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魔王様、おじゃまします
魔王様、おじゃまします10
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俺は魔王様宅のある一室で正座させられていた。
目の周りはララからの一撃を食らい、腫れあがっている。
裸を見られた四人は怒っていると言うよりは、恥ずかしいのか、どうしていいのか分からないようで、戸惑い。なぜか首謀者の魔王様が俺を説教し、俺が謝るという、微妙な図式が出来上がっていた。
「ヤマト君。……キミ、覗きはいけないよ。」
「……すみません。」
「犯罪だよ?キミ?覗きは??それは人間界でも同じだっただろ?」
「……すみません。」
正座している俺の周りを魔王様はグルグルと回る。これは、どう考えても魔王様にハメられたな……。誘惑に乗った俺も悪いのだけれど……。
「ま、魔王様。私達は大丈夫なので……ヤマト様を許してやって頂けませんか?お顔も腫れたままですし、早く治療を……。」
イリアはそう、魔王様に言い、ララ達も頷いていた。
「いや。許せないね。僕の敷地内での犯罪だよ?それ相応な罰を与えなくてはならない。覗きや性犯罪はこの世界では重罪だって、キミ達も知っているだろう?最も重い場合は死刑だ。そんな重罪を……魔王たる僕が簡単に許す訳にはいかないよ?そうだろ??」
魔王様の罰?そ、想像がつかないんですけど?
「そ、そんは……。」
俺は情けない声を出す。俺、死刑?
「ヤマト君。僕が今から言う事に正直に答えたまえ。その答えが嘘でないと僕が判断したら、罰を与えるのを止め、僕の覗きの罪も許そう。」
「分かりました。」
「僕は魔王であり、元・神だからね。嘘は全く通用しないよ?いいね?」
「……はい。」
嘘のつけない質問ってどんなんだ?俺はゴクンと息を呑んだ。
「キミは、小さい胸をどう思う?」
……はあ?!今、なんて?
俺が呆気にとられ、イリアはハッとした。そうしていると、魔王様はもう一度言う。
「キミは、小さい胸の女の子をどう思うかね?」
「え……あの……。」
魔王様の目を見る。魔王様の目は真剣そのものだった。なぜ、そんな質問を??胸なんて関係ないだろう?小さくても大きくても。これを正直に言えって事?
「大きさは、あまり関係ないと思います。」
魔王様は納得した表情をしてまた言う。
「小さい胸の女の子は好きかね?」
なんだ?この羞恥心を煽られるような感覚は……。それでも、正直に答えなくてはならないのか……。
「……はい。好きです。」
「うむ。ならば、身体に無数の傷がある女の子はどう思うかね?」
え?!まだあるのか!?
身体に無数の傷がある女の子って……ん?待てよ?どこかで似たような事を聞いたような……。
俺は額に手をあてる。すると、腫れた瞼あたりに指があたる。
痛っ!!迂闊だった。殴られたの忘れていた。
しかし、その痛みで、ララ達の会話を思い出した。そういえば、イリアも胸が小さいって言って悩んでいたっけ……。
魔王様はそれを知って……?いやいやいや。魔王様、三文芝居過ぎでしょ?
……でも、その芝居に乗らない訳にはいかないんだろう。
「素敵だと思います。」
魔王様はニヤリと笑って言う。
「綺麗だと思うかね?」
「はい。綺麗だと思います。」
俺はハッキリと答えた。表情はハッキリと見えなかったがイリア達は嬉しそうにしているように見えた。
「よし!嘘はついていないみたいだね。よって、ヤマト君への罰は無しとしよう。あっ、そうそう。ヤマト君宅には『ヌル玉』があるんだよね?ヤマト君に作ってあげる取って置きに必要なんだよ。それと、ヤマト君が言っていた、レンコンやタケノコの代わりになる食材があるかもしれないだ。……そうだな。出来ればイリアちゃん、ララちゃん、ターニャちゃんは一度戻って、『ヌル玉』を取ってきてくれないかい?そして、エリちゃんはここに残って、ヤマト君とその代わりになる食材、それを取りに行ってくれないかい?ダンジョンに行く事になるから、イーシャに着いて行って、エリちゃんは装備を整えて来ておくれ。」
また魔王様は唐突に言う。それに従い、イリア達は部屋を後にした。
「いや~。すまなかったね。ヤマト君。痛い思いまでさせてしまって。」
「いえ。やはり、ワザと僕を覗かせたんですね?」
「ああ。毎日、毎日、同じ事を言って悩んでるしさ。何とかしてあげたくなっちゃってね。老婆心だと分かっていたんけど……。」
魔王様はなんだかんだ、やっぱり優しいんだろうな……。ちょっと訳わかんない所はあるけど。
こうして、俺とエリはダンジョンへ向かう事になった。
目の周りはララからの一撃を食らい、腫れあがっている。
裸を見られた四人は怒っていると言うよりは、恥ずかしいのか、どうしていいのか分からないようで、戸惑い。なぜか首謀者の魔王様が俺を説教し、俺が謝るという、微妙な図式が出来上がっていた。
「ヤマト君。……キミ、覗きはいけないよ。」
「……すみません。」
「犯罪だよ?キミ?覗きは??それは人間界でも同じだっただろ?」
「……すみません。」
正座している俺の周りを魔王様はグルグルと回る。これは、どう考えても魔王様にハメられたな……。誘惑に乗った俺も悪いのだけれど……。
「ま、魔王様。私達は大丈夫なので……ヤマト様を許してやって頂けませんか?お顔も腫れたままですし、早く治療を……。」
イリアはそう、魔王様に言い、ララ達も頷いていた。
「いや。許せないね。僕の敷地内での犯罪だよ?それ相応な罰を与えなくてはならない。覗きや性犯罪はこの世界では重罪だって、キミ達も知っているだろう?最も重い場合は死刑だ。そんな重罪を……魔王たる僕が簡単に許す訳にはいかないよ?そうだろ??」
魔王様の罰?そ、想像がつかないんですけど?
