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ギルドとダンジョンと……
ギルドとダンジョンと……2
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「イリア。俺、ダンジョンに挑んでみるよ。」
「ヤマト様。私の話は聞いおられましたか?」
イリアは、険しい表情を浮かべ、高速で口を開く。その言葉には、背筋を震わせる程の威圧感があった。
ゲームやアニメでの知識なのだが、俺の記憶が正しければ、エルフは気位が高い、プライドが高い、自尊が強く、高潔なキャラが多かった気がする。あまり融通もきかなかったような……。
もしかして、イリアもその系?俺、イリアの気に障ったか?
それでも、俺は男だ。俺にも通すべき筋って物がある。プライドがある。
「ああ。聞いていたよ。それでも、俺はダンジョンに挑みたい。」
「なぜですか?」
イリアの表情や言葉は冷ややかな物になっていく。
「俺にも、通すべき筋って物がある。女の子が、稼いで貯めたお金で、全てこなす事なんて出来ない。そりゃ、今は一文無しだから、少しは借りる。でも、それは必要最低限だけだ。修繕代も王名許可証代も自分で稼ぐ。俺は男だ。幸い、普通の人間よりは長く生きられるみたいだし。時間もある。だから、甲斐性という物を見せさせてくれ。」
俺は頭をテーブルにつくくらい、思いっきり下げる。それを見てイリアはしばらく沈黙し、一つ溜め息をついた後、口を開いた。
「はぁ……。分かりました。男性がそこまで頭を下げる事はそうそうないでしょう。ヤマト様がそういうのならば、男の甲斐性というやつを私に見せて下さい。」
さっきまで冷たく感じたイリアの声は何時も通りに戻っていた。
……良かった。
「ありがとう。イリア。」
俺の言葉に驚いたのか、イリアは少し笑って言った。
「ふふふ。なぜ、ヤマト様がお礼を言われるのですか?お礼を言うのは私の方ですよ?私のせいで、このような事態になっているのですから。でも……男とやら。見せて下さいね。楽しみにしていますから。」
「おう!任せとけ!!」
「ふふふ。そうと決まれば、まずはギルドに冒険者登録をしに行かないといけませんね。日もまだ明るいですし、今から行きましょう。」
「ギルドって、討伐依頼とか受ける所か?」
「はい。そうですよ。やはり、ヤマト様、お詳しいですね。」
なんだ?こんな所もゲームなんかに似ているな。もしかして、レベルとかあったりして……。
俺達は早速、ギルドに向かうために家を出た。もちろん、何も言わないターニャさんも後ろから付いて来る。
城を歩いている時のように、俺達を見ながらエルフ達がひそひそ話をしている。
「なあ、イリア。エルフもひそひそ話とかするんだな。」
「はい。しますね。……私が思うに……ヤマト様は、少しエルフに対して偏見をお持ちなのかもしれませんね。清潔とか清純とか、お思いかもしれませんが、エルフだって普通に悪口も言います。ひそひそ話に、こそこそ話。噂話も普通にしますし、嫌味や悪口だって普通に言います。愚痴だってこぼしますし。この場合の、ひそひそ話は、良い意味でのひそひそ話ですけど。」
「そうなのか?俺にはよく聞こえないけど……。」
エルフも、あんまり人間と変わらないのかもな…‥。勝手なイメージで、まだいっぱいだけど。
「ふふふ。いいのですよ。ヤマト様のお耳に届かなくても。私としては、凄く優越感に浸られますから。」
なんだ。優越感って……。
「あっ、そうだ。ヤマト様。」
「ん?どうした?イリア??」
「ギルドに行く途中に、『大ニワトリ』の養殖場があるので、見ていきませんか?ターニャも良いわよね?」
「時間がおしていますが、少々ならよろしいかと。ですので、私は構いません。イリアお嬢様。」
久々に口を開いたターニャさん。無口な人なんだろうか?
有り難い提案だし、ターニャさんもOKみたいだし、それは是非とも行って見てみたい。今後、お世話になる可能性もあるのだから、挨拶もしておきたいしな。
「いいね。見に行こうか。」
「それでは向かいましょう。」
俺達はギルドに行く前に少しだけ、養殖場を見る事にした。
デカッ!俺は養殖場に着いて、最初に驚いた。
元の世界のニワトリの倍は軽くある。姿形は、ほぼ同じだけど、でかい!
しかも思いのほか、人なれしている。
「可愛いですよね。」
イリアは大ニワトリを見ながら言う。
確かに可愛い。こっちに寄ってくるし、愛嬌のある顔が……そして、『あら?何かしら??』と言わんばかりに、首を傾げる姿なんてもう!
