147 / 186
心春の怒り 2
しおりを挟む
「っぁ、んんっぁ」
ちゅぱっという激しい口付けの水音が響き私の下腹部からは蜜がとろーっと溢れてきた。
それを気づかれないようにギュッと太ももを合わせる。
唇がゆっくり離れていくと伊織くんの口元は唾液で濡れておりそれがとても卑猥だった。
すっかり蕩けてしまった私の腰を支えるようにがっしりとした腕に包み込まれ、その長い指先で私の口元を拭う。
「えろい顔⋯⋯」
「だって⋯⋯」
「そんな顔を心春にさせられるのも俺だけだから。離れててもいつでも俺のこと想ってて」
その言葉は伊織くんからの小さな嫉妬にも聞こえて、愛おしさが募っていく。
名残惜しそうに私から離れた伊織くんはいってきます、と言って家を出ていった。
(心配しなくたって私が好きなのは伊織くんだけだよ)
帰ってきたらちゃんと伊織くんに伝えようと思い、私も出社する準備を始めた。
赤くなった顔の熱を冷まし、平常心を取り戻すのに時間がかかる。
朝からあんな情熱的なキスをされてお預けを食らったような気持ちになり昂った心がなかなか鎮まらない。
それをきっと分かってやってる伊織くんは確信犯だ。
なんとか落ち着きを取り戻した私は身支度を整えいつものように家を出た。
***
いつもよりも少しだけ早く出勤すると既に翔くんたちがいて、彼らの重たい空気を感じ取り尚くんが過去のことを話したんだと悟った。
そりゃ3日間とはいえkisaragiからやって来たプログラマーの本性がそれだと聞けばこうなるのも無理はない。
「おはよう心春ちゃん」
「おはようみんな」
「聞いたよ尚から。まさかそんなことがあったとは⋯ごめんな尚。俺のチームで受け入れるなんて言っちゃったから」
「これは誰のせいでもないですから。ただ注意喚起のつもりで話しただけです」
「なおなおの気持ち考えると心が痛いです⋯⋯」
まるで自分の事のように感じ取れるみんなだからこそ、その痛みや辛さを共感し分かち合えるのは心強いことだと思う。
話し合った結果、なるべく尚くんと関わらせないようにしようということになった。
翔くんが基本的には大沢くんと共に行動し、私たち3人は少し距離を置く。
あと2日だけだがそれで乗り越えようと話を終えた。
続々と社員たちが出社してくる中で私たちの元に笑みを浮かべた大沢くんがやって来る。
私たちが全てを把握していることを彼は知ってか知らずか余裕そうな笑みを浮かべていた。
「おはようございます。今日もよろしくお願いします」
「おはよう。今日もよろしくね大沢くん」
「⋯⋯高柳から聞きました?僕のこと。明らかに皆さんの様子が昨日とは違うので」
自分の本性を知られたというのに全く焦っている様子がない。
こうなることが分かっていたのか、はたまた知られたところで何も問題ないとでも思っているのだろうか。
「⋯聞いたよ。うちもうちで自分の会社、チームのメンバーを守る義務があるからね。でも仕事は仕事、最低限のことはするつもりだよ」
「はい。残り2日間、よろしくお願いします」
表向きの人の良さは天下一品だし、それが絶対的に剥がれることはない仮面だとでも思っているのだろうか。
だとしたら大間違いだ。
何も罰を受けずにこのまま何事もなく生きていけるほど人生は甘くない。
それを彼はまだ知らないだけだ。
その日、彼は1日中何事もなかったかのように穏やかだった。
プログラミング知識の交流や情報の交換など、穏やかにやるべきことをこなしている。
あっという間に時間は過ぎていき夕方となったタイミングで私と雛菊ちゃんが翔くんに呼び止められた。
交換制度の最終日の明日、実用性などの調査のためにも参加したプログラマーたちを集めて話を聞くため会議室の準備をして欲しいとの事だ。
それぞれの会社の社長、そして企画の立案者である伊織くんもその場には参加するようでうちのチームからは翔くんと尚くんが参加することになっている。
雛菊ちゃんと一緒に会議室の準備をしているとおもむろに彼女が呟いた。
「なおなお。本当に隠すのが上手ですよね」
「うん⋯⋯そうだね」
「そんなの上手になったらだめなのに」
ちゅぱっという激しい口付けの水音が響き私の下腹部からは蜜がとろーっと溢れてきた。
それを気づかれないようにギュッと太ももを合わせる。
唇がゆっくり離れていくと伊織くんの口元は唾液で濡れておりそれがとても卑猥だった。
