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本当の出会いは……

本当の出会いは……6

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 「次に赤について、説明しますね。」
 ターニャさんは少し言い難そうに言う。
 赤……イリアの瞳の事か。ターニャさんには、話しにくい事なのかもな。
 「赤……そうですね。なんと説明すればいいのでしょう?簡単に言うと、普通のエルフより魔力が桁違いな者に現れる現象だと言っていいと思われます。『瞳の赤化』とも言われていますね。」
  「赤化?」
 何だ?赤化って??
 「赤化……先祖返りと言ったところでしょうか?」
 先祖返り?確か、隔世遺伝とかそんな物だったけ?
 「我々の先祖。……ヤマト様は、我々、エルフやヤマト様の人間、獣人、ドワーフが元は一つの世界に住んでいた。と、女王様にお聞きになったと思います。」
 ああ。確か、この世界に始めて来た時だな。
 「俺がこの世界に、始めてやってきた時の事だろ?」
 「はい。その通りです。その頃の話になるのですが、その当時、エルフの瞳は赤だったと言われています。」
 ん?それが何か問題でも??
 「問題あるのか?」
 「はい。それが問題あるのです。我々、エルフは、まだ神だった魔王様の力……影響が色濃いと言われています。魔王様の瞳の色は赤なのです。」
 話が見えないな。魔王様の力が色濃いと問題でもあるのかな?魔法を教えてくれたのも魔王様だって言うし、この世界では素晴らしい方なのではないのか??
 「我々の世界が分かつ原因の一つに、エルフの力が強大過ぎる。という事があったそうなのですよ。」
 え?どういう事だろう?
 「どういう事だ?」
 「詳しくは記されてはいません。しかし、我々、エルフは、何かの原因で魔王様の力……神の力を強く受け継ぎ過ぎたのです。そのせいか、力の不均衡が起こってしまい、争いに発展したそうなのです。エルフと数で勝るドワーフの間で。」
 何だって?エルフの力は強くて、ドワーフは数が多いの?
 「そして、その結果、エルフの圧勝。ドワーフの大半を殲滅したらしいのです。あくまで昔話ですが。」
 え?そんな事があったの??
 「その中でも、一際は輝きを放つ……そう、イリアお嬢様の瞳のような、宝石のルビーのごとく輝く瞳の英雄が、一人で国を焼き払ったという伝説があるのです。」
 「国を焼き払った?!」
 「はい。伝説ですが……。圧倒的な力だったそうです。その英雄は。英雄と言われるくらいですから、素行不良な方ではなかったようですが。」
 「ん?他に何か問題でもあるのか?」
 「はい……その後に誕生した、その英雄と同じ瞳の者はイリアお嬢様を除けば、二名。その二名とも、エルフ史に残る程の大犯罪者です。」
 ターニャさんは難しそうな顔をして言う。
 「でも、イリアはイリアなんだよ。他の二人が大犯罪者だって関係無い。あの子は、俺と母さんの子だ。それは何も変わらないんだ。性格だって、その辺にいる子と変わりなかった。可愛い子なんだよ。あの子は……それなのに。」
 過去に辛い事があったのだろう。お義父さんは、色々と思い出しているのだろう。やるせない感じで言う。
 そりゃあそうだよな。イリアのご両親からすれば、大事な娘なんだもんな。
 「でも、イリアは立派に育ったわ。周りにどんな事を言われたって、頑張って、王宮魔術師隊に入って、そして、隊長にまでなった。あの女王様の側近になったのよ。あの子は……。あの子は、私の誇りなのよ。」
 お義母さんは、嬉しそうに言う。
 「そうだな。おの子は、俺達の誇りだ。あんな可愛い子は他に居ない。まさか、王宮魔術師長を辞めるとは思わなかったけどな。」
 うっ。少し、いい話だったと思ったら、まさか辞めた話になるとは……。
 「すみません。俺のせいで……。」
 何て言っていいか分からず、俺はご両親に頭を下げた。
 「いえいえいえ。ヤマト君。謝らないで。私達は、あなたを見て、凄く感動したわ。」
 「そうそう。君を見て、何でイリアが、スッパリと魔術師長を辞めたのか分かったよ。まさか、あの時の子がね~。」
 「そうよね~。まさか?!って感じだったわよね。でも、見た瞬間に分かったわ~。」
 ここに来た時もそうだったけど、イリアのご両親は、俺の事を知ってる?どういう事だろう?
 「あの?どういう事なんですか?お二人は、俺の事をご存知だったんですか?」
 俺がご両親に詳しく聞こうとした時。
 「あ!ああ~!!そ、そうだ!!まだ、紫の瞳の話をしていませんでしたね。それに、赤色の話も途中でした。現在、イリアお嬢様のような瞳の方は存在しません。赤色の方は存在しますが、エリのようなオッドアイだったり、もっと薄い赤色だったりします。イリアお嬢様のような輝きを放つ瞳の方は存在しません。まさにイリアお嬢様は、宝石の輝き!そう!宝石なのです!!唯一無二の存在!!ああ!!イリアお嬢様っ!!」
 遮るように言う為にテンションを高くしたのか、やはり酔っているのだろう。ターニャさんは立ち上がって言った。
 「コホン。それでは、紫の話をしましょう。」
 何事もなかったかのように、ターニャさんは座り話の続きをする。
 「紫の瞳。通称『バンシー』と言われています。」
 ん?バンシー??どこかで聞いたことあるような。
 「この世界では、『死を司る瞳を持つ者』として恐れ疎まれています。」
 何かそう言われる理由があるのだろうか?
 「ヤマト様。ヤマト様は、イリアお嬢様が魔法を蘇生魔法以外は万能に使えると聞いていらっしゃいますよね?」
 「ああ。そうだな。そう聞いた事がある。」
 確かに、イリアはそう言っていた。
 「実は、その蘇生魔法以外に使えない魔法が一つあるのです。」
 「え?そうなのか?」
 「はい。それが『即死魔法』です。」
 え?即死魔法??そんな物があるのか??
 「そんな物あるのか?」
 「はい。存在します。そして、それは『バンシー』以外は使えません。」
 そんな特殊な魔法があるんだ。
 「もう、ご察しだと思われますが、『バンシー』も疎まれます。いえ。『バンシー』がこの世界で一番、疎まれているかもしれません。」
 確かに、即死魔法とかこの世界では嫌われていそうだな。死神とか、そんな感じで思われているのかもしれない。
 「……瞳の色で人は判断出来ないのですがね……。」
 ターニャさんは悲しそうに一言呟いた。

  
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