俺達はしばらく大ニワトリに癒された。
しかし、ターニャさんが呼び鈴を鳴らしたり、ドアを叩いて呼び掛けていたが、オーナーさんは留守のようだ。
「オーナーさんも不在のようなので、ギルドへ行きましょう。」
「そうだな。また来よう。」
俺達はギルドに今度こそ向かう事にした。
「ヤマト様。私の話は聞いおられましたか?」
イリアは、険しい表情を浮かべ、高速で口を開く。その言葉には、背筋を震わせる程の威圧感があった。
ゲームやアニメでの知識なのだが、俺の記憶が正しければ、エルフは気位が高い、プライドが高い、自尊が強く、高潔なキャラが多かった気がする。あまり融通もきかなかったような……。
もしかして、イリアもその系?俺、イリアの気に障ったか?
それでも、俺は男だ。俺にも通すべき筋って物がある。プライドがある。
「ああ。聞いていたよ。それでも、俺はダンジョンに挑みたい。」
「なぜですか?」
イリアの表情や言葉は冷ややかな物になっていく。
「俺にも、通すべき筋って物がある。女の子が、稼いで貯めたお金で、全てこなす事なんて出来ない。そりゃ、今は一文無しだから、少しは借りる。でも、それは必要最低限だけだ。修繕代も王名許可証代も自分で稼ぐ。俺は男だ。幸い、普通の人間よりは長く生きられるみたいだし。時間もある。だから、甲斐性という物を見せさせてくれ。」
俺は頭をテーブルにつくくらい、思いっきり下げる。それを見てイリアはしばらく沈黙し、一つ溜め息をついた後、口を開いた。
「はぁ……。分かりました。男性がそこまで頭を下げる事はそうそうないでしょう。ヤマト様がそういうのならば、男の甲斐性というやつを私に見せて下さい。」
さっきまで冷たく感じたイリアの声は何時も通りに戻っていた。
……良かった。
「ありがとう。イリア。」
俺の言葉に驚いたのか、イリアは少し笑って言った。
「ふふふ。なぜ、ヤマト様がお礼を言われるのですか?お礼を言うのは私の方ですよ?私のせいで、このような事態になっているのですから。でも……男とやら。見せて下さいね。楽しみにしていますから。」
「おう!任せとけ!!」
「ふふふ。そうと決まれば、まずはギルドに冒険者登録をしに行かないといけませんね。日もまだ明るいですし、今から行きましょう。」
「ギルドって、討伐依頼とか受ける所か?」
「はい。そうですよ。やはり、ヤマト様、お詳しいですね。」
なんだ?こんな所もゲームなんかに似ているな。もしかして、レベルとかあったりして……。
俺達は早速、ギルドに向かうために家を出た。もちろん、何も言わないターニャさんも後ろから付いて来る。
城を歩いている時のように、俺達を見ながらエルフ達がひそひそ話をしている。
「なあ、イリア。エルフもひそひそ話とかするんだな。」
「はい。しますね。……私が思うに……ヤマト様は、少しエルフに対して偏見をお持ちなのかもしれませんね。清潔とか清純とか、お思いかもしれませんが、エルフだって普通に悪口も言います。ひそひそ話に、こそこそ話。噂話も普通にしますし、嫌味や悪口だって普通に言います。愚痴だってこぼしますし。この場合の、ひそひそ話は、良い意味でのひそひそ話ですけど。」
「そうなのか?俺にはよく聞こえないけど……。」
エルフも、あんまり人間と変わらないのかもな…‥。勝手なイメージで、まだいっぱいだけど。
「ふふふ。いいのですよ。ヤマト様のお耳に届かなくても。私としては、凄く優越感に浸られますから。」
なんだ。優越感って……。
「あっ、そうだ。ヤマト様。」
「ん?どうした?イリア??」
「ギルドに行く途中に、『大ニワトリ』の養殖場があるので、見ていきませんか?ターニャも良いわよね?」
「時間がおしていますが、少々ならよろしいかと。ですので、私は構いません。イリアお嬢様。」
久々に口を開いたターニャさん。無口な人なんだろうか?
有り難い提案だし、ターニャさんもOKみたいだし、それは是非とも行って見てみたい。今後、お世話になる可能性もあるのだから、挨拶もしておきたいしな。
「いいね。見に行こうか。」
「それでは向かいましょう。」
俺達はギルドに行く前に少しだけ、養殖場を見る事にした。
デカッ!俺は養殖場に着いて、最初に驚いた。
元の世界のニワトリの倍は軽くある。姿形は、ほぼ同じだけど、でかい!
しかも思いのほか、人なれしている。
「可愛いですよね。」
イリアは大ニワトリを見ながら言う。
確かに可愛い。こっちに寄ってくるし、愛嬌のある顔が……そして、『あら?何かしら??』と言わんばかりに、首を傾げる姿なんてもう!
俺達はしばらく大ニワトリに癒された。
しかし、ターニャさんが呼び鈴を鳴らしたり、ドアを叩いて呼び掛けていたが、オーナーさんは留守のようだ。
「オーナーさんも不在のようなので、ギルドへ行きましょう。」
「そうだな。また来よう。」
俺達はギルドに今度こそ向かう事にした。
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