すっかり蕩けてしまった私の腰を支えるようにがっしりとした腕に包み込まれ、その長い指先で私の口元を拭う。
「えろい顔⋯⋯」
「だって⋯⋯」
「そんな顔を心春にさせられるのも俺だけだから。離れててもいつでも俺のこと想ってて」
その言葉は伊織くんからの小さな嫉妬にも聞こえて、愛おしさが募っていく。
名残惜しそうに私から離れた伊織くんはいってきます、と言って家を出ていった。
(心配しなくたって私が好きなのは伊織くんだけだよ)
帰ってきたらちゃんと伊織くんに伝えようと思い、私も出社する準備を始めた。
赤くなった顔の熱を冷まし、平常心を取り戻すのに時間がかかる。
朝からあんな情熱的なキスをされてお預けを食らったような気持ちになり昂った心がなかなか鎮まらない。
それをきっと分かってやってる伊織くんは確信犯だ。
なんとか落ち着きを取り戻した私は身支度を整えいつものように家を出た。
***
いつもよりも少しだけ早く出勤すると既に翔くんたちがいて、彼らの重たい空気を感じ取り尚くんが過去のことを話したんだと悟った。
そりゃ3日間とはいえkisaragiからやって来たプログラマーの本性がそれだと聞けばこうなるのも無理はない。
「おはよう心春ちゃん」
「おはようみんな」
「聞いたよ尚から。まさかそんなことがあったとは⋯ごめんな尚。俺のチームで受け入れるなんて言っちゃったから」
「これは誰のせいでもないですから。ただ注意喚起のつもりで話しただけです」
「なおなおの気持ち考えると心が痛いです⋯⋯」
まるで自分の事のように感じ取れるみんなだからこそ、その痛みや辛さを共感し分かち合えるのは心強いことだと思う。
話し合った結果、なるべく尚くんと関わらせないようにしようということになった。
翔くんが基本的には大沢くんと共に行動し、私たち3人は少し距離を置く。
あと2日だけだがそれで乗り越えようと話を終えた。
続々と社員たちが出社してくる中で私たちの元に笑みを浮かべた大沢くんがやって来る。
私たちが全てを把握していることを彼は知ってか知らずか余裕そうな笑みを浮かべていた。
「おはようございます。今日もよろしくお願いします」
「おはよう。今日もよろしくね大沢くん」
「⋯⋯高柳から聞きました?僕のこと。明らかに皆さんの様子が昨日とは違うので」
自分の本性を知られたというのに全く焦っている様子がない。
こうなることが分かっていたのか、はたまた知られたところで何も問題ないとでも思っているのだろうか。
「⋯聞いたよ。うちもうちで自分の会社、チームのメンバーを守る義務があるからね。でも仕事は仕事、最低限のことはするつもりだよ」
「はい。残り2日間、よろしくお願いします」
表向きの人の良さは天下一品だし、それが絶対的に剥がれることはない仮面だとでも思っているのだろうか。
だとしたら大間違いだ。
何も罰を受けずにこのまま何事もなく生きていけるほど人生は甘くない。
それを彼はまだ知らないだけだ。
その日、彼は1日中何事もなかったかのように穏やかだった。
プログラミング知識の交流や情報の交換など、穏やかにやるべきことをこなしている。
あっという間に時間は過ぎていき夕方となったタイミングで私と雛菊ちゃんが翔くんに呼び止められた。
交換制度の最終日の明日、実用性などの調査のためにも参加したプログラマーたちを集めて話を聞くため会議室の準備をして欲しいとの事だ。
それぞれの会社の社長、そして企画の立案者である伊織くんもその場には参加するようでうちのチームからは翔くんと尚くんが参加することになっている。
雛菊ちゃんと一緒に会議室の準備をしているとおもむろに彼女が呟いた。
「なおなお。本当に隠すのが上手ですよね」
「うん⋯⋯そうだね」
「そんなの上手になったらだめなのに」
3
お気に入りに追加
156
あなたにおすすめの小説
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
お知らせ有り※※束縛上司!~溺愛体質の上司の深すぎる愛情~
ひなの琴莉
恋愛
イケメンで完璧な上司は自分にだけなぜかとても過保護でしつこい。そんな店長に秘密を握られた。秘密をすることに交換条件として色々求められてしまう。 溺愛体質のヒーロー☓地味子。ドタバタラブコメディ。
2021/3/10
しおりを挟んでくださっている皆様へ。
こちらの作品はすごく昔に書いたのをリメイクして連載していたものです。
