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始まりの日

始まりの日8

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 「おお…。これがトンカツか!?なんと良い香りじゃ。」

 蓋を開け、流れ出した匂いに、女王様は歓喜の声を上げ、室内はザワザワとざわついた。
 どうやら、エルフは鼻が良いらしい。嗅いだ事の無い匂いに戸惑っているようだ。

 「千切りキャベツなどには、お好きなドレッシングを。とんかつにはソースなどが無いので、お好みで、添えてある塩につけてお食べ下さい。」

 ドレッシングがあるから、ソースなんかあると思ったが、ソースは無かった。これは、一から作らないといけないようだ。
 女王様は俺の言葉に頷き、トンカツを何も付けず、口へ運ぶ。
 サクッと揚げ物の良い音がした後、女王は糸のように細い目をカッ!と見開き。

 「フォッ、フォォォーッ!!なんと!なんと美味なる食べ物じゃ!!サクリとした不思議な食感の後に豚肉の程よい食感と旨味が溢れてきよる。それに何じゃ?これは……コショウか?!肉にコショウをふっておるのか?!コショウが肉に合うだと?なんという事か!?だ、誰がそのような事を考えたのじゃ?!ヤ、ヤマト、おぬしか?!おぬしなのか?!いや、それは今はどうでもよい!!!せっかくのトンカツが冷めてしまう。誰か!!誰か!!米を持って参れ!!米を!!!!」

 どうやら、女王様のお口にあったようだ。
 女王様は、お付きの人にご飯を持ってこさせ、トンカツでご飯をかきこむ。
 肉にコショウをふるのは元の世界では当たり前なんだけどね。塩とコショウ。

 「しかも、なんじゃ!?この塩?!このトンカツに付けると肉に甘さが増しよる?!こ、これは米が……フォークが止まらぬ!!もふーーーーぉ!!!」
 
 この城には岩塩もあったからな。味見をしたら、まろやかで雑味もなく、甘味もあって、トンカツに合いそうな良い岩塩だった。女王様が感動するのも無理はない。
 女王様は意味不明な叫び声を放ち、フォークで次から次へと口に運ぶ。

 「それに、この細く切られたキャベツがまたよい。これを食べると、口の中がリセットされたようにサッパリとして、また、トンカツを次から次へと食べたくなってしまうではないか。」
 
 女王様の物凄い食いっぷりに、城内は更にざわつき好奇の目で俺は見られている。正直、あまり居心地のいいものではない。
 そんな俺をよそに、用意した三枚のトンカツはあっという間に無くなってしまった。

 「ぷは~。誠に美味であった。イリアの言うとおり、美味じゃった。欲を言えば、もう少し食べたかったというのが本音じゃがな。」

 女王様は満足そうに自分のお腹をさすり、手を一つ叩いた。すると、さっきまで居た人達はぞろぞろと女王の間から去り、俺とイリアさん、ターニャさん、女王様の四人だけになった。
 あれか?俺が毒でももらないか、警戒されていたのか?
 俺がそんな事を考えていると。

 「すまぬが、ヤマト。おぬしが、あちらの世界に帰れぬようになったのを、妾は……喜んでしまっておる。これほど美味なる物が、また食べられると思うと喜ばずにはいられぬ。どうか、妾を……妾達を許して欲しい。」

 女王様は深々と頭を下げる。
 女王という立場の人が得体の知れない俺に簡単に頭を下げるなんて……。女王様は懐がとても深い人なのだろう。俺の居た世界で、こんなお偉いさんが簡単に頭を下げる事はそうないだろうに……。その事に俺は感銘を受けた。
 そして、もう一度、俺の今置かれている状況を、これからどうするか考える。
 はっきりいって、もうどうにもならない事だし、仕方の無い事と割り切るしかない。という答えはもう変わらないようだ。トンカツを作る前と同じ答え。結婚もしていないし、彼女も居ない。両親も、もうこの世には居ないし、親族ともほぼ疎遠。友人とも同じようにほぼ疎遠になってる。別に俺が居なくなって悲しむ人は、ほとんど居ないだろう。……あっ、バイト君のお給料は払ってあげないと……。
 まあ、心配事は、バイト君のお給料と家賃とかそんなもんか……。
 それならば、この世界で……。いや、俺が望んだ、このカロリーや塩分など気にしないこの世界で一花咲かせるのもいいかもしれない。
 それに……なんだ。美人さんも沢山居ることだし。ここでは、俺、イケメンらしいし……。
 男なら、やはり一度は思い描くだろ?自分の理想の女性……あわよくば、ムフフな関係にもなる事を。
 ん。良いんじゃない?ムフフな関係。……大変、良いんじゃない?!ギャルゲー設定もあるんじゃない??

 「仕方ありません。命を助けて頂いていますし……心機一転、一度、死んだと思って、一から頑張りたいと思います。」

 俺は下心と少し嬉しさを隠しながら、冷静に言った。

 「うむ。済まぬ。受け入れてくれて。その詫びと言ってはなんじゃが、おぬしが店を開けるように……いや、開け!!そのために住まいを提供しよう。それと、ここの暮らしに慣れるまで、そこのイリアをおぬしにつける事にしよう。一緒に住み、何かあったら、イリアに頼るとよい。」

 そう言われ、イリアさんはこちらに向かってニコリと笑う。
 まさか、美人さんと同棲する事になるとは……。
  んん!?これはもしや、早くもビッグチャンス到来??
 こんな美人さんと住むとか……。据え膳食わぬは何とやら?!ビッグウェーブの予感!!
 妄想していると、一瞬、悪寒が走った。
 な、なに?凄い寒気がしたんですけど?!
 どういうこと?!
 慌てて、俺は辺りを見渡す。しかし、何の変化は見られなかった。
 うう。まだ鳥肌が……。何だったんだ?俺、霊感とかないけど?
 まぁ、でも、その悪寒のおかげで正常に戻れた。
 今は妄想より、現実を見なくては。今のうちに聞けるだけ、この世界の事を聞いてみよう。

 「女王様、幾つか質問、よろしいでしょうか?」
 「ふむ。なんじゃ?もうしてみ。」
 「この世界はどんな世界なんですか?俺の居た世界と何が違うんですか?」

 うん。まずはそこから。
 魔法があるという事は分かった。
 それと、ここはエルフの世界だという事。 

 「そうじゃな。ここはエルフの世界『エルヘイム』という。今はエルフ以外は住んでおらぬ。」
 「今は?」

 どういうことだろう?

 「ふむ。おぬしは驚くじゃろうが、人間界とエルフ界。すなわち、おぬしの住んでいた元の世界とは一つの世界じゃったのじゃよ。元はのぅ。」

 え?何だって??人間界と一つだった??

 「どういう事ですか?」
 「言葉の通りじゃよ。元々、人間界とエルフ界は一つじゃった。他には、ドワーフ界、獣人界も元々は一つじゃったのじゃ。」

 え!?ドワーフに獣人も居たの!?

 「まさか……。」

 も、もしかて、憧れのネコ耳娘とか存在していたのか……。
 俺が困惑していると、女王様はそれを察したのか言葉を続けた。

 「まあ、おぬしがこの話を信じられないのは分かる。じゃが、それが事実なのじゃよ。ヤマトや。なぜ、人間がモンスターの絵を書けたり、我々、エルフの事を知っておる?」
 「それは、誰かが、空想や動物を元に想像して書いたりしたんじゃ?」

 それを聞いた女王様は首を横に振る。

 「実際に、遠い遠い遥か昔に同じ世界に実在したからじゃよ。それが後世に伝わったのじゃ。」

 そ、そんな馬鹿な……。

 「……おとぎ話や神話に出てくるモンスターも?」
 「うむ。そうじゃよ??なぜ、そのような話が書けたか。一番簡単な答えは、何じゃ?」

 え?もしかして……実在したから?そんな物語みたいな事が、実際は起きていた……から?
 俺の表情を見て、俺の答えが分かったのか、満足そうに女王様は一言、言った。

 「そういう事じゃよ。」

 まさか……にわかには信じがたい。

 「直ぐに信じろと言うのも難しい話じゃな。妾が産まれるずっとずっと昔の話じゃしな。詳しい事は、妾にも分からぬのじゃ。じゃが、この世界には、多少の歪曲はあるじゃろうが、文献に確かにその形跡が記されておる。現に今、人間界の住人であったヤマト自身がこの世界に居る事も証拠になるじゃろ?おぬしの世界にはそのような文献は存在しなかったのか?」
 「そんな話は聞いていないですし、モンスターなんかはゲームやアニメ……童話にも出てくるか……。そんなものです。」
 「ふむ。なるほどな。ゲームやアニメという物が何か、妾には分からぬが、童話のように幼子でも分かるよう、何者かが記し直した……というところじゃろう。分かりやすく書き直す事で知識として簡単に得られるようにしたのじゃろうな。まあ、今は深く考える必要はなかろう。興味が出たら、調べてみるのもよいじゃろう。この世界のこともよく分かるじゃろうて。」
 「はい。そうですね。機会があったら、調べたいと思います。」

 確かにそうだな。この世界に来た楽しみの一つになるかも知れない。それに、あれだな。ゲートというアイテムがあったから、エルフ界の人は各世界と往来が出来たのかもしれない。
 俺の答えに女王様は満足したのか、瞳が笑ったように見えた。

 「ふむ。よい返事じゃ。それでこそ、妾が見込んだ男ぞ。時間も余りないゆえ、話を戻そうかの。おぬしもこの城を見て感じたじゃろ?各世界はそれぞれ、独自の進化と発展をしておる。言葉も文字も違う。魔法がこの世界にはある。寿命は人間と比べてかなり永い。およそ10倍じゃ。」
 「え?そんなに長いのですか??今の日本の平均寿命からしたら……約1000年?!」

 なんだよ?それって、アニメやゲーム……童話に出てくるように長命じゃないか……。

 「ふむ。そうじゃな。長く生きた者の平均寿命を計算するのならば、千年じゃ。ただ、心臓がエルフの物になったからと言って、おぬしがどの程度生きるかは分からぬが……。寿命が延びたのは確実じゃろう。証拠に、おぬし自身の体が若返っておる。エルフの心臓に体が適用したのじゃろう。ちなみに、妾はざっと3000歳じゃ。どんなもんじゃ?凄いじゃろ??まあ、後は、そうじゃな。自分の目で確かめるとよい。人間界と同じ、または似たような物もあるからのぅ。長い生を得たのじゃ、謳歌するがよかろう?」

 あ、頭が混乱してきた。もしかして、聞かなかった方が良かった案件だったか??疲れるから、話を変えよう。

 「なら、俺、なんでエルフの言葉が分かるんですか?俺の他に人間は、居ないのですか?」
 「ん~。それは、妾にも分からん。もしかしたらとは思うのじゃが……臓器は生前の記憶が残ると言うからのぅ。その影響で言葉が分かるのかも知れぬ。それに、おぬしの他に、人間はおらぬ。向こうから、たまに迷い込んで来る者もおるが、先程も申したが、この世界は人間の体では耐えられぬのじゃ。これは、獣人じゃろうと、ドワーフだろうと同じじゃ。そのまま野垂れ死ぬか、運が良ければ、誰かに保護され、記憶を消された後、それぞれの世界に帰ってもらっておる。おぬしは本当に稀なのじゃ。」

 改めて思ったけど、俺、誰の心臓かも分からない物を移植されているんだった……。確かに、臓器には、元の人の記憶が残るって話は聞いた事あるけど……。
 もう、色々有りすぎて訳分からん。
 それに、他に人間も居ないなんて……。この苦しみを分かち合える人間が居ないなんて……。
 なんか、もう本当に疲れた。疲れたから、最後に気掛かりな事を聞いておしまいにしよう。

 「元の世界で住んでいた部屋なんかはどうなるんですか?」

 居なくても家賃とか発生するだろうし、居なくなっているから必要もないし、関係は無くなるだろうけど……解約の手続きとか、大家さんに悪いし、気にもなる。

 「そのままじゃよ。おぬしには、もう関係の無くなる事じゃろう?」
 「俺自身には関係なくなりますけど……大家さんにも悪いですし……。あと、バイト君にも、お給料を払わないと。」
 「ふむ……。」

 女王様は少し考えて言う。

 「おぬしは向こうの世界まで行けぬのだから、イリアに代わりに行かせればよい。そやつは、『魔力バカ』と言われるくらい魔力だけは桁違いに凄いからのぅ。頭も良いから事務系の仕事も任せられるしのぅ。生命維持魔法を使わせ、変化のローブをそやつに着させて、おぬしの事を装い、事を進めればよい。何日かに分ければ、それで契約等の事は片が付くじゃろう。」

 それは名案だと思った。是非そうしてもらおう。 俺はその案を了承して、イリアさん達と城を後にした。
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