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疾風の靴
疾風の靴10
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俺の身体は痛みを感じなかった。
ああ……。俺はこれで死んでしまうのか……。単純にそう思った。
イリアに突き落とされた日には、感じる事のなかった感覚だ。死ぬってこんな感じなのかな?意識が剥離され、自分の意識では身体は動かないし、意識だけが浮いている感じもする。痛みを感じなかったのは良かったのかもしれないな……。
あれ?なぜ、こんなに自分自身、落ち着いているのだろう?なんか、今日は全てがおかしいんだよ。あんな強いモンスターと対峙して、ビビったのが最初だけとか……ビビりの俺としては、おかしすぎる。もしかして……これ、夢オチとかいうパターンなんじゃ??案外、楽観的に見えてるし。
そうか……それなら全て納得だ。痛くないのも当たり前か……。
そうだ。夢ならせっかくだから、今までの事を思い出してみよう。
うん。そう。それがいい。
もう、この世界にやってきて結構経ったな。楽しかった……。
目の前に走馬燈のように、次々と思い出が映し出される。
あれ?本当に思い出って走馬燈のように思い出されるんだな……。モンスターの食材は美味いし、作物も美味い。何を食べても、堕落した生活をおくっても太る事のないエルフ相手だから、何も気にせずに料理も出来た。カロリー増し増しの揚げ物祭りだ。イリア、ララ、エリ、ターニャさん、アリシア……色々な人にも出会えて良かった。本当に良かった。もっと一緒に色々な事をやりたかった……。
あれれ?凄く悲しくなってる……。これは夢オチだから大丈夫。……大丈夫なんだ。
「ヤマト君。君、かなり混乱してるね?うん。パニクってる。落ち着いてなんか全然ないよ?それに、大丈夫でもない。」
え?誰??
「誰だ??」
「ん?僕かい?僕は君だよ。」
「はぁ?俺??」
何で俺が俺に語り掛けてるんだよ?それに、自分で耳にしている声と全然違うんだけど??
「まあ、正確に言うと、君の心臓だね。」
ええ?!心臓??
「何で心臓が?って顔だね。まあ、無理もないね。でも、僕はこの世界に君が来た時から君の事ならなんでも知ってる?君が何時も、彼女達にどんなスケベな妄想をしているかも知っているよ。まあ、でも……今は長々と話している暇はないよ。とりあえずは、あのモンスターを倒さない事には君は助からない。だから、少し身体を貸してはくれないか?」
な、なにを言っている??身体を貸す??
「身体を貸す?!そんの事が出来るはず……。」
「時間がない!早く!!」
突然、俺の心臓?は声を荒げた。モンスターが近くまでやって来たのだろうか?
「分かった!貸す!!俺の身体使ってくれ!!」
「ありがとう!」
俺の意識はそこで途絶えた。
「マスター!!」
ララは有らん限りのスピードで走った。エリやイリア、アリシアを置き去りにして。流石、元・勇者と言ったところだろう。
そして、ララは言葉を無く立ち止まった。
「ララ!!主様は?!」
ララに遅れる事、数秒、エリもララに追いつく。
「……あれは、マスター??」
「え?何を言ってるだい??ララ……。」
ララの言葉を聞き、エリもヤマトを見て、言葉を無くした。ララもエリもヤマトを見て動けなくなっていた。
「うおおおおおおーーーーーっ!!!!」
ヤマトは叫び声を上げながら、モンスターを屠ろうとしている。
「ハァハァハァ。二人とも速すぎです。そんな所で立ち止まって……ヤマト様はご無事なんですか?!早く助けないといけないじゃなかったのですか?このルームの冷気は異常ですよ?!」
イリアは両膝に手を置き、肩で激しく息をしながら、ララ達に問う。
声を出さない代わりに、エリはヤマトの方を指差す。その先をイリアは見て声を出した。
「あれは……ヤマト様です……か?」
ヤマトは自分が知らない速度でモンスターにダメージを与えている。一瞬、疾風の靴の力?と思い、靴を見やるが光ってはいない。
剣技も比べ物にならない。モンスターと戦い、ララに修行を積んでもらったからと言って出来るような身のこなしでもない。自分の……自分達の知っているヤマトが目の前には居なかった。
そして、ヤマトの叫び声でイリア達は我に返る。
「秘剣!鬼神三枚おろし!!!」
ヤマトはモンスターを……イレギュラーのモンスターを一人で屠ってしまった。三枚おろしにしてしまったのだ。
「……ラック……スター?」
ララは呟く。その呟きが終わると同時にヤマトはその場に倒れ込んだ。