しかし、古い作品なので……時代背景と言うか……いろいろ突っ込みどころ満載で、修正しながら書いていたのですが、やはり難しかったです(汗)
楽しい作品に仕上げるのが厳しいと判断し、連載を中止させていただくことにしました。
申しわけありません。
新作を書いて更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
お詫びに過去に書いた原文のママ載せておきます。
修正していないのと、若かりし頃の作品のため、
甘めに見てくださいm(__)m
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
義兄の執愛
真木
恋愛
陽花は姉の結婚と引き換えに、義兄に囲われることになる。
教え込むように執拗に抱き、甘く愛をささやく義兄に、陽花の心は砕けていき……。
悪の華のような義兄×中性的な義妹の歪んだ愛。
魔性の大公の甘く淫らな執愛の檻に囚われて
アマイ
恋愛
優れた癒しの力を持つ家系に生まれながら、伯爵家当主であるクロエにはその力が発現しなかった。しかし血筋を絶やしたくない皇帝の意向により、クロエは早急に後継を作らねばならなくなった。相手を求め渋々参加した夜会で、クロエは謎めいた美貌の男・ルアと出会う。
二人は契約を交わし、割り切った体の関係を結ぶのだが――
戸籍ごと売られた無能令嬢ですが、子供になった冷徹魔導師の契約妻になりました
水都 ミナト
恋愛
最高峰の魔法の研究施設である魔塔。
そこでは、生活に不可欠な魔導具の生産や開発を行われている。
最愛の父と母を失い、継母に生家を乗っ取られ居場所を失ったシルファは、ついには戸籍ごと魔塔に売り飛ばされてしまった。
そんなシルファが配属されたのは、魔導具の『メンテナンス部』であった。
上層階ほど尊ばれ、難解な技術を必要とする部署が配置される魔塔において、メンテナンス部は最底辺の地下に位置している。
貴族の生まれながらも、魔法を発動することができないシルファは、唯一の取り柄である周囲の魔力を吸収して体内で中和する力を活かし、日々魔導具のメンテナンスに従事していた。
実家の後ろ盾を無くし、一人で粛々と生きていくと誓っていたシルファであったが、
上司に愛人になれと言い寄られて困り果てていたところ、突然魔塔の最高責任者ルーカスに呼びつけられる。
そこで知ったルーカスの秘密。
彼はとある事件で自分自身を守るために退行魔法で少年の姿になっていたのだ。
元の姿に戻るためには、シルファの力が必要だという。
戸惑うシルファに提案されたのは、互いの利のために結ぶ契約結婚であった。
シルファはルーカスに協力するため、そして自らの利のためにその提案に頷いた。
所詮はお飾りの妻。役目を果たすまでの仮の妻。
そう覚悟を決めようとしていたシルファに、ルーカスは「俺は、この先誰でもない、君だけを大切にすると誓う」と言う。
心が追いつかないまま始まったルーカスとの生活は温かく幸せに満ちていて、シルファは少しずつ失ったものを取り戻していく。
けれど、継母や上司の男の手が忍び寄り、シルファがようやく見つけた居場所が脅かされることになる。
シルファは自分の居場所を守り抜き、ルーカスの退行魔法を解除することができるのか――
※他サイトでも公開しています
※10万字程度で完結保証
※1/30〜7:10,12:10,17:10の3回更新予定
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
幼なじみと契約結婚しましたが、いつの間にか溺愛婚になっています。
紬 祥子(まつやちかこ)
恋愛
夢破れて帰ってきた故郷で、再会した彼との契約婚の日々。
★第17回恋愛小説大賞(2024年)にて、奨励賞を受賞いたしました!★
☆改題&加筆修正ののち、単行本として刊行されることになりました!☆
『契約結婚のはずが、幼馴染の御曹司は溺愛婚をお望みです』
(エタニティブックス・2025年2月中旬頃に刊行予定)
…これに伴い、2月半ばに当作品は非公開となります。
お楽しみくださっていた方々には申し訳ありませんが、何卒ご了承くださいませ。
【表紙:Canvaテンプレートより作成】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる