。
「え?!石!!」
「ああ……ただの石だ!!」
「なんと……無様な。」
石ツブテを見て、キール達は各々言葉を発し、盛大に笑い、クエンカ夫妻は控え目に笑い、アリシアは笑うパーティーメンバーを見て、冷ややかな目をしながら失笑をする。
まあ、こんな反応になるよな。初見だと。アリシアは、己の体で石ツブテの凄さを知っているから、馬鹿に出来ないと分かっているだけだ。
「それじゃ、次に報酬ね。今回は、一人あたりの日当10000エルウォン。食材は私とヤマト君に。ギルド報酬、ドロップアイテムと魔石は私とヤマト君を除いた人数で割ってくれていいわ。それでいい??」
「ああ……それでいい。」
キールは笑いをこらえ言い。他の者も笑いをこらえながら頷いていた。
「よし。それじゃ、最後に……もしもの事があった時の指揮官を決めておきましょう。ファーラビットや雷イタチを狩るだけじゃ必要ないけど、備えは必要だと思うから。」
アリシアはそう進言する。
「そうですね。それは必要かもしれません。では……どなたが?」
「それなら、依頼主のヤマトさんがよろしいのではないでしょうか?」
クエンカさんの後にサレンサさんが続き。
「ああ。そうだな。それがいい。あんなスキルしか使えない奴が、もしもの時、前線に出るのは足手まといだからな。」
キールは俺をバカにしたように言う。そして、その仲間の二人も頷く。
チッ。こいつら、今に見てやがれよ。石ツブテの恐ろしさ見せてやる。
「それなら、指揮官はヤマト君にお願いするということでいいわね?まず、初日はファーラビットを狩りましょう。」
アリシアは不気味に微笑み、話を進め、その微笑みに、俺は何故かゾッと背筋が凍る感じがした。
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