「ヤマト様ーーーー!!!」
イリアの声が凍りかけたダンジョンに響き渡った。
ああ……。俺はこれで死んでしまうのか……。単純にそう思った。
イリアに突き落とされた日には、感じる事のなかった感覚だ。死ぬってこんな感じなのかな?意識が剥離され、自分の意識では身体は動かないし、意識だけが浮いている感じもする。痛みを感じなかったのは良かったのかもしれないな……。
あれ?なぜ、こんなに自分自身、落ち着いているのだろう?なんか、今日は全てがおかしいんだよ。あんな強いモンスターと対峙して、ビビったのが最初だけとか……ビビりの俺としては、おかしすぎる。もしかして……これ、夢オチとかいうパターンなんじゃ??案外、楽観的に見えてるし。
そうか……それなら全て納得だ。痛くないのも当たり前か……。
そうだ。夢ならせっかくだから、今までの事を思い出してみよう。
うん。そう。それがいい。
もう、この世界にやってきて結構経ったな。楽しかった……。
目の前に走馬燈のように、次々と思い出が映し出される。
あれ?本当に思い出って走馬燈のように思い出されるんだな……。モンスターの食材は美味いし、作物も美味い。何を食べても、堕落した生活をおくっても太る事のないエルフ相手だから、何も気にせずに料理も出来た。カロリー増し増しの揚げ物祭りだ。イリア、ララ、エリ、ターニャさん、アリシア……色々な人にも出会えて良かった。本当に良かった。もっと一緒に色々な事をやりたかった……。
あれれ?凄く悲しくなってる……。これは夢オチだから大丈夫。……大丈夫なんだ。
「ヤマト君。君、かなり混乱してるね?うん。パニクってる。落ち着いてなんか全然ないよ?それに、大丈夫でもない。」
え?誰??
「誰だ??」
「ん?僕かい?僕は君だよ。」
「はぁ?俺??」
何で俺が俺に語り掛けてるんだよ?それに、自分で耳にしている声と全然違うんだけど??
「まあ、正確に言うと、君の心臓だね。」
ええ?!心臓??
「何で心臓が?って顔だね。まあ、無理もないね。でも、僕はこの世界に君が来た時から君の事ならなんでも知ってる?君が何時も、彼女達にどんなスケベな妄想をしているかも知っているよ。まあ、でも……今は長々と話している暇はないよ。とりあえずは、あのモンスターを倒さない事には君は助からない。だから、少し身体を貸してはくれないか?」
な、なにを言っている??身体を貸す??
「身体を貸す?!そんの事が出来るはず……。」
「時間がない!早く!!」
突然、俺の心臓?は声を荒げた。モンスターが近くまでやって来たのだろうか?
「分かった!貸す!!俺の身体使ってくれ!!」
「ありがとう!」
俺の意識はそこで途絶えた。
「マスター!!」
ララは有らん限りのスピードで走った。エリやイリア、アリシアを置き去りにして。流石、元・勇者と言ったところだろう。
そして、ララは言葉を無く立ち止まった。
「ララ!!主様は?!」
ララに遅れる事、数秒、エリもララに追いつく。
「……あれは、マスター??」
「え?何を言ってるだい??ララ……。」
ララの言葉を聞き、エリもヤマトを見て、言葉を無くした。ララもエリもヤマトを見て動けなくなっていた。
「うおおおおおおーーーーーっ!!!!」
ヤマトは叫び声を上げながら、モンスターを屠ろうとしている。
「ハァハァハァ。二人とも速すぎです。そんな所で立ち止まって……ヤマト様はご無事なんですか?!早く助けないといけないじゃなかったのですか?このルームの冷気は異常ですよ?!」
イリアは両膝に手を置き、肩で激しく息をしながら、ララ達に問う。
声を出さない代わりに、エリはヤマトの方を指差す。その先をイリアは見て声を出した。
「あれは……ヤマト様です……か?」
ヤマトは自分が知らない速度でモンスターにダメージを与えている。一瞬、疾風の靴の力?と思い、靴を見やるが光ってはいない。
剣技も比べ物にならない。モンスターと戦い、ララに修行を積んでもらったからと言って出来るような身のこなしでもない。自分の……自分達の知っているヤマトが目の前には居なかった。
そして、ヤマトの叫び声でイリア達は我に返る。
「秘剣!鬼神三枚おろし!!!」
ヤマトはモンスターを……イレギュラーのモンスターを一人で屠ってしまった。三枚おろしにしてしまったのだ。
「……ラック……スター?」
ララは呟く。その呟きが終わると同時にヤマトはその場に倒れ込んだ。
「ヤマト様ーーーー!!!」
イリアの声が凍りかけたダンジョンに響き渡った。
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