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想い人 2
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共通の目的のために一緒に協力しあって乗り越えようとする感じすごく夫婦っぽく感じた。
それぞれがそれぞれのために見えないところで思いあい支え合うのも素敵だけど、こうしてしっかり話して同じ目的のために歩めるのもすごく嬉しい。
「結婚してから、ううん、その前からずっと伊織くんが私を守って支えてくれてたから。一緒に伊織くんの抱える重荷を背負えて嬉しいなって思うよ」
「そんなふうに思ってもらえるだけで俺は最高に幸せだよ」
「少しずつ本物の夫婦になってる感じがして嬉しい。これからもたくさん重荷を分けてね。一緒に支えたいから」
「そうだな。俺も心春の重荷を一緒に背負いたいから、わがままも何もかも全部俺が受け止める。なんでも怖がらずに言って欲しい」
本当に翔くんの言う通りだ。
伊織くんは私のどんな感情も嬉しそうに受け止めてくれるだろう。
嬉しさも悲しみも、そしてこれからあるかもしれない嫉妬や不安も、全部丸ごと受け止めてくれる気がする。
そんな安心感があるからこそ、私は伊織くんに甘えてしまうんだろう。
「私たちの未来のために、一緒に頑張ろうね」
「そうだな。一緒に、だな」
壁は人を強くする、なんて言葉があるが本当にその通りかもしれない。
それを乗り越えるために人は団結し知恵を絞り困難に立ち向かっていくのだ。
***
如月さんと2人で会う日は思ったよりも早くやって来た。
年末年始休みの最終日、私は伊織くんを介して如月さんと約束を取りつけることに成功した。
こんなにすんなり了承をしてくれるとは思っていなくて驚いたのが正直な感想だ。
私たちは以前伊織くんとも訪れたことのあるブランドショップやアパレル、飲食店などが網羅されている施設に集合することになっている。
伊織くんはというと送り迎えを買って出てくれたためそれに甘えることにした。
出かける準備をする私を見つめる伊織くんはどこか心配そうにしており、私の身支度が整っていくごとにそわそわが増しているような気がする。
「どうかした?」
「1人で行かせるのが心配なだけだ」
「出かける相手は女の子だよ?」
「行く場所には男もいるだろ。こんな可愛い姿の心春を他の男に見せたくない」
「愛が重いですね相変わらず」
「当たり前だろ。心春が可愛いのが悪い」
こういうセリフを恥ずかしげもなく言えるところが伊織くんのすごいところだ。
この整った顔立ちだからなのかこんな重たいセリフを吐いたとしても様になってしまっている。
伊織くんの希望でスカートではなくスキニーパンツを履きブーツを合わせてその上からは淡い赤色のコートを羽織った。
スカートで足を見せることは許さない、とまるでお母さんのように注意してくる伊織くんは嫉妬心むき出しのようだ。
更には伊織くんは首元が詰まっている服じゃないと隠せないような部分に盛大にキスマークを付けてきた。
どんだけ独占欲むき出しにするんだ、と言いたいがそれくらい愛されていると思いぐっと堪える。
「ちゃんとタートルネックにしたんだな」
「誰のせいでそうなったのかな?確信犯だよね」
「どうだろうな」
ニヤッと笑う伊織くんは間違いなく確信犯で、そうせざるを得ないのを分かっていてやっている。
だけどそんな伊織くんもかっこよくて何も言えない。
「伊織くんは今日家にいるの?」
「いや、翔と出かけるつもり」
「そっか。楽しみだね」
「心春がいないからその時間潰しなだけだ」
そんな可愛げのないことを言いつつも伊織くんは翔くんのことが大好きで、会えるのを楽しみにしていることを私は知っている。
無口で無愛想な彼が素直になれる数少ない友人なのだから。
伊織くんと一緒に家を出てすっかり乗り慣れたワインレッドのスポーツカーに乗り込んだ。
