102 / 201
北国ダンジョンのある一時
北国ダンジョンのある一時1
しおりを挟む
俺とエリは、レンコンやタケノコの代わりになる食材『マリームダケ』を穫りに、魔王様宅から少し離れたダンジョン『エカルテの洞窟』へとやってきていた。
『マリームダケ』は北国のダンジョンに生える珍しいキノコらしく、コリコリ、シャキシャキとした食感らしい。
「主様。このダンジョンでは、ホクホクグマも出現しますから、お肉もゲットいたしましょう。」
ホクホクグマのコートに身を包んだエリは、何時ものクロスボウではなく、短剣を構えながら、嬉しそうに言う。
改めて思ったが、エリの褐色の肌に、ホクホクグマの白いコートはよく似合っているよな。その事を言ったら、エリは喜ぶだろうか?
そんな事を思ったが、ヘタレの俺は口に出来なかった。
ちなみに、俺は言わずとも、まんまクマだ。ただ、手の部分は外している。その手には、麗月ではなく、ロングソードを持っていた。背中にはかなり大きなバッグを背負っている。
お互いに魔王様から借りたレザーライトアーマーをコートの中に着用している。それが、軽いのなんのって。付け心地抜群なのだ。
「そうだな。せっかくだし、いっぱいゲットしよう。それにしても、やっぱり、外と比べるとかなり暖かいな。それに、このダンジョンも攻略されてるとあって、明るいし。」
そう。極寒の地のダンジョン。実際はダンジョンも普通のダンジョンよりはるかに寒いのだろうが、外が極寒なせいで、体感温度は暖かく感じられる。
「そうですね。少し動いたら、汗をかいてしまいそうですわ。」
「なら、帰って飲む一杯は格別だな。」
「そうですね。魔王様の作る果実酒は格別でございますからね。わたくし、楽しみですわ。」
そんな事を話しながら、ダンジョンをさ迷う。
なかなか、マリームダケは生えてないものなんだな。
このダンジョンは、地下10階あるらしいが、今は4階。
1階は何時ものように、モンスターは出現せず、2階には、コールドコウモリ。3階には、シルバーフォックス。
まあ、食べられないモンスターばかりだった。コウモリは食べる国があるのは知っているし、噛みつきコウモリが食べれたものでなかったので、コールドコウモリは今回スルー。キツネは食べたという記述を見かけた事があるが、臭いらしく、かなり臭みをとらないと食べれたものではないらしい。
しかし、食材は取れなかった代わりに、シルバーフォックスからは毛皮がとれた。この世界は、ダンジョンのおかげで乱獲というのは心配しなくていいようだ。元の世界だったら、かなりの大問題になるだろうが、こんなところはダンジョンってありがたいよな。
あっ、そうか?もしかして、ホクホクグマの毛皮も取れるのか?俺が着ているような毛皮が……。だから、魔王様はこんなに大きなバッグを貸してくれたのだろう。このコートも結構な値段したから、もしかして、良い副収入になったり?
……ムフフ。……グフフフ。
食材も手に入って、毛皮も手に入る。これはいいかもしれない。
そんな事を考え、集中力を切らしたところに、この階のモンスターと出くわした。
『グワォーーーー!!!』
「ウギャーーーー!!!」
ク、クマだ!!ホクホクグマだ!!
ど、どうしよう!?に、逃げるべきか!?距離を取るべきか!?
『グワォ………?』
なぜか、見つけたら直ぐに襲い掛かってくるはずのモンスターが襲ってこない?
首を傾げながら、鼻をならし、臭いを嗅いでいるようだ。
あ。もしかして、この毛皮のおかげ?仲間だと思ってる??
アリシアに聞いたけど、ダンジョンのモンスター同士は争わないと聞いたような……。
『グモ?グモ…グモ??』
もしや……これは簡単にホクホクグマを倒すチャンス?仲間だと思っているうちに、食材を取るために必要な急所攻撃を仕掛けるチャンス?!
俺は一応、ロングソードを体の後ろに隠すようにゆっくりとホクホクグマに近付く。
ちなみに、ホクホクグマの急所は眉間。食材を取るには、急所である眉間を攻撃して倒すか首をはねて倒す。だ。
俺は、そろりそろりとホクホクグマに歩みよる。
もう少しで、ホクホクグマに攻撃が届く距離。相変わらず、ホクホクグマは鼻を鳴らし臭いを嗅いでいる。しかも、他のホクホクグマが現れる気配もない。
(ほほ~ぅ。こりゃ~。面白か事ばしよるやつのおるぜよ。)
え?誰だ??何か変な声が聞こえたような気が??
そう思い、俺は立ち止まった。
次の瞬間、鼻を鳴らして臭いを嗅いでいたホクホクグマは嗅ぐのを止め、俺に襲い掛かってきた。
あっ?!やべぇ!
『マリームダケ』は北国のダンジョンに生える珍しいキノコらしく、コリコリ、シャキシャキとした食感らしい。
「主様。このダンジョンでは、ホクホクグマも出現しますから、お肉もゲットいたしましょう。」
ホクホクグマのコートに身を包んだエリは、何時ものクロスボウではなく、短剣を構えながら、嬉しそうに言う。
改めて思ったが、エリの褐色の肌に、ホクホクグマの白いコートはよく似合っているよな。その事を言ったら、エリは喜ぶだろうか?
