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もし許されるなら
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理玖くんとデートに行ってから2週間程が経った7月中旬の金曜日。
クライアントとの打ち合わせも終わり、制作に入っている時間のため最近は忙しく、理玖くんとゆっくり話す時間を作れていない。
私が案件に忙しいことを知っているためか、理玖くんが返事を急かすようなことは全くなかった。
あの日のデートはすごく楽しい思い出だ。
全身に注がれる甘ったるい視線も言葉も全部が懐かしくて、そして嬉しくて、理玖くんの想いがしっかり伝わってきた。
抱き締められ、触れるだけのキスをされたあの瞬間は顔から火が出るかと思うほど恥ずかしかったが全く嫌ではなかった。
それでもプレゼントしてくれたネックレスは未だに着けられないでいる。
それにきっと理玖くんは気づいているけど、何も言ってこない。
「で、ここなんだけど⋯⋯」
「⋯⋯⋯」
「ちょっと陽葵!聞いてる?」
「あ、ごめん!なんだっけ?」
どうしたのよ、と言って華乃子ちゃんが自分が開いていたパソコンのディスプレイを閉じる。
アプリケーションの制作のためにプログラマーである華乃子ちゃんと進捗の報告をしあっていたと言うのに、頭の中には別のことでいっぱいだった。
(しっかりしないと⋯⋯)
「ちょっと休憩しよ。そのあと続きやろうよ」
「うん⋯ごめんありがとう」
「飲み物取ってくるから、それまでに話す内容考えておいてよ~」
そう言って華乃子ちゃんはカフェスペースへと向かった。
しばらくすると2人分のカップを持って華乃子ちゃんが戻ってきてくれて、差し出されたカップの中には私の好きなカフェオレが注がれている。
「四ノ宮さんのこと?」
「やっぱ分かる?」
「まぁ、元彼にアプローチまたされてるって聞いてたから、それかなって思っただけ」
「その通りなんだけど⋯⋯」
注がれたカフェオレを一口含むといつもより甘い気がした。
おそらく華乃子ちゃんが、私を見て疲れていると思ってあえて甘さを足してくれたんだろう。
(優しいなぁ華乃子ちゃん⋯)
「深く考えなくていいんじゃない?いろんなこと考えるって陽葵のいい所だけど、時に考えすぎて疲れちゃうのは陽葵の悪い所でもあるよね」
「確かに、そうだね」
「今別に誰か他の人と付き合ってる訳でもないし、元彼をもう1度好きになったり付き合ったりすることは悪いことじゃないよね?別れてすぐって思うのは自分の中だけの問題でしょ?」
「うん」
「アプローチしてきてるのは四ノ宮さんなんだし、別れてすぐってあっちも分かってるじゃん。それでもすぐ言ってきてくれたってのはそんだけ陽葵のこと好きなのか、早く自分のものにしたいのか、そういう欲求があるからでしょ」
華乃子ちゃんの言う通り、これは私の気持ちの問題だ。
別れた直後にも関わらず、こんな簡単に気持ちが揺らいでしまっていいのだろうか。
そんなことを考えてしまい、自分の気持ちに無意識にブレーキをかけていた。
だけどそんなブレーキも効きにくくなるくらい、理玖くんからの気持ちは私の心を乱し、引き込もうとしてくる。
それにもう1つ引っかかっていることが私の中にはあり、それが1番心の中にモヤモヤを作っていた。
理玖くんを振ったのは私の方だ。
「でもさ華乃子ちゃん。理玖くんを振ったのは私なんだよ。振っておきながら今更って⋯⋯」
「振られても好きだからもう1度告白してくれたんじゃん。振った自分がもう1度元鞘に戻るのはって考えるのは四ノ宮さんに失礼じゃないかな。別れてもずっと好きでいてくれたその想いを疑うことにならない?」
「華乃子ちゃんの言葉がグサグサと刺さります⋯」
「元鞘だろうがなんだろうが四ノ宮さんにとっての1番が陽葵だから、好きって言ってくれるんですよ。分かりますか?」
