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北国ダンジョンのある一時

北国ダンジョンのある一時5

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 俺は元の場所へ戻って驚愕した。なぜか、有るはずのない、大量の薪になるだろう木の枝が置いてあり、服を乾かせるような、物干しまで用意してあった。
 ど、どういうこと??なんで、こんな物が??こ、これも神々の気まぐれ??
 「エ、エリ。これは、どういうことだと思う??何で薪に物干しまで??」
 思わず、エリに俺はたずねた。
 「わ、わたくしにも分かりません……クチュン!……わ。これも、神々の気まぐれなのかもしれませんし……。こんな事は、初めてでございます。」
 よく、分からんけど……これはありがたい。早速、暖をとりながら、服を乾かそう。そうだ!せっかくだから、ホクホクグマの肉を焼いて食べるか。
 「エリ。火を起こすから、暖をとれるようになったら、服を脱いで乾かそう。」
 「え?!ええ!!しょ、正気で、ご……ございますか?!主様!!クチュン!」
 エリは物凄く慌て、そう言う。
 「いや、服を乾かさないと風邪引くだろ?それどころか、低体温症とか凍死するかもしれないだろ?鍵を探す前に、最低、服は乾かさないと。」
 「そ、そうでございますが……。」
 エリはモジモジする。
 「俺も脱ぐから、お互い様だ!!」
 「ええ?!あ、主様ももももも?!」
 エリは激しく動揺する。
 「薄暗いから見えないって。だから、安心しろ。」
 「し、しかし……」
 「俺達、家族だろ?だから、大丈夫だ。」
 俺の最後の意味不明な一言が効いたのか、エリは俯き、服を脱ぎ始めた。
 (うっひょ~。美女の裸、キタ~とよ~!!でかした!青年!!わしゃぁ、こん時ば待ってたさ~。)
 んん!?また、どこからか、聞いたことのあるような声が聞こえたような……気がした。

 パチパチと木の枝の燃える音と、ホクホクグマの肉のジュウジュウと焼ける音と匂いが鼻をくすぐる。
 今、俺とエリは裸で肩を寄せ合い、一枚のホクホクグマの毛皮を二人で羽織っていた。
 一枚もドロップしなかったのに、ホクホクグマの毛皮が落ちていたのにはビックリしたが、既に薪などが置いてある時点で度肝を抜かれていたので、そんなに不思議だとは思わなかった。感覚というのは、案外、麻痺しやすいのかもしれないな。
 それに、何だ?神々の気まぐれって何をしたいのか、全く分からん。これじゃ、俺とエリを閉じ込めて観察するくらいしか楽しみなんて無くない?神にメリットなんて一つもないと思うけど……薪に、火種の魔原石……物干しにホクホクグマの毛皮。助ける道具まで提供してくれて……。
 「なあ、エリ。神々の気まぐれ。ってこんな事あるのか?」
 さっきから、体育座りをして小さくなり、一言も喋らないエリに俺は声を掛けた。
 「……そうでございますね。わたくしも、このような事は初めてでございますわ。神が助け船を出すような事はほとんどございませんし。脱出出来ない事以外は、至れり尽くせりでございますし……。」
 エリは体をさらに小さくし、答える。
 そ、そうやって、膝を抱え込むと……む、胸がこう、圧迫されて……た、谷間が……余計に強調される!!た、たまらん!!
 (うひょひょひょひょ~。これはたまらんでごわす。眼福、眼福だがや~。)
 ええ?!同じこ、声が聞こえたと思ったけど、俺と同じような事、考えてる?!
 「どうかなされたのでございますか?主様??」
 エリは不思議そうにこちらを見る。
 も、もしかして、あの声は、エリには聞こえていない?俺と同じような事を考えていたし……俺の心の声か??
 「あっ……いや、何でもないんだ。そ、それより、エリの肌って綺麗だよな。」
 「……え?!」
 エリは俺の言葉を聞いて瞬時に顔を真っ赤にする。
 ぎょ!ぎょえ~~!!お、俺、何言ってるんだ?!エリが裸で隣に居るからって?!
 「あ、いや!こ、これは……そ、そう。前から思ってたんだ。エリは肌も綺麗だし。そ、その白いホクホクグマのコートも凄く似合ってた。」
 それを聞いて、エリは益々赤くなり、そしてポツリと言葉をこぼした。
 
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