【R18/TL】ハイスペックな元彼は私を捉えて離さない

春野カノン

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平穏な日々に訪れる変化(2)

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(このクマを見るに、昨日は徹夜だったなこりゃ⋯⋯)


「昨日徹夜だったの?」

「まあね~。締切間近で他のプログラマーも仲良く残業よ」

「お疲れ様。ほんとプログラマーの皆さんには頭が上がらないね」


華乃子ちゃんは私の隣でアイスのブラックコーヒーをカップにたっぷり注いでいた。
カフェインを全力で摂取し眠さと戦っていることが目に見てわかる。


クライアントとの約束の期限間近になるとプログラマーたちが徹夜をする場面というのはよく見る。
毎回という訳ではないが、どうしても締切が近づくとこういうことも少なくはなかった。


カップを持って2人でソファに座りゆっくりと飲み物を口に運ぶ。
つかの間の穏やかな時間が流れていくが、隣に座る華乃子ちゃんの目は半分閉じていた。


(こんなんで合コンなんて行けるんだろうか⋯⋯)


「今日の合コンはどんな人が来るの?」

「なんと今回は当たり枠で不動産、金融営業とかの人たちらしくて。まぁ経済力は十分よね」

「え~すごい。今回はいい人いるといいね」

「今回ばかりはいい人捕まえてやるんだから!」


華乃子ちゃんはお金持ちと結婚して悠々自適な専業主婦生活を送ること、を目標としている。
このキリッとした見た目の割に夢は女の子らしいというギャップがたまらない。


「てかこんな顔で大丈夫だと思う?!」

「だ、大丈夫じゃないかな。いつも通り華乃子ちゃんは可愛いよ」


キリッとした見た目に反してこんな一面をもある華乃子ちゃんはすごく可愛い。
見た目は性格が強そうにも見える華乃子ちゃんだけど同じ女の私から見てもすごく綺麗だ。


「というか陽葵の方は?健二くんと最近会ってる?」


カップに注がれたブラックコーヒーをぐびぐびと飲み干した華乃子ちゃんが私の顔を覗き込む。
先程穏やかな時間、と言ったが前言撤回させていただきたい。


眠さと戦う華乃子ちゃんにとっては全く穏やかではなくこのコーヒーは眠気を消すための道具でしかないようだ。
まぁ徹夜明けの華乃子ちゃんにとっては仕方ない。


「いや⋯⋯それがなかなか時間合わなくて⋯」

「忙しいのは分かるけど時間作って会わないと知らない間に他の女とか作られちゃったりとかするよ?」

「確かに⋯⋯浮気されてもおかしくないよね」

「ちゃんと好きなら後悔しないようにね。よし、仕事しよ」

「私も仕事する」


立ち上がった華乃子ちゃんはもう一杯ブラックコーヒーをカップに注いでおり必死で眠気と戦おうとしているのが伝わる。
ふと私の頭の中に思い浮かぶのは健二くんに最後に会った時の事だ。


健二くんと2人で会ったのは2週間くらい前のことで、それも仕事終わりに一緒に夜ご飯を食べ一緒に夜を過ごした。
恋人らしい甘い夜を過ごしたわけだが、それを最後に健二くんには会えていない。


スマートフォンでメッセージのやり取りをしているだけで、実際に会ったのはそれが最後でさすがにこのままでは良くないということは分かっている。
自然消滅しかねないことは重々承知しているつもりだ。


「陽葵、華乃子おはよ!ってか華乃子その顔大丈夫かよ?!」

「あーおはよー唯斗ゆいと。そのリアクションね2回目なのよ。もう既に陽葵にされてるのよ」


副島唯斗そえじまゆいとはシステムエンジニアとして働いている私たちの同期だ。
明るめの茶色の髪全体にパーマをかけており身長も高く好青年な彼は社内でもモテるらしい。


「華乃子また徹夜しただろ。肌に悪いぞそんなの続けてると」

「そんなこと言うなら企画をもっと軽くしてくださいよ~誰かさんたちが設計したシステムが複雑すぎてプログラミングするのに時間がかかるんでしょ」

「いつも感謝してるよ華乃子ちゃん!」


私たち3人は同期の中でも比較的仲良しでよく3人で飲みに行ったりもしている。
男女関係なく切磋琢磨している最高の同期でなんでも話せる仲間たちだ。


2人がいてくれるからこの忙しさにも耐えられると言っても過言ではない。
そんな同期の存在は私の中でとても大きくなっていた。


「で、仕事なんだけどさ、華乃子どう?進捗は」

「なんのために昨日徹夜したと思ってるわけ?仕上げるために決まってるでしょ。そして仕上がってるに決まってるでしょ。プログラマーたちが数人徹夜して仕上げたんだから」


現在私たちはコスメのオンラインサイトを制作を担当していた。
システムエンジニアが企画から設計、そして開発まで行いプログラマーたちがそれを実装してくれている。


私たちは協力して1つの物を作るいわばチームだ。
順番に仕事をこなしクライアントの要望に沿い完璧に仕上げてから次のクライアントの仕事に取り掛かる。


現在そのオンラインサイトは仕上がっているためそれをクライアントに提出すれば私たちの仕事は完遂する。
この仕事はプログラマーたちの努力があってこそ完成するもので、華乃子ちゃんたちプログラマーには頭が上がらない。


今回のサイトも無事に形となったことに心底ほっとするし、クライアントからの希望にもしっかりそうことができていると思う。
華乃子ちゃんたちプログラマーが仕上げてくれたアプリケーションをあとは私たちが動作確認してクライアントにOKを貰えれば完璧だ。


「締切ギリギリだったのにさすがだなうちのプログラマーたちは」

「今日頑張れば合コンだし明日休みだから気合い入れるわ」

「華乃子ちゃんにとって合コンは栄養剤だから」

「やばいこと言ってるからな2人とも。華乃子もそんな充血した目で合コン行きまくらないし、陽葵も合コンが栄養剤なんてパワーワード言わないの」


意外に思われるが私たち3人が揃うとツッコミ担当は唯斗になる。
どちらかというと私と華乃子ちゃんはボケだ。


3人のバランスの良さも一緒にいて楽に感じられる所も全部が心地いい。
2人がいてくれて本当に良かったと思っている。
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