ものすごく真っ当なことを言われている。
納得しすぎて返す言葉すら見つからない。
結局は自分の心の持ちようで、私だけがウジウジ考えてしまっているだけだ。
そう思ったら開き直れる気がしてきた。
そもそも私が別れたのは相手の浮気が原因だ。
私にも何か悪いところがあるかもしれないが、それでも元凶は間違いなく元彼にある。
「なんかすごく開き直れてきた⋯!」
「お、いいじゃん。いいことじゃん!」
「私、浮気された側だった!それなのに気にしてるなんてバカらしくない?!もったいなくない?!」
華乃子ちゃんのおかげか、一気に考えていたことが嘘のように吹っ切れた。
今までウジウジしていた私がバカらしく思える。
「───私、理玖くんが好き」
「陽葵⋯⋯」
「ちゃんと伝えたい。くれた分だけ、ううん、それ以上に」
「うん、いい笑顔。陽葵の笑顔はこうでなくっちゃ」
華乃子ちゃんと少しだけ休憩を挟み再び仕事の話に戻す。
横山くんや直井ちゃんが提案してくれた企画書を元にプログラマーである華乃子ちゃんにアプリケーションの制作を頼む。
2人で打ち合わせをしつつ話を詰めていくと、プログラマーである華乃子ちゃんの仕事への真摯さもしっかり伝わってきた。
これなら最高のアプリケーションができるに違いない。
「華乃子ちゃんありがとう。アプリケーションの方もお願いします」
「うん、任せて。進捗は報告してくからよろしくね陽葵」
手をヒラヒラと振って華乃子ちゃんは自分の席に戻っていく。
1人その場に残った私は再びパソコンを開き、作業を続けた。
そして一通りの作業が終わり、お昼くらいの時間に差し掛かったタイミングで理玖くんの姿を探す。
あまり仕事中にプライベートの内容で話しかけると目立ってしまうため、このタイミングを見計らっていたのだ。
理玖くんは今日はソファに腰をかけて膝の上にパソコンのを乗せて作業をしていた。
やっぱりそこにいるだけで姿が映える。
「四ノ宮さん。今少しいいですか?」
「ん、どうしたの?」
クライアントとの打ち合わせも終わり、制作に入っている時間のため最近は忙しく、理玖くんとゆっくり話す時間を作れていない。
私が案件に忙しいことを知っているためか、理玖くんが返事を急かすようなことは全くなかった。
あの日のデートはすごく楽しい思い出だ。
全身に注がれる甘ったるい視線も言葉も全部が懐かしくて、そして嬉しくて、理玖くんの想いがしっかり伝わってきた。
抱き締められ、触れるだけのキスをされたあの瞬間は顔から火が出るかと思うほど恥ずかしかったが全く嫌ではなかった。
それでもプレゼントしてくれたネックレスは未だに着けられないでいる。
それにきっと理玖くんは気づいているけど、何も言ってこない。
「で、ここなんだけど⋯⋯」
「⋯⋯⋯」
「ちょっと陽葵!聞いてる?」
「あ、ごめん!なんだっけ?」
どうしたのよ、と言って華乃子ちゃんが自分が開いていたパソコンのディスプレイを閉じる。
アプリケーションの制作のためにプログラマーである華乃子ちゃんと進捗の報告をしあっていたと言うのに、頭の中には別のことでいっぱいだった。
(しっかりしないと⋯⋯)
「ちょっと休憩しよ。そのあと続きやろうよ」
「うん⋯ごめんありがとう」
「飲み物取ってくるから、それまでに話す内容考えておいてよ~」
そう言って華乃子ちゃんはカフェスペースへと向かった。
しばらくすると2人分のカップを持って華乃子ちゃんが戻ってきてくれて、差し出されたカップの中には私の好きなカフェオレが注がれている。
「四ノ宮さんのこと?」
「やっぱ分かる?」
「まぁ、元彼にアプローチまたされてるって聞いてたから、それかなって思っただけ」
「その通りなんだけど⋯⋯」
注がれたカフェオレを一口含むといつもより甘い気がした。
おそらく華乃子ちゃんが、私を見て疲れていると思ってあえて甘さを足してくれたんだろう。
(優しいなぁ華乃子ちゃん⋯)
「深く考えなくていいんじゃない?いろんなこと考えるって陽葵のいい所だけど、時に考えすぎて疲れちゃうのは陽葵の悪い所でもあるよね」
「確かに、そうだね」
「今別に誰か他の人と付き合ってる訳でもないし、元彼をもう1度好きになったり付き合ったりすることは悪いことじゃないよね?別れてすぐって思うのは自分の中だけの問題でしょ?」
「うん」
「アプローチしてきてるのは四ノ宮さんなんだし、別れてすぐってあっちも分かってるじゃん。それでもすぐ言ってきてくれたってのはそんだけ陽葵のこと好きなのか、早く自分のものにしたいのか、そういう欲求があるからでしょ」
華乃子ちゃんの言う通り、これは私の気持ちの問題だ。
別れた直後にも関わらず、こんな簡単に気持ちが揺らいでしまっていいのだろうか。
そんなことを考えてしまい、自分の気持ちに無意識にブレーキをかけていた。
だけどそんなブレーキも効きにくくなるくらい、理玖くんからの気持ちは私の心を乱し、引き込もうとしてくる。
それにもう1つ引っかかっていることが私の中にはあり、それが1番心の中にモヤモヤを作っていた。
理玖くんを振ったのは私の方だ。
「でもさ華乃子ちゃん。理玖くんを振ったのは私なんだよ。振っておきながら今更って⋯⋯」
「振られても好きだからもう1度告白してくれたんじゃん。振った自分がもう1度元鞘に戻るのはって考えるのは四ノ宮さんに失礼じゃないかな。別れてもずっと好きでいてくれたその想いを疑うことにならない?」
「華乃子ちゃんの言葉がグサグサと刺さります⋯」
「元鞘だろうがなんだろうが四ノ宮さんにとっての1番が陽葵だから、好きって言ってくれるんですよ。分かりますか?」
ものすごく真っ当なことを言われている。
納得しすぎて返す言葉すら見つからない。
結局は自分の心の持ちようで、私だけがウジウジ考えてしまっているだけだ。
そう思ったら開き直れる気がしてきた。
そもそも私が別れたのは相手の浮気が原因だ。
私にも何か悪いところがあるかもしれないが、それでも元凶は間違いなく元彼にある。
「なんかすごく開き直れてきた⋯!」
「お、いいじゃん。いいことじゃん!」
「私、浮気された側だった!それなのに気にしてるなんてバカらしくない?!もったいなくない?!」
華乃子ちゃんのおかげか、一気に考えていたことが嘘のように吹っ切れた。
今までウジウジしていた私がバカらしく思える。
「───私、理玖くんが好き」
「陽葵⋯⋯」
「ちゃんと伝えたい。くれた分だけ、ううん、それ以上に」
「うん、いい笑顔。陽葵の笑顔はこうでなくっちゃ」
華乃子ちゃんと少しだけ休憩を挟み再び仕事の話に戻す。
横山くんや直井ちゃんが提案してくれた企画書を元にプログラマーである華乃子ちゃんにアプリケーションの制作を頼む。
2人で打ち合わせをしつつ話を詰めていくと、プログラマーである華乃子ちゃんの仕事への真摯さもしっかり伝わってきた。
これなら最高のアプリケーションができるに違いない。
「華乃子ちゃんありがとう。アプリケーションの方もお願いします」
「うん、任せて。進捗は報告してくからよろしくね陽葵」
手をヒラヒラと振って華乃子ちゃんは自分の席に戻っていく。
1人その場に残った私は再びパソコンを開き、作業を続けた。
そして一通りの作業が終わり、お昼くらいの時間に差し掛かったタイミングで理玖くんの姿を探す。
あまり仕事中にプライベートの内容で話しかけると目立ってしまうため、このタイミングを見計らっていたのだ。
理玖くんは今日はソファに腰をかけて膝の上にパソコンのを乗せて作業をしていた。
やっぱりそこにいるだけで姿が映える。
「四ノ宮さん。今少しいいですか?」
「ん、どうしたの?」
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