相変わらず伊織くんは車に乗り込む時にエスコートしてくれて、紳士的な行動をずっと続けてくれている。
それぞれがそれぞれのために見えないところで思いあい支え合うのも素敵だけど、こうしてしっかり話して同じ目的のために歩めるのもすごく嬉しい。
「結婚してから、ううん、その前からずっと伊織くんが私を守って支えてくれてたから。一緒に伊織くんの抱える重荷を背負えて嬉しいなって思うよ」
「そんなふうに思ってもらえるだけで俺は最高に幸せだよ」
「少しずつ本物の夫婦になってる感じがして嬉しい。これからもたくさん重荷を分けてね。一緒に支えたいから」
「そうだな。俺も心春の重荷を一緒に背負いたいから、わがままも何もかも全部俺が受け止める。なんでも怖がらずに言って欲しい」
本当に翔くんの言う通りだ。
伊織くんは私のどんな感情も嬉しそうに受け止めてくれるだろう。
嬉しさも悲しみも、そしてこれからあるかもしれない嫉妬や不安も、全部丸ごと受け止めてくれる気がする。
そんな安心感があるからこそ、私は伊織くんに甘えてしまうんだろう。
「私たちの未来のために、一緒に頑張ろうね」
「そうだな。一緒に、だな」
壁は人を強くする、なんて言葉があるが本当にその通りかもしれない。
それを乗り越えるために人は団結し知恵を絞り困難に立ち向かっていくのだ。
***
如月さんと2人で会う日は思ったよりも早くやって来た。
年末年始休みの最終日、私は伊織くんを介して如月さんと約束を取りつけることに成功した。
こんなにすんなり了承をしてくれるとは思っていなくて驚いたのが正直な感想だ。
私たちは以前伊織くんとも訪れたことのあるブランドショップやアパレル、飲食店などが網羅されている施設に集合することになっている。
伊織くんはというと送り迎えを買って出てくれたためそれに甘えることにした。
出かける準備をする私を見つめる伊織くんはどこか心配そうにしており、私の身支度が整っていくごとにそわそわが増しているような気がする。
「どうかした?」
「1人で行かせるのが心配なだけだ」
「出かける相手は女の子だよ?」
「行く場所には男もいるだろ。こんな可愛い姿の心春を他の男に見せたくない」
「愛が重いですね相変わらず」
「当たり前だろ。心春が可愛いのが悪い」
こういうセリフを恥ずかしげもなく言えるところが伊織くんのすごいところだ。
この整った顔立ちだからなのかこんな重たいセリフを吐いたとしても様になってしまっている。
伊織くんの希望でスカートではなくスキニーパンツを履きブーツを合わせてその上からは淡い赤色のコートを羽織った。
スカートで足を見せることは許さない、とまるでお母さんのように注意してくる伊織くんは嫉妬心むき出しのようだ。
更には伊織くんは首元が詰まっている服じゃないと隠せないような部分に盛大にキスマークを付けてきた。
どんだけ独占欲むき出しにするんだ、と言いたいがそれくらい愛されていると思いぐっと堪える。
「ちゃんとタートルネックにしたんだな」
「誰のせいでそうなったのかな?確信犯だよね」
「どうだろうな」
ニヤッと笑う伊織くんは間違いなく確信犯で、そうせざるを得ないのを分かっていてやっている。
だけどそんな伊織くんもかっこよくて何も言えない。
「伊織くんは今日家にいるの?」
「いや、翔と出かけるつもり」
「そっか。楽しみだね」
「心春がいないからその時間潰しなだけだ」
そんな可愛げのないことを言いつつも伊織くんは翔くんのことが大好きで、会えるのを楽しみにしていることを私は知っている。
無口で無愛想な彼が素直になれる数少ない友人なのだから。
伊織くんと一緒に家を出てすっかり乗り慣れたワインレッドのスポーツカーに乗り込んだ。
相変わらず伊織くんは車に乗り込む時にエスコートしてくれて、紳士的な行動をずっと続けてくれている。
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