「そ、そんは……。」
俺は情けない声を出す。俺、死刑?
「ヤマト君。僕が今から言う事に正直に答えたまえ。その答えが嘘でないと僕が判断したら、罰を与えるのを止め、僕の覗きの罪も許そう。」
「分かりました。」
「僕は魔王であり、元・神だからね。嘘は全く通用しないよ?いいね?」
「……はい。」
嘘のつけない質問ってどんなんだ?俺はゴクンと息を呑んだ。
「キミは、小さい胸をどう思う?」
……はあ?!今、なんて?
俺が呆気にとられ、イリアはハッとした。そうしていると、魔王様はもう一度言う。
「キミは、小さい胸の女の子をどう思うかね?」
「え……あの……。」
魔王様の目を見る。魔王様の目は真剣そのものだった。なぜ、そんな質問を??胸なんて関係ないだろう?小さくても大きくても。これを正直に言えって事?
「大きさは、あまり関係ないと思います。」
魔王様は納得した表情をしてまた言う。
「小さい胸の女の子は好きかね?」
なんだ?この羞恥心を煽られるような感覚は……。それでも、正直に答えなくてはならないのか……。
「……はい。好きです。」
「うむ。ならば、身体に無数の傷がある女の子はどう思うかね?」
え?!まだあるのか!?
身体に無数の傷がある女の子って……ん?待てよ?どこかで似たような事を聞いたような……。
俺は額に手をあてる。すると、腫れた瞼あたりに指があたる。
痛っ!!迂闊だった。殴られたの忘れていた。
しかし、その痛みで、ララ達の会話を思い出した。そういえば、イリアも胸が小さいって言って悩んでいたっけ……。
魔王様はそれを知って……?いやいやいや。魔王様、三文芝居過ぎでしょ?
……でも、その芝居に乗らない訳にはいかないんだろう。
「素敵だと思います。」
魔王様はニヤリと笑って言う。
「綺麗だと思うかね?」
「はい。綺麗だと思います。」
俺はハッキリと答えた。表情はハッキリと見えなかったがイリア達は嬉しそうにしているように見えた。
「よし!嘘はついていないみたいだね。よって、ヤマト君への罰は無しとしよう。あっ、そうそう。ヤマト君宅には『ヌル玉』があるんだよね?ヤマト君に作ってあげる取って置きに必要なんだよ。それと、ヤマト君が言っていた、レンコンやタケノコの代わりになる食材があるかもしれないだ。……そうだな。出来ればイリアちゃん、ララちゃん、ターニャちゃんは一度戻って、『ヌル玉』を取ってきてくれないかい?そして、エリちゃんはここに残って、ヤマト君とその代わりになる食材、それを取りに行ってくれないかい?ダンジョンに行く事になるから、イーシャに着いて行って、エリちゃんは装備を整えて来ておくれ。」
また魔王様は唐突に言う。それに従い、イリア達は部屋を後にした。
「いや~。すまなかったね。ヤマト君。痛い思いまでさせてしまって。」
「いえ。やはり、ワザと僕を覗かせたんですね?」
「ああ。毎日、毎日、同じ事を言って悩んでるしさ。何とかしてあげたくなっちゃってね。老婆心だと分かっていたんけど……。」
魔王様はなんだかんだ、やっぱり優しいんだろうな……。ちょっと訳わかんない所はあるけど。
こうして、俺とエリはダンジョンへ向かう事になった。
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