【R18/TL】無口で無愛想な旦那様の拗らせ愛は重すぎ注意

春野 カノン

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楽しみの計画 1

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年始のパーティーから少し時間が流れ2月に入った。
おじい様に提案した内容を実行するため今、伊織くんやお義父さんは試行錯誤しているみたいだ。


株式会社kisaragiとも密に連携して順調に話は進んでいってるらしい。
その理由の1つに麗華さんの助言があるのは言うまでもない。


彼女がこの施策の後押しをしてくれているからこそ前向きに話が進んでいるのは明白だ。
ただ新しいことにチャレンジする前というのは忙しくなるのが定石で、伊織くんは最近ほんの少しだけ帰りが遅い。


今日は金曜日のため明日は休みだ。
明日はゆっくりと伊織くんに休んでもらおう、なんて考えながら朝食の準備をしていると寝起きの伊織くんがあくびをしながらリビングへとやって来た。


「おはよう伊織くん」

「おはよ⋯心春」


まだ少し寝ぼけているのか寝癖で一部跳ねた髪の毛の伊織くんは私の元に近づきぎゅーっと身体を抱きしめた。
いつもはあんなにしっかりとした伊織くんなのに寝起きのタイミングになるといつもよりもあからさまに甘えん坊になる気がする。


そんな彼に対して愛おしさを感じながらそっと背中に腕を回すと、私を抱きしめる腕の力がさらに強まった。
隙間が全くなくなるくらいきつく抱きしめられ、その力が伊織くんの想いを表しているようだ。


「伊織くん、どうしたの?」

「⋯⋯⋯夢を、見た」


肩に顔を埋めながらポツリと呟く伊織くんの声はどこか不安げに震えているような気がした。
伊織くんがこんなふうに甘えてくるなんて珍しいなと思いながら彼の背中を優しく撫でる。


すると安心したのか少しだけ私を抱きしめる腕の力を弛めた。
ゆっくり伊織くんが話してくれるのを待つように、私は何も言わず彼の背中を何度も撫でる。


「心春が俺の前からいなくなる夢を見た」

「いなくならないよ私は」

「⋯⋯他の男の方が良くて俺から離れていく夢だったから、朝起きて心春がいなかったらどうしようかと思った」

「大丈夫だよ。伊織くんに何も言わずにいなくなるなんて、そんなことしないよ」


どうやら朝起きたら私がいなくなっているかもしれないという不安から私の身体を抱きしめてその存在を確かめてくれたようだ。
あんなに堂々としている伊織くんなのに夢を見ただけで、そんなふうに不安がるなんて可愛らしいところもあるんだな、とまた知らない一面を見られて嬉しい。


私よりも大きな身体なはずなのに今はどこか小さく感じるその背中を撫でて、不安を取り除けるように何度も大丈夫だよ、と呟く。
伊織くんのそんな一面を見ると自然と母性が溢れた。


(なんかおっきい子供みたいだなぁ)


「大好きだよ。だから安心して」

「ん⋯⋯」


肩に顔を埋めながら伊織くんが頷いたのが分かる。
小さな声で返事するその姿ですら可愛らしく思えて心がきゅんと高鳴った。


「ふふっ」

「なんで笑ってるんだ?」

「だって伊織くんはこんなにもかっこよくてモテモテなのに、夢で私がいなくなるかもって思って不安になって抱きしめてくれるなんて、なんか可愛いな~って」


少し身体を離した伊織くんが至近距離で私の瞳を覗き込む。
寝起きだったその瞳は覚醒し始めているのか、いつもの切れ長でキリッとし、ぱっちり開いた綺麗な瞳には私が映り込んでいた。


「可愛くなんてない」

「え~そう?いつもの伊織くんからすると可愛いと思うけどな」

「可愛いやつはこんなことしないだろ?」


一瞬で伊織くんの放つ雰囲気に雄の色気を感じ、ニヤッと微笑んだ彼は私の耳元に唇を寄せた。
そのままチロっと舌で耳たぶを刺激し、甘噛みするように歯を立てられ思わず小さな声が漏れてしまう。


「んんっ」

「可愛いって言ってる相手にそんな声出させられていいのか?心春」

「そ、それは!伊織くんのせいでしょ!」

「どっちが可愛いんだか」
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