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エピローグ 1
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伊織くんと結婚して1年半が経った。
相変わらず伊織くんは私を溺愛してくれて、とことん甘やかしてくれて旦那様としては正直完璧すぎる。
仕事も順調に進んでおり、今私たちゲームチームは新たなゲームの制作に入っていた。
伊織くんはというと年末のため仕事が忙しそうだ。
そんな彼に心配をかけまいとまだ言えてないことがある。
最近生理が遅れており体調も少し悪い気がした。
その予想を確信に変えるためについ先日、家で妊娠検査薬を試したら陽性を目にした。
驚きとそして嬉しさといろんな気持ちが入り交じり早く伊織くんに報告したい。
そんなことがあったのが1週間前のことだ。
2人のことだから早めに言った方がいいとは思っていたが、家に帰ってきてからもパソコンを開いている時間もあるくらいには大変そうなためタイミングを失っていた。
だが今日は2人とも休みのため、今日こそは伊織くんに報告するんだと伊織くんのコーヒーを準備してソファへと向かう。
私はカフェインを控えるためにルイボスティーを注いだ。
「どうぞ伊織くん」
「ありがとな心春」
いつものように定位置と化した伊織くんの隣にピタッとくっつくように座ると、自然と彼は私の肩に腕を回して引き寄せた。
ソファに座る時はいつもこの体勢のためすごく安心する。
「伊織くん。実は話したいことがあって」
「ん、どうした?なんか困り事か?」
持っていたカップをサイドテーブルに置き、咳払いをして伊織くんと向き合う。
何かの雰囲気を感じとった伊織くんも同じようにサイドテーブルにコーヒーを置いて私を真っ直ぐ見つめた。
「実は報告があります」
「なんの報告?」
「あのですね⋯⋯」
緊張しながら私は自然と自分のお腹を撫でていた。
ここには既に伊織くんとの命が芽吹いていて私はもうお母さんなんだ。
そう実感するとこの子を守るため、私はお父さんである伊織くんと協力していかなければならない。
不思議とそう考えると緊張も解れ、伊織くんに伝える勇気が湧いてきた。
「お腹に、赤ちゃんがいます」
「えっ⋯⋯⋯」
「私と伊織くんとの赤ちゃんだよ」
今まで見たことのないくらい驚いた表情で目を丸くし、しばらく瞬きを繰り返しながら言葉の意味を理解しようと頭をフル回転させているのか、伊織くんは黙り込んだままだ。
(すごい驚いてる⋯⋯)
「俺と心春の⋯?」
「そうだよ。私たちの」
「心春のお腹にいるのか」
そっと私のお腹に向かって手を伸ばした伊織くんだが、触れる直前でピタッとその動きは止まる。
不思議に思いチラッと伊織くんの表情を確認すると片手で顔を覆い俯いていた。
「伊織くん⋯⋯」
肩を震わせるその姿を見て私は気づいた。
伊織くんが泣いていることに。
結婚してから伊織くんが泣いている姿なんて1度も見たことない。
そんな伊織くんの初めての涙を見れたのが妊娠報告だなんて、そんな幸せなことはないだろう。
声を我慢して涙を堪えるその姿を見て私も思わず頬に涙が伝った。
行き場を失っていた伊織くんの片方の手に自分の手を重ねてそのまま私のお腹へと誘う。
「心春っ」
「うん⋯いるよここに」
「俺⋯嬉しくて⋯⋯気づいたら涙出てた」
目を擦った伊織くんの瞼は少しだけ赤くなっており充血もしていた。
そんな伊織くんを見て愛おしいと思う気持ちが溢れてくる。
「俺が父親になるのか」
「うん。私もお母さんになるんだって」
「そっか。俺がお父さんに⋯⋯」
私のお腹を何度も優しく撫でる姿はもう立派な父親で将来の姿がすごく楽しみだった。
どんな風に伊織くんは父親になっていくのか、私自身もどんな風に母親になっていくのか不安もあるが今はその幸せを2人で噛み締めたい。
相変わらず伊織くんは私を溺愛してくれて、とことん甘やかしてくれて旦那様としては正直完璧すぎる。
仕事も順調に進んでおり、今私たちゲームチームは新たなゲームの制作に入っていた。
伊織くんはというと年末のため仕事が忙しそうだ。
そんな彼に心配をかけまいとまだ言えてないことがある。
最近生理が遅れており体調も少し悪い気がした。
その予想を確信に変えるためについ先日、家で妊娠検査薬を試したら陽性を目にした。
驚きとそして嬉しさといろんな気持ちが入り交じり早く伊織くんに報告したい。
そんなことがあったのが1週間前のことだ。
2人のことだから早めに言った方がいいとは思っていたが、家に帰ってきてからもパソコンを開いている時間もあるくらいには大変そうなためタイミングを失っていた。
だが今日は2人とも休みのため、今日こそは伊織くんに報告するんだと伊織くんのコーヒーを準備してソファへと向かう。
私はカフェインを控えるためにルイボスティーを注いだ。
「どうぞ伊織くん」
「ありがとな心春」
いつものように定位置と化した伊織くんの隣にピタッとくっつくように座ると、自然と彼は私の肩に腕を回して引き寄せた。
ソファに座る時はいつもこの体勢のためすごく安心する。
「伊織くん。実は話したいことがあって」
「ん、どうした?なんか困り事か?」
持っていたカップをサイドテーブルに置き、咳払いをして伊織くんと向き合う。
何かの雰囲気を感じとった伊織くんも同じようにサイドテーブルにコーヒーを置いて私を真っ直ぐ見つめた。
「実は報告があります」
「なんの報告?」
「あのですね⋯⋯」
緊張しながら私は自然と自分のお腹を撫でていた。
ここには既に伊織くんとの命が芽吹いていて私はもうお母さんなんだ。
そう実感するとこの子を守るため、私はお父さんである伊織くんと協力していかなければならない。
不思議とそう考えると緊張も解れ、伊織くんに伝える勇気が湧いてきた。
「お腹に、赤ちゃんがいます」
「えっ⋯⋯⋯」
「私と伊織くんとの赤ちゃんだよ」
今まで見たことのないくらい驚いた表情で目を丸くし、しばらく瞬きを繰り返しながら言葉の意味を理解しようと頭をフル回転させているのか、伊織くんは黙り込んだままだ。
(すごい驚いてる⋯⋯)
「俺と心春の⋯?」
「そうだよ。私たちの」
「心春のお腹にいるのか」
そっと私のお腹に向かって手を伸ばした伊織くんだが、触れる直前でピタッとその動きは止まる。
不思議に思いチラッと伊織くんの表情を確認すると片手で顔を覆い俯いていた。
「伊織くん⋯⋯」
肩を震わせるその姿を見て私は気づいた。
伊織くんが泣いていることに。
結婚してから伊織くんが泣いている姿なんて1度も見たことない。
そんな伊織くんの初めての涙を見れたのが妊娠報告だなんて、そんな幸せなことはないだろう。
声を我慢して涙を堪えるその姿を見て私も思わず頬に涙が伝った。
行き場を失っていた伊織くんの片方の手に自分の手を重ねてそのまま私のお腹へと誘う。
「心春っ」
「うん⋯いるよここに」
「俺⋯嬉しくて⋯⋯気づいたら涙出てた」
目を擦った伊織くんの瞼は少しだけ赤くなっており充血もしていた。
そんな伊織くんを見て愛おしいと思う気持ちが溢れてくる。
「俺が父親になるのか」
「うん。私もお母さんになるんだって」
「そっか。俺がお父さんに⋯⋯」
私のお腹を何度も優しく撫でる姿はもう立派な父親で将来の姿がすごく楽しみだった。
どんな風に伊織くんは父親になっていくのか、私自身もどんな風に母親になっていくのか不安もあるが今はその幸せを2人で噛み締めたい。
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