そんな事を思ったが、ヘタレの俺は口に出来なかった。
ちなみに、俺は言わずとも、まんまクマだ。ただ、手の部分は外している。その手には、麗月ではなく、ロングソードを持っていた。背中にはかなり大きなバッグを背負っている。
お互いに魔王様から借りたレザーライトアーマーをコートの中に着用している。それが、軽いのなんのって。付け心地抜群なのだ。
「そうだな。せっかくだし、いっぱいゲットしよう。それにしても、やっぱり、外と比べるとかなり暖かいな。それに、このダンジョンも攻略されてるとあって、明るいし。」
そう。極寒の地のダンジョン。実際はダンジョンも普通のダンジョンよりはるかに寒いのだろうが、外が極寒なせいで、体感温度は暖かく感じられる。
「そうですね。少し動いたら、汗をかいてしまいそうですわ。」
「なら、帰って飲む一杯は格別だな。」
「そうですね。魔王様の作る果実酒は格別でございますからね。わたくし、楽しみですわ。」
そんな事を話しながら、ダンジョンをさ迷う。
なかなか、マリームダケは生えてないものなんだな。
このダンジョンは、地下10階あるらしいが、今は4階。
1階は何時ものように、モンスターは出現せず、2階には、コールドコウモリ。3階には、シルバーフォックス。
まあ、食べられないモンスターばかりだった。コウモリは食べる国があるのは知っているし、噛みつきコウモリが食べれたものでなかったので、コールドコウモリは今回スルー。キツネは食べたという記述を見かけた事があるが、臭いらしく、かなり臭みをとらないと食べれたものではないらしい。
しかし、食材は取れなかった代わりに、シルバーフォックスからは毛皮がとれた。この世界は、ダンジョンのおかげで乱獲というのは心配しなくていいようだ。元の世界だったら、かなりの大問題になるだろうが、こんなところはダンジョンってありがたいよな。
あっ、そうか?もしかして、ホクホクグマの毛皮も取れるのか?俺が着ているような毛皮が……。だから、魔王様はこんなに大きなバッグを貸してくれたのだろう。このコートも結構な値段したから、もしかして、良い副収入になったり?
……ムフフ。……グフフフ。
食材も手に入って、毛皮も手に入る。これはいいかもしれない。
そんな事を考え、集中力を切らしたところに、この階のモンスターと出くわした。
『グワォーーーー!!!』
「ウギャーーーー!!!」
ク、クマだ!!ホクホクグマだ!!
ど、どうしよう!?に、逃げるべきか!?距離を取るべきか!?
『グワォ………?』
なぜか、見つけたら直ぐに襲い掛かってくるはずのモンスターが襲ってこない?
首を傾げながら、鼻をならし、臭いを嗅いでいるようだ。
あ。もしかして、この毛皮のおかげ?仲間だと思ってる??
アリシアに聞いたけど、ダンジョンのモンスター同士は争わないと聞いたような……。
『グモ?グモ…グモ??』
もしや……これは簡単にホクホクグマを倒すチャンス?仲間だと思っているうちに、食材を取るために必要な急所攻撃を仕掛けるチャンス?!
俺は一応、ロングソードを体の後ろに隠すようにゆっくりとホクホクグマに近付く。
ちなみに、ホクホクグマの急所は眉間。食材を取るには、急所である眉間を攻撃して倒すか首をはねて倒す。だ。
俺は、そろりそろりとホクホクグマに歩みよる。
もう少しで、ホクホクグマに攻撃が届く距離。相変わらず、ホクホクグマは鼻を鳴らし臭いを嗅いでいる。しかも、他のホクホクグマが現れる気配もない。
(ほほ~ぅ。こりゃ~。面白か事ばしよるやつのおるぜよ。)
え?誰だ??何か変な声が聞こえたような気が??
そう思い、俺は立ち止まった。
次の瞬間、鼻を鳴らして臭いを嗅いでいたホクホクグマは嗅ぐのを止め、俺に襲い掛かってきた。
あっ?!やべぇ!
0
お気に入りに追加
160
あなたにおすすめの小説
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。
さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。
そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。
現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
俺だけレベルアップできる件~ゴミスキル【上昇】のせいで実家を追放されたが、レベルアップできる俺は世界最強に。今更土下座したところでもう遅い〜
平山和人
ファンタジー
賢者の一族に産まれたカイトは幼いころから神童と呼ばれ、周囲の期待を一心に集めていたが、15歳の成人の儀で【上昇】というスキルを授けられた。
『物質を少しだけ浮かせる』だけのゴミスキルだと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
途方にくれるカイトは偶然、【上昇】の真の力に気づく。それは産まれた時から決まり、不変であるレベルを上げることができるスキルであったのだ。
この世界で唯一、レベルアップできるようになったカイトは、モンスターを倒し、ステータスを上げていく。
その結果、カイトは世界中に名を轟かす世界最強の冒険者となった。
一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトを追放したことを後悔するのであった。
神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜
月風レイ
ファンタジー
グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。
それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。
と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。
洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。
カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる