【R18/TL】ハイスペックな元彼は私を捉えて離さない

春野カノン

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人生でたった1人 side理玖(2)

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副島くんが聞いてくれた話の中にはそういったことが山ほど聞けたようだった。
中には2人がホテルに入っていく所の写真を撮っていた社員もいたようで、それもバッチリ証拠としてお借りしている。


「ついでに吉岡ともあんたは肉体関係があるんだろ?セフレってやつ。あの男はあんたに気がある。それを利用したって感じかな」

「すごい。全部当たってる四ノ宮くんさすが~」

「俺、前も言ったよね?好きな人がいるからあんたの気持ちには応えられないって」

「どうしてそこまでしてあの子なわけ?特別可愛い訳でもないし、1度は四ノ宮くんを振ったんだよね?それなのにそこまでしてもう1度あの子を振り向かせる必要があった?」

「陽葵ちゃんじゃなきゃだめなんだよ。俺の人生でたった1人、心から大切にしたいと思った人だから」


理屈なんかじゃない。
俺は大学の時に出会った陽葵ちゃんの優しさや心に触れ、もっと一緒にいたいと思った。


第1に考えないといけない陽葵ちゃんの心を1度は手放してしまったけど、やっぱり忘れられなくてこうしてもう1度アタックしてやっと手に入れた人だ。


(誰がなんと言おうが、離すわけない。俺にとっての最愛はただ1人なんだから)


「私の方が顔も可愛いしスタイルだっていい。絶対四ノ宮くんの隣にいて相応しいのは私なのに」

「それを決めるのはあんたじゃない。俺だから」


ガタッと立ち上がった女は俺の目の前にやってきて突然抱きついてきた。
自分の胸を押し付けるその行為は、こうやっていろんな男を手玉に取ってきたんだろうと想像させる。


そんな抱きついてきたこの女の肩を掴んで引き剥がす。
鼻を甘ったるい匂いがかすめ思わず顔を歪めた。


陽葵ちゃんとは全く違う鼻の奥を刺激するような甘すぎる匂いに胸焼けしそうだ。
勢いよく引き剥がすと彼女は傷ついたように眉を下げる。


(そんな顔されたって何も響かないんだよ⋯⋯)


この女がどんな顔をしようが俺には全く関係ない。
傷つこうがなんとも思わない。


「俺が好きなのは陽葵ちゃんだけだから。仕事以外で関わるつもりはない。つきまとうのもやめてくれ」

「なんでよ⋯⋯あの子がいない時間もずっと好きだったのは私なのに⋯⋯」

「俺は陽葵ちゃんしか愛せないよ」


悔しそうに唇を噛み締め立ち尽くす彼女と距離を取る。
俺を好きでいてくれたことは純粋に嬉しいと思えた。


だけどそれだけで済まさず、陽葵ちゃんを俺から引き剥がし危害を加えようとまでしてきたことが許せない。
人を使って今も陽葵ちゃんを貶めようとするその考えが許せないんだ。


「今頃、百瀬さんは吉岡に抱かれてるわよきっと。あの子は後輩想いのいい子だから、きっと断れない」

「⋯⋯俺が陽葵ちゃんを無策で見送るわけないでしょ」

「⋯⋯⋯」

「何があっても俺があんたの隣に立つことはないよ。さ、俺らも行こうか、吉岡さんのとこ。全ての事実を明るみにするために」


***


カフェの外に出るとスマートフォンを見ながら圭哉が既に待っていた。
俺と安井さんが一緒にカフェから出てくると、少しだけ安心したように小さく微笑む。


「理玖。無事だったか」

「当たり前じゃん。陽葵ちゃんを迎えに行かないと」

「横山から定期的に連絡来てる。話してるらしいけど、確信に触れたら豹変したらしい」

「陽葵ちゃんは無事なの?!」

「それは大丈夫。人目もあるし、横山がちゃんといるから」


圭哉は俺の後ろで黙って立ち尽くす安井さんに目を向けると眉間に皺を寄せて冷たく視線を向けた。
分かりやすく軽蔑した目だ。


「ろくな女じゃねぇな、ほんと。最低なクズだ」


普段ならそんな言い方、と圭哉を咎めるのに今の俺はそれを聞いてもごもっともだとしか思わなかった。
それくらい俺にとって彼女のことがどうでもいいと思えるんだろう。


足早に陽葵ちゃんたちがいるホテルへと向かった。
ロビーに入るとすぐ横山くんが俺たちに気づき、小さく手を振ってくれる。


「横山くん、陽葵ちゃんは?」

「あそこです」


離れた場所にいる2人は向かい合うように座って何やら話している。
陽葵ちゃんの方にパソコンのディスプレイを向けるその男はいやらしい笑みを浮かべ下心丸出しの視線を陽葵ちゃんに向けていた。


(そんな目で陽葵ちゃんを見るな⋯)


「いつ踏み込みますか?」

「まだ少し様子を見よう」


バレないように2人の様子を見守っているとニヤッと笑った男がテーブルの上に置く陽葵ちゃんの手にそっと指を這わせてそのまま重ねる。
それを見た瞬間、俺の身体は勝手に動いており、一目散に2人の元へと足が進んでいた。


「あ、おい!理玖!」


圭哉の制止なんて聞かず俺は大股で2人の元へと向かう。
そして陽葵ちゃんの背後に立ちそっとその華奢な肩に手を置くと、まさか俺が現れるとは思っていなかった吉岡さんが目を見開いた。


今頃俺が安井さんとよろしくやってると思っていたんだろう。
突然俺が現れたことに驚いたのは陽葵ちゃんも同じだったが、俺の姿を見た瞬間安心したようにホッと胸を撫で下ろしていた。


「なんで⋯ここに?」

「その汚い手を陽葵ちゃんの手から離してもらっていい?」

「っ!」


陽葵ちゃんの手からその手を離すと眉間に皺を寄せながらこちらに近づいてくる安井さんに視線を向ける。
その視線は話と違うだろ、とでも言いたげだった。
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