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決闘

決闘1

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 あの後の話で、ターニャさんが、ダイクン家の長女だということは納得した。
 ターニャさんがなぜ、『アナスティアナ』から『ターニャ』と呼ばれている理由も分かった。
 幼少の頃、自分の名前、アナスティアナが言えず、ターニャと言っていたから。らしい。
 そして、なぜメイドをしているか。ということは……教えてもらえなかった。
 まあ、そこら辺りは、プライベートな事もあるようなので、深くは追求しなかった。
 そして、結論から言うと、今のままの俺の力ではスティングには勝てない。そう言われ、二週間、みっちりとコーエンの洞窟、地下五階層。主の間でララにしごかれた。
 その間は、お店は休み。経済的には、大打撃だが、ララのためだ。仕方なかった。
 ララは、風魔法を使え。もちろん、スティングが使える『ウィンド・ボルケーノ』も使える。威力もスティングとは比べ物にならないくらいに強く。ほぼ、詠唱も必要としなかった。
 ちなみに、『ウィンド・ボルケーノ』は風魔法の中級魔法らしい。
 特訓場所が、ダンジョンということで、もちろん、ボスのスケルトンも登場するが、その度に倒されるか、他のパーティーがやってきた時は譲った。 
 俺が倒す事もあったが、ララに瞬殺されるスケルトンの可哀想さは、半端なかった。
 まあ、スケルトンの同情をしたけれど、俺は俺で、物凄く大変だった。
 ララの魔法で毎回、瀕死になり。イリアの魔法で復活する。何時もの剣の稽古とは違い、近寄る事さえ出来なかった。
 こんなので、本当に勝てるのか?そう思った、特訓最終日。俺はイリア達から秘策を授かる。
 「なあ?本当にこんなので勝てるのか?」
 俺はイリアに尋ねた。
 「はい。ほぼ間違いないなく勝てます。ヤマトが失敗しなければ。」
 そう言って、最終日の特訓に励んだ。
 
 そして、決戦当日。
 コーエンの洞窟。地下五階層。主の間。
 ギャラリーは、もちろん居ない……筈だった。
 もちろん、席などはない。
 当事者の、俺、イリア、ララ、ターニャさん、スティングにその従者の方だろうか?女性が一人と女王様。それに、見慣れない初老のエルフが居た。
 「あのおじさんエルフは誰だ?」
 俺は近くのイリアに耳打ちをする。 
 「あの方は、バザルーナ国王です。」
 え?何で、国王が?
 イリアから返って来た答えに俺は正直、驚いた。
 「きっと、女王様がお呼びになったのでしょう。詳しくは存じませんが。」
 イリアがそう言ったところで、女王様の声が掛かる。
 「ヤマト。スティング。両方、前へ。」
 俺とスティングは女王様の前へ出る。
 「ルールは前に説明した通りじゃ。条件も同じ。スティングが勝てば、サラマンダーの称号を妾が授けよう。ヤマトが勝てば、スティングのララノアとの婚約解消。それとヤマトにはイリア達と同じ特権を与える。良いな。」
 「「はい。」」
 俺とスティングは女王様の言葉に異論がない事を承認する。
 「うむ。そして、今日は妾以外の立会人として、バザルーナ国王にも、ご同席をお願いした。それでは、お互い装備を整えよ。」
 俺は、何時ものレザーアーマを装備する。魔法対策のマジックアイテムなどは装備しない。剣は木刀。
 一方、スティングは……イリアの予想通り。鋼のフルプレートメイルを装備し始